こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

喧嘩に青春を捧げる「けんかえれじい」

けんかえれじい」は1966年に公開した日本映画。

 

 今ではすっかり大御所な高橋英樹が中学生役で主演を張った。この時は少年な感じがしてあの英樹も可愛らしい。

 

けんかえれじい

 

 内容は少年達が喧嘩をしまくる青春を描いたもの。この映画は「クローズ」なんかのもっと古い版みたいなものかなと想う。

 田舎の小さな喧嘩から始まって、最終的に主人公キロクは政治も絡んだ大喧嘩である二・二六事件へと乗り出して行く。最後には戦争の恐怖を匂わしての意味深なエンドとなった。 

 

 前半は昭和10年の岡山が舞台。後半では、キロクとその師スッポンが憲兵に楯突いて岡山にいられなくなったために会津若松へと舞台を移す。

 

 高橋英樹が演じる主人公少年南部麒六(なんぶきろく)は最初は弱っちいけどちょっと弁が立つ可愛らしい少年として描かれる。流れで不良の世界に足を踏み込み、どんどん強くなっていく。

 下宿先の娘道子に恋をし、彼女の前ではデレデレタジタジだが、喧嘩となるとかなり強い。

 

 キロクは喧嘩の達人スッポンを師匠にし、山にこもって喧嘩の修行を行う。そして岡山の悪ガキ組織OSMS団とことを構える。敵の不良にはタクアンという奴がいたり、転校先の会津若松にはマンモス先生というのがいたり、変なあだ名のキャラが結構いた。

 

 不良の中にはオリジナル武器を開発している奴もいる。トラックの荷台に20人くらいで乗り込んで抗争に出かけるなど、不良が元気ありすぎてアホらしい。二つの軍でぶつかりあっての合戦をするなど、昨今の若者ではやらないようなことをしていた。これが面白い。

 喧嘩をしたことがお父さんにバレ、叱られるのが怖くて火の見やぐらから降りられなくなったキロク少年がちょっと可愛かった。

 

 喧嘩シーンは見ていて爽快。

 前半のうどん屋での喧嘩に始まり、岡山での合戦、会津若松に移るとキロク達の小軍と不良軍団昭和白虎隊がぶつかる戦いも展開する。集団でやり合う感じは面白い。

 

 キロクが通う旧制第二岡山県立中学では授業で戦闘訓練みたいなことをしていて、銃を持って走ったりもしていた。怖い時代もあったものだ。

 

 コミカルな要素も多々ある。キロクのちょっとアホっぽい日記が映るシーンとか、会津若松に舞台が移ると、学校の先生達の会話シーンで「会津」というセリフが入るといちいち顔がアップになるシーンなどは笑えた。

 

 男の自慰行為は精神の堕落に繋がるみたいな会話シーンが後半に入る。かつて神童と言われた少年もそれを覚えてからというもの堕落するなど言われていて、そんな煩悩を払うには適度な運動をして気を紛らすことが良いとも言われていた。ここのあたりの教えは昔も今も一緒だなと想った。

 

 会津若松に住処を移した後もキロクは愛しの道子さんに手紙を送る。手紙に丸印を書き、気が向いたらここにキッスをくださいと書いているのが可愛らしいしアホっぽくて笑えた。

 

 それにしても作中の岡山にしろ会津若松にしろ荒れずぎだろと想う。岡山シティには寄ったことがあるが、今では平和なものだと想う。

 最近の若者達はネットで悪口を書いてストレスを発散するという、陰険陰湿で気持ち悪いけど血が流れない方法で鬱憤晴らしをしているから、ある意味平和かもしれない。もしもネットへ逃げることが出来ない社会であったなら、今でもこの映画のような過激な抗争が各学校で行われていたかもしれない。最近では人前でキレる、暴れるのがダサいなんて風潮もあるからね。

 

 そんな感じで、喧嘩をメインにした若者の青春からあれこれと考えさせられる良き作品であった。現代人が見ても普通に面白いと想う。

 

けんかえれじい [DVD]

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