こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

時代が変わってからVHSの始末ってどうした?

 自宅にたくさんのアイテムがある。収集家を長年やっていると、溢れ返る物の管理に常に気を遣うことになる。

 

 最近親と兄弟から整理した方が良いと言われることがあった。私はきっちり整理が出来る人間だからその必要はない。うるさいと返すのだ。

 がしかし、向こうが言う整理とはちょっとは減らす事を考えてというものだった。面倒だなぁ。

 

 CD、ビデオ、ゲームに本など、主にブックオフに置いているものと同ジャンルのあれこれが固まっている。これらは明日私が死んだとしても、その手の業者に一括して頼めば一掃出来る。一応は金になり処分費用無しで行けるはずだ。

 こうしたセルのアイテムの処分は難しくない。アイテム数として一番数が多いレトロゲームソフトの中には、すっかりプレミア化したものもある。これら全てを売り捌けば私の葬式費用も稼げる。安く見積もってもまずそれだけは実入りがある。

 

 で、困るのが売れない物。

 家族であろうが所持品の事に関してあれこれ言われると正直言ってムカつく。でも言い分を聴けばギリ一理あるとも思える。

 もしも物を減らすなら、思い出と実用性は度外視にして、市場価値が無い物を切り捨てるべき。それが私のお兄ちゃん流の断捨離術だった。聞いていないが語られた。

 そこでお兄ちゃんと二人して考える。部屋の中で一番価値がないものはなにか。

 そして見えてきたのが、個人で中身を勝手に収録したあれこれのメディア媒体だった。

 

 楽しく作ったカセットテープ、CD、主にオタク関連のネタを収めたスクラップブックなんてのもある。その中でも一番場所を取ったのがVHSだった。もちろんDVD、BDに切り替わった後を生きた年数の多い人間ではあるが、我が家がアナログ思考だったので、この私も楽しくVHSに録画して青春を過ごしていたのだ。そのため中々の数になってしまった。

 DVDレコーダーと同時にビデオデッキも持っていてしっかり使っていた。なんかアナログの感じが好きで、2010年代に突入してもまだVHSテープに録画して見ていたし。

 一般的にアナログ放送は2011年の半分くらいで終わったことになっている。でもどういうわけか、田舎だったら本来の終了期間を越えてもまだ普通に見れた。多分2013年くらいまではいけたはず。なので我が家では息長くVHSが活躍していた。現在はさすがに見ないけど。

 

 ビデオデッキ時代の後半には5倍速録画が可能になり、2時間テープだと10時間もとることが出来た。こうなるとDVDより容量が多いから、保存用の番組以外をとるならこちらが地味に便利だったりもした。

 懐かしいな。でも5倍速録画という発明が出来たあたりには、VHSのシェアも死にかけ状態だったのではなかろうか。ウチのじいさんは「10時間はすごい!」と衝撃を受けていたのに、今思えばHDDという最強機能があるから10時間なんてしょぼい話だ。

 

 そんなこんなで標準、3倍、5倍それぞれのモードでたくさん録画したVHSテープがめっちゃある。これ、正直邪魔だな~とは思う。しっかり邪魔と思う反面、かといって処分はどうなの?とも思う。

 こんな嵩張る物が100以上あるから、全消しすれば本でもゲームでもわんさか入るスペースを確保出来る。

 でもなぁ、思い出があるしな~。結局金になる価値を思い出が凌駕するんだよな。コレクターと言っても手放さない事を前提に集めているからぶっちゃけ価値はどうでも良い。ただ欲しい物を欲しいだけ集めたい人間なんだよな。

 

 自分には物を減らせという家族達だが、聞けばじいさんも両親も若い時に録画したVHSはそれぞれが捨てずに所有しているとのことだ。捨てるという選択肢に行き着くこともないようだ。

 

 なぜ捨てるのにここまで躊躇うのだろうとも思う。ぶっちゃけ、神に誓っていいレベルで二度と再び見る事はないと思う。この先人生のロスタイムがいくら残っていようが、何か見るならBDで行くはず。ていうかビデオテープがまだ映るのかな。一応再生可能な環境はあるが、機材を設置するのも面倒臭い。

 

 絶対に見ないであろうものだが、捨てると思ったら急激に嫌になってくるなぁ。コレを録画して棚に並べる時って楽しかったものな。でも絶対に価値はないんだよな。

 

 ビデオの時代から擦り倒して現在でも新メディアで出た作品もあるから、わざわざコレで見ないよな。

 例えを上げれば「平成狸合戦ぽんぽこ」というのがある。コレはテレビから録画したのをVHSに収めたのがあって、次にはDVD、また次にはBDでも所有している。3つもあっていらない。3つのメディアを経由して現代に残るこの作品も往年の名作になってしまった。それから多分LDでも出ているのではないかと思う。

 

 私が所有するVHSの中身の多くはあれこれのアニメや特撮だ。ポケモンとか日朝の特撮とアニメの枠でやっていた過去作映像、がたくさん残っている。

 それら作品は後にDVDやBDで再度入手している。でもVHSで見る特別感は「本放送」であることなんだよな。

 いざ処分しようとなれば、その形で残す特別感は何かを追求してしまう。本放送録画だと当時のCMがあったり、プレゼント企画のPVがあったりと、パッケージ化した物には入らないリアタイのみの映像がある。そう思うと、とりあえず残しとけばとも思う。

 

 それから昔のCMって地味に面白いんだよな。CMのパッケージ化なんてのはまず無いから、これはこれで資料映像にもなるかも。

 現在のコンプライアンス的に当時のテイストの作品はもう作れないというものもある。内容がアレなためにクレームが入って放送禁止になったCMがそうだ。それだともっと視聴困難になる。そうなると、残しておけば貴重映像ともいえる。

 

 昔の音楽番組、ドラマ、バラエティなどもそうだ。やらかして消えた、普通に引退した芸能人の映像は現在だとテレビで映すことが出来ない。特にジャニーズとかがそう。今は無き古のジャニーズを見る事が可能なのもVHS時代の良さ。ジャニーズも好きだからな。

 

 とかなんとか振り返っていたら、結局捨てるのにGOを出すまでの手続きを止めてしまった。

 まぁオタクとか収集家ってのは、それを得るにあたっての実用性なんて二の次にしがちだからな。ただ所有しているという満足感が美味しいのだ。そんなのだから買ったけど実用性を全く発揮せぬまま押入れに入っている物がたくさんある。

 コレクターに対してそれ集めてどうするの?は愚問過ぎて禁句だからな。どうするかはどうでも良くても集める過程が楽しくて続けてしまうのだ。

 

 それでも個人収録の物は著作権の関係とかがあって売るのも難しいから、もし後々家に残れば家族が困る。現在も生き残っているVHS愛好家の皆さんは、自分で作ったテープは一体どうしているのか。そんな事も気になった。処分する時には結構なお葬式ムードになったりしないのかな。

 

 まぁ死ぬまで持っていようかな。死んだ後はどうしてくれても文句言わないし。余裕があれば棺桶にいくつか入れてくれても良い。

 

 今思えば稚拙な映像保存の発明だったVHSの事を、青春の中でたくさん愛したのもまた事実である。

 というわけでVHSよありがとう。ベータに走った時代もあったけど、最終的にはVHSが一番だと言っておこう。

 

 収集家の皆々は今ある家族と折り合いをつけて収集を楽しみ、未来の家族を想えば処分する事も少しは考えておこう。

 私は生きている限り好きにさせてもらい、後始末は後の時代の人間に全部任せる。

 

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