こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

大切なことは目には見えない「星の王子さま」

         f:id:koshinori:20170703084918p:plain

 

星の王子さま」はフランスの作家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ作の小説。

 

 1943年に出版され、今日でも世界中のあちこちで読まれているロングセラー作品である。聖書の次くらいにたくさん読まれていると言われる有名作品だが、その聖書に私はまったく触れたことがない。

 

 この作品には幼い頃に触れたことがあるのだが、先日見たアニメ映画「君の膵臓をたべたい」のヒロインが読んでいたので、それきっかけでまた読んでみた。

 

「頭の真上に星がある~♪」というアニメの星の王子さまのOP曲歌詞が思い浮かぶぜ。

 

 児童書として扱われているのだろうが、意外にも深いメッセージ性がやんわりと含まれているので、大人が読んでも心に響くものだった。いや、大人なったからこそ響くものがある。

 

 飛行士の青年「ぼく」は、飛行機で砂漠に不時着する。水と食料が尽きそうになる中、辺りは砂漠で人の助けを求められそうにない。そこへ突然に現れたのが星の王子さま。 王子様は自分の星を出て6つの小惑星を訪ね、それから地球に来た。 

 王子さまはこれまで色んな星を冒険したことをぼくに話してくれる。

 王子さまは命の美しさや友との絆など、目には見えない大事なものの存在を語ってくれる。

 王子さまの星に一本だけ咲くバラと喧嘩としたこと、それでもバラが大好きだったこと、自分でお世話したからこそ大事に思えたことなど、幼いながらも情感を込めて語ってくれる。地球で会ったキツネにその感情を習うシーンが心に響いた。王子さまの星のバラは根はいい奴だけど、ツンデレだった。

 

 

 王子さまは純粋で感じやすく、気になることはとことん質問する。自分の星である小惑星B621を飛び出して向かった先の6つの小惑星には、おかしな大人達がいた。どの星も基本的に人が一人住んでいるだけ。

 

「ぼく」が生まれて初めて描いた大蛇ボアの絵の件が面白かった。大人達が「帽子」の絵だと見るボアの絵を、王子さまは一発でボアだと見抜く。これもまた王子さまが純粋な子供の視点を持つゆえのことかと思える。

 

 大人たちは数字ばかりを気にする、格好を気にする、仕事に追われて安らかな心を失ってるといった子供の視点から見た大人の不自然な点を突いている作品だった。子供から見た大人の異質性を描写した点は風刺がかっていた。

 

 この本を読めば、誰でもかつては純粋な子供だった、大きくなるにつれ純粋性は乱れて行きがちだと実感した。

 子供はおバカだとばかり思ってかかってはいけない。この私だってちょっと前までは子供だった。大人になると当然自分が子供だという実感が無くなる。そして自然に自分が子供だった時の感覚と記憶が薄れていく。子供というのはとにかく純粋で正直で感じやすい。だからこそ見える点があり、自分もそれを見ていた。それを忘れてはいけないと思える作品だった。

 

「たいせつなことは、めにはみえない」という言葉が本編に登場する。その通りだと思える。

 

星の王子さま (新潮文庫)

星の王子さま (新潮文庫)

 

 

 本にはキュートな挿絵が載っている。これを見て思ったのだが、王子さまが「ピューと吹く!ジャガー」の主人公ジャガーさんに見えてくる。髪型とかファッションがそれっぽい。

 

 スポンサードリンク