こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

時代を先取ったサイバーな展開「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」

デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」は、2000年3月4日に公開した日本映画。

 

 我々が暮らしていた街では、公開期間がとっくに終わった映画を公民館でタダで上映する素敵な取り組みが行われていた。この作品はそこで一度見たことがある。しかし内容といえば、光子郎がやたらとお茶を飲むこと以外はほとんど忘れていた。

 

 先日、2020年版デジモンの放送延期が決まった。そのストレス衝動から初代デジモンアドベンチャー全54話を一気に視聴した。この流れが出来れば劇場版にも手を出すのは必至。

 

 まずはテレビシリーズの前日譚となる光が丘爆弾テロの真相を映した劇場版第一作、次いで二作目となる本作「ぼくらのウォーゲーム!」を見た。

 これらニ作は、テレビシリーズと少々雰囲気が異なる作りとなっており、より大人向けな作りになっていた。特に二作目の「ぼくらのウォーゲーム!」は大変良かった。

 

 公開からなんと20年。電脳空間で暴れるウイルスと戦うこの作品を、現実世界でかつてない程恐ろしいウイルスが暴れまわる2020年になって再度視聴することになるとは、なんだか数奇な運命を感じないでもない。

 

 私のコロナ自粛期間を盛り上げてくれた頼もしい作品、それが「ぼくらのウォーゲーム!」である。出来の良さに感動したので、思うことを色々書き殴って行こう。外に出てまともに労働も遊びも出来ない今はこれくらいしかすることがない。

 

デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!【劇場版】 [VHS]

 

 本作ではテレビアニメ最終回の後日談が描かれる。

 選ばれし子供達とデジモンの戦いが終わって数ヶ月後の2000年の春休みに事件は起きる。

 

 謎のデジモンがネット世界に現れ、こいつが電脳空間をおかしくさせる。スーパーのレジシステムが乗っ取られ、刺し身が10万円設定になるなどのまだイタズラで済む段階から、最終的には軍のシステムを乗っ取って核ミサイルを発射するまでの騒動を起こす。

 

 これを見てすぐ思ったのが、「これサマーウォーズやん!」ということ。話の流れが結構似ている。実はどちらも細田守監督作品である。ここでの経験を下敷きにして彼は「サマーウォーズ」をヒットさせたとのこと。見ている途中で神木くんの「よろしくおねがいしま~す」の声が聞こえてくるようだったぜ。サマーウォーズもその内再チェックしよう。

 あと、パトレイバーの劇場版でもこんな感じの電脳空間の事件を扱ったものがあったと思いだす。

 

 今回の面白い要素は、デジモンがデジタルな住人であるということをフルに活かした点。太一達は東京にいるままで、デジモン達はパソコンの中で戦う。別々の世界にいるまま子供たちとデジモンが再びタッグを組むのはテレビシリーズでは見られないものだった。

 

 出てくるパソコンがくそ古い。光子郎と太一が格闘することになるパソコン画面が大変懐かしい。パソコン画面の再現度はなかなか高いのではないかと思える。

 

 当時はコンピュータがおかしいことになるといういわゆる「2000年問題」というのが流行りワードみたくなっていて、その問題となる現象がここに現れている。見ていた子供からすると、2000年問題の原因はデジモンだったのかとも解釈出来てしまう作りだった。

 

 8人の選ばれし子供たちの内、実働するのは太一、光子郎、タケル、ヤマトの4人という点も珍しい。たった40分しかない映画の割には情報量が多く、シナリオも厚い。そうなると8人も出すのは多すぎと思ったのだろう。

 

 太一が電話でメンバーを集結させようとするけど、丈はお受験、空とは痴話喧嘩中、ヒカリは友人の誕生日会に参加しないといけない小学生ならではのしがらみの中にあって帰れず、ミミは優雅にハワイ旅行でそもそも日本にいない。ここで4人を集めるのが無理となる。

 来れないにしろそれぞれがなにかしらの戦いの中にあったのに、ミミだけはマジで遊んでいただけというのがミミらしくて結局愛せてしまう。テレビシリーズからもお嬢様感は出ていたが、こうしてハワイに行ってるあたり、やはりミミはマジで金持ちの子なのかもしれない。核まで打ち込まれる大事件になったのに、コイツだけは良い身分だよなとツッコミも入れたくなる。

 

 そんな中、島根県のばあちゃんの家に遊びに行っているヤマトとタケルの兄弟とはなんとか連絡がつく。

 

 ウイルスデジモンのせいで電話もおかしいことになっている中、東京と島根間の連絡はダイヤル171で繋ぐ災害用伝言ダイヤルで行われる。学校の授業でこういうのがあることは知っていたけど、実際に使っている場面は初めて見た。勉強になる。

 

 ヤマトとタケルもパソコンからネットにアクセスして敵のデジモンと戦うことになるが、当時の島根県のパソコン普及率はかなり低いものだったらしく、兄弟の戦いはまず街中を駆けずり回ってパソコンを探すことから始まる。かなり苦労した末、場末の床屋のパソコンから無事アクセスが完了する。

 

 私は行ったことがない土地だが、本編で描かれたものを見る限り島根はかなり田舎だといえる。今の島根県ならパソコンもたくさんあるだろうし、無くてもスマホを持っている人がたくさんいるだろうから、ヤマトとタケルの苦労もなかっただろう。二人がパソコンを探すシーンをみると「時代だな~」と思わずにはいられない。てか20年で日本も変わったよな。

 

 敵のウイルスデジモンがなかなかの曲者で、こっちのデジモンが進化する途中に襲ってくるというマナー違反技も使ってくるのが印象的だった。仮面ライダーが変身している時には戦闘員も大人しく見守るというのが暗黙のルールなのに、それを破ってくる今回の敵はやはり強敵だった。

 

 ここだけで見れるのが、ガルルモンとグレイモンが合体して誕生するオメガモンだ。2020年版デジモンではこのエピソードがオマージュされ、第二話でいきなりオメガモンが登場した。

 

 今でこそ、ちょっとは現実世界で戦えってくらいにパソコンはじめ、謎の世界に行って戦う作品はたくさん増えた。公開当時だとサイバーテロを仕掛けるようなネットの敵と戦う展開はまだ物珍しい時代だったのではないか。ちょっと時代を先取った感はこの作品のわくわく要素だったと思う。古い作品だが今日見ても面白かった。

  

 やっぱり光子郎がやたらとお茶を飲むのが印象的な作品でもあった。名作だった。

 

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