こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

アメリカで有名な隠れた日本産ロボアニメ「百獣王ゴライオン」

百獣王ゴライオン」は、1981年3月から1982年2月にかけて放送された全52話のテレビアニメ。

 

 先月スパロボWを遊んだことで初めて知ったロボットアニメである。放送からこれだけ経ってお初の作品となれば当然気になる。たくさんロボアニメを見てきた私もこれは全く知らなかった。

 そうなればやはり見たい。というわけで、約2週間かけて52話をさっくり視聴。

 

 まずこのアニメだが、日本発の作品なのに、国内パッケージ化はこれまでされていない。しかし、アメリカでは大人気を博した作品となっていて、そちらではDVD化されている。

 作品の権利を上げてしまったのか、それとも取られたのか、詳しいところは分からないが、もはやアメリカが拠点の作品になっている。日本で放送した作品は52話で一作のコレのみだが、アメリカでは「ボルトロン」と題した独自のシリーズ展開がなされている。ボルトロンの方は、最近になっても新作シリーズが作られているという。このような珍しい発展を遂げ、なんだかんだの末に息の長い作品になっている。

 

 アメリカでは国民的くらいに有名になったゴライオンだが、悲しいことにこれを知っている日本人は現在だと少ない。国内パッケージ化がまだなら、放送後に生まれた者達は知るチャンスがないし、覚えている人間が布教してくれるのを待つしかない。スパロボWをやらない限り、この私だって知る機会は無かっただろう。

 これは勿体ない。ゴライオンには、スタンダードな合体ロボの良さがあり、設定もちょっと変わっていて興味深いものがあった。総合すると面白い作品だった。もっと日本の歴史にゴライオンのことを濃く残していきたい。

 

 調べたところ、ゴライオンのおもちゃの売り上げはかなり良かったという。人気の無い駄作でなかったことは証明されている。なんとか国内で綺麗なBDを出して欲しいものだ。

 ロボが格好良く、登場キャラも好きだったし、出演声優も豪華な面々が揃っていて良かった。

 

 そんなゴライオンの良かったところを殴り書いて行く!

 

ミニ百獣王・ゴライオン

 

 遥か古から存在する伝説の5体のロボットライオン。そんなものを一体誰がいつ作ったのかはずっと謎。5体が合体して誕生した巨大な戦士は、5体のライオンの頭が輝く最強に格好良いデザインをしている。5体が合体してライオンの頭が5つ、だからゴライオン。そんな安直にして耳に馴染む名前は、いつの間にか人々の間に定着して行くのだった。

 

 そのとっても格好良いゴライオンに乗り込む5人の戦士達は、悪の大帝国ガルラを倒すため過酷な戦いに挑む。

 

 そんな感じのお話。

 

 放送当時にはまだまた遠かった世紀末の1999年から物語はスタートする。

 西暦1999年、なんと地球は第三次世界大戦を起こし、同じ地球の仲間同士で核を打ち合うことで自滅してしまった。怖い。

 地球人類同士が核の打ち合いをしていた一番危ない時、幸か不幸か宇宙旅行に出ていた5人の若者は地球に帰って来てビックリ。出発した時にあった故郷はボッコボコになっていた。核のせいで地球まるごとが廃墟と化し、とりあえず宇宙に浮かぶだけの終わった星に成り下がっていた。5人は絶望する。重ねて怖い。

 そんなところにたまたま通りかかったガルラ星人の巨大空母に5人は捕まり奴隷扱いを受ける。

 

 変わっている点は、ガルラに侵略されたのではなく、ガルラが来る前から地球は地球人同士が争ったことで死の惑星になっている点。地球が終わったことに関してガルラはノータッチで、その後になってゆっくりとやって来る。地球の真の敵は、ガルラよりも前に地球人にありというのが妙にリアル。

 

 本作ではのっけから地球は死んでいるので、よくある侵略型宇宙人から地球防衛を行う展開は見られない。

 ガッツある地球人の生き残り5人は、化け物だらけのガルラ星人の船から脱走し、アルテア星に逃げ込む。お話の主な舞台は、地球でもなければ太陽系の他惑星でもないフィクションの星アルテアで展開する。

