序盤は熱血スポ根要素を絡めた重めなストーリー展開が目立ったが、ずっとそうだと見ている子供達も疲れてくる。その点から作風の路線変更もいくつか取り入れることになる。
「ウルトラ怪奇シリーズ」「日本名作民話シリーズ」と銘打った楽しい時間も想い出に残る。これらの中には子供向けなライトな作風で見せる回も多くあった。
その中で新キャラのアストラやウルトラマンキングも光る要素となった。
死に別れたと思ったレオの弟アストラが実は生きていたと判明し、兄弟が無事共闘を果たすようになる。ここはウルトラ好きというか特撮好きとして熱くなる。
ガロン、リットルの兄弟怪獣に苦戦するレオをサポートしにアストラがやってくる回は想い出深い。
兄怪獣ガロン、弟怪獣リットルということで、それぞれ兄弟がいないわけがない正直なネーミングがなされたことも印象的。
レオ、アストラ兄弟の合体技 ウルトラダブルフラッシャーをぶちかますシーンは格好良い。これは我が家の兄弟でも真似たい。
格好良い弟ウルトラマンとなったアストラの存在は良い。だがこのアストラという戦士の詳しいことが本編でははっきりと分かっていない。死んでいないのは良かったが、どうして生きていたのかという詳しいことは語られない。
ガロン、リットルを討った第22話に登場した後、しばらく置いといて、それから忘れた頃に出てくる。たまにしかでてこない。登場回数が意外と少なかった。
まぁそんなアストラの事は後のシリーズとか図鑑とかの公式資料でしっかり分かるのだけどね。
キングの導入がまさかの民話シリーズだったのも面白い。存在は知っていたけど、初出はここだったのか。
一寸法師をテーマにした回でレオがチビになり、キングがキングハンマーで元のサイズに戻してくれる。随分コミカルな見せ方で最強のウルトラ戦士の紹介を行う回になっていた。
このキングはなんでもありな超人ウルトラマンで、ファンからはネタにされる一方しっかり崇拝と畏怖の念を向けられている。私も大好きなウルトラのおじいちゃんである。
後半ではM78のウルトラ兄弟とレオ、アストラ兄弟が対峙する大バトルも展開する。たくさんウルトラマンが出てきて嬉しい。
レオが必殺のレオキックを繰り出した時、エースがヤバいと思って直ぐ様回避行動に出たのが印象的。エースから見てもアレをくらえばさすがにヤバいと思ったのだろう。
タロウだけあの場にいないのは、まだ地球人 東光太郎として冒険をしているからなのだと思う。
この騒ぎでは、アストラの偽物がウルトラキーを強奪した事で、ウルトラの星も地球も終わるかどうかの大局面を迎えることになる。キングがネタを暴いてくれなかったらもっとやばくなっていたかもしれない。
キーを無くしたことで星が地球に落ちる危機的場面を見れば、ガンダムのコロニー落としのトラウマが蘇る。
ウルトラキーはヤバい兵器にもなると説明があった。使用方法が分かるシーンもあったが、まさかああやって使う兵器だったとは意外。ライフル銃みたいに構えてぶっ放すスタイルだった。
その他に印象的なエピソードは、ダンとアンヌの後日談的な不思議な話。
ダンはセブン最終回後に地球に帰ってアンヌの行方を探していたという。だが見つからなかった。そして今回やっと出会えたアンヌなのだが、和装美女になっていて子供がいる。
簡単に二人の再会とは行かず、自分はアンヌではないと言い、ダンの事も名前で呼ばない。我々が恋したアンヌ隊員とは全然違う雰囲気が見えて戸惑う。そしてちょっと怖い。
これがアンヌだったのか違ったのか、よく分からない落ちだった。なにやら幻想的なお話で嫌いではない。でもダンとアンヌのこういう再会と別れは何か嫌だな。
ウルトラマンのハヤタ隊員役の黒部進、フジ隊員役の桜井浩子が別人役でセットで出演する回がある。鶴の恩返しテイストで進むこの回も楽しかった。
この回では憎きマグマ星人も再登場。怪獣界ではマドンナのローランをお嫁さんにするため強引に言い寄る。コイツめ、人の街を水で沈めておいて自分は気楽に嫁探しとかナメている。マグマ星人にツッコんでしまう回だった。
いろいろあったレオの物語の最終章が「恐怖の円盤生物シリーズ」である。これが看板に偽りの無しの本当に恐怖のシリーズになっていた。
序盤のトラウマ要素も中盤の楽しい作風で忘れかけた頃にまたやって来たトラウマ要素がココにある。結構覚悟を持って見るべき内容になっているので要注意だ。
ラスト1クールを担うこのシリーズでは、新しい事を始めるために過去の物を諸々消しにかかる恐ろしさが見られた。ゲンの環境、襲撃して来る敵の雰囲気もガラリと変わってくる。
新しく始めるにあたっての恐怖のお仕事第一番とは、旧キャラの一掃にあった。酷い事にゲン、トオル少年を残してそれまでのレギュラーキャラが一掃される。それも酷い死によるものだった。
円盤生物シリーズ開幕シーンでは、MAC基地で女性隊員の誕生パーティーが開催される模様が描かれる。なんてめでたく楽しく始まるのだと思った矢先に謎の円盤から襲撃を受ける。パーティーが台無し。
MAC基地の内部まで敵の触手的武器が入ってきて、中からも外からもボコボコにされる。隊員がマッキーで脱出を計るも、入り口付近を防がれ発進出来ずに死ぬ。ダン隊長も潰れる基地と運命を共にし、ゲン以外のメンバーは全滅する。
それまで怪獣に対抗していた正義の組織MACが、否応なしに解体に追い込まれる恐怖の展開が見られた。これは当時のキッズ達が泣くだろう。
