こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

2021年のアニメ感想(4月~6月)その7

 

 

 

いたずらぐまのグル~ミ~

 その昔、私の妹が「取ったど~」と言いながらゲーセンから持ち帰ったぬいぐるみが、このアニメの主役のグル~ミ~だった。あれから幾日が経っただろうか。まさかアニメでまたあのクマに会うとは思わなかった。

 

 トマトでも泥棒したのか、それとも人を襲ったかのか、くらいしか予想がつかない手の赤き汚れが目立つのがグル~ミ~。ぬいぐるみで初めて見た時には、コイツどういうキャラ設定なのだろうと思ったものだ。で、今回分かったが、めっちゃ男の子を襲っていた。手が赤いのは、その返り血なんだな。可愛さ、凶暴さ、グロさが混在したカオスなマスコット、それがグル~ミ~だ。キティちゃんやけろっぴで大きくなって来た私としては、刺激強きニューマスコットキャラだ。

 

 作品はコミカルなショートアニメでとても見やすい。花江ボイスの少年とグル~ミ~は飼い主とペットの関係っぽいけど、グル~ミ~がとにかく男の子をボコって終わる。毎話激しいボディコミュニケーションを見ては笑える。可愛いけどグル~ミ~のいたずらが過ぎる。

 

 グル~ミ~の声って山ちゃんだったのかぁ。そういえば先日山ちゃんが謎のアイドルと結婚したと知った。おめでとう!

 

 自宅ピンポンを鳴らしたテレビ集金人をグル~ミ~がボコって撃退する回は、やや風刺がきいていて爽快だった。

 

オッドタクシー

オッドタクシー(1) (ビッグコミックス)

 トドのおっさんタクシードライバーが主人公の地味めなお話が展開する。

 登場キャラは、可愛いらしい動物の擬人化デザインになっている。最初こそかなりファンシーな見た目のキャラ達による安心して見ていられる物語かと想えたが、どうやらそうではない不穏な気配が徐々に濃くなって行く。これも同じく動物擬人化アニメ「BEASTARS」のごとく、途中で従来作品とは明らかに毛色が異なる物だと気づく仕様になっている。導入からオチに向けて、良い意味で作品イメージを裏切りすぎ。

 

 キャラ同士の会話劇がとても面白い作品になっている。コミカルな人物同士のトークが跳ねる笑えるだけの作品に終わらず、随所にブラックユーモアが見られ、そして後半に向けてはユーモア抜きのマジでブラックな事件に迫るミステリーもの要素が濃くなって行く。

 

 主人公はあくまでおっさんタクシードライバーの小戸川だが、複数人登場するコミカルなキャラ達それぞれの物語を描き、その中で客員の心情にも迫る群像劇テイストも取られる。入り組んだストーリーと人間模様が、オチまでしっかり楽しめる構成がすごい。

 特に最終回で見せる怒濤の伏線回収劇はすごい。この作品、見た目はこんなに緩い感じなのに、中身は硬派で骨太のマジですごい作品なのだ。本当に感動した。考えたヤツはすごい。

 最終回で分かる小戸川の秘密、そこからいわゆるミスリードにまんまとかかっていたことに気づいてからは、目から鱗が落ちること必至。映画「シックス・センス」のオチを見た時みたく「やられた~」となる最終回だった。

 間抜けな物語を量産する昨今のテレビシーンにおいて、ここまでエッジの効いたものを令和になってもまだ上げてくるとは予想外だった。業界のアイデアの枯渇を嘆くにはまだ少し早い。

 

 おっさんなのに良い声で主人公を演じた花江夏樹の芝居の技術が良し。彼のヒット作となった「鬼滅の刃」の芝居よりもこちらの方が好き。低いテンションで淡々と語彙豊富に面白いトークを展開する小戸川のセリフにも注目出来るものがある。ミスチル好きなので、小戸川がミスチルの「GIFT」の歌詞を抜粋してツッコミを行ったシーンがあったのが嬉しかった。

 カポエラで人生のあれこれのピンチを乗り越える武闘派ヒロインの白川さんは面白可愛かった。

 ダイモン兄弟、樺沢をはじめとした復数のネタキャラ達の役に、ネタを作るプロのお笑い芸人を起用している点も上手い演出だったと想う。ダイアンの二人も参戦していたが、二人共声に特徴があるなって思える。

 

