こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

青春はここにある「アメリカン・グラフィティ」

アメリカン・グラフィティ」は、1973年公開のアメリカ映画。

スターウォーズ」で有名なジョージ・ルーカス監督作の青春ムービーである。

 

 BSプレミアムで放送していたものを、コロナのため家に閉じこもっていた縁でたまたま視聴することになった。するとこれが私の胸をノックする大変楽しい一作だった。なので感想とかを書こうと思う。

 

アメリカン・グラフィティ (字幕版)

 

 主人公となるのは思春期を迎えた4人の青年。それぞれ事情も個性も違うけど、気があってつるむこととなる。

 1962年のアメリカのとある日の夕方から夜明けまでのワンナイトのみを映し出した作品。その中で青春を謳歌する4人の登場人物それぞれの物語が展開する群像劇になっている。

 

 恋、進学、喧嘩に自動車レースと、当時のアメリカ人の青春の過ごし方を余すことなくお届けしている。

 

 封切りされた当時のアメリカの有識者からは「つまらん」という酷評を受けたとのことだが、結果としては民衆の心をノックし、ヒットを飛ばした。しかも低予算で作られたため、商業的にも成功した一作となった。

 青春もの映画の中では一個の金字塔となり、以後この手のジャンルを「アメグラもの」と呼ぶようになったという。

 

 ベトナム戦争に突入する前の景気の良い時代を描いていて、学生でも車を持っているヤツが多くてリッチ。車通りの多い夜の街はおしゃれで、大昔の時代を描いているのに、現在の日本より進んでいる感じもする。様々な種類のレトロな車が登場するのもお楽しみ要素の一つとなっている。

 

 60年代の世界とはいえ、やはりアメリカは進んでいる。登場人物達がたむろしがちなおしゃれなハンバーガーショップでは、こんな時代でもドライブスルー的なサービスがスタートしている。車に乗ったまま駐車場からスピーカーで注文でき、店員が外まで届けてくれる。しかも、アメリカ映画でいくつか例を見たことがあるローラースケートで滑ってくる店員が持ってくる。おしゃれな世界観が、たまらなくノスタルジックな思いに浸らせてくれる。

 

 メインの登場人物達は車で移動するシーンが多く、そこで流れるカーラジオが印象的で、キーアイテムともなっている。売れっ子DJウルフマンが軽快な口調でお届けするポップなラジオ番組の良さが作中全面に生きている。関係ないけど、オタクなので海賊放送「ジェットセットラジオ」を思い出した。

 知らなかったが、ウルフマンは実在するラジオパーソナリティーで、作中に登場するのはなんと本人とのこと。進学を前に人生に迷う少年カートに良きアドバイスをしてくれるアシストキャラとなった。 

 

 車を改造して走って警察につかまるヤツがいたり、街を占める不良チームがいたり、車泥棒がいたりと、進んだ街だけに治安の悪さも目立つ。不良チームのファラオ団がパトカーにいたずらをしてぶっ壊すシーンは豪快なものだった。

 

 彼女に良いところを見せようとして酒の調達を考える未成年男子が、たまたま通った客に金を渡して代わりに酒を買ってもらおうとするシーンがある。店の真ん前で人を頼るという、正攻法なルール破りを行う青年のアクションが印象的だった。こんなことをして酒の調達をするんだ、という新しい気づきがあった。金を渡したままその客に逃げられる間抜けなシーンもまた印象的だった。

 

 最後は高校を出て都会の学校へと旅立つカートの姿を描き、メインの4人がその後にどうなったのかが表記されて終わる。こんなに楽しそうに青春を送った4人だが、その後訪れる激動の時代の中で荒波に揉まれることが分かる。ベトナム戦争でその後死んだメンバーもいて、なにやら切ない最後でもあった。

 

 登場人物達と私とは生きた国も時代も違うのだが、そんな事情を飛び越えてまでもどうゆうわけか感情移入して共感を得られる一作となっていた。

 国境を越えた日本で見ても、これぞ青春だと言える楽しくて心に残る一作となった。

 

 

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