嵐を呼ぶ5才児も今年で活動30年目。すごい。
年明け放送で「30th」と出た時には、そんなにやっているのかとびっくり。
しんちゃんも30歳か。すっかりおっさんじゃないか。
しんちゃんの方が先輩だったのに、今ではすっかり追い越してしまったな。こうしてこの30年、多くの人類がしんちゃんを先輩に見て、そしてあっという間に追い越して行ったのだろう。その内にはひろしもみさえも園長先生も、出てくる大人皆の年齢を越えて視聴者は育っていく。ロマンだな~、こんな事を思えばロマンだ。
そんなロマンも少々感じる基本はおバカで、時にハートフルな楽しいアニメを私はガキの頃から本日まで長く楽しんでいる。
悪いけど、同じチャンネルのドラえもん、他にはサザエさん、ちびまる子ちゃんあたりのちびっこ向け作品からはやんわりサイレントに卒業したっぽい。そうして自然とチャンネルを合わせなくなって行った古の作品群もある中、しんちゃんだけは毎週録画してまでずっと見ている。これも安心感からのことだろう。今更視聴を止めるのもなんだかなぁ~って感じ。
私の人生には、常にしんちゃんの存在があった。あんなにチンチンとケツを出すばかりのお子様が人生の共になるとは、分からないものである。
しんちゃんといえば、家族愛がテーマの作品だと言えるだろう。
ガッツのある母、万年係長だけどここ一番で格好良い父、可愛い妹、真っ白なイヌ、そして主役のしんちゃんがいる。こんな普通な家族構成の中に、でっかい愛を見る展開にはほっこり来るものがある。
思えば人生の最初期に見た他所様の家庭風景というのが野原家のそれだった。家にいて楽しいオタク的趣味に打ち込むばかりだったので、人様の家にお邪魔して家庭というものをリアルに見る機会があまりなかったのだ。まぁそんな機会など欲しいとも思わなかったが。こういった観点からも、野原家の風景は実に印象深い。
基本的にふざけていても映画ではちゃんとする。ジャイアンの生き様に見ることが出来るそれは、しんちゃんにも通じている。
歴代の映画はしっかり真面目に作っていて素晴らしいと思う。もちろんギャグ要素が強くプッシュされてはいるが、その内側に秘められた真面目なメッセージ性がちゃんとあるのだ。「オトナ帝国の逆襲」とかが良い例だ。
イエスタディ・ワンスモアのケンに向けてひろしが家族の素晴らしさを説くシーンは「オトナ帝国の逆襲」の名場面になっていると思う。
「ハイグレ魔王の逆襲」「ブリブリ王国の秘宝」など、タイトルからしてふざけている初期作品も、起承転結がしっかりしていて、中身の作りも大変評価出来る。こんなにバカっぽいのに、子供心にワクワクする冒険の要素がたっぷりある点は普通に楽しい。駄作と呼ぶには程遠いクオリティが確認できる。
しんちゃんの映画は一味違うんだよな。おふざけの中に潜む絶妙な感動的要素が良い。
テレビシリーズだと春日部を舞台に野原家の日常を描くリアル路線で攻めるが、年に一回ある映画だとワケのわからない所に行ってめっちゃファンタジーするとんでも展開が見れる。冒険が終わればまた春日部の家に戻り、問題なくテレビシリーズにシフト出来るよう収まりがつく。
テレビと映画で振り切ってテンションを変えるこのメリハリが良い。映画のみに見る特別感も良いんだよな。
しんちゃんで初めて知ったこともある。ひろしが良く言う家のローン、みさえが悩んでいる便秘、そして個人的には人生における印象的な発見となったのが「オカマ」。
オカマを始めて知ったのはしんちゃんでという人は、私以外にも多くいるのではないだろうか。そう、しんちゃんと言えばオカマが面白いで有名なのだ。30年を振り返れば、やはり思い出すのはオカマの事だった。
特に初期のしんちゃん映画には魅力的なオカマがたくさん登場した。
男、女、それぞれの特性、違いもよく知らないチビの内に、どちらでもない第3勢力のオカマなるものを知った時には少なからず衝撃を受けた。自分の周りにはいない連中、それがオカマだった。
最初の映画のハイグレ魔王もオカマになるだろう。ブリブリ王国ではハゲとロン毛二人組のオカマが出てくる。珍作「暗黒タマタマ大追跡」にはローズ、レモン、ラベンダーの形質から個性までが異なる三色丼のようなオカマ兄弟が登場した。ローズお兄様はネタすぎるし、レモンの剣技「タラバ二刀流」は一生笑える。
とどめにはオカマ魔女のマカオとジョマというヤバいのが「ヘンダーランドの大冒険」に出てくる。まず魔女というものが良く分かっていないのに、そこへ来てもっと得体の知れないオカマ要素があるため、マジで混乱を呼ぶキャラだった。この二人だが、最高に面白い。
マカオとジョマ、野原一家が巻き起こすジョーカー争奪戦はめっちゃ笑える世紀の一戦として一生忘れないだろう。世界の命運をかけて紙切れ一枚をマジで取り合う後半の決戦シーンは作画も元気でとにかく笑える。センスが良すぎる。
オカマ魔女なんていう変なのを出したこの映画は、ゲストに迎えた雛形あきことセクシー要員のチョキリーヌベスタがいたことでなんとか清涼感を保てていたんだよな。
ちょっと新し目の「ヤキニクロード」には、ひろしの事が大好きなゲイの男性トラック運転手が登場する。声が真殿光昭でやたらとイケボだったけど、めっちゃ笑えるキャラだったな。このゲイというタイプの人間がいることも、ここで初めて知った。
後半でひろしとトラックの男がすれ違うシーンには、なんとも言えない哀愁を感じた。
しんちゃんは、いろいろある性の都合が見える深い作品でもあった。ていうか原作者の先生はオカマが好きだったのかな。
大きくなり声優好きとして覚醒を迎えてからは、歴代のオカマ達は意外にも一流男性声優が演じていたのだと分かる。男の俳優なら、オカマが出来てこそ一流なのだ。
そんなこんなで、暖かい家族愛とオカマを知るにうってつけの人生のバイブルが「クレヨンしんちゃん」だった。
しんちゃんよ、35年も40年も越え、目指せ22世紀。しんちゃんは22世紀に持ち込みたい日本の良き遺産である。
マジでありがとうしんちゃん。人生を楽しませてくれた良きコンテンツだった。
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