 挿話のようで実はそんなことのない重要なお話だった第4話「田中革命」のエピソードは、かなり濃く記憶に残るものだった。このエピソードは面白くて好きだった。

 田中という何でも無い男が、ゆっくりと確実に人に害をなすだけの黒き心を成長させて行く過程が描かれている。ガキがレアな消しゴムを集め、おっさんになったらスマホゲーでレアガチャを引くという簡単な話に見える一方で、このような過程を踏んでただの一般人が犯罪者の道を歩むようになるのかという説得性もある妙にリアルで怖い話だった。田中の心の闇が育っていくエピソードは、大変良く出来たものだった。

 

 全てがすっきり解決したと思えた最終回後半の展開もまた裏切りであり、皆まで映さなかったラストの先の世界では、小戸川はきっととんでもない目にあうのだろうと予想出来る。すごく後味が悪いがオチだが、最後まで素晴らしいスピード感で魅せた素晴らしい作品だった。

 全体的に不作な感じがあった春アニメだが、そんな中で地味ながらも光る秀逸な作品がオッドタクシーだった。これは出会えて良かった作品だった。令和1位のダークホースとなった。

 

キングダム(第3シリーズ)

 去年の4月から放送してすぐにコロナ休止。それからは先輩作品「未来少年コナン」に場繋ぎをしてもらい、ぴったしまるっと一年越しに放送再開。

 NHKには、存続中に本作を無事放送する仕事だけはなんとかやってほしいと願っていたので、実現出来て良かった。これの続きを作るために、最近のNHKは小遣い稼ぎに一生懸命になってたのかな。

 

 1クール丸々函谷関の大戦争を描く。でもまだ終わっていない。普通に夜を越し、日付を変更してもまだ戦いは終わらない。すごくスタミナがいる戦いだなと思える。

 去年は高い砦にカラクリを用いて橋をかけてさぁ突入だ!という良い所で放送がプッツンだった。あの続きからしっかり見る。

  

 とにかく敵も味方も数が多い。であれば登場人物も多め。困った事に顔と名前が覚えられない。私から見れば外国人、しかも昔の人間ということで名前は字面、語感としても頭に入って来づらい。

 

 しかしお話は迫力満点に見せていて面白い。バトルシーンは熱い。とんでもない数の兵隊が同時に動いて行う大合戦は迫がある。同じ戦争でもこの点は、ガンダムとかの宇宙で行う物とは違う緊張感がある。

 

 戦闘を除いてのハイライトとなったのは、ラッキーアクシデントの中で信と河了貂がマウストゥマウスでキッスしたシーン。ドッキドキしたぜ。

 名だたる豪傑のおっさん達に混じって戦場で輝く女将軍媧燐は気になる人物だった。戦場を駆ける強いヒロインには注目出来るものがある。彼女が今後何をやらかすのかにも注目したい。

 

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。

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 変わったタイトル。中身を見ても変わったアニメだった。

 タイトルの感じからするに、昨今では腐ったものもあるくらい多く見る出落ちタイトルラノベのようなペラッペラな話かと思いきや、中身は意外にもしっかりしていた。タイトルで食わず嫌いのスルーをしては勿体ない一作だ。

 

 リーマンの吉田さんが、とっても可愛い家出女子高生のサユちゃんを拾ってきて家で面倒を見るという話。

 

 男性機能の存在が疑わしいと思える程に下心無く善意オンリーでサユちゃんに接する吉田さんはファンタジー過ぎる。悪いけど、序盤だけはそんなことを思っていた。吉田さんは本当に音が真面目で心が綺麗で格好良いお兄さんだった。

 独身でしっかり仕事をしていれば、JKの一人や二人世話するには問題ない吉田さんのしっかりした経済事情が見える点は逞しい。金、持ってるんだなぁ~。

 若い女が近くにいれば、それまで髭の始末を怠る男も自然と身奇麗になって行くという事情も見えた。

 

 家にはJKのサユちゃんがいて、会社には可愛い後輩OLの三島さん、Hカップの先輩OL後藤さん、そしてサユちゃんのダチにはギャルのあさみちゃんがいる。こんな感じで可愛い子ちゃんに囲まれる吉田さんの勝ち組人生ルートが出来ているのだが、ラブコメ要素は濃く見られない。