 メインの5人は、アルテアの地に封印された5体のライオンロボを復活させ、合体したゴライオンに乗ってガルラを倒す。

 

 目的を果たした最後には、故郷である地球に帰る気でいたゴライオンチームのメンバーだが、なんと地球は物語中盤に消滅してしまう。死の星になってしまったが、とりあえず残していれば再興も叶ったかもしれないのに、ガルラと色々揉める中で地球は綺麗に消える。自分達の故郷が無くなってしまったことに涙するキャラクター達をみると本当に可愛そうだと思えた。すごい設定と展開だな。

 

 ゴライオンに乗り込む戦士は、黄金(こがね)、銀(しろがね)、黒鉄、青銅、錫石(すずいし)の5人の男達。皆名前に鉱石の種類が入っているのが特徴的。

 

 ゴライオンは、見ての通り5カラーが美しいスーパー戦隊ロボットぽい見た目をしている。タイトルロゴデザインや獣が合体している点からもライブマンあたりを思い出す。

 ちなみにライオン達は皆たてがみ無しのビジュアル。全部雌説がある一方、雄だけどたてがみを用意するにはまだ足りない若獅子という説もある。プラスして、おもちゃにしたらたてがみが邪魔という大人の事情から決まったデザインだとも聞いたことがあるが、真実はどれなのか分からない。

 

 アニメなのに戦隊系の匂いがかなりする。それもそのはずで、本日のおっさんからさっき生まれたガキまでがきっとお世話になったであろうあの東映さんが製作した作品なのだ。そして何作もスーパー戦隊ものを見ていれば、クレジットに何度も出てくるので覚えないわけにはいかない八手三郎の名前が原作に記載されている。どうしようもなく漂うスーパー戦隊感が出ているのは、こういったことに関係しているからと答えが分かって安心。

 

 ちょっと分からないというか混乱するのは、ゴライオンになる5体のライオンの色とそれに乗り込む人間のメンバーカラーがマッチしていないこと。メンバーカラーが赤の黄金が、レッドライオンでなくブラックライオンに乗り込んでいることで、他のメンバーもメンバーカラーと乗り込むライオンの色が違ってくる。メンバーカラーがブルーの黒鉄がレッドライオンに乗っているのもやや違和感。

 メンバカラーが黒の銀が死んでからは、ライオンの色にはないピンクがメンバカラーのファーラ姫がブルーライオンに乗り込むことになる。ピンクのスーツで青色のライオンに乗るとかまるで色が合っていない。

 このように、人間とライオンで色を合わせていかないのはどういうことなのだろう。ゴライオンになると、一番目立つ顔の部位にくるのはブラックライオンなので、ゴライオンチームのセンターの黄金は赤でなく黒に乗ることになったっぽい。

 思い出すのだが、ブラックライオンに乗る黄金旭を演じる井上和彦は、アニメ「忍者戦士飛影」でも黒獅子という黒いライオンを模したロボットに乗るジョウという少年の役を演じている。とにかく井上和彦の演じるキャラは黒いロボに乗せたい願望があったのか。そんなことを一瞬思ったが、飛影の放送はゴライオンよりも数年後になるので関係ない話っぽい。

 

 ゴライオンの展開として一番びっくりなのは、選ばれし戦士でもある主要メンバーの銀が早々に死んで退場すること。なんと第6話で敵に討たれて非業の死を遂げる。

 アニメでは早すぎる退場で活躍の場が少ないキャラだが、スパロボWではもう少し彼をフィーチャーしたオリジナル展開があり、活躍の場を少し足してあげている。この救済は嬉しい。

 しかし、これって何でこうなったのか。せっかく作っただんまりの男のキャラが勿体ない。演じているのは中尾隆聖なのに、すぐに死なせたのは勿体ない。

 役をもらってから早期段階で死ぬよと教えられた時、中尾隆聖氏は何を思ったのかも気になる。

 後には顔がそっくりで声が同じの弟が登場するので、中尾氏も再登板となる。しかし弟の方も最終回で壮絶な死を遂げて助からない。死する若者を一作品で二度演じる中尾氏の儚い芝居が一つの見所。

