こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

「鬼滅の刃」のココが良いを考えよう

鬼滅の刃」は、2019年4月から9月にかけて放送された全26話のテレビアニメである。

 

 私は本放送を毎週視聴していたが、あの時には本作がこんなことになるとは思わなかった。世は今空前の鬼滅フィーバーを迎えてとんでもないことになっている。マジで瞬間的な発火により、一気にガッと勢いが来た作品で驚くばかりである。

 

 作品人気から鬼滅のウエハースチョコが売り場で買えないくらいさばけ、末にはUFOキャッチャーの景品になっていることがあったがアレはビックリだった。普通に売り場で買えばいものいだろうにと思えるチョコ菓子オンリーがわんさか入った機械を見た衝撃はなかなかのものである。しかもハゲたおっさんが遊んでいた。

 

 この前など近所のガキが小学校の帰り道に「紅蓮華」をご機嫌に歌っていたことがあった。これはLiSAが嬉しいだろうと思う。かなり夜中に放送していた作品なのにどうして小学生にまで刺さっているのだろう。やっぱり禰豆子が良かったのかな。

 

 現在は劇場版を上映中だが、これも封切って早々に大入りだと聞く。

 最近ではテレビでもヤフーニュース記事でも鬼滅の話題が飛び交うし、LiSAはあちこちの番組で紅蓮華ばかり歌っている。これはスゴイ!このレベルでヒットすると、もはや社会現象と言っても良いのではないか。

 

 流行りには乗っからない、迎合しないのスタイルを貫き、良いものは他者の口コミでなく必ず自分の体験でのみ判断するという慎重な人間なのがこの私だ。しかしこの鬼滅ブームは、そもそも私の専門分野であるアニメのことなので、世の動向に関係なく私が見て知りたいことなのである。私としても普通に楽しんだ作品なので鬼滅の成長は嬉しい。

 

 鬼滅はどうしてここまで時代の流行になったのか。ちょっと気になる。

 そんな訳で、放送終了からだいたい一年が経ったこの機に、私はBDで鬼滅アニメ二周目を決め込んだのである。

 

 BDってとっても綺麗!

 加えてすごいことに全話オーディオコメンタリーがついている。本編とオーディオコメンタリー全てをしゃぶり尽くし、計26話×2セットをだいたい2週間で楽しんだ。忙しい10月だったぜ。

 

 

 それでは二周目視聴の末、改めて鬼滅の何がどう良かったのかを考察しよう。

 

 

鬼滅の刃 3枚組 全話収録 DVD BOX 全26話

 

この物語は全て妹への愛によって構築されている

 本作は大正時代を舞台にし、人間と鬼の戦争を描いたものである。主人公少年の竈門炭治郎は、純朴な田舎少年で家族思いないいヤツである。ある日、炭治郎が山を降りて一仕事してお家に帰ると、残った家族達は鬼の襲撃にあって殺されていた。一話目から凄惨なシーンが展開するのでなかなかショッキングである。

 全ての希望が失われたと思った中、妹の禰豆子のみはなんとか生きていたのでこれを助けるために奔走する。しかし禰豆子は鬼の力で鬼の娘になっていた。たった一人生き残った妹を人間に戻すため、己の全てをかけて戦う炭治郎少年の物語が展開する。

 

 お話の目的は分かりやすい。鬼になった妹を人間に戻すこと、これが全てだ。まず一つ、ココがこの作品の良い点だと思う。

 本作の原作は少年マンガ作品だと聞く。であれば、剣を握って戦う主人公少年の側には可愛い女子を置きたいところ。それは幼馴染だったり、どこかの国のお姫様だったりすることがあるだろう。

 多くの主人公は、恋心からヒロインのために努力することがある。女の又に力、更に力、これを繋げて「努力」である。それくらいに男子が真に頑張る時には、下心が強い手助けとなるのだ。このように噛み砕いて考えると、努力という行為がいやらしいものに聞こえるかもしれないが、全く間違った話でもないのである。そして当然だが女も努力はするので、努力は男だけのものではない。

