こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

魔法から学べるリアルがある「おジャ魔女どれみ」

おジャ魔女どれみ」は、1999年2月から2000年1月まで放送した全51話のテレビアニメ。

 

 世紀末に迫る中、ある種独特な雰囲気に飲まれて行った我が国を盛り上げた魔法少女ものヒット作である。シリーズも長く続いたことで、割と最近の作品と思っていたら、無印はもう20年も前の作品になってしまった。当時これを見ていた幼児たちも既におっさん化を迎えているだろう。時が過ぎゆくのは速い。

 

 今年4月から憎きコロナのせいでかなり長い期間プリキュアの放送がストップした。大小問わず多くのお友達が暇な日曜朝を過ごすことになっただろう。私もその一人だ。プリキュアがなくて寂しい、ならばプリキュア枠の先輩シリーズとなったおジャ魔女を見よう。そんなわかりやすい過程を経て、令和時代にもなって20年前のヒット作を視聴した。古の作品の4:3の画角にはやはり安心するものがある。そんな4:3作品のおジャ魔女だが、古くともしっかり面白かった。

 

 奇しくも私がおジャ魔女を見始めたタイミングで、プリキュア最新話におジャ魔女がコラボ出演したことにも感動した。最新話では、劇中におジャ魔女どれみのポスターが出てきた。これはさすがに見落とさない。おジャ魔女20周年ということで、新作映画が決まったとも聞く。これには世紀末を越えて現在も生き残っている往年のファンが感動したことだろう。そんなわけでここへ来てまたおジャ魔女が熱い。

 

 おジャ魔女達が時を越えてハッピーラッキーを私に届けてくれたことに感動したので、感動したままに色々と感想を殴り書こうと思う。ちなみに「ハッピーラッキー皆にと~どけ」と次回予告で言うのがおジャ魔女のお約束だった。お気に入りフレーズである。

 

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内容

 魔法使いに憧れる小学三年生の主人公春風どれみは、偶然にも本物の魔女のマジョリカに出会う。マジョリカは、人間界ではマキハタヤマリカと名乗ってMAHO堂という雑貨店的な店を営んでいた。豊かな妄想力と思い込みで、どれみはマジョリカが魔女だと見抜いてしまう。マジョリカは人間に正体がバレたため魔女ガエルの姿になってしまう。マジョリカを元の姿に戻すため、どれみは魔女見習いとしての修行を始めることになり、その過程でマジョリカの店の手伝いも行うことになる。

 

感想

 変身ヒロインもの、魔法少女ものに部類するのだろうが、本作はちょっと変わっている。別に敵と戦うわけでもなく、魔法といっても何でも楽ちんに行くわけではない。

 

 そこらの魔法少女ものとは違い、変身は謎の光に覆われたら次の瞬間に「ハイッ、完了!」になるのではなく、しっかり自分でお着替えしなければならない。しかも短い音楽が鳴っている内にお着替えをしないといけない。制限時間付きの変身システムの存在が面白い。序盤で分かる変身システムは印象的なものだった。

 ドジなどれみちゃんはもちろん最初から時間内にお着替えが出来ず、次いで魔女見習いの仲間入りを果たすはづきちゃんもメガネが引っかかって時間内に服が着られなかった。あいこちゃんは卒なくこなすエリートタイプで、初回からお着替えも成功、箒も気合ですぐに乗りこなしていた。

 個人的には、お着替え時に服の中に入った長い後ろ髪を手ではらって外に出すはづきちゃんの仕草が好き。ちょっとのアクションではあるが、マニア心をくすぐる変身シーンに仕上がっている。

 

 魔法といっても無尽蔵に使えるものではなく、アイテムに詰め込まれた魔法玉の数だけという使用制限がある。数が減れば問屋魔女のデラに売ってもらうなどして補充する必要がある。いつ現れるか分からないデラも楽しいネタキャラで、オペラ風に歌いながらやってくるのがウケる。というか魔女なのに問屋っていうのも結構ツッコみどころがある設定だな。

 魔女をやるにもお金がいるので結構シビアな世界である。だから一同はMAHO堂での仕事を頑張っている。子供ながらにどれみ達がプチ社会人経験もしているのが良いではないか。

 

 客員が魔法を使う時の詠唱が謎にして変だけど一生忘れないフレーズとなった。謎に気持ち良い各キャラの決めフレーズや、変身シーンのBGM、アイテムから鳴る音もキャッチーなものだった。

 

 魔女への道のりは遠く、一人前になるには度重なる試験を突破しなければならない。学校の試験のように優劣が出やすいのも特徴。おんぷちゃんはエリートで飛び級のごとくスイスイと先に進むし、はづき、あいこも順調に試験を進める。そんな中どれみちゃんときたら、元々ドジなせいもあるけど、物欲や食欲を煽るトラップに引っかかって落第することもある。最も突破が簡単で、まず不合格者が出ないとされる9級試験にも落ちていた。9級で落ちるヤツが出るのは何百年ぶりということで、魔女の世界では一躍有名人になっていた。ダメ過ぎて逆にすごいというわけで、魔女の世界の住人からサインをねだられることもあった。

