こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

美しい海と女の情念「B.B.フィッシュ」

「B.B.フィッシュ」は、1994年2月25日に発売されたOVA

 

B.B.フィッシュ〈ワイド〉 [Laser Disc]

 

 今という一番新しい時代を生きる中で、あえて大昔の作品を掘り起こす。考古学という分野の成り立ちは、その精神にこそあるのだろう。学問なんてまるで絡まないアニメ好きオタクの活動にもそれは言えることだ。

 放送中の作品はもちろん見るけど、それだけでは物足りない。だから私は、空いた時間があれば時を飛んでよその時代の作品も勉強するのだ。

 そんなこんなの内に、マジで偶然オンリーの出会いとなったのが本作「B.B.フィッシュ」。

 ヤベェ、マジで知らねぇ。コレを知っている現役オタクって何人生き残っているの?

 タイトルだけでは何のこっちゃ分からない。結構好きだった漫画「BANANA FISH」の感じもするけど、中身はもちろん全然関係なかった。

 

 その昔、週刊ヤングジャンプで連載されていた作品らしい。約3年連載された作品だというので、それだけお話はしっかりと長いはず。だがこのOVAは一話30分しかない。その関係で、コレだけ見ても「良く分からん」という感想が出てくるものだった。

 これはこれで一話完結のドラマとして見る事も出来るが、作品全体の設定や個々のキャラ設定にほぼ触れていない。

 ウィキというためになる情報収集コンテンツがあって良かった。良く分からない部分は、そちらのサイトを見て補完としよう。コレは連載された原作を知らないとスムーズに入っていけないヤツだったな。

 

 内容は、主人公達友人グループが海でのバカンスを楽しむもの。

 その中、一行は現地の美少女姉妹と知り合い仲良くなる。

 ダイビングを楽しんだり、その中で不思議な海の奇跡に出会ったりとかしてあっという間に30分の話は終わる。

 

 タイトルの「B.B.フィッシュ」とは、幻の魚ブルーバタフライフィッシュのことだと本編で触れられている。主人公はそいつを発見したいらしい。

 

 冒頭すぐのシーンで、三段重ねになって泳ぐ亀が登場する。あんなライドスキルがあったのか。ここで出てくる亀が可愛い。

 

 南国の綺麗な海、空を描くテクニックは良い。

 海の中のシーンや泳ぎのシーンも優雅で綺麗。波の動きや夕暮れのシーンも美しい。南国に旅行して楽しんで来た感が味わえる作りで良い。

 

 ヒロインの沙羅が泳いでいると、ジンベイザメにふっ飛ばされ、ダイビングの軌道から逸れてマジでヤバい事になるシーンがある。サメの近くで泳ぐのは危ないと分かった。

 そんな危ないここで主人公 葉山潮の謎の能力が覚醒する。

 なんか海が味方してくれる的な演出となり、ありえないくらい自由自在に泳げるようになる。それでヒロインのピンチも脱出する。

 この潮がたまに発揮する水中で極めてフリー状態になれる異能力めいたものが作品のキー要素らしい。なんでこうなったのかという説明も特になし。アニメの「Free!」よりもっとフリーに泳いでやがる。

 

 学生グループで楽しくダイビングをしている点は「ぐらんぶる」、能力覚醒した潮の片目が青くなる点では「サマータイムレンダ」を思い出した。

 

 主人公達が現地で出会う姉妹が美しい。いい感じに肌が焼けていて好み。

 妹のアユールが潮を気に入ってしまう。二人は何かいい感じになっていく。

 あれ?潮には彼女がいるのにそれで良いの?と思って見ていると段々怪しい。

 

 潮には沙羅がいる。アユールの恋する乙女マインド的には、沙羅がとても邪魔になる。

 そんなことから、それまで皆で楽しくバカンスしていた流れが一変し、アユールが沙羅を消そうとする闇の展開に入っていく。

 

 人気の無い洞窟に沙羅を誘導すると、置き去りにして自分はさっさと逃げる。時期に潮が満ちてしまえば沙羅はあの世行き。自然を味方にしてアユールが主犯のサスペンスに入っていく。

 可愛い顔してアユールのやる事が怖い。すげぇ普通の感じでやっているのも怖い。

 この後、悪巧みがバレて姉ちゃんに強ビンタを食らうのは仕方がないことだった。

 

 潮が満ちるし流れも速くなってもはや救出は困難になるが、そこで潮の不思議パワーが覚醒。潮の流れも突っ切って魚のように華麗に泳いで沙羅を救出して来る。ここは主人公の能力が超人すぎた。

 

 沙羅は普通に死にかけていたから、生還したら自分をハメた女をフルボッコにでもしそうなものだが、最後は極平和に終わっていた。

 

 美しい海を舞台に奇跡の物語が展開したのは良いけど、その中には女の嫉妬からなる闇の事件も含まれているから怖い。

 なんだったんだこのアニメ、と言いたくなる部分もあるが、まぁ楽しい部分もあった。

 

 それから気になる内容といえば、皆で飯を食っていると、スープからコウモリがそのまんまの姿で出て来るシーンがあったことだ。

 南国メシだとコウモリから出汁を取って食うのか?

 コウモリ×グルメってあるんだという新しい世界が見えるものだった。汁を飲んでいてアレが出てきたらさすがにビビると思う。

 

 OVAの内容は、漫画とも違うオリジナルのものだったとのことなので、全貌を知るなら原作をチェックしないとな。

 ちょっと気になる内容ではあったが、漫画をチェックする時間もないというか。もしもチャンスがあれば原作もしっかりチェックしたいところだな。

 

 単発OVAだとこういう作品があるんだよと教えるだけで、そこから原作に流れるようになる販促効果が弱いものがあったり、映像作品としてのまとまりも微妙なのがあったりするんだよな。これもそうかもしれない。作画のセンスで褒める所もあったが、訳が分からない箇所も確かにあったし。

 

 どうやらこの作品、VHSとLDでしかリリースがないらしい。だろうなとは思ったが、当時品のみで、後にDVD化案が上がる事もなかったようだ。

 林延年茶風林緑川光篠原恵美天野由梨折笠愛など出てくる人間は有名で私も好きな人達ばかり。声優好きなら出演者を見るだけでとりあえず声だけ聴きたい作品と思うところだろうが、現在は見づらいかも。

 こんな作品もあったのだなと学びになった。

 

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