 この作品で光る点は、炭治郎が努力するのは全て妹のためであるということだ。亡き母から託された可愛いく幼い命、それが妹、または禰豆子である。炭治郎の胸にあるのは家族愛、兄妹愛、長男の責任など、邪な要素無しの真心オンリーのものである。だからコイツはいいヤツと言えるのだ。

 

 ともすればシスコン兄貴にも見える炭治郎だが、兄貴なんてのはちょっとのシスコンくらいが丁度良い、というのが我が持論である。

 妹の禰豆子は、妹要素抜きにしても可愛い。妹ヒロイン好きの私としては大変刺さる。そしてこれを一心に愛する炭治郎もマジで良い兄貴で好きになる。禰豆子は村で評判の美人な妹であると信じてる点も可愛くて良い。今日日こんなに妹のために頑張るお兄ちゃんもいないだろう。

 

 炭治郎の性格もなかなか面白い。とにかく長男であることに高いプライドを持っているらしく、折れた骨の痛みの中でも堪えて戦えたのは自分が長男だからであり、次男だったらギブアップしていたとまで言っている。こんな感じで随所に見られる頑張るお兄ちゃんのモノローグもこの作品の面白い点である。自分は頑張ってきたから絶対に出来るとピンチの中でも己を鼓舞する炭治郎の精神のタフさは多くの人に見習って欲しいものである。

 

 炭治郎の行動理念における最上のプライオリティは、ズバリ禰豆子の幸福である。鬼になった妹を元に戻す情報を得るため、背中に妹を抱えて諸国漫遊し、鬼を切るための部隊である鬼殺隊に入隊する。鬼を連れた鬼殺隊の戦士などおかしいとされ、鬼殺隊の仲間に妹が狙われることもある。その時には、例え相手が同期の仲間であろうが上司であろうが絶対に許さない。誰であろうが妹を傷つけるヤツは全部ぶっ飛ばすという鉄のお兄ちゃん魂を見せる。これが美しい。

 禰豆子が優秀な妹ヒロインで我々妹萌えアニメ好きを魅了するのは当然の良さとして、そんな妹を一貫して守り通す良いお兄ちゃんぷりを全話通して見せた炭治郎もまたお兄ちゃんの鑑として高く評価出来る。この作品には「おれいも」以来の理想的兄妹愛が見られて良い。まぁあっちの兄妹はまた見せ方がだいぶ違う良い兄妹像だったけど。

 

 鬼滅の良さは、異性のお嬢さんへの下心ではなく、兄妹愛で動く格好良い主人公を描いたことにあると思う。少年誌作品でメインヒロインが妹というパターンも珍しいのではないかと思える。なんにせよ妹ヒロインをメインに持ってきたという一点だけでも、妹キャラ好きアニオタを引っ張り込むことが出来る良い要素となっていた。

 

 久しぶりに見て気づいたけど炭治郎の家は全部で6人兄妹だった。そんなにいたんだ。一話冒頭でさっくり殺される禰豆子よりも下の妹の花子も可愛かった。花子もイケるという新しい気づきが得られた。

 

やっぱりバトルが熱い

 前項目では、ともすれば変態臭い妹至上主義論的なことをダラダラと記載したが、やはり主に少年をターゲットにした作品ということで、注目するのは熱いバトル展開にある。バトルとサウナは熱くて上等、寒ければクソである。

 

 この作品はとにかくバトルがスゴイ。我々のように日によっては三次元よりも二次元の世界を長く見ているというヘビーなアレでなくとも、バトルがいかにスゴイかは素人が見てもすぐ分かることだ。

 

 アニメーション製作はあのufotableが担当し、毎話変態的こだわりの美麗なアニメーションを楽しませてくれる。本作はシナリオ以外でも視覚的にお客様を楽しませる最上のサービスを展開している。

