こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

京都修学旅行で始まる新たな恋の物語「メモリーズオフ アフターレインVol.1 折鶴」

 メモリーズオフ アフターレインは、2005年に発売されたPS2のゲームソフト。

 

 メモオフシリーズ5周年を記念して発売されたもので、内容は初代メモオフメモオフ2の外伝的シナリオを描いたものになっている。

 

 2005年の1月から3月にかけ、Vol.1~Vol.3までの三本がリリースされた。月イチ更新で楽しむならまぁ良いかなってくらいなボリュームではあったと思うが、ガッツリ長めだった本編を考えると、ソフト一本にしてはボリューム少なめだとも思った。

 当時を生きたオタク的には、三本を月イチで小出しにされると懐に打撃が来て大変だったのかもしれない。私は発売からずっと後になって、それぞれ数百円で買ったはず。

 

 先日、初代と2を続けて楽しんだ。大変楽しかったのでもっとコイツらと青春を共にしたい。そう思ってシリーズを探すと、まだ物語の続きが見れるアフターレインのシリーズがあることを知った。知ったのならやるしかない。 

 

 我がライブラリ(大変有能な押入れ)を覗くと、PS2版のものがちゃんと1~3まで揃っていることが確認出来た。やったことはないが、どこかで見つけた時にいつかやろうと思って買っていたようだ。

 しかし、これからPS2を出すのはダルい、テレビをつけるのもダルい。家電二機を同時起動すれば電気代もかかる。そんな面倒い想いとケチ心から「手軽に楽しめる携帯機版はないのかよ!」と思ってネット検索をかけると、しっかりあったぞPSP版。しかもこっちならPS2では三本に別れているのがギュッと一本に収まっているではないか。場所も取らず経済的にも良い。じゃあこれを用意するしかない。そんなこんなあって、今回は2009年に発売したPSP版移植版を楽しんだ。

 というか、メモオフの会社もPSPも有能で、なんとメモオフシリーズは1~7まで全部PSP版が出ている。テレビでやるのが面倒い勢には助かる。

 

 ものには順番がある。というわけでそれを守ってちゃんと「Vol.1 折鶴」からスタート。

 

メモリーズオフ アフターレイン VOL.1 折鶴 スペシャルエディション

 

 Vol.1 では、初代メモオフの主人公三上智の目線で再び恋の物語がスタートする。

 内容は、澄空高校の修学旅行を楽しむものとなっている。行き先は古の都京都であり、奥ゆかしき京都風景を堪能できて心が癒える。そして可愛いヒロイン今坂唯笑の存在にもっと癒やされる。本作では、本編の唯笑エンド後からの物語が描かれている。

 

 今回の舞台は学校ではなく、ほぼ京都となる点がかなり新鮮。同時期にメモオフ2の方に出てくる浜咲高校の連中も京都に修学旅行に来ている。そんなわけで、新鮮な要素として、初代と2のキャラが京都で共演を果たすことに注目出来る。

 

 メモオフは三角関係が面白いというのが魅力なのだが、それは前作でクリアしたではないか。じゃあここではどうなるのかというと、京都に行った後になってまた智也の心の傷、つまりはボスキャラでもあるヒロイン桧月彩花の影が見え隠れするようになり、智也が塞ぎがちになってしまう。

 これはキツイ設定なのだが、彩花が交通事故で死ぬ前の中学時代にも、智也達が京都旅行に行く予定になっていたのだ。旅行に行く前に彩花はこの世を去ってしまう。

 彩花と共にあっちに行くこっちに行くという計画を練った愛しい想い出が強く残っていたからこそ、智也は京都の地に立ってから持病のようにして、過去に囚われてブルーになる例のアレを発症してしまう。これを側で見ている唯笑の心中もまた穏やかではなくなるのである。

 

 分かる。智也は決して浮ついたクソ男だとは思わない。彩花を大事に思うからこそ傷つき、それがなかなか癒えないという事情は、心理描写からちゃんと分かる。だが、全部納得する事も出来ない。だって唯笑がめっちゃ可哀想になるから。それに、この感じで自分と唯笑が苦しむ展開は、本編でやり尽くしただろう。智也はもっと強くなれよとも素直に思う。

 傷つく自分の想いを理解した上で、唯笑が自分を気遣うこと。これに対しても遠慮や申し訳なさが生まれ、終いには唯笑の優しさがプレッシャーや苦しみとなり、一緒にいたくないという心境にも落ちていく。込み入り過ぎた状況が、一人の男の心理にここまで暗い影を落とすようになるとは、重い展開だなぁ。