 銀の亡骸をいつか故郷の地球に返してやるつもりで戦って来たゴライオンチームだが、その地球も中盤で消滅してしまう。銀を地球に返してあげることが一生叶わなくなったのは可愛そうだった。

 

 早々に主人公キャラの一人が殺されることから、いかにガルラが悪く、強大な力を持っているのかがよく分かる。

 ガルラ大帝国のボスはダイ・バザールというおっさん。見た目は魚人ぽい。序盤は息子のシンクラインに大変甘い親バカな感じも見せたが、作戦に失敗ばかりする息子を見ると、段々と厳しく叱るようになる。甘やかすばかりでなく、叱る時はしっかり叱るという父としては案外良い心がけのボスだったのかもしれない。

 しかし、シンクラインの方では、大人しい息子のポーズを取るだけで、本心では父親へのウザさ感じまくっている。なんだかんだの末に、親子で揉めるという敵側の事情も見て楽しめるようになっている。 

 

 人気者の神谷明が、悪の帝国の皇子であるシンクラインを演じた点は印象的。神谷明ボイスの悪役というのも珍しい。どうしてもヒーローばかりやってきた役者のイメージが先行する。

 このシンクラインだが、中盤あたりくらいからかなり目立っていたと想う。見た者にかなり印象を与えたキャラだと想う。中盤くらいからだと、ゴライオンチームのセンターの黄金よりもターンが多く、キャラ個性も強いので目立っているように思える。

 悪でも卑怯な手を使うことを嫌う職人気質な戦士がいたりするが、シンクラインは皇子の肩書があっても超悪い。宇宙中の美女を集めてハーレムにするといういかがわしい野望を持っていて、めっちゃ悪い。普通にクソ。神谷明の声が良いから思い出補正がやんわりかかりがちなものの、冷静にしっかり考えるとめっちゃクズ男だった。でも暴れた悪のキャラ性は良いもので、なんだかんだで愛せる悪者だったと想う。

 

 ラスト展開が迫ると、シンクラインは父を陥れて自分が組織のボスになる反逆を起こす。しかし所詮は若いペーペーなので、ゴライオンチームに攻め込まれてピンチになる。

 最終回の展開もちょっと変わっていて、強い敵を相手にヒーローが決死の思いで突っ込むのとは違い、その段階になると敵勢力はボスのダイ・バザールを失ってかなり弱った状態になっている。最終戦では、割とあっさりゴライオンが敵に攻め込んでガルラ側が完全不利な状況になる。

 そこで、ゴライオンに降伏しようと考える勢力がガルラ内に生まれる。肝の据わった悪の軍団らしからぬ意外な流れが見える。

 シンクラインは白旗など絶対に上げないと言ってひよった雑魚共に剣を向ける。シンクラインと降伏したい勢で内輪もめが起きる。悪の組織にあまり見ない展開、しかもラストだともっとないだろう展開が見えた。

 

 悪を倒したゴライオンチームの面々は、アルテア星を第二の故郷にして生きていく。ラストでは、そんな平和な展開が見れた。

 ファーラ姫という麗しいヒロインがいるが、ゴライオンチームの男達とのガッツリとした恋愛展開はなかった。おそらく、オチの先の世界では、黄金あたりを旦那にして仲良くやって行くのだろう。そうなっていると良いなと思った。

 

「ワン!プラスワン!」の掛け声から始まる水木一郎が歌うOP曲はノリが良くて格好良い。ハマってしまい、最近はこれを良く聴いている。

  

 地球が無くなってよその星が舞台になる。チームメンバーがすぐ死ぬ。死んだメンバーの代わりにお姫様が戦場を駆る。敵が個性的で記憶に残る。OPは神曲。あとは規制が緩い時代だったこともあり、人殺しのシーンにちょっとグロが強めなものがあった。

 まとめるとこんな感じで、決して見所が少なくはない面白い作品だった。このまま時代に埋もれて行くのは勿体ないぜ。ゴライオンは格好良い。

 

 ゴーゴーゴライオン!とっても楽しかったぜ。

 

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