 次話の納期を守れず放送を落とす、落とすことを回避するためにあくまで苦肉の策でやっつけ仕事(いわゆる作画崩壊の状態でも押し切る)に出るという会社が少なくない数見られる昨今のアニメ業界において、ufotableはしっかり仕上げてくる。アニメがどうこうは関係なく、職人や会社員として素晴らしい立ち回りをしている点も評価出来る。

 これまで「Fate」シリーズ、「空の境界」などで私を魅了した仕事をしてくれた信用出来る会社である。そんなユーフォーさんが社運をかけて作っているという気合が伝わる迫力のアクションパートが最高だった。いくつになってもバトルアニメはテンションがあがる。それにしても、鬼滅の出来を見ると、その昔には「ニニンがシノブ伝」なんていう困った変なアニメに関わっていた会社だとは思えない。まぁアレも好きだったけども。

 

 本作のキャラは剣術で鬼どもを狩るのだが、そこで面白い要素となるのが「全集中の呼吸」による客員の特性が出る必殺技である。力まかせオンリーでなく緻密な呼吸法も大事という繊細な技術であることから、どうしてもジョジョ波紋法を思い出してしまう。

 各種ある呼吸を覚えることで、客員が剣技に水、雷、炎などの要素を加えた特殊な技をぶちかますのが面白い。そしてそれら異能の技を演出するアニメーション技術が、工夫された面白くて格好良いものなのとなっている。この点がとにかく目立って良い要素だ。

 

 炭治郎は水の呼吸を扱い水の技を繰り出す。この水がそこらの川のそれではなく、北斎の画みたいな特殊なものである点が印象的だ。現代アニメの中に、浮世絵チックな和風な要素が急に投げ込まれる。この一見ミスマッチな意外性ある仕掛けが新たな正解のフォーマットとなって良い。いわゆる「映(バ)え」要素がここにある。

 ついでに言うと、善逸の電撃技の描き方も綺麗で格好良かった。炭治郎や伊之助が剣を完全に抜いた状態で技を使うのに対して、善逸は居合斬り技を使うのが良い。やはり男なら居合斬りだな。

 

 敵の鬼の中でも強いのは殴る蹴る以外に血鬼術という技を使ってくる。これらは振り切って異能な力であり、内容としても名前の響きとしてもNARUTOの血継限界を思い出す。私の周りの幾人かは言い間違えて「禰豆子の血継限界がぁ~」とか言ってることがある。ちなみに禰豆子が初めて血継限界でなく血鬼術を発動したのは、蜘蛛鬼の累の糸で逆さ吊りにされた時だったが、あの時の禰豆子の太ももに糸がめり込んでボンレスハムぽくなっているのは個人的に外せないセクシーシーンだった。ピンチの中でこそ光る美しきヒロイン性が見られた。あと、あのシーンを見た時からずっと気になるけど禰豆子ってどんなパンツを穿いているんだろう。

 

 炭治郎が闘った敵の中でも面白い能力を持っていたのが手毬鬼と矢印鬼である。このコンビとの戦いは思い出深い。私の推しの小松未可子が手毬鬼を演じ、彼女には珍しい悪者の芝居を見せたことが深く印象に残る。

 強肩で破壊力抜群の手毬を投げつけるヤバい鬼がいて、投げた手毬の機動を矢印を飛ばして操る鬼がいる。この変則的なバトルはアイデアものだった。本当に矢印マークがあちこちを飛んで、接触した物体の運動方向を操るというストレートにしてシュールなアイデアが面白い。数多のRPGのダンジョンの床によく見られる仕掛ぽい。作者もRPGからアイデアを得たのかな。ポケモンでいうとタマムシシティのゲーセンの中にあるロケット団基地で見られた仕掛けだな。

 