 

 智也の痛みは分かる。でもちょっと女々しいというか、ちゃんと前を向きなよとも確かに思うのだ。そんなわけで、興味深く面白い内容ではあるものの、少々のストレスも溜まるシナリオだった。

 

 すったもんだの末、唯笑ルートのオチでは、今度の今度のこそ雨は上がったのだ、という美しき終わりを迎える。

 どこまでも大好きな智ちゃんを支えた唯笑は功労者である。無邪気に「智ちゃん、智ちゃん」と言ってくるあの感じがたまらなく可愛いヒロインだった。

 可愛いから好きなんだけど、唯笑が制服下に首まで覆う黒いアンダーウェアを着ているのは暑苦しくて鬱陶しい。鋼の意志で鎖骨を見せたくないのか、それともかなりの寒がりなのか、いずれにしても気になるファッション。

 

 一つのルートでは、京都に来てもなお彩花の亡霊と唯笑との間で気持ちがぐらつく展開を見ることが出来た。

 そしてもう一つの変化球だったルートが、同時期に修学旅行で京都に来ていた飛世巴ルートに入っていくことだった。そういえばクラスが違うだけで、巴も澄空高校の生徒だった。2の方では一瞬くらいしか見ることの出来なかった巴の澄空制服姿がたっぷり見れるのは良い。

 このルートは賛否両論あったのではなかろうか。私は巴のことはかなり推しているので、彼女がたくさん活躍すれば嬉しい。しかし、同じ初代のヒロインの誰かのルートならまだしも、それまで絡みの無かった2からやって来たヒロインとくっつくこの展開は意外過ぎ。ファンはどう思ったのだろうか。そして、仮にも唯笑エンドから始まった物語でこうなると唯笑が可哀想過ぎる。

 このルートを進める上で、私はずっと複雑な想いでいた。巴はめっちゃ可愛い、そして唯笑もめっちゃ可愛い。実際この二人に挟まれると、選べないと思う。ゲームで良かった。実際にこんな状況になったら、きっと連日胃が痛むことだろう。

 

 巴にも弟を失った過去があり、その点で智也とは過去に傷持つ者同士惹かれ合う要素がある。唯笑といれば彩花のことも思い出して辛い。でも巴だとそれがなく安心感が持て、そしてノリがボーイッシュで異性ながら気分が楽。そんなこんなで巴に惹かれて行く。

 智也が巴ルートに行くことについて、クソ男の言動だと言う人が幾人かいるかもしれない。だが、智也が安心して巴に心を開いて行く過程で、巴というヒロインの良さをしっかり現していると思う。巴ってやっぱり可愛いよなと思わずれにはいられない。男前なノリでも来るが、しっかりおっぱいがあり、唯笑と比べるとその点は勝っている。やはり良いヒロインだ。

 初代をやり込んだファン的には、唯笑が涙を飲むラストは許せん!とも思うが、これはこれで楽しいルートだった。

 

 愛すべき脇役の稲穂信が退学した後の物語になっている。しかし、お金を貯めて自腹で京都旅行に参加することで、信との青春が帰って来て嬉しい。

 在学中にはおバカなことを良く言うキャラだったけど、一応社会人をやっているので、なんだか信がとても頼もしく見える。

 信周りで気になる点といえば、どうやら音羽かおるとデキかけているっぽい。在学中の二人の距離感てこんな感じだったっけ?

 主役の智也以外のキャラの身の回りの変化も見られた。

 

 初代の人気ヒロインだった双海詩音も登場し、鷹乃とのツーショットを見せるが、この段階で担当声優が引退していたため、ボイスは一切無しだった。男を寄せ付けない高嶺の花感ある二人のヒロインが作品を越えて共演するシーンは目の保養になった。

 鷹乃の登場シーンはvol.1では少なめだが、そんな中でもやはり男を虫に例えてディスる鷹乃節を調子よく飛ばしていた。ブスがこれをやったら許さんが、鷹乃に言われるならまぁいいかってなるのが不思議。

 

 綾音が担当するOP曲「ribbon」、ED曲「After Rain」がとても良い。この2曲がどちらの素敵で、作品をイメージさせるもので好きだった。

 初代メモオフだと、雨が作品の一つの象徴でもあったから、そこへ来て最後に「After Rain」なんて曲が流れると、心が震えもする。

 

 当然続きもやるしかない。次はVol.2に取り掛かろう。

 

 

 スポンサードリンク