「ジャンボーグA(エース)」は、1973年1月から12月まで放送された全50話の特撮テレビドラマ。
本作は円谷プロ創立10周年記念番組として「ウルトラマンタロウ」「ファイヤーマン」と並んで世に放たれた一作である。今では老舗の円谷プロもあの頃はまだまだ若かった。
それにしてもこの三枚看板を掲げて円谷プロが戦った1973年ってのは贅沢な一年だったのだな。タロウは言わずもがなのウルトラ一家のイケメンな6男坊、ファイヤーマンは微妙にマイナーかもしれないが、既に視聴して良い味だと実感出来た作品だった。そしてもう一つがジャンボーグ。3つの波がやって来るこの時分に私が小学生のガキをやっていたのなら、めっちゃ特撮熱に湧いていたことだろう。
ジャンボーグの事は、その昔親に与えられた特撮図鑑で知っていた。だが本編はまるで見たことがなかった。放送からこれだけ経っての視聴となったが、ちゃんと見れて良かった。DVDでチェックしたが、案外綺麗に残っているものだな。来年で放送開始50年目なのでBDにして再び世に放つと良いだろう。来年は周年なので、ジャンボーグファンは今から盛り上がる準備だな。
現在はNHKでウルトラマン投票企画が絶賛展開中。そうなるとウルトラマンシリーズをおさらいしたいところだが、考えてみれば円谷プロのカードはウルトラマンだけではない。まだ色々あったはずだ。で、思い出したのが「ジャンボーグA」だった。
世がウルトラマン強化月間を迎えた今、敢えて一つ筋の異なるこっちを勉強したいのが私という殊勝な人間の思考だった。
というわけでジャンボーグをジャンジャン視聴していくぜ。
ジャンジャン視聴していくこと約2週間で全話視聴完了したので、その感想とかをジャンジャン書き殴って行くぜ。
内容
侵略型宇宙人のグロース星人が地球に襲来した。グロース星の侵略作戦司令官アンチゴーネは、街に怪獣を放つ。
地球パトロール隊「PAT」は、これを撃退するため現場に出動する。この出動で隊長の立花信也は敵の手にかかって殉職してしまう。
これを受けて、民間航空会社のパイロットをしている弟の立花ナオキは、愛機のセスナで敵に特攻をかけるがあえなく撃沈。
兄の弔い合戦に立ち上がった勇敢なナオキの姿を見ていたエメラルド星人は、ナオキを助け、グロース星人に反撃する大いなる力をくれた。
それが正義の巨大サイボーグのジャンボーグA。エメラルド星人は、ナオキのセスナがジャンボーグAに変形出来るようにサクッと改造してくれた。亡き兄がナオキに授けた腕時計にも仕掛けが施され、腕時計がセスナからジャンボーグへ変形するためのアイテムになった。
ナオキは、愛機のセスナが変形したジャンボーグAを操縦することで、グロース星人の放った怪獣を討伐するのだ。
第27話からは、ナオキの乗る軽自動車が変形する第二号ロボのジャンボーグ9(ナイン)が追加で登場する。そこからはA、9を状況に応じて使い分けながら戦う事になる。
感想
古いものだが素晴らしい特撮劇じゃあないか。ジャンボーグAも9も格好良い。2つセットでフュギュアが欲しいくらいだ。
今程技術が無いながらも、サボりなくしっかり作っていると分かる。ジャンボーグや敵の放つビームなどの技はアニメで描き、タイミングよく爆発を上げて違和感なく実写に落とし込んでいる。こういうのを考えるアイデア力はすごい。
先日、最新放送の特撮番組を見たが、技のエフェクトとか全部パソコンじゃん。それはそれで綺麗で良いが、エフェクトが手書きだったり、爆発の炎がマジのやつだったりすると生の迫力があって良い。今の時代に見るとなんだかありがたい。
立花ナオキ
主人公立花ナオキは男前で熱血漢。立花直樹という役者が演じる立花ナオキというキャラである。あっちとこっちで名前が一緒なのは印象的。トリオ芸人「パンサー」のメンバーの尾形にちょっと顔が似ている。
敵に攻撃をもらった時に「ちくしょう」とか「ぐぁあああ!」とかの野太い雄叫びをあげがち。元気な叫びにこちらも元気をもらえるのが印象的なキャラクターだった。
ナオキは腕の良いセスナのパイロットで、民間航空会社に務めている。
ウルトラマンシリーズのように、主人公が正義の組織に所属しているパターンとは違い、ナオキはPAT隊員ではなく、あくまで他で仕事をしている。時に臨時隊員扱いもあったが、正式に正義の組織には属していない。
それも納得で、ナオキは結構乱暴で野蛮な一面も持つことから、お硬い組織向きではない。間違いなくいいヤツだが喧嘩っ早く、一人で突っ走るタイプだからチームワーク形成が下手。
自分の力を過信してPATとの協力を怠って敵に負けたことがあり、その時にはエメラルド星人から「そんな調子こいたヤツにジャンボーグは預けられない」的な説教を食らってジャンボーグAの変形機能を一時的に取り上げられた。説教からの反省もして強くなる主人公だった。
ヒーローモノの主人公には、冷静で諸々弁えた人間性を持つキャラ設定がされがちだが、ナオキはそんなことはない暴れん坊でそこが結構好きだった。野性味があって生命力に溢れている。
PAT隊員と取っ組み合いの喧嘩をおっ始めることもしばしばで、なかなかファイティングな青年だった。こういうスタイルで来る主人公も珍しいかもしれない。
