「ウマ娘 プリティーダービー Season 2」は、2021年1月から3月にかけて放送された全13話のテレビアニメ。
2018年放送の一期から3年後に展開した二期もとても良かった。
最初こそ「馬の擬人化だぁ?」「なにがプリティダービーじゃ!」とツッコんだものだが、パッと見冗談みたいなこのプロジェクトがこんなに素晴らしいものに成長するとは思わなかった。
アニメ二期はマジで熱く、その熱を受けて現在はゲーム版もすごい盛り上がりを見せている。このウマ熱は大変嬉しい。
今期も冗談くらい大量のアニメが放送されたが、個人的にはその中で最も良かった、または好きになったのがウマ娘二期だった。
もはや日本アニメはクソ、ゴミばっかり。
もうアニメなんて、もっと言えばテレビがオワコン。
どうせ斜陽産業。
良い原作も無く、もはや業界はアイデアの枯渇を迎えている。
などなど多彩なディスりを食らうこともしばしばなのが昨今のアニメ事情だが、そこへ来てこんなに素晴らしい作品を産むなんて、まだまだ出来るじゃないか日本アニメ!
日本のアニメ業界はまだまだ衰退には遠い。むしろここから伸びる!まだまだ元気だ!と言わしめた活気ある名作となったのがウマ娘二期だった。とにかく良かった。コロナの煽りも受けて元気が落ちつつある業界に希望の光を見た。
そんなこんなでとにかくこの作品に感動した。本当に出会えて良かったコンテンツだと心から思う。そんな私がウマ娘二期のことをあれこれ振り返ろうと思う。
今回の主役
アニメ一期ではスペシャルウィーク、サイレンススズカをメインに物語が展開したが、今回は同じくスピカのメンバーであるトウカイテイオー、メジロマックイーンをメインにした熱き物語が展開する。スピカメンバーの中でも合流が遅れた新顔二人が見せる新たな物語がとにかく熱くて心が震え、そして泣ける。
トウカイテイオーがシンボリルドルフに憧れてトレセン学園の門を叩くまでの過程から描かれる。よりチビの時代のロリテイオーを楽しめる第一話は必見。ルドルフ会長がテイオーを気にかけて可愛がるという二人の師弟愛が濃く見える物語性も良かった。それにしても会長は美しい。
明るく元気に歌って踊るウマ娘のイメージが強かったトウカイテイオーが、度重なる怪我に苦悩し、レース引退を決意するまでに追い込まれる過程が描かれる。飄々とした少女に見えるテイオーにも実はあった内なる葛藤、それを熱き競技者魂で乗り越える戦いが見どころになっていた。
OP曲の歌詞にもある素敵なフレーズ「仲間でライバル」のテーマ性が随所に見られるのも作品の良さであり、泣かされるポイントになっていた。テイオーとマックイーンは同じチームの仲間であり、ライバル関係にもある。互いが互いを高め合う関係性は爽やかであり、格好良い。それから二人ともめっちゃ可愛い。
テイオーが怪我による困難な壁に当たれば、マックイーンも怪我を患うことがあった。その都度互いが互いを支え合って困難を越えてまたレースに戻る展開には美しき女の友情を感じた。この二人のカップリングがナイス過ぎる。
同門のライバル同士での対決が叶うシーンでは、どちらを応援すべきかとハラハラした。史実に基づいた物語なので、競馬ファンならオチが分かっているのだろうが、こちらは素人で何も知らないから毎度ハラハラとワクワクが止まらなかった。
「負けても泣かないでくださる」とレース前にふっかけたマックイーンが格好良かった。
ライバルのテイオーにばかり気を取られてレース全体を見失っているマックイーンを叱咤激励するメジロ家のおばあ様の言葉が忘れられない。小さい頃マックイーンに読んであげた「うさぎとかめ」の物語になぞった格言を放つのだが、これが勝負への心得を見事に捉えた素晴らしいものだった。
うさぎは亀を見ていた、亀はゴールを見ていた。
このセリフには感動した。今期アニメ全部を含めて一位の名ゼリフだったと思う。これを考えた人がすごい。
ライバルの存在は確かに己を高める重要なものだが、それよりもっと大事なものはゴールの先にある。勝負にも試合にも勝つ。これが一流の勝負師であるという年長者ならではの矜持が語られた名シーンだった。これぞ名門メジロ家ボスのセリフだと思った。おばあさまの声がハマーン様だった。
マックイーンに負けて無敗の三冠娘の夢が崩れたことで一時競技者として気の迷いが生じるテイオーを描く点は印象的。
なんだかんだあっても勝利したい気持ちを抑えられるウマ娘はいないというマックイーンの言葉が心に残る。その通りで、一時は調子を落としたテイオーも勝利したい願望がこみ上げて調子をあげていく。調子を落としてレースにボロ負けしてもまだ悔しいと思えたことに競技者として死んでいないと希望を得たテイオー復活のシーンには共感出来るものがあった。勝者、敗者問わず挑戦者の心理が良く描かれている。
