「メモリーズオフ6 〜T-wave〜」は、2008年に発売されたPS2ソフト。
後にはPSP、Xbox 360、PS3、Vitaに移植され、今ではなんとSwitchでも遊べる。あっちこっちでリリースされ、多くの人が遊べる作品になっている。良いものはどんどんあちこちに広めて行けば良し。
そんな顔の広いメモオフ6だが、発売に漕ぎ着けるまでは色々と大変だった。
メモオフとかインフィニティシリーズといえばのKIDが倒産したため、もう5の次は無いのではないかと人々が不安に陥る中、なんだかんだの引き継ぎを終えて別会社から無事リリース出来たのだ。険しい航海の末に掴んだ栄光が、このメモオフ6である。
そんなこんなの会社の都合もあってか、今回作品は原点回帰がテーマになっている。
主人公の塚本志雄は、初代メモオフ同様澄空学園の生徒。微妙に志々雄真を連想してしまう惜しい名前。そして懐かしの舞台が帰ってきた。
幼馴染のりりす、その親友の智紗のツインヒロインとの間に見える三角関係の要素も健在。やっぱり澄空の女子制服は可愛いのだ。
三角といっても、他シリーズに見る胃が痛くなるレベルの修羅場やシリアスさはなく、比較的ライトに楽しめる。
稲穂信は据え置きキャラだが、その他過去作の要素が随所に散りばめられている。
初代からのネタのカキコオロギや学食の変なパン、2からはイナケンと蛍の恥ずかしい恋の伝説、その他にはドルピィとかぷちまるベイビーなどなど、懐かしの話題がちょこちょこ出てくるのが楽しい。
あれから数年経過するが、信と智也がやらかしたカキコオロギについては、文化祭の禁止事項にも含まれる黒い伝説になっている。オモロ。
村田あゆみが歌うOP曲「Triangle Wave」は疾走感があって格好良い。
村田あゆみが演じるKANATAは、顔出しは無いが作中のラジオ番組のMCとして登場し、結構喋っている。
「Triangle Wave」の歌詞にある「秋風に踊るナンバーTriangle Wave」のごとく、本編は澄空の秋を舞台に展開するかけがえのない恋物語なのだ。実に楽しい。
ヒロインは5人。いずれも破壊力のある萌えと美を宿した一級ヒロインとなっている。この秋から冬にかけては、こいつら5人にキュンキュンさせられたぜ。
りりす、智紗のルートでは、5のリバースカット同様、ヒロイン視点からの物語が展開するトライアングルートが楽しめる。ラブの表裏が見えるこのシステムは良し。
全攻略に32時間くらいかかった。結構難易度が高めだったと思う。というのが、個別ルート突入が難しい。1~5までと比べても一番攻略に時間がかかったな。
共通ルートが割と長めで、その中での分岐が多い。だからルート開拓が大変。
個別ルートに入ったとしても、その前の共通ルートで踏んでいないフラグがあったらバッドエンドになるっぽい。
何気に一番ムズかったのは、結乃のグッドではない方のノーマルエンド。グッドエンドを目指す方が簡単だった。
スキップでメッセージを送ってルート開拓をする時間が長くなったと思う。
信はいつも通り登場するけど、今回は信とは別に亨くんという主人公のクラスメイトが恋のサポート役を担っている。信と同じポジションで、信よりも身近で主人公を助けてくれる亨の方が、優秀なサポート役になっている。稲穂信がポジを持っていかれかけている感じも見えるシリーズだった。
主人公の志雄にも立ち絵、ボイスがある。志雄はなんだかんだあっても「しょうがねぇな」の一言の文句を言うだけで、あとは大変面倒見の良いとってもいいヤツである。いいヤツなんだけど、顔がめっちゃ普通。亨の方がイケメンなんだよな。モブ感が思った以上に強めな志雄のキャラデザは逆に印象的。5の春人はすごいイケメンだったもんな。だが、意外にも女子は、この手のプレーンな人間性と顔立ちに安心感を覚えて心を預けるのかもしれない。
物語は10月からスタートし、主人公は文化祭の実行委員として活躍する。文化祭の準備ってちゃんとやったことが無いから知らなかったけど、結構大変で、子供なのにこんなことまでするんだと関心もした。
そんな文化祭の準備に取り掛かろうかという時期に、主人公の志雄は、同学年の箱崎 智紗から愛の告白を受ける。とりあえずお試し彼女からスタートし、最終的な答えは文化祭の終わりまでにくれということになる。こうしてワクワクドキドキの秋物語がスタートする。
こんな感じで、最初から自分に言い寄って来る半分彼女のヒロインがいるのが基本設定になっている。2の蛍、5のあすか的なポジの智紗を何とかしつつ、志雄が胸に抱く真の恋の道を開拓して行くことになる。
最初から自分を好いてれるヒロインがいる場合、そいつ以外を選ぶと、当然その子を泣かせることになる。他の4人のヒロインを目指した場合には、智紗に悪いとも思えて胃が痛くなる。
では、ハイスペックな5人のヒロインとの恋のおさらいをしよう。
攻略順に振り返る。
鈴代 黎音(すずしろ れいん) 声 : 田中理恵
今作のアダルト枠だな。学生ではなく20代のお姉様である。長身でナイスバディ。
カッチョ良いバイクをぶっ飛ばすアクティブなスピード狂だが、本業は意外にも小説家というインテリな一面もあり。
生まれながらのスピード狂で格闘技を嗜む年上ヒロインという点から、2に登場した静流姉さんと似た特性を持っていると言える。
田中理恵のクールボイスがハマっているかなりお気に入りヒロインだった。一発目から当たりヒロインだったな。
志雄は学生ながらもマンション管理人をしていて、そこそこの収入でまずまずの暮らしをしている。そこに生き倒れた黎音を拾って来て住ませることになる。
もちろん別の部屋に住むことになるが、黎音は志雄の部屋に来て毎日朝飯を作ってくれるし、その他にもなんだかんだと時間を共にