こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

悪の軍団出身の異色のヒーロー「アクマイザー3」

  「アクマイザー3(スリー)」は1975年~1976年にかけて放送された全38話の特撮番組。

 アクマイザー3はヒーロー名ではなく、主役のザビタン、イビル、ガブラの三人のヒーローの部隊名である。ある意味戦隊モノとも言えるだろう。

 ジャンケルというフェンシングのサーベルを三人それぞれが持つ、まさに東映ヒーロー界の三銃士である。

 

 その昔、一回200円の東映ヒーローフィギュアが入ったガチャがスーパーに置かれていことがあった。それを回して私はアクマイザーの三人を揃えて部屋に飾っていた。

 その当時、壁にピンポン玉をぶつけて返ってきたのをキャッチするという「一人キャッチボール」を趣味にしていた私のお兄ちゃんが誤ってイビルにピンポン玉を当ててしまい、床に落ちたイビルの首はもげてしまった。私はお兄ちゃんの事は好きだし、ゴキブリの次に暴力が嫌いだったが、あの時ばかりはバスケットボールをも片手で掴んでしまえる程大きな私の左手が作った拳固をお兄ちゃんにぶつけずにはいられなかった。

 後に祖父の用意した強力接着剤で修理はしたがあの時のショックは忘れられない。アクマイザーと言えば第一に思い出すのがこういったエピソードである。

 キャッチボールは側に何も無い広いところで行いましょう。

  ちなみに私は視聴前にはイビルの事は女の子と思っていたのだが、中を開けてみればバリバリ古風なお父さんみたいな奴だったとわかった。

 イビルの耳の部分を見て「デビルマン」に登場する私の好きなキャラの妖獣シレーヌをイメージさせたので期待してしまった。

アクマイザー3 VOL.4<完> [DVD]

 ↑ガブラ     ↑ザビタン    ↑イビル

   後ろに写るのは平和党4人衆の皆さん

 

アクマイザー3ってどんな話なのか

 アクマイザー3の劇中では当時のオカルト好きには御用達の「地球空洞説」なる説が大衆に認知され実証されている。これは読んで字のごとく地球の丸い表面はこうして大地で覆われているが中身はスッポリ何も無いゴムボールみたいな作りであるという説である。我々は大地に立っているが、ではそのずっと下の地中はどうなっているのか、実際掘ったことがないからどうなっているのかわからない。もしかしたら空洞になっているのかもしれない。

 空洞になった地底にはアクマ族なる化け物共が巣食うダウンワールドが存在している。そして地底への入り口となる大穴は北極と南極に存在するとされている。

 彼ら地底帝国連中が地底で大人しくしとけば良いものを欲をだして地上=人間界も征服しようと地上の世界に出てきて悪の限りを尽くす。

 主人公サビタンはアクマ族の一人であったが、悪の限りを尽くすアクマ族のやり方に嫌気がさして組織を抜け人間の味方に付く。 

 脱走者ザビタンの暗殺のためにイビル・ガブラの二人が地上へ送り込まれる。暗殺者の二人はザビタンの心意気にほれ込んで、これまた二人して組織を抜けて人間側に付く。アクマ族の脱走者3人が手を組んで部隊名を「アクマイザー3」と名乗り地上侵略も目論むアクマ族と対峙する。というお話。

 あと、ザビタンが言うには地上人の人間と地底のアクマ族は元々は同じ人間であったらしい。ちょっと信じられない。 

アクマイザー3 VOL.1 [DVD]

 

前半は結構シリアス

 原作者は仮面ライダーを始め私を夢中にさせた変身ヒーローを次々と世に送った石森章太郎先生である。変身ヒーローがブームとなった時代にこのアクマイザーは変身しないヒーローという変わった立ち位置にいた。常に異形の姿をしているため放送初期には敵のアクマ族と間違われて守るべき人間から誤解を受けて殺されかけたこともあった。

 

 本作の特徴は化け物に対して人間が生んだ改造人間やサイボーグがヒーローではなく、その敵なる化け物側から生まれた者が主人公にしてヒーローという点である。「仮面ライダー」のように優秀な人間を連れてきて化け物に改造したのは人間とショッカーのハーフみたいにカウントされるけど、このアクマイザーは完全に敵側産のヒーローである。敵も味方も完全一致する生き物なのである。

 その特殊な点を活かして物語を盛り上げたのが特徴的作品であった。1クール目はシリアスな話が多めだった。

 

 まず、ザビタンは人間とアクマ族の混血児であり、地上と地底の両方の血が入っている。そのこともあって人間を殺すのが嫌だったのかもしれない。人間である母は第2話で敵幹部のメザロードというクズによって処刑されてしまう。

 ザビタン、イビル、ガブラが守るべき人間とあまりにもかけ離れた自分の容姿を嘆き、涙するシーンも印象的であった。アクマ族であっても涙を流すという珍しいヒーローであった。アクマ族を裏切った三人が人間と触れ合うことでいかに自分達が人間からかけ離れた生き物であるかを自覚することで苦悩する姿はなかなか胸に刺さるものがあった。

 人間的な感情を表すためにザビタン、イビルは感情によって目に変化が加わるという設定であった。なおガブラはずっと間抜け面のまま固定。

 

 裏切り者の三人だからこそ、追っ手に知り合いを発見することもあった。ヒーロー側が親友、幼馴染、恋人、かつての恩師とも闘わならければならない苦しみの中で奮闘する場面が多く見られるのが特徴的であった。

 アクマイザー3のサポート役を務めるダルニアというアクマ族の女性も後に仲間になる。ダルニアにはマジョルカという姉がいる。この姉妹の物語が結構重かった。

 姉妹にはどちらかが裏切れば爆発して死ぬという回路が植えつけられていて、初期のダルニアはザビタンを助けたいが姉を人質に取られているので中立以上の立場は取れない苦しい立場であった。

 

 アクマ族を裏切る者は他にもいて、その中のキリンダーという爺さんのアクマ族が印象的であった。キリンダーは人間に化けて地上でタコ焼き屋さんとして働き、家族を作り孫娘を可愛がっている。完全に帰化してしまっている。ザビタンの出生がそうであるように人間とアクマ族でも子供が生まれるので人間の孫がいてもおかしくはない。

 キリンダーの現役時代はかなりの腕利きの戦士であったので強かった。

 

 

弱点がはっきりしている

 ヒーローでありながらはっきりとした弱点を持っている不完全性に何だか親近感を覚えてしまった。

 

 ザビタンにはアクマ回路が埋めこまれおり、敵のメザロードが持つアクマの紋章というアイテムを見ると正義の心とアクマ族の悪の心が反発して頭に激痛が走り闘えなくなるという弱点がある。同じく東映ヒーローの「人造人間キカイダー」もギルの笛を聞くと善悪の二つの心が反発して苦しむ弱点があったのを思い出す。

 

 イビルは鏡や水面に映った自分の顔を見ると動けなくなるという弱点がある。敵側が発案した鏡を利用してイビルの身動きを封じる作戦にかかったこともある。

 

 おデブなガブラの太いボディの中には水が詰まっていて、これが彼の原動力である。あれだけゴツイ見た目の割りにガブラの装甲は思いのほか脆く、結構な回数腹に穴を開けられている。腹に穴が開いたらそこから水が漏れ出しエネルギーが無くなってバテてしまう。大きな絆創膏で穴をふさぐお茶目演出は良かった。

 ガブラの補給する水は淡水、海水、雨後の泥交じりの水溜りの水とH2Oなら何でもいいらしい。戦闘エネルギーを水でまかなうという設定は同じ特撮ヒーローの「アイアンキング」を髣髴とさせる。

 

コミカル要素も売りの一つ

 1クール目が子供向けにしては重すぎた話が多かった。しかし2クール目からはコミカルな要素も目立ち始めた。

 初期では敵と間違えられて民間人から攻撃をうけたくらいだからアクマイザー3は素の姿では人間社会ではどう考えても動きにくい。

 ザビタンは魔法力を用いて地上の親友の新聞記者 島一平に変身したり、南雲健二というどこの誰でもないオリジナル人物に変身して人間の姿で敵の情報集めを行うようになる。この健二の姿は中々イケメンである。そして一平と同じ会社に就職して卒なく仕事もこなすようになる。ザビタンが結構世渡りの出来る男であった。

 「変わるんだら~」「戻るんだら~」のはまる掛け声と振り付けで変身と変身解除を行う。

 

 ザビタンが芸達者であるのを羨ましがり後にイビル、ガブラの二人も変身術を習得する。

 

 イビルは腕の良いガンマンではあるが変身はあまり得意とせず、変身してもコップやバケツ、提灯、杖にシーソーと雑貨かそこらくらいに変身するのが関の山である。「イビルッチョ」の掛け声で変身を行う。

 

 ガブラは「ガブラッチョ」という巨大なダチョウに変化する。今で言うキモカワイイと呼ばれる本作のマスコットキャラとなった(と思う)。

 「スーパードンキーコング」に出てきそうなキャラクターで、ダチョウなのに飛行が可能である。ダチョウだけに走るのが速いので逃げる敵を追跡するときにガブラッチョの能力で追いついたこともある。