 本作でしっかり描かれるのは、リーマンとJKの他人同士が、性別、年齢、そして男女感に生まれる下心をも越えた絆で深く結ばる人間関係にある。これはすごい事。

 

 友人の死、劣悪な家庭環境を乗り越えて成長するサユの物語には、実際に社会にありがちなリアル性も見えた。なんだかエッチで楽しげな世界観を容易に想像しやすいタイトルだが、扱うテーマはシリアスで真面目。そして人間の真実性を掘った心理描写も盛り込んだ文学的要素もあって見応えがあった。

 

 登場するヒロインは皆可愛くて萌える。シナリオも良かったが、普通にヒロインのビジュアルが萌えなので、それだけでも満足。

 サユちゃんはとにかく可愛い。今期のイチオシヒロイン。

 ガキとは思えないナイスバディなサユちゃんを前に、全編に渡り心に棲まう男の性を殺し続けた吉田さんはすごい。この精神力の強さは見習う価値がある。

 サユちゃんの放った名言にして最大限男を誘惑する言葉「触れないHカップより触れるFカップ」は、パワーワードが過ぎる。グッと来るセリフだった。

 サユを演じた市ノ瀬加那の演技も良い。ダリフラのイチゴちゃんを熱演した時から「この女優は伸びるぞ」と思ってその後も注目して彼女の芝居を追っている。

 

 なんかうるさくて犬っぽい可愛さのある三島さんも良かった。ちんちくりんな後輩キャラだけど、吉田さんに対して一生懸命アピールしているのが見える点に萌える。石原夏織の清涼感ある声も良かった。

 百戦錬磨に見えるのはポーズだけで、実はバージンだった宣言をした後藤さんにも萌えた。

 

 あさみがサユのことをサユチャソと呼ぶのが引っかかる。お笑い芸人のナイツが、クリリンをクソソソって読むネタを見せたことがあったのを思い出す。「ン」に似てる「リ」も「ソ」も全部「ン」で発音するというユーモアあるギャル文化の言葉遊びがここ見られた。オモロい。

 

 最終回はホロリと来るものがあり過ぎる。

 サユちゃんのかけがえのない想いを優しくかわすことで真心を示す吉田さんは心がイケメン。感情移入できない、または普通に不快になるモテ男主人公って結構いるけど、吉田さんは良い。

 

 素敵な出会いと別れを描く綺麗な作品だったが、善意オンリーでも高校生を拾ってくるのは犯罪スレスレっていうか、四捨五入するとしっかり犯罪になるらしい。そのことは自覚していると、サユの母親の前で吉田さんも告白していた。

 TPOスレスレを攻めるエッジの効いた設定が光る作品になっていた。というわけで、コレを見てそこらの道端に座り込んでいるJKを探そうなんて想う変態紳士諸君は気ぃつけや。

 

不滅のあなたへ

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 流転する命の物語を描く堅実にして哲学的ファンタジー。さすがNHKで流すにはマナーの良いものだった。

 

 名もなき無機質な白き球体が主人公。球体の主人公は、命に触れることで、その姿を学び取って変身する能力を得ることが出来る。色んな生命の起源を辿って成長してく主人公は、その中でやがてシキと名乗るようになる。シキの目を通して命のあり方を学べる上質なファンタジーが楽しめた。

 

 大人になれずに命の花を散らしたマーチ、顔を失うことでそれまで普通の人間の道を歩めなかったグーグーが、命の最後には等身大の愛を掴む、などの悲しくも美しき物語が見える。ストーリー、演出、役者の芝居、どれを含めても心掴まれるものがあった。

 

 あの「聲の形」と原作者が同じだとのこと。人が亡くなる悲しき未来も待つ物語だが、道徳的によろしいと想うので、小学生にもオススメしたい。字面オンリーの話をすると、現在小学生に大人気の「鬼滅の刃」とタイトルが一瞬だけ被る。

 

 華のあるヒロインのリーンは可愛くて萌える。ポワポワした役が多めの石見舞菜香が、ハキハキ喋るお嬢様のリーンを演じたことで、他とは違った魅力が見えて良かった。

 抑揚無く淡々とこなす津田健次郎のナレーションも惹きつけられるものがあって良い。渋い声がお耳に心地よい。

 

 宇多田のヒッキーが歌うOP曲も味があって好印象だった。

 

