こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

宇宙を忘れた人類達「超攻速ガルビオン」

超攻速ガルビオン」は、1984年2月から6月にかけて放送された全22話のテレビアニメ。

 

 スーパーカーが人型ロボットに変形して戦うという、子供達が大好きな要素を放り込んだロボットアニメである。

 

 車両兼ロボットというガルビオンの設定が一番印象に残る作品だが、次いで印象的なのは酷い打ち切り感。

 

 

 アニメでも特撮でも製作サイドで重要視するのは、おもちゃを出してくれるスポンサーとの関係。

 そんなスポンサー会社の倒産のため、楽しいこのアニメは恐ろしい程の尻切れトンボ状態で急に終わる。長い日本テレビ史の中で、このような不幸な末路を辿る作品は本作に限らずいくつか例がある。日本アニメ史の裏事情が分かる作品でもある。作品に罪はなくとも、大人の事情によって終わる時はスパッと終わるのだ。

 

 そんな歯切れの悪い最後を迎えた本作だが、そこ以外は楽しく拝見出来るものだった。そんなわけでつらつらと感想を書いていこう。

 

超攻速ガルビオン DVD-BOX

 

 まず物語の設定が好き。こんな感じである。

   ↓

 西暦2099年、人類は宇宙に進出し異星人との交流を持つまでになった。異星人は地球よりずっと進んだ技術を持っている。それを教わって地球に持ち帰った人類は、愚かなことに宇宙で手にしたすばらしい技術を戦争に用いた。人の邪な心は第三次世界大戦を引き起こし、地球は荒廃の一途を辿った。

 これを受けて宇宙人達は、愚かな人類がこのまま宇宙に幅を利かせるのは危険と理解し、シグマバリアで地球まるごとを覆ってしまう。これにより人類は宇宙に出られなくなった。

 宇宙と書いて「そら」の世界を忘れてしまった人類は、その後地上のみで再び文明を発展させていく。そこで発達したのは超車社会。飛行を制限された人類はひたすら車の技術を磨いた。空がだめなら地上で頑張るしかないってわけだ。

 その流れでロボットに変形出来る車までもが産まれる。

 

 上記のようになかなか重苦しく、そして未来を考えさせられる設定が敷かれている。まぁこれは基本設定であって、その後この設定が絡んで異星人と何か事を構えるとか、また宇宙を目指すということもないのだが、かと言ってこの設定は印象的なので本編で言及することはなくとも忘れることはなかった。打ち切りがなく続けば、バリアから地球を解放する戦いもあったのかもしれない。

 

 私が興味を抱いた設定は特に関係なく、話は地上のみで進行していく。

 正義の組織「サーカス」が、この世広しと暗躍する犯罪組織「シャドウ」を妥当する物語が展開する。が、敵のシャドウを全滅させるまでは描かれることがなかった。

 

 主人公のムウ、マヤの男性コンビがガルビオンに乗り込んで悪者と戦う。「あぶない刑事」よろしくな感じのコンビものなところは好き。二人の軽快な会話劇も見どころの一つである。

 

 二人は囚人で、そこをサーカスのお偉いさんのレイ緑山がスカウトする。サーカスで働けば恩赦されるということで二人は飼い犬状態になるが、サーカスは女だらけの会社なのでなんだかんだで楽しそう。ちなみにムウは懲役280年、マヤは250年で、ここまで来るとおとなしく命をリタイアした方が話が速いレベルの重い刑を科されている。

 真の釈放のためには社会のために良いことをして点数を稼ぐことが条件付けられ、事件の最後にはムウ、マヤのコンビがロボットによる得点計算を受ける。しかし、だいたいは良い事をしても街をぶっ壊したからみたいな感じでプラスマイナス0点前後の結果になる。この得点性の流れは「ロボコン」のそれを思い出す。

  

キャプテン翼」ファンの私として気になるのは、なんだかんだで仲良しコンビのムウとマヤを橋本晃一鈴置洋孝が演じていること。キャプ翼だと、橋本晃一は若林君を、鈴置洋孝は日向君を演じている。この二人はライバル関係で不仲だから、ガルビオンでは二人の声優の仲良し演技が見られてなんだか安心する。

 

 ムウとマヤにとってはボスのレイ緑山は基本的に胸をはだけさせ、私服からパーティードレスまで露出たっぷり。ちゃんと服を着ていることがない。あの妖艶さで23歳設定である。横沢啓子の声が良かった。

 

 絵柄に癖があり、キャラクターの鼻が尖りがち。しかしそれもすぐ慣れる。

 

 レイ緑山を除いたサーカスの男女隊員服が整備士の服っぽい。

 

 はちゃめちゃで好きだったキャラがブルーテスという人物。通称ブル警官。すぐ切れるおっさんである。

 交通ルールを破る者を取り締まるお巡りさんなのだが、やり方が過激すぎて面白い。暴走バイクにパトカーをぶつけてバイクごとドライバーを川に落とす、暴走バイクにぶつかって転倒させ、後続の暴走族仲間同士で衝突事故をさせてマシンを爆発させるなど、確実に暴走族を黙らすが(はっきり描かれないが、多分殺していると思う)やりすぎ感が否めない。検挙率も始末書作成数も群を抜いている逸材である。このおっさんは数回出てくる良いキャラだった。

 

 悪者組織のシャドウ内部では権力抗争が起こり、同僚を蹴落として上に上がろうというけっこう汚い動きが見られる。犯罪組織らしい繁栄の仕方だと思う。まだ若造のヘンリーが策謀を巡らせ、組織の上の地位にのし上がる。こいつが黒幕でボスになるはずだが、そこの決着は無しに打ち切りがやって来る。

 最後にはヘンリーががのし上がって悪の道を極めるが、その中で敵対するサーカスのレイ緑山を愛してしまい、後はどうなるか分からなくなる、的なナレーションが入って終わる。気になるし、終わらせ方が酷い。当時を生きた子供らは何を思ったのだろう。

 

 打ち切りによる不本意ながらの最終回は、アマゾネス軍団のハニートラップにかかったムウが全裸にされて車で引っ張られるというお話だった。なかなかユーモラスな最終回だった。

 

 このアニメを見て思うことは、大人の事情はいろいろ闇だということ。そして、一話で語られる世界観設定から、人は身につけた知識で愚行に走らないようしっかりと行動を検討すべきということだ。

 

 

 ちなみに私は事故が怖いので車の運転はあまり好かない。自転車派である。

 

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