 キモカワイイ見た目ゆえ、ちびっ子に人気がある。ガブラッチョの姿でアクマイザー人気獲得のため保育園を巡業する姿も見られた。 

 内臓されたカセットテープから白鳥ならぬ「ダチョウの湖」の曲を流すとそれを聞いた敵は思わず踊ってしまうという特殊能力も持っている。

 ガブラ自体が最初から関西弁を自在に操るギャグ要員であったがガブラッチョの登場で余計にコミカル要素が増した。ガブラの声は「ドラゴンボール」の界王様や、「タイムボカン」シリーズの三悪人の出っ歯の役などで有名な声優八奈見乗児さんである。声がぴったりマッチしている。

 とにかくオツムが緩いイメージのキャラだが、アクマ族の国立大学を出ているので一通りの学問は積んでいるという設定がある。

 ザビタン、イビルの流れは関連性のあるキャラデザでガブラから急に異質なデザインになっているのでこの意外性あふれるガブラのキャラデザは私のお気に入り。頭がブヨブヨした感じなのにちゃんとカッコイイんだよな。

 

 ザビタンに出来た人間の親友の島一平は「仮面ライダー」ではFBI捜査官の滝一也を演じた千葉治郎が演じている。あのカッコイイ滝と違って今作では冴えない三枚目を演じているのが意外であった。

 ザビタン達のサポートを頑張るがイマイチうまくいかないことが多い。そんな時に「俺、未熟なんだよな」のお決まりセリフと言うのが面白かった。奢り高ぶらず自らを反省できる控えめ若者であった。

 

 島一平の弟 島光彦と一平の勤める新聞会社の編集長との毎度のやり取りも面白かった。

 この編集長がまた味のあるオジサンであった。部下の一平達が記事ネタにアクマ族のことを持ち出しても一向にアクマ族の存在を信じようとしない。前半から後半まで遂に編集長には一平の妄想の産物と思われている。アクマ族に遭遇したこともあったが「アレは夢」と言ってやはり無かったことになっている。

 光彦が将来は記者になるからその勉強だと言ってとガキのくせして会社に頻繁に出入りするようになる。編集長と光彦がよく話しをするのだが、光彦が何かにつけて「どうして?」と編集長に尋ねる。編集長は重ねられる「どうして?」についには答えられず参ってしまうという流れが定着した。子供の「どうして?」は意外と大人に堪えるものだ。

 

最終決戦について

 アクマイザー3との闘いの末に仲間になったアクマ族4人からなる平和党四人衆が味方に加わり、いざ最終決戦に突入する。

 この最終決戦の結末が結構悲しい。

 敵のボス大魔王ガルバーの右腕的存在のゲベルとの闘いで平和党四人衆の内三人が死んでしまう。

 アクマイザー3は捨て身の必殺技であるアクマイザーアタックでゲベルを倒すが、その後大魔王ガルバーによって石に魂を封じ込められて帰らぬ人となってしまった。

 こうして大ボスを残して物語は終わってしまう。

 

 そして物語は次回作「超神ビュビューン」へと続く・・

 

 

 メカニックについて

 各自が持つサーベルの「ジャンケル」は実は三つともデザインが違っていて小道具作りの拘りも感じられる。

 三人が乗るバイクのギャリバー号がカッコイイ。三台で合体してギャリバードになるのはもっとカッコイイ。イビルとガブラは腹ばいになってバイクに乗っている。「星雲仮面マシンマン」みたいになっていた。「人造人間キカイダー」でサイドカーに興奮したが今作はサイドカーのサイドの部分が両方についた両サイドカーだから、コレは他ではなかなか見ないデザインのバイクかもしれない。

 アクマイザー3の移動手段に使われるもう一つのメカが飛行艇ザイダベック号である。これは普段はボロな幽霊船の格好をしているが戦闘時には河豚みたいなデザインの船にチェンジする。ザビタン達がダウンワールド脱出時に敵からブン取った船である。

 昔「空飛ぶゆうれい船」というアニメ映画を見て幽霊船が好きになったことを思い出す。

 エンディングテーマでは水木一郎アニキの良い声でザイダベック号の偉大さを歌っている。

グリップキャラクター アクマイザー3シリーズNO.01 ギャリバード号

アクマイザー3 VOL.2 [DVD] アクマイザー3 VOL.3 [DVD]

 

 

アクマイザー3 VOL.1 [DVD]

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アクマイザー3 VOL.4<完> [DVD]

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 シリアスあり、コミカルありで前半後半で結構印象の変わる作品だったが楽しかった。

 この三人のキャラのバランスが良いし三人揃うとカッコイイしテンションがあがる。