フルーツバスケット The Final

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花とゆめ」という少女漫画雑誌で連載された作品が原作のアニメだが、これに関してはもう一少女漫画コンテンツの域を越えた人生哲学が詰まった学問書くらいに思っている。素晴らしい作品だった。

 平成時代に放送したアニメ一作目は原作の途中で終わっている。それを令和に入ってしっかり原作完結までアニメーションに起こすプロジェクトを立ち上げ、無事成功させたことが素晴らしい。良い仕事をしている。

 

 新旧作品どちらも一流の役者が登板して作品を盛り上げたことが印象的。今となっては大女優の堀江由衣からの大いなるバトンを受けて、新作シリーズで主役の本田透を演じきった石見舞菜香の活躍がグッジョブだった。役者経歴としてこの作品の主役を演じきったことは、明日からでも強い名刺になる。

 

 ファイナルシリーズでは、一話一話の見所と盛り上がりが凄く、毎話カロリーを持っていかれる。そういった事情から面白いけど疲れる。とにかく素晴らしい作品だった。

 今回の見所は、全てが収束に向かっていく展開にあり、それは見られるものだった。つまり全話において気が抜けない状態だった。中でも長らく謎だったアキトの内面を抉り、彼女の秘密と真意に迫る物語、十二支の呪いの解除、そして透と夾をはじめとした男女客組のラブの関係をオチを見ていく展開が強い見所となっていた。

 

 十二支に変身する能力を持った人間がメインで出てくることで、表向きにはファンタジックな物語に見えるが、この作品が真に言いたいのは、人間心理の真実性であり、そこから生まれる優しい人間ドラマなのだと想う。フルバには人生哲学がたっぷり詰まっている。登場人物客員のリアリティある心理描写には心掴まれるものがある。

 

 悪意に満ちた想いや暗く複雑な人間心理も見えるストーリーの中で、ブレずに一貫して清く美しい心を持つ透の存在を一番光らせた作りが最高に良い。透がいることで、何があっても世界観が清いものとして強固に保たれている。そんな感じだから、出てくる皆が透を好きになり、透に助けられもする。清潔感マックスで毒気ゼロの本田透は、キャラ性として秀逸だし、ヒロインとしてもすごく萌える。時代を越えて愛せるキャラクターだった。

 

 フルーツバスケットではまさかのおにぎり、ギリギリ遅れて十二支に入れなかった猫というそれぞれ番外編的要素を持つ透と夾が、無事ゴールインするオチが見れたことに安心。透も可愛いくて好きだけど、夾も優しくてイケメンで良い。

 後半からは、ツンデレ美人の真知の良さにも気づいて萌えた。

 皆が笑えるハートフルな締めとなり、これにてシリーズ完結。最高だったわ。最終回は泣いた。

 

MARS RED

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 古き良き明治時代を舞台に展開するヴァンパイア戦士達の物語。

 日本軍隊の一部隊員のみが所属する秘密機関には、とんでもなく強いヴァンパイア軍人がいた。闇夜に紛れて悪を討つ彼らヴァンパイア戦士達の儚くも悲しく、そして強い生き様が描かれたものになっている。

 和風な世界観で硬派な軍人とヴァンパイアの要素をかけ合わせるという珍しい設定が楽しめた。

 

 原作は漫画や小説でなく数年前に行われた朗読劇。原作が朗読劇のアニメとしては、日本初作品となるとのこと。日本アニメ史に打ち立てられた新しき歴史ココにあり、というわけで気合を入れて見る。

 

 スマートな仕事ぶりを行う格好良きメンバー達の中に、小太り中年軍人の山上さんというビジュアル的に逆に目立つ存在がある。ヴァンパイアのランクでは皆よりもやや劣る人物だが、人情に厚くて心は男前で好きだった。決してイジメではなく、結構人気者なことから仲間に良い感じにイジられる愛されキャラでもあった。

 

 普通の人間とは異なる人生を歩むヴァンパイア戦士たちが時より見せる世捨て人の哀愁には儚いものを感じる。

 

 合間に挟まれるデフロットの「サロメ」の演劇も印象に残る。沢城みゆきのクールな芝居が良かった。

 折笠富美子の声が好きなので、彼女が元気に演じた白瀬葵にも注目。男に負けじと元気に駆け回る女性記者である点、物語の舞台となる時代背景が近しい点から「はいからさんが通る」の主役ヒロイン花村紅緒を思い出した。

 

 

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