加えて酷いのがカオル、百子、猛が円盤生物に殺される点。ヒロインに子供達まで容赦なく消す敵のやり口が恐ろしい。
ゲンとトオルが病院に張り出された死亡者リストで3人の名前を確認するシーンには、子供向け番組にあるまじき恐怖と緊張感があった。まだ小学校低学年だった妹のカオルを失ったトオル少年のショックがデカい。これだけ人が死んで一人残った事で逆にトオル少年の運命がつらくキツイ。
このシリーズでは家族がいないことでトオルが同級生に対して劣等感を抱える、敵がその弱った精神を狙いエグい作戦をぶつけてくるという点も目立つ要素になっていた。トオルくんが可哀想。
孤独な戦いに出るゲンも精神的にきつい目にあう。MACの仲間を失い、スポーツクラブも無くなってしまった。職場をダブルで失ったことも大きな変化となった。
ウルトラマンレオがいるために地球は敵に襲撃されるのではないか、ではレオがいなければ平和なのではないか。人々の中にはそういう意見を持つ者もいる。これを聞けばゲンの心は非常に複雑なものとなるのだ。ココも可哀想。トラウマアニメの「ザンボット3」でも、主人公サイドがそんな事を言われていて可哀想と思うことがあった。
MACもなくなったので、ゲンはトオルと共に美山家に居候して単体で円盤共の起こす事件を追う。MACがいなくなったことで、現場にはその手の学者、警察が姿を見せるようになる。ここだけを見れば急にリアルさが出て来たのも印象的。
美山家の面々と触れ合う中で見えるホームドラマもここからの新しい要素となった。
母、姉、妹の3人家族の中にトオルとゲンがお邪魔する。美山家のお母さんは看護師として働く逞しいママさんで良かった。
美山家の妹役が当時子役だった杉田かおるだったことに驚く。こんなに前からテレビの仕事をしていたのか。金八先生に出ていた彼女がそれよりずっと先にウルトラマン俳優をしていたなんて知らなかった。
今回の敵は一応生物とはついているものの、しっかり怪獣という感じがせず、もっと無機質な心なき兵器にも受け止める事が出来る。それだけにただ殺しを実行する恐怖が倍増しになっていた。
微妙にキショくて不気味な連中が毎度ブラックスターから飛んで来る。それぞれのデザインは奇抜でユニーク性もあり気に入った。でも怖い。
最初にやってきたシルバーブルーメの進撃を見れば「宇宙戦争」に出て来る事務的に殺しをやってのける円盤を思い出した。トータルで一番許せない敵がコイツだった。殺しすぎ。
レオがシルバーブルーメの体内から飲み込まれたマッキーを取り出すシーンとかエグいなぁ。もちろん中身は消化済みでかつての同僚は帰ってこない。このシーンは凄惨。
後半のノーバ、ブニョあたりはシンプルデザインゆえ逆に記憶に残る。
円盤生物を送り込んでくるボスのブラック司令を窮地に追い込んだのがちびっこ連合軍だったのも印象的だ。
レオがいるからと甘えて戦わない心を持つようになったら地球人は終わりだ。最終回でゲンは、トオルくんに一人でも戦える強い男になれとエールを送る。その要素を反映したシーンが、子供達が勇気を持ってブラック司令に突撃をかけるシーンだった。
タロウの最終回では、ウルトラマンに変身せずに主人公が地球人として戦う勇気ある一幕が見れた。こちらでは子供達が力と勇気を結集して巨悪に立ち向かった。いずれも当たり前の人間のスピリットとして大事な事を伝えている。
ウルトラマンはシリーズを通して大事なメッセージ性を伝えているのだ。素晴らしい。
前期OP主題歌の歌詞にも「誰もが勇気を 忘れちゃいけない やさしい心も 忘れちゃいけない」とある。レオで大事な点はココにあった。
それから最初の1クールのみしか流れなかったこの曲が超好き。真夏竜バージョンがテレビで採用されたが、子門真人のカバーバージョンも格好良い。子門バージョンだけで4形態もあるから、子門さんはどんだけレオの歌が好きやねんと思ってしまう。
勇気と優しい心をトオルくんに伝授したゲンは、ヨットに乗って旅立つ。
心が熱くなり、物悲しくもある良き最終回だった。
このシリーズでは、ダンの手を離れて独り立ちしたゲンの成長が見れた。新シリーズに入るにあたって強烈な導入を敷いたことにはかなり引いたけど、シリーズのオチとしてそこを見せたのは良かった。
トラウマ要素が強めのシリーズだったが、全体として見ればこのシリーズは面白くて好き。
はっきり言って前作のタロウより内容が暗くて難しい。大人向けなドラマ性が売りなだけに、しっかり子供向けな作りではなかった。当時の子供達には怖いしヤバいと思える要素もあったはず。しかしそれもまた大人になって見れば良さと感じられるようになるだろう。レオはたまにあるリアタイよりも後から評価が伸びるタイプの作品だと思う。全体的に見ればタロウよりも好きだったかもしれない。
ダンが期待した次なる朝日としてしっかり輝いたレオの物語に感動した。ありがとうレオ。私も勇気と優しい心をいつまでも忘れない。
それからこの次に「ウルトラマン80」を見ようと思ったのだが、何故かBDが出ていない。何故かの部分にまぁまぁ深い事情があることはやんわり見えてくるのだけど。
80だけ仲間はずれにせず、レオの流れのままにBDを出してくれよ。
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