こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

カオスアニメのスピンオフ「ハイパー無軌道オリジナル・ビデオ・アニメーション ぷにぷに☆ぽえみぃ」

「ハイパー無軌道オリジナル・ビデオ・アニメーション ぷにぷに☆ぽえみぃ」は、2001年に発売されたOVAである。前後巻に分けて販売された1話30分、全2話のアニメ。

 

 タイトルが無駄に大仰で長いアニメだが、その正体はあの狂ったアニメ「エクセル・サーガ」のスピンオフである。エクセル・サーガ本編17話でアニメの作画を作るネタに触れるのだが、その時にちょこっと出て来る作中作が「ぷにぷに☆ぽえみぃ」である。

 本編の作中作にも関わらず、どちらにもナベシンが顔を出すのはお約束のユーモラス。

 

 ぷにぷに☆ぽえみぃ 前編「ぽえみはご機嫌ななめ」 [DVD]

 

 エクセル・サーガ同様、こちらも狂った内容になっている。

 すごいぁ。何か色々あったのに、視聴後には何にもない話だった気もする。記憶が飛んだのかと錯覚するようなとんでもない一作だった。マジでワケワカメすぎて、視聴後には、この時間は何だったのかと己に問いかけたりもしたくらいだ。

 とまあ謎なバカアニメではあるが、ここまで来ると逆に爽快すぎて好感が持てるし、これはこれで楽しい。

 

 こちらのスピンオフは、一応変身魔法ヒロインのジャンルの枠に押し込む事が出来るが、後はカオス極まりないハチャメチャギャグって感じになっている。

 主人公は魔法少女に変身して戦うが、変身後のやり口が外道なもので、その点は「大魔法峠」にも通ずるものがある。あっちもやばかったもんなぁ。というわけで、決してプリキュア的なものではないが、魔法少女なのに魔法要素ゼロの過激なボディコミュニケーションを繰り出す展開が見れる珍しい作品。

 

 展開、キャラ設定、セリフなど、どこを見てもバカみたいなアニメだった。そこはエクセルと一緒。こんな台本をもらった役者はまず最初に何を想うのだろう、ついそんな事を考えてしまう酷い世界観。

 

 あってないような内容だが、そのくせ起きる事の手数が多いため、2話しか無い割には情報量が多い。と言っても、上述したように、内容はあってないようなものなので、たくさん頭が疲れることもない。

 

 主人公は「ワタナベぽえみ」というふざけた名前のガキ。こいつが魔法少女に変身して地球の平和を守るってのが本作のザックリとした内容である。

 冒頭には、先輩魔女っ子のサリーちゃんぽいヤツをぽえみがぶっ倒しているシーンがあった。最初から攻めてるなぁ。 

 

 当時は新人、後には栄光のシスプリ声優を経て、現在は二代目しんちゃん声優となったあの小林由美子が主人公を演じている。彼女がめっちゃ頑張っている。芝居もそうだが、OPもEDも歌い、本編にもめっちゃ顔出ししている。これはカロリーを消費して腹が減る仕事になっただろう。「地球はひとつ 割れたら二つ」から始まるOP曲歌詞はカオス。

 

 ワタナベという名前なのに、小林由美子が演じている関係か、ぽえみの一人称が「小林」になっている。ここだけ拾ってもマジでフザているなぁ。

 マジでめっちゃうるさい女の役で、小林由美子の元気なガキの芝居が弾けている。エクセルもそうだったけど、うるさいしセリフがめっちゃ多い。

 

 ぽえみは声優志望の学生で「いつかエヴァみたいなアニメに出たい」と言っている。こんなに昔から頑張っていた小林由美子が、今はしんちゃんをやっているのだから感慨深いではないか。一緒にエクセルガールズをやっていた高橋美佳子も本人役でちょっと出てくるのがウケる。ここは好きな二人。

 小林由美子高橋美佳子も、いくら昔の仕事とはいえ、こんなにおかしな現場での経験ならさすがに今でも覚えているのではないか。考え方によっては栄光にも黒くくすんだ暦にも取れる仕事だったと思う。

 

 ヒロインの変身ステッキが従来のものではなく、魚を開いた骨で変身するというのも斬新なおふざけ要素となっていて笑えた。

 

 エクセル同様パロネタが多すぎてうるさい。オチは全部ぶっ飛ばして終わりのイデオン的な感じのネタが入っていた。

 晴れ豚の陣営でやっているからか、晴れ豚のお天気お姉さんが結構多めに出てきていた。あの豚アニメも良かったよな。

 

 あとナベシンがフザケすぎ。一応ぽえみの父の設定で出てくるが、そんな設定もどうでもよくなってくる。

 1話のAパートで謎の激戦の末に死んだのに、その後も当たり前のように出てくる。面白おじさんだな。エースキラーウルトラ兄弟処刑の感じで磔にされて死んでいるナベシンにウケる。

 

 まず魔法少女ぽえみの単体勢力があり、他にメインで描かれる勢力に地球パワーを持つバカな美少女7人姉妹がいる。今回はヒロインズが多めなので、エクセルよりも萌えとお色気に力が入っている。

 こんなバカなアニメなのに、7人姉妹の声優は豪華。存命時の川上とも子も出ているのが嬉しい。

 7人姉妹それぞれは、地球を守るために与えられた「地球~」という技を使うが、どれも大して役に立たない。アホな能力だな。それにしても「地球受身」はバカすぎて笑った。

 

 ぽえみよりもこちらの7人姉妹がセクシー要員として活躍してくれる。これはまぁ良し。品はないが、かといって目に毒なこともない。

 しかし、ちょっとお色気展開でやりすぎたようだ。その結果、有害図書指定を受け、海外には持ち込み出来ないコンテンツになってしまったという。「図書」とあるけど、別に本に限ったことでなく、ゲームやこういうパッケージ作品も指定対象に入るらしい。

 確かにアホかつ品のない無駄エロが見られたけども、そこまで言うほどか?って感じだったとも思う。私もその点は割とやり手なので、世間的に過激とされることでも、個人としては小技を食らった程度にしか感じないようになっているのかもしれない。

 というか、こんな作品なのに、グローバル視点で無駄な警戒を受けているのが笑える。これも一つの実績というか偉業というか、はたまた汚点なのか。いずれにせよ色々やってくれる面白アニメだった。

 

 そんなわけで、ハイパー級に無軌道な作品であること間違いなしの奇作だった。嘘をつく商売人が決して少なくない現代において、看板に偽りなしの凄まじい出来になったことには好感が持てる。

 楽しいの定義が危なくなる一風変わった楽しさがあるものだったが、とりあえず私としては楽しめた好きな作品だと言える。

 

 エクセル・サーガの本編と共に、全部BDで出して欲しいぜ。令和時代に入った今になってコレをBDで復活させたら、それをやった会社はすごいと評価されそう。 

 

 

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