度重なる怪我により遂に引退を決意するテイオーのシリアスな物語も描かれた。そんなテイオーの引退に至る決定打となったのが、調子をあげて風のように走るライバルマックイーンの姿を見たことだったのが痛い。それと知らずテイオーの復活したい思いを打ち砕いたマックイーンがいることが残酷だ。
第9話ラストシーンで、マックイーンに置いて行かれるイメージを見て涙ながらも自分はもうあんな風に走れないと答えを出すテイオーが可哀想すぎて寄り添ってあげたくなった。無邪気にタイムを尋ねるマックイーンがいて、悲しくてストップウォッチを押すことも出来なかったテイオーがいる構図は、勝負の世界の残酷さを描いたもので心に残る。
ツインターボはじめ、多くの者から引き止めを食らってレースの世界に戻ったテイオーを描いた直後、今度はマックイーンがウマ娘不治の病を患って選手生命維持が難しい状態に追い込まれる。本当に苦難の道を行く二人の物語に胸が痛くなり、熱くもなる。
選手生命が絶たれることを受け入れられないマックイーンの複雑な心境が描かれる展開には緊張感が高まった。
毅然とした美しきメジロ家のお嬢様が、もがき苦しんだ末、雨の中ずぶ濡れになって泣き崩れる12話後半シーンには強烈な印象を受けた。ここまでなにもかも曝け出して泣くマックイーンの姿にショックを受けた。激情を迸らせるマックイーンの作画、情感を込めてマックイーンを熱演した大西沙織の芝居が凄まじく良いものだった。このシーンの芝居を見て、これまで大西沙織という女優を推して来て良かったと思えた。こんな時にいやらしいが、普段キリリとした乙女が涙を見せるというギャップには素直に萌えもした。
マックイーンの無念を背負って臨んだ復帰レースでビワハヤヒデを下し、見事一位を取った最終回のテイオーの走りには感動しかしなかった。仲間達からモブまで、皆が泣いた最終回レースの描き方は素晴らしい。レースを盛り上げた明坂聡美の実況の功績も忘れてはいけない。
テイオーを応援したいけど、負けるところを見るのは怖い。そう思ってなかなか会場入り出来ない最終回のマックイーンが可愛い。最終回のマックイーンは、たっちゃんを見守る南ちゃんみたいなメインヒロイン感がすごくてキュンキュンした。マックイーンの涙が美しい。
テイオー、ビワハヤヒデ、ナイスネイチャの三人で「ユメヲカケル」を披露した最終回のウイニングライブが可愛すぎる。CGに甘えずに手書きで作り込んだこのライブシーンは必見。録画したのを何回も巻き戻して見ている。
ステージの上ではめっちゃアイドルしているネイチャの投げキッスに脳が殺された。一位のテイオーがセンターを張るステージなのに、最終回のウイニングライブでは他の二人を食う勢いでネイチャがめっちゃ可愛いかった。スタッフがネイチャ好きだろと思える。三位の分際で可愛さがすご過ぎる最終回のネイチャに注目。
一期OVAを見てハマったビワハヤヒデは、頭でっかちだけど美しいキャラでかなり良い。格好良くてクールでエッチなのが良い。炭酸抜きコーラの有効性を説くのが名シーンになっていた。
テイオーとマックイーンが再びグラウンドを走ったところで、伝説の曲「うまぴょい伝説」が流れてエンドだった。一期同様、オチに持ってくるナンバーは伝説のこの曲だったな。マジで泣けた。
泣かせるばかりでカロリーを持っていく回が続く中挟まれた箸休め回となった11話も萌え萌えでよかった。テイオー、マックイーンのハロウィンデート回となり、可愛すぎて死ねる出来だった。
この回ではキタサンブラック、サトノダイヤモンドのてぇてぇ(尊い)カップルにも萌えまくった。
ヒールからヒーローになったライスの話
二期ではライスシャワーがヒールからヒーローへ、180度違う立場に転身する物語も濃く描かれている。とにかくライスが好きになるライス愛ある構成になっていた。
調べたところ、ライスは1989年生まれのお馬さんであり、現在は天国に旅立っている。このような形で自分の人生を描かれたことを天国のライスはきっと喜んでいるだろう。
ミホノブルボン、メジロマックイーンら人気者達の記録がかかった大会で、記録潰しに出たヒールとしてブーイングを食らったライスが、心を痛めてレースを辞退する展開が描かれる。ただ皆に認めて欲しかっただけなのにブーイングを食らって悲しかったと告白するライスを見たらマジで可哀想になった。馬券を買っているという厳しい事情もあってのことだろうが、素直に勝利者を称えることが出来ない観覧マナーの無さはちょっとどうなの?って感じ。