 ここではお兄ちゃんに守られてばかりではなく妹の禰豆子も打って出る。手毬鬼と禰豆子が毬の蹴り合い合戦を行う所のみはキャプ翼要素が見られた。禰豆子はちんちくりんだが「足が良い」と評価できるヒロインなので脚力を見せたこのシーンは忘れられない。

 この戦いで禰豆子と共闘して心代わりした愈史郎が、禰豆子を「醜女」と言ったことを撤回して「美人」と評価を改めるツンデレシーンに萌えたのも想い出深い。珠世様至上主義が過ぎるにしろ、禰豆子がブスに見えるとかコイツの美的感覚は死んでいると心配だった愈史郎も、最後には禰豆子の魅力が分かったようで安心した。

 兄貴任せでなく、禰豆子もまたお兄ちゃんを守るために戦場を駆るバトルヒロインとして描かれるが良かった。

 

 ufotableは手書きもCGも一流技術を持っている。鼓の鬼の能力で屋敷の中がゴロゴロ動くシーンの表現は映像化して一番面白みが出るものではなかろうか。ポンと鼓を打てば次の瞬間には床が天井へと変わるこの不思議な能力を迫力満点に描いたバトルシーンもかなり良かった。

 

鬼の達のエピソードも見所

 炭治郎達サイドの裏側となる鬼達のエピソードにも注目が向く。鬼達は何も意志や思考無しに暴れ回る無意識の殺戮者ではない。高い思考を有し、言葉も話す。炭治郎達と意思疎通を行うシーンもあった。そこで思うのが、こんな化け物のくせにどこか人間臭さもあるということだ。

  鬼達も昔は人間だったということが後で分かり、客員が抹殺される時には走馬灯的な回想シーンが見られる。それらがどれも可哀想なもので、敵とはいえ同情してしまう。

 

 待ったなしの悪と思った子安ボイスの手鬼にすら人間時代に同情の余地があった。そういえば手鬼が封じられてから目覚めると、明治から大正に変わっていたという設定があったが、この回の本放送時期も平成から令和に変わった時期だったのでトレンドになっていたと思い出す。

 

 抹殺対象である鬼にまで情けをかけ成仏を願う炭治郎少年の優しさが見られるのが良い。原作は少年漫画なので、意味不明な化け物を倒して平和になりました~のみで終わってはいけない。悪にも悪に染まるだけの人間ドラマがあったということをしっかり描くことで、見た者が敵サイドの人間心理も伺うよう設定されている。見た者をバカに仕上げるのではなく、なにかしら学びを与えるよう仕向けるのもまた清き少年誌のあり方なので、色々考えさせられる展開を置いた本作は質の高い一作だと言えよう。

 

 特に深い人間ドラマ、それも人の心のどこかにきっとあって無視出来ないような深い闇を描いたのが蜘蛛鬼の累にまつわるエピソードだった。人間の頃から「家族」という繋がりを重視して執着するあまり、愛の絆も血縁もない家族を無理やり作って家族ごっこに興じる累の暗い心には、なにやら風刺めいたものを見てしまう。希薄な家族に見る社会問題も少なくはないのが世界の現状なので、歪んだ思考の中でも真の家族の形を求める累の姿は痛々しいものに見えた。

 また、お父さん蜘蛛がお母さん蜘蛛に激しいDV行為をぶちかましているシーンにも社会問題要素を見ることが出来る。ちなみにお母さん蜘蛛はおっぱいが大きいことで有名であり、作中における貴重なセクシー要員でもある。個人的にかなり好きなキャラだった。オーディオコメンタリーを聞けば、伊之助役の松岡君も良ろしければこちら側につけたい惜しい人物だったと語っていた。分かる。

 

 累達ファミリーとやり合う那田蜘蛛山のエピソードは、各所で展開するバトルシーンと共に見られる正しき「家族」のあり方を追求する人間ドラマが見所となっていて良かった。

 つい思ったけど、人間の顔に蜘蛛の足をくっつけた歪な化け物は、トイ・ストーリーのシドくんの家にいた赤ちゃん蜘蛛からヒントを受けたのかな。

 