 自称「世界一不幸な美少女」とかほざくし、お団子頭でこの成績だから主役のどれみの持つネタキャラ要素はかなり強烈である。面食いで好物がステーキという点から強めの肉食タイプとも言える。まだ幼稚園児の妹ぽっぷにめっちゃバカにされているのも面白い。

 

 見習い魔女試験には様々趣向を凝らした物があるが、たまに審査が緩い時もあった。試験官が早く旅行に行きたいからということでサックリ合格させて簡略化されるパターンもあった。たまにテキトーをやるんだよな。

 

 魔法を使うにもルールがあり、人心を操る目的での使用は禁じられている。人体の治癒、蘇生など命に干渉することもタブーとされ、これらに手を出せば使用者には痛い反動が帰ってくるようになっている。

 地道に行く人生から見ればチートスキルとも言える魔法だが、その中でもズルをして良い範囲がちゃんと決まっている点はシビアである。

 ある時期には、人生にもスーファミ同様リセットボタンがあるので死に瀕する、あるいはマジで死んだとしてもやり直しが効くと本気で考えている大きな子供の存在も確認されたことがあるという。子供は勘違いしやすいものなので、そこに釘を刺すかのようなこの設定は、リアルを教えるもので感心できる。

 

 見習い魔女をやる傍ら、どれみ達は学生として学校にも通わないと行けない。学校のシーンもしっかり描かれる。むしろこちらが本番。おジャ魔女シリーズは、魔女が使う魔法というファンタジー要素を前面に出しながらも、人生にはチートはないというリアル性を伝えている点で意外と魅せる骨太な人間ドラマになっている。社会の縮図である学校を描くシーンにその辺の事情が反映されている。

 どれみ、はづき、あいこら見習い魔女キャラ以外のクラスメイト達にも「ちびまる子ちゃん」のように皆名前があり、モブ扱いの者はいない。クラスメイト達客員にもお当番回があり、各キャラの持つキャラクター性に迫りつつ、思春期における悩みなどを掘っていく展開は大人にも響くものがある。

 

 おジャ魔女の中でははづきちゃんが可愛いので推しだが、高慢なお嬢様キャラのクラスメイト玉木麗香も推しだった。麗香は基本的にはどれみ達と敵対しているが、どれみちゃん同様なかなかのネタキャラで憎めない面白いキャラである。

 お嬢様の自分は親から叱られることがない、だから愛されていないのかもしれない、そんな風に愛の在り処に疑問を抱いてもがく麗香を描いたお当番回は子供心に響くものがある。誰でも一回くらいこういうことは考えると思う。

 

 裕福な家庭だけど、それだけに親の押しつけの教育や期待が重いと悩むはづきの物語、離婚して父子家庭のあいこが大阪の母を想う物語など、時には深めに家庭問題に切り込む展開もあるのが良かった。

 はづきちゃんとあいこちゃんは絶対ええ女になると想う。どれみは知らんけど。

 

 子供目線での物語作りを重視する作り手のこだわりが分かるものだった。

 プリキュアみたいに何かと戦うバトル展開ではなく、日常の中で人間的成長を迎える子どもたちを描いているのがハートフルで良い。もちろん私は美少女の肉弾戦も好みなので、プリキュアプリキュアで需要がありまくる。

 

 中盤から登場した子役スターにして見習い魔女のおんぷちゃんは、魔女の間でタブーとされる人心を操作する魔法を迷いなく使って来る。特殊なお守りでタブーを犯した反動を受けないことになっているけど、終盤ではお守りの効果が無くなり、痛いしっぺ返しとして、100年間眠ったままの呪いを受ける。

 最終回では魔女の資格を返上してでも、おんぷを呪いから解放すべく奔走するどれみ達が描かれる。魔法を捨てて友情を取る最終回展開には熱いものがある。魔法がなくとも自分達には願いを叶える力があると子供たちが悟る展開が良い。最終的には友情こそどんな魔法にも勝る大奇跡であると言ってるっぽい。とにかく子供達の友情が素晴らしい。

 

 魔法はあくまでも人生のアシストであり、決定打となるゴールを決めるのは個人の力なのだという教えが得られる良い作風だった。

 ファンタジーの華やかさと実地の大切さ、言い換えれば虚構と現実が、反発しあうことなく融和している。そこを丁度いい具合に映し出すおジャ魔女シリーズのストーリー展開には、時を越えて我が胸をノックするものがある。

 

 めっちゃ良かった。

 

 OP曲の「おジャ魔女カーニバル」もハマりこむスルメソングだ。

 ガキばかり出てくる本作の中では貴重な色っぽい枠キャラとなった関先生とゆき先生も良かったし、見習い魔女試験では、お手伝いのバイトとして出てくるお姉さんも可愛かった。関先生がだいぶエロいし格好良い女ライダーの一面もあるからツボる。悪さをしたら廊下に立たせる、校庭を走らせるというアナログな教育罰を与える関先生のやり口も懐かしい。

 

 そんなわけで、今一度おジャ魔女は人生に大切なことをたくさん教えてくれていると気づいた。ありがとうおジャ魔女。なんで「ジャ」の部分だけカタカナなのだろう。

 

おジャ魔女どれみ Blu-ray BOX

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  • 発売日: 2016/12/02
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 どきどきわくわくは年中無休!

 

 

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