「海獣の子供」は、2019年6月7日に公開したアニメ映画である。
内容(とっても簡単に)
喧嘩騒ぎでハンドボール部の夏休み練習出禁を食らった主人公少女 琉花(るか)は、水族館で謎の少年 海に出会う。海の兄である空とも知り合いになった琉花は、彼らと関わりあうことで海の神秘に始まり、果にはこの世全ての神秘にも触れる。不思議なひと夏の経験を終えた琉花は、最後には元いた日常に戻って行く。
感想
キャラクター画が独特で漫画チックだった。時折目が死んだようになるキャラクターの表情がちょっと怖くてドキリとした。
物語のとっかかりとなる事件が琉花の部活での喧嘩騒動である。真面目に頑張って好プレイを見せる琉花のことを「チビのくせに生意気」と思った長身のチームメイトが、故意に足を引っ掛けて琉花を転倒させる。もう少し大人しい子なのかと思った琉花が意外にも強気にやり返しに出る。琉花の方でもプレイ中のチームメイトを攻撃して怪我をさせる。これによって琉花は顧問に説経される。お返しにしてもやり過ぎたので謝らないと部活に復帰させないということになるが、自分は悪くないからということで琉花は謝らない。
この冒頭シーンがなんだかんだで一番印象的だったかもしれない。確かに仕掛けた側が事件の元凶だから一番注意しないといけないのだが、琉花の相手へのリターンもデカすぎて危険なものだった。復讐の一個の定義として「目には目を歯には歯を」というものがある。目をやられたらあくまでも目にやり返すのだ。きっちり均等なリターンとなるのがミソ。
暴力によるお返しを、例の有名なセリフ「倍返しだ!」のように過剰なものにすると、やり返した方がもっとお叱りを受けることになる。 これは私にも経験がある。同級生に小石を投げられたので、お返しに頬にグーパンを食らわして口内を出血させたら先生にめちゃくちゃ怒られた。「小石 < グーパン」となるから小石には対等なリターンである小石で返すくらいが丁度良いのである。
序盤の何でもないシーンのようだが、喧嘩で力加減を覚えるという子供社会あるあるが映されていたと思う。「向こうが悪い」「自分は悪くない」と言って謝らない琉花を見れば、あの日のガキの頃の気持ちに戻って共感するものがあった。先に仕掛けたの向こうよりもこちらがたくさんお叱りを受けるのは理不尽かもしれないが、こういうこともあるから「まぁ仕方ない」と思うしかない。
部活の活動停止を受けての琉花の言葉が「夏が終わってしまった」なのがなんだか切ない。そして琉花がたどり着くのが水族館。ここで終わってしまったと思っていた夏第二章が始まる。謎の少年海くんの登場である。
海のキャラ設定が一気にファンタジーなもので、幼い頃にはジュゴンに育てられ、共に海で暮らしていたという。とんでもない過去を持っている。そんなわけで体質がそっちに慣れてしまい、彼は水の中で生きている。皮膚の乾きを避けるため、定期的に肌を濡らさないといけない。海が学校の水洗い場で横になって水浴びしているシーンはシュールでちょっと笑えた。
ここに同じ体質の少年空くんも加わることになる。ひと夏の間、三人はつるんで遊ぶことになる。
巷では海岸に深海魚が打ち上げられる怪事件が起き、あとは隕石がどうのこうのという話題も持ち上がる。レアものとされるメガマウスの仲間が浜に上がり、リュウグウノツカイもバンバン上がってくる。リュウグウノツカイは高値で売れると聞くので拾って売りたいと思った。
皆でエビを料理して食うシーンは美味そうだった。
口移しで隕石を琉花に飲ませると消えてしまう空が描かれる中盤から終わりまでの流れは色々ととんでも展開で、はっきり言うと「よくわからない」の感想になる。
登場人物たちが意味深なよく分からないことをベラベラと喋る。とりあえず海や宇宙の神秘について語っているようだ。
海や宇宙のことを色々調べたところで人類が知っている世界はまだまだ狭い。そう告げることで世界の広さを示していたのは印象的だった。
途中で登場する肌が黒くて歯が少ない婆さんが不気味だった。
琉花がクジラに飲みこまれた後には、体内の隕石が反応してか、ものすごく不思議なニーュタイプ的世界を見る。これが不思議でよく分からない。クジラに飲み込まれるヤツとかピノキオ以来だな。
とにかくクジラが泳ぐ姿などの海のシーンはすごい迫力で描かれていた。これは職人の大変な仕事だったと思う。後半の幻想的な世界もとても綺麗に描かれていた。令和のアニメならここまで来るのかというすごさを見せつけられた感じがある。シナリオ的に万人に受けるものではないだろうが、これらの美麗な作画は一見の価値があると思う。ただただ美しいと思えた。
世界の神秘を知るかのような精神世界に入った後、琉花は部活で怪我させたチームメイトに遭遇する。このシーンを見ることで琉花がも元いた日常に帰っていくのだと分かる安心のエンドだった。
中盤からは難しくて良く分からなかったが、とりあえず海や宇宙は広大にして偉大な神秘あふれるスゴイものだと言ってるのではないだろうか。そんな世界を見た琉花がまた日常に帰っていくのを見ると、普段気づかないだけで琉花が見たスゴイ世界も私達人間の生活に当たり前に付随しているものだと分かる。
こんな感じで個人的な考察をしたところで、色々考えさせられる不思議な作品「海獣の子供」の感想を終えることにする。
最後に、琉花のお母さんが若くてちょっとエッチな感じで良かった。
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