 鬼のボスの鬼舞辻無惨が、嫁と娘を作り人間界で人として暮らしているという点にも興味惹かれるものがあった。今のところ何を考えているのやら真意の見えないボスだが、それだけに注目したいキャラだ。

 この手の作品だとボスとの対面は後半まで引っ張るというものも多いのだが、今作では極序盤に主人公とボスが街中で遭遇する珍しい展開が見られた。初っ端から大ボスの強者たるオーラを見せる緊張の一幕が楽しめた。

 

 鬼共を演じた声優達は人気者の有名人ばかりである。これは知らないヤツはマジで知らないことだろうが、アニメ好きの中でも声優好きなら激しく反応してしまう注目要素である。キャスティングの豪華さは鬼に限ったことではなく、人間のキャラもすばらしいやり手の声優を揃えている。キャスティングの力もスゴイため、声優好きを唸らせる作品でもあった。

 

好きなキャラ

 良さが様々あってこその人気作だが、ビギナーが分かりやすくとっつきやすいポイントとなるのは、ズバリ好きになるキャラがいるかどうかにある。この作品にはなかなかの名物キャラが揃っている。そんなわけで好きなキャラを振り返ろう。

 

 少年誌の主役らしく愛、努力、友情などの清きテーマを担う潔白な炭治郎を中央に置くと、それを取り囲む他のパーティーメンバーには善逸、伊之助の強烈な変キャラが置かれる。この愉快なパーティー構成が良かった。

 

 厳しい試験を突破して鬼殺隊に入隊したエリートと思いきや、入隊後には四六時中鬼が怖いと泣きわめく善逸の間抜けなキャラ設定は一発で印象に残るものだった。起きている間の大半はうるさい善逸を見ると、その向こうの事情を考えて下野紘がうるさいとも思える。彼のハマり役になっていた。

 起きているとうるさいザコ、寝た時には強い技を放つという眠りの小五郎的特性も面白い。

 善逸のことで一番覚えているのは、炭治郎との再会時に田舎道で女子をナンパしていたこと。史上まれに見る無様なナンパで、炭治郎としては最悪の再会だったかもしれない。笑える。

 

 半裸で頭にはイノシシの被り物をしているという見た目のインパクト一位の伊之助のキャラ設定は諸々奇抜で面白い。ガチで野生児っぽく、最初はかなりコミュ障だった。仲間達と関わる中で、人の好意を受けた時にぽやぽやしている伊之助の心が視覚的に分かりやすく見える仕組みになっている。ここに伊之助の人間ドラマが見れて良い。野生育ちが集団行動の中で人の温もりを知っていく展開に癒やされる。そんなわけでガサツ極まりない猪武者の伊之助のこともかなり好きになる。

 

 鬼滅周りに造詣が深いガキの知り合いをあたっても、善逸と伊之助は評判がよいため、ガキ受けするキャラだと分かる。こうしてビギナーがとっつきやすい面白キャラがいると楽しい。

 

 我々としてはやはりヒロインに目が行く。メインヒロインの禰豆子が良いのは言うまでもない。他にもいる麗しいヒロインといえば、後半に畳み掛けるように魅力を発揮した蝶のアクセサリーをつけた軍団だ。胡蝶しのぶをはじめとしたこいつらが作品の華としてはかなり強い要素をもっていたと思う。蝶のアクセ軍団を端から落としにかかる炭治郎の天然イケメンアクションが見られた後半エピソードは、ややギャルゲーシナリオぽくて楽しかった。

 

