こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

三枚目と二枚目を行き来せよ「OKAWARI-BOY スターザンS」

OKAWARI-BOY スターザンS」は、1984年1月から8月まで放送された全34話のテレビアニメ。

 

 主人公スターザンSの読みは「スターザンズ」である。

 

  視聴率がイマイチだったため34話という半端なところで打ち切りになったというが、個人的にはかなり楽しめる好きな作風だった。

 

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内容

 行方不明の父を探すため、ヒロインのジュンは、宇宙船で地球を脱してパラトピアを目指す。それがどこだか分からない内に宇宙嵐に巻き込まれ、ジュンはキラキラ星へ不時着する。ジュンちゃんはとっても可愛い。

 

 一方で、主にトイレットペーパーの輸送とかで大金持ちになった狩上ファミリーも宇宙を目指す。会長マネコの孫のエビルスがジュンと結婚したいと言うので、ファミリーもまたジュンを追ってキラキラ星にやって来る。

 

 キラキラ星には地球人よりも背の低い人間のセノビ族、それと対峙するロボット族がいる。

 ジュンはセノビ族に拾われ、狩上ファミリーはロボット族に拾われる。

 狩上ファミリーはロボット族と共闘してジュンを襲う。そこに颯爽と登場したセノビ族側につく謎の戦士がスターザンS。

 

 ジュンの前では格好良い、でも他のプライベートタイムではおマヌケなスターザンSの戦いが描かれる。

 

 後半では舞台を地球に移しながらも、ジュンの父親探しを行い、その中でスターザンS達と狩上ファミリーらのすったもんだのユニークな小競り合いが展開する。

 

 そんなSFラブコメディー。

 

感想

 まず気になるのはOPタイトルロゴ。何をどうみてもスターウォーズのそれっぽい。スターウォーズ的SF世界を舞台に、ジャングルを駆け巡るターザン的主人公を置いたかなり意欲的なギャグ・コメディ作品になっている。

 それからOP曲ではやたらと「SHOW ME YOUR SPACE」と言っている。アニメがこの内容にしてはギャップを感じる格好良くておしゃれな曲だった。

 

 タツノコアニメなので、ちょいちょい登場するメカ類のデザインが良い。

 キラキラ星にいる動物が、地球にはいないちょっと変わった連中だったのも印象的。風変わりでユニークな人外キャラのデザインも好きだった。

 

 

 主人公のスターザンSについては、序盤だと何者か分からないことだらけ。何でそこにいて何で一人だけ超人的パワーを持っているのか、そしてもはや変身能力のごとく気分で顔つきと体型を変化することが出来るのか、といろいろ気になる。

 

 スターザンSは、ヒロインのジュンちゃんの前ではとにかく格好をつける。全話通してコレを一貫する一本筋の通った格好つけ男である点が作品の面白い点。

 普段はチビで緩い顔つきなのに、可愛いジュンちゃんの前だと長身のイケメンへと鮮やかな変身を遂げる。正確に言うと違うのだけど、性能的にはもはや変身ヒーローだった。

 

 好きな男の前では死んでもすっぴんを見せないという鋼の意志を持って生きる女がいるとかいないとか聞くが、あの感じで絶対に好きな子の前で二枚目を崩さないというスターザンSのガッツには、思春期男子の情熱を見ることが出来たり出来なかったりする。とにかく自分を良く見せてモテたいという切実なる男の願いが見えるものになっている。これについては、情けなく格好悪くもちょっと分かる。

 

 変顔担当のスターザンSの存在は、Dr.スランプの則巻博士やダッシュ勝平を彷彿とさせる。作風としてもそれらと結構似ている。

 

 二枚目と三枚目を鮮やかに行ったり来たりして顔を変えることが出来るからおかわりボーイらしい。

 こんな惚けたキャラをイケメンボイスの井上和彦が演じているのが意外にして注目出来るポイント。

 二枚目の時にはもちろんイケメンボイスだが、ジュンちゃんの目が無い場所で三枚目の時には全然違う間抜け声で演じている。この声の使い分けが素晴らしい。

 井上和彦とは思えない頭のネジが何本か抜けたような間抜けテンションの三枚目スターザンSの声はすごい。井上和彦だと気づかない普段と全然違うテンションでの演技になっている。

 

 ヒロインのジュンちゃんが可愛い。これも大きな感想として上げることが出来る。 

 結構ムチムチしている。本作のセクシー要員である。

 スカート丈のすぐ下にまで迫るロングブーツを履くことで、当時としては珍しい絶対領域萌えを演出している。絶妙にエッチでよろしい。

 ジュン役は現在休業中の高田由美が担当した。クレヨンしんちゃんの吉永先生役で有名な方だが、久しぶりに声を聞いた。改めて色っぽくて可愛い声だなと思った。懐かしい。

 

 スターザンS、ジュンのメインキャラだけでも面白みがあるが、強烈な個性を放ったクセ集団が敵対勢力の狩上ファミリーだった。ファミリーの面々が憎めない面白い一面を持っていて良かった。タイムボカン三悪人ように、敵だけど愛せて仕方ない連中だと言える。

 図太いガミガミレディの祖母マネコ、おもしろデブの孫エビルス、グラマラスで夫を尻に敷く嫁のリーズ、そしていつも不憫ないじられキャラの夫ハチロー。この4人の巻き起こす騒動とファミリー同士のやり取りに笑える。

 

 とにかく皆エビルスに甘い。こいつもまたパクリ要素豊富なキャラで、体型はまるで違うがファッションから名前からあのエルビス・プレスリーをモロにパロっている。さすがに初手で笑った。

 この間抜けデブなのに声が玄田哲章という点も面白い。

 

 夫のハチローの立ち位置が非常に面白い。嫁の尻に敷かれ、姑から雑な扱いを受ける婿養子で、養子になって19年という経歴をよく口にする。特にマネコからのパワハラが酷くて笑える。

 こんな冴えない感じなのに、元ボクサーでフライ級チャンピオンという異色の経歴を持っている点は印象的だった。

 このアニメを見ての一つの学びが、婿養子は結構大変だということだった。

 

 愉快な敵キャラにダースベーロというスターウォーズダースベーダーをパクったキャラがいる。どちらも大平透が演じているという点が印象的。中身が行方不明の父ちゃんだったというオチ設定まで同じなのに笑えた。

 

 基本的にはラブコメとギャグを展開する緩い内容だが、ジュンの父を求めてパラトピアを見つける、そしてスターザンSは実は地球人であり、その生い立ちの謎を追うというのがメインストーリーとなる。後半ではそこら辺の謎が解明されていく面白みもある。

 

 最終回EDでは、視聴者が投稿したイラストをたくさん映していた。打ち切りという形で終わった作品ではあるが、やはり一定数に愛されたと分かる。ファンに愛される良き作品じゃないかと思えた。

 

 そんなこんなでスターザンSとジュンちゃんのラブコメが楽しく、狩上ファミリーのおばかな所も楽しめるものだった。

 

 

 

 

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