皆が皆落ち着いた賢い人間だとつまんない。ナオキのような直情的で熱いお友達だってクラスには一人くらいいた方が楽しい。そんな優しい心で人間を見れるきっかけとなる作品でもあった。←私ってば何言ってるんだろう。
務めている会社には味のあるおっさん社長がいるのみで、ナオキと合わせて二人でなんとかやっている。これが噂に聞く零細企業ってやつか。ある所にはあるんだな。
セスナが停めてある横にバスが置いてあり、そこを事務所にしている。バスだったら固定資産税とかいらないのかな。
面倒見の良い社長とナオキとのやり取りも好きだった。
ジャンボーグAとジャンボーグ9
ジャンボーグAはちょっとウルトラマンAぽいし、下半身を見れば電人ザボーガーの感じもする。
9は顔面の形が独特。ウルトラマンだとレオが一番近い見た目かな。シルエットだと仮面ライダーアマゾンぽい。
2つの力をナオキに与えたのは、地球の兄弟星であるエメラルド星の使者。そうか、兄弟星にそんなのがあったのかと勉強になる。
この使者の方がウルトラマンぽく、ちょっとだけジョーニアスぽい。
変身ヒーローではなく、乗り物が変形するというスタイルなのが珍しい。トランスフォーマーを凌駕するとんでもない乗り物変形だと思う。エメラルド星の技術はすごい。
敵怪獣が出たらすぐに変形して迎撃とはいかず一旦セスナを飛ばし、そこから変形となる。手間がかかるので、ナオキの戦いは他と違って不利だな。
セスナを飛ばせないと当然ジャンボーグでは戦えない。故障したり、肝心な時に別仕事でセスナが出払っていることで戦えないこともあった。
Aの操縦システムは当時だったら斬新だったのではないかと思える。よくあるロボットの手動操縦とは違い、今でいうモーションキャプチャーみたいな技術で、ナオキの動きと連動してAも動く。これのずっと後に出て来たGガンダムの操作システムと一緒だな。
操縦者と感覚がリンクしていて、Aが負傷すればナオキにもダメージが来る。工夫が見える新しい戦い方が面白かった。
9はホンダの軽自動車が変形する。Aとは操縦方法が異なり、9は車だけにハンドル操縦になる。操縦席でのスーツも違っている。
この車が赤と銀のツートンカラーで格好良いし、可愛い。これに乗りたい。
セガサターンのサンダーフォースをミッションスティックコントローラーで遊んでいた経験が手伝ってのことか、割りとスムーズにミッション車の免許が取れちまった。せっかく免許もあることだし、どうせ乗るならナオキが乗っているようなイカした一台が良いよな。
零細企業戦士のナオキの小遣いはちょっと心許ないもので、愛車を購入する時にはやや金が足らなかった。そんな時に、兄嫁が結婚指輪を質に入れてまで金を建て替えてくれた。兄嫁の愛があってこそ、ツートンカラーのおしゃれカーはナオキの元にやって来れたのだ。このエピソード、泣ける。
亡き夫が残したザ・愚弟を可愛がってくれるお姉さんは出来た女だった。その息子のかずやは、よく喚いて敵に襲撃されることの多いガキだった。
ジャンボーグ9変形時の「ジャンファイト!ツーダーシュ!」の掛け声でナオキが両手のピースサインを縦に重ねるポーズが好き。今度誰かの結婚式に呼ばれることがあったら、集合写真はあの2つ重ねピースで写りたいと思う。
そういえばジャンボーグ9の「9」てなんで9なんだ?と、多くの者が思ったはず。この私がその疑問にたどり着かない程鈍感なわけはなく、やはりそこに気づいてとても知りたくなった。で、調べると、これが良く分からない。公式がはっきりと発表した情報は多分無いのかも。
名前がナインである意味なんてナインじゃない?
もしかするとナインの響きが良かっただけで名付けたってことなんじゃナイン?
↑
まぁ予想するならこんな冗談めいた発想かな。案外こんな感じで適当に名付けただけなのかもしれなナイン。
完全に交代してAは引退ではなく、後半からは状況に応じて交互に乗り換えて戦うことになる。
セスナのAは空戦が得意。9は車だから地上戦での動きが速いが空を飛べない欠点がある。この観点からナオキがベストな方を選んで戦うことになる。戦略性が増す後半からは益々面白いぜ。
第47話では、エメラルド星人が片方を操作することによって二大サイボーグ夢の共闘が叶った。あそこは興奮したぜ。
最終戦は地球を飛び出して月で展開した。そういえばそれまでは地球内でドンパチやっていて宇宙に飛び出す展開は無しだった。
ジャンボーグAは単体で宇宙に行ける事が判明。すげぇな。何気にPATの連中が持っているマシーンも宇宙に行ける。
月の戦いでAはかなりダメージを負って戦えなくなり、最終戦は二号機の9で臨むことになった。最後は9で決めるのか。最終回までしっかり二大ロボで戦い抜いたのが良い。
9はそもそも空を飛べず、単機では宇宙に出ることも出来ない。そこでロケットにしがみついての月ツアーとなった。この時のロケットに運ばれる9の画がシュール。
エメラルド星人の産んだ傑作発明のジャンボーグA、ジャンボーグ9は超格好良かった。我々は二大ロボの勇姿を忘れない。
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