こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

ハサミ男の恋「シザーハンズ」

 「シザーハンズ」は1990年公開のアメリカ映画。

 

 ビデオ屋や何かの雑誌の映画特集記事などで目にしてタイトルは知っていたが、長い間視聴していなかった映画であった。

 

 ジャケットとタイトルの響きからホラー映画かと思っていた。日本でハサミ男と言えば、「仮面ライダーV3」の怪人ハサミジャガースーパーファミコンソフト「クロックタワー」の殺人鬼シザーマンの二名がすぐに思い浮かぶ。二人共人殺しなので、映画「シザーハンズ」も凶悪なハサミ男が出てくると勝手にイメージしていた。

 

 しかし、見て見ると中身は全然違うもので、手がハサミになっている男が主役の毛色の違うファンタジー作品だった。

 

 これが意外にも面白かった。

 

シザーハンズ (字幕版)

 

 ジョニー・デップ演じる人造人間エドワードの両手は、大きなハサミになっている。エドワードを作った博士は、最終的には普通の腕をつけるつもりだったみたいだが、急死してしまい、それ以降エドワードはハサミの手のまま大きな屋敷で一人くらしていた。

 そこへ化粧品のセールスレディのペグが訪問して、あっさり自宅に連れて帰る。ペグの行動力も中々だと思う。普通ならこんなハサミ男を家に招きいれることはしないと思う。

 私は改造人間や人造人間の類はだいたい好む傾向にあるので、このエドワードにも興味を引かれた。

 

 俗世間と没交渉であったエドワードはハサミの手が邪魔をして、まずは服が着れない、飯を食えないといった具合に日常生活がスムーズに行えない。ここら辺の描き方は実にコメディである。

 謎の、しかも若い男をペグが客人として迎え入れたのを知った近所の暇はなおばさん連中が、こぞってエドワードの情報集めを行うのは面白かった。暇なおばさん連中の野次馬感と妙に発達した互いにのネットワークが印象的であった。

 絶対に歪な見た目をしているエドワードに対して、基本的には街人は拒絶を示さないのが意外で面白かった。

 

 ペグの家が綺麗で、家の家具が印象的であった。ペグの娘のキムの部屋のベッドをエドワードがつついたら、すごいタユンタユンと揺れていた。キムのベッドは水の入ったウォーターベッドであった。噂には聞くあれを始めて見た。それからエドワードのベッドとしてペグの夫ビルがソファーを変形させて人が寝れるベッドにしたシーンも印象的であった。あんなのが売っているんだと思った。1990年というかなり昔の作品だが、当時既にあった家具の中で、私の知らないものがあったのは意外だった。

 

 エドワードが自分のハサミで庭の植え込みの手入れをすると、植え込みを恐竜や人の形に刈る植え込みアートが出来る男だと分かり、エドワードは街の皆に頼まれてたくさんの家の植え込みをカットしていく。植え込みで切り絵アートのようなことをやってのけるのはアイデアものだと関心した。素直にスゴイと思う。

 その後は犬の毛のカット、次には人間の髪の毛のカットもできるようになり、カットを仕事にできるレベルにまでスキルアップして行く。ご近所さんのジョイスエドワードのカットを受ける時に、恍惚としているシーンが面白かった。ジョイスはエロ女だった。

 

 後半ではエドワードとキムの恋の物語が描かれる。最初はエドワードを嫌っていたキムだが、車泥棒に加わった自分のことをエドワードが庇ってくれたことから徐々に彼が気になって行く。序盤は別にって感じだったけど、後半に行くに連れてキムが可愛く見えて来た。目がデカイ美人さんである。

 エドワードが皆を庇って泥棒の罪を被ってから、人気者だった彼から街の人々は離れていった。人の信頼なんて失うのはあっという間で回復には時間がかかると夫のジムが言ってた。

 ジムが超然とした男で、少し脇約寄りの人物だが個性的で私のお気に入りのキャラだった。

 

  エドワードとキムの仲に嫉妬したビルがエドワードを殴って最終的には殺そうとまでもしたので、仕方なくエドワードはハサミでグサリと一刺しして殺してしまう。騒ぎの中でキムの弟の顔をハサミで傷つけてしまい、最終的には街から追放されてしまう。最初はあれほど歓迎されていたハサミ男がちょっとのことで不信感を得て追放されるという悲しい話だった。手が刃物だけに、ナイフみたいに尖っては触る者皆傷つけた、というチェッカーズの歌のような顛末になってしまった。

 

 エドワードの話は、おばあさんになったキムが孫息子に語った昔話であった。孫がエドワードに会いにいかないのかとキムに問うと「おばあちゃんになってしまったから美しいままの自分を覚えていてほしい」とキムが答えたのにウルっと来た。

 

 すごく感動的な内容の話かと言うとそうではないのだが、ラストの見せ方が良かったからちょっと泣けた。エドワードが氷を削って街に雪を降らす最後のシーンで綺麗に締めたのは良かった。

 

 エドワードにとっては悲しい結末だったろうけど、見終ってからは心温まる映画だと思った。 

 ハサミジャガーとシザーマンにビビらされて今まで見なかったのが勿体ないと思った映画であった。

 

 

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