 胡蝶しのぶはもちろん、カナヲやアオイもツボる要素があって良い。マッサージとかしてくれるチビ三人衆も可愛かった。

 特に胡蝶しのぶはイケる。戦場を蝶のように舞い、蜂のように鬼を刺す美しき剣客でかなり惹きつけられる。彼女の仕事ぶりは、鬼滅界の三杉淳と言って問題ないだろう。笑顔でサックリと殺しを遂行する面から最初こそサイコパス女に見えたが、後に入る姉との回想シーンを拾うことで、そうではないまともな人間だと分かる。姉との回想がなかったらマジで怖いだけの女になるところだったぜ。それにしても早見沙織の芝居が良い。

 

 視聴一周目ではそこまで刺さらなかったカナヲだが、二周目を見るとやっぱり可愛い!ということで好きになった。己の次なる行動の一手を他者に委ねるという主体性の無さに気味の悪さを感じる歪なヒロイン性が目立っていた。炭治郎がカナヲと行ったお茶をぶっかける修行がちょっと楽しそうだった。カナヲを演じた上田麗奈は、ここ2、3年私の中で赤マル急上昇中なので、中の人もセットで推したい。

 アオイのツンケンした感じも可愛くて萌えだった。

 

 こんな具合に鬼滅には推せるキャラが結構いるので楽しい。 

 キャラの個性も光って良いが、大正時代の日本というともすれば地味な世界観を華やかにするキャラクター達のおしゃれな和服も良いものとして目立っていた。鬼滅キャラの衣装はバエる。時代背景ならではの古風なデザインを踏襲しつつも、現代人に響くよう巧みに改造された衣装デザインはどれも秀逸である。田舎者が身につけるチャンチャンコやさることいったものでも、柄やカラーを調整することで確実にシャレオツに見せる仕組みが素晴らしい。結局のところ、和服とは日本人のおしゃれ魂の原点なのである。

 美術の面でも良かったため、キャラの髪型や服装を真似た鬼滅コスプレイヤーも腐る程生まれたという。この点からも鬼滅の社会現象たる要素が伺える。

 

最後に

 こんな具合に鬼滅の刃には良き点がたくさんある。どうして世間様にこんなに受けたのか、それを探ることもテーマの一つとして再視聴したわけだが、実を言えば世間の意見なんてどうでも良いのだ。それよりも大事なのは外でもない私自身がいかに楽しめるかである。異能力バトル、兄妹愛、友情、努力といった古くから愛される清き要素をたくさん詰めて、上手いこと仕上がった面白い作品だった。

 

 テレビアニメはまだ敵を全然倒せていない状態で終わっていて、オチまではかなり距離があると予想する。原作は知らないが、禰豆子が幸せになることをオチとするのがセオリー通りだと思うので、今後は少しずつそこに近づいて行くのだろう。

 

 アニメの後半では、こちら側の最強軍団である柱達、向こうの最強軍団の十二鬼月の上位メンバーが登場し、ワクワクさせておいてスパッと終わっている。他作品でいうところの「七武海」「十傑集」みたいなこの手の最強軍団の存在にはワクワクするので、まだ未知数な各人のすごい能力が見れる続編アニメも楽しみである。

 今のところ一番気になる能力者が恋柱の甘露寺蜜璃である。妄想癖強めな変態チックな点、見た目がエッチな点、そして声が花澤香菜ということだけでも気になるが、水や炎の柱がある中で「恋」とはどういうことなのだろう。ワンピースのハンコック的な要素のキャラなのか。今後の彼女の動向に最も注目したい。

 

 公開中の映画は故あって劇場ではチェックできない。まぁBDになってからゆっくりチェックや。

 劇場版も連投で主題歌を担当したLiSAの新曲「炎」は先にチェックしたが、かなり良かった。個人的には紅蓮華よりもこういうテイストの曲の方が好きかもしれない。ガルデモ時代から活躍を追っていたLiSAの名前も作品と共に広まったことが嬉しい。

 

 

 そんなわけで令和時代を牽引するスーパーアニメの鬼滅の刃の今後に期待だ。

 

 

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