ここでライスの精神を保つべく動いたのが、サイボーグウマ娘のミホノブルボンだったのが意外。自分に勝ったお前はヒーローだと不器用ながらもライスを称賛するブルボンの愛が見えたのが良かった。無感情キャラと思ったら意外にも思いやりのある優しいヤツでミホノブルボンが好きになった。
ミホノブルボンがマジカワイイ。こいつだけトレーナーを「マスター」呼びするので、テンションがFateのサーヴァントぽかったのも印象的だった。レース衣装が初音ミクが着ていそうな奇抜な物だったのも記憶に残る。
ライスがマックイーンに勝つレースを描いた8話はマジで泣けた。この暗いキャラをここまで持ち上げる展開があるとは思わなかったので度肝を抜かれた。
普段は前髪で隠れたライスの片目が、本気モードになると出てくる描写が格好良かった。精神集中したら青い炎が宿るシーンも良い。
「ライスはヒールじゃない、ヒーロだ」のセリフにも痺れるものがあった。
個人的には鬼太郎、トロワ・バートンに次いでハマった片目隠れキャラがライスだった。
マックイーンとのレースに勝ってブーイングをもらったライスに対してブルボンが言った「ブーイングはチャレンジャーの勲章」というセリフに救いがあって泣ける。勝って幸福を掴む者がいれば、その裏には必ず負けて悲しむ者がいるという勝負の世界の真実を説くブルボンの言葉には胸打つものがあって良かった。
今回シリーズでは、ここ二人の友情も間違いなくハイライトシーンとなった。
ライスを熱演した石見舞菜香の脳みそをとろかすボイスも良かった。本気を出した花澤香菜レベルにIQを下げる癒やしボイスだったと思う。ライスの歌う「ささやかな祈り」も名曲だった。
ライス主役回では、OP絵が差し替わるという特殊フォーマットも見られた。このあたりの芸の細かさも評価出来る作品だった。
アニメではトレーナーとの絡みがなかったが、ゲーム情報によると、ライスはトレーナーをお兄様orお姉さま呼びしてくるとか。この感じで妹萌え属性を出してくるとか危険人物やな。
チームカノープスのメンツが面白い
スピカ、リギルに次いで新しく登場した軍団がチームカノープスだった。アニメ一期のどこかでメンバー募集のポスターが学校に貼られていたが、チームとして可動することになったのは今回からのこと。
前作から結構登場していたナイスネイチャ、今回からの新顔ツインターボ、イクノディクタス、マチカネタンホイザの4人からなる面白いチームになっている。ネイチャは常識人で、あとは曲者となっている笑えるチームバランスなのが良い。
この4人のウマ娘なのだが、調子にムラがあるのか、粒揃いながらもなかなか勝ちきれないという点から大変応援したくなる。
ネイチャも二期を見ればコイツが好きになると言える良き味を出したキャラだった。テイオーに勝つのが夢だと言ってとにかく頑張る姿が美しい。負けて「くそぉ!」と本気で悔しがるのを見ると、勝たせてあげたいと思ってしまう。演じた前田佳織里はラブライブのニジガクのやつにも顔を出して鍛えているので、芝居と歌がとても良いと思える。
最終回で特にネイチャが化けたと思う。最終回のウイニングライブでのネイチャが死ねる程可愛すぎてビックリだった。こんなにステージ映えする女だったのか。
まともに見えて結構ネタキャラの一面もあったイクノディクタスもキャラが立っている。イクノがターボにキン肉バスターを食らわせているシーンがあったのには笑った。
ほんわか系天然さんのマチカネタンホイザはめっちゃ可愛い。神社でなんかゴニョゴニョとお願いをしている最中に鈴が落ちてきたのを食らって鼻血を吹くシーンが面白可愛い。美少女なのに鼻血ブーのシーンがあるとかウケる。実際にマチカネタンホイザはレース前に鼻血を吹いたことがあったと聞く。小ネタまで史実から引っ張ってくる器用さが見られた。
一番化けたのはツインターボ師匠の存在だった。まさかこんなおバカに泣かされるとは思わなかった。ツインターボの頑張りには大変泣かされた。
引退を決意したトウカイテイオーを情熱だけで引き止めにかかるツインターボの頑張りが見えた10話はマジで泣く。ターボの熱意とキタサンブラックの献身的な愛でレースに戻ってくるテイオーを描いた10話の泣かせる展開は不意打ちだったのでビックリした。
テイオー引退ミニライブをジャックしてツインターボ魂の走りをモニターに映す作戦を考えたのがカノープスのトレーナーだった。クセの強いメンバーに振り回されるだけの昼行灯だと思えた彼が、ここ一番で男を見せたのもまた良かった。それにしてもミニライブの割に人集まりすぎ。
諦めないことが勝利への鍵となることをかつてターボに教えたテイオーに、今度はターボの方からこれが諦めないってことだと教える展開が見られた。この熱いメッセージのキャッチボールには、やっぱり熱いから心も熱くなる。
魂の走りで逃げ切って一位を取ることでテイオーに諦めるなと伝えたターボの男前な一面には惚れた。一位を取って倒れ込んだターボの全て出しきって満足な表情がイケメンなのも良かった。
こんな感じでただのおバカと思ったツインターボが、意外にも熱いヤツで仲間想いな点に泣けた。
それまでいつも名前を間違えて呼んでいたテイオーが、この騒ぎをきっかけにツインターボの名前をしっかり覚えるのも良い演出だった。
その他小ネタ
萌えとスポ根で攻めるのが本番のアニメだが、一期からもちょこちょこ目立つ要素としてぶっ込んでいたのがギャグだった。今回でもクスリと笑えるおふざけパートがたくさんあって良かった。
作品の隠れキャラである大食いオグリキャップが今回でもちょこちょこ登場している。オグリをもっと出して欲しかった。こいつの友達のスーパークリークってめっちゃ可愛いよね。
オグリ、スペちゃんの大食いキャラに次いで、今回からはグラスワンダーもめちゃ盛りで飯を食う大食いキャラになっていた。スズカが海外遠征に行って留守なのを良いことにスペちゃんの彼女ポジを占めているグラスちゃんも可愛い。
皆がウマ娘らしく元気に走って登校するのに、ゴルシだけセグウェイで学校に来るのに笑える。後に怪我したテイオーが乗ることになるので無駄アイテムでもなかった。アニメにセグウェイが出てきて笑えたのなんてクレヨンしんちゃんの焼き肉ロードのやつ以来だわ。
マックイーンが鋼鉄の蹄鉄でトレーニングする時にゴルシの腰を踏みつける三段落ちのギャグ展開も良かった。
やっぱり基本はふざけているゴルシのキャラも史実通りだとか。ゴールドシップって変な馬だったと聞く。そんな基本ふざけているゴルシの仲間想いで気遣いさんな一面も描かれていた。
レースに負けて傷心中のマックイーンを探しに行くテイオーに、隠れる用の木の枝を渡した何気ない気遣いは良かった。テイオーの引退宣言を受けてスペちゃん、ウオッカ、スカーレットが泣いて引き止める中、引き締まった顔でただ「戻ってこい」とだけ言うゴルシには男前な一面を見た。肝心なところで欲しい言動をくれる頼もしさを持つスピカ最古参メンバーで好きになるウマ娘だった。
アニメ一期の段階で既に「ゴールの人」のイメージが定着していたヒシアマゾンのネタいじりが見られた。本人不在でもゴールの人として使えるよう、ヒシアマゾンが印刷されたゴールパネルやゴールの旗が商品化されてレースに使われているのにウケる。
今回新たに登場した愛すべきギャルコンビのダイタクヘリオス、メジロパーマーも良い味を出していた。それにしてもギャル語はよく分からん。
「表はあっても占い」という占い館を経営しているマチカネフクキタル、その相棒のメイショウドトウのコンビも良い味を出していた。
救いはあるのかないのかをやたらと聞いてくるメイショウドトウがちょっと面白い。
マチカネフクキタルは招き猫を背負って走っているけど、アレ絶対邪魔だろうって思う。
ウマ娘の活躍ももちろん良かったが、今回はモブのくせして準レギュくらいになっている面白いキャラも追加されていた。
失敗の多い美容師とヘルメットの客の二人の攻防、やたら説明口調でいつもレース場にいる二人組のオタク、このご時世に昭和ルックスなヤンキー男たちなどがそう。本編進行のためにはこれといって用のないキャラだが、物語を邪魔することなく華を添えていたので良かった。
まとめ
一期よりもシリアス展開が目立ったが、そこを越えて栄冠を掴む展開を描くことで、一期よりも熱い物語が楽しめた。とにかく泣けるポイントが多く、涙と鼻水がたくさん出た。そのためこの作品を見る度にティッシュが減って困った。
今期一番熱かったアニメだったので、これで終わらず5期くらいまで作って欲しい。ゲームでアホ程稼いでいるらしいので、次もきっと作ってくれるだろう。とりあえず作るだけの資金は集まると期待する。
最終回ではキタサンブラック、サトノダイヤモンドのロリコンビが大きくなってトレセン学園に入学するところで終わっている。こうなると二人がレースデビューして強くなる展開も見たいものだ。貴重なガチロリ枠だったのに、大きくなってしまったことで消滅してしまったが、まぁ良かろう。次なる展開にも期待だ。
競馬の世界って素晴らしい!
もううまぴょいから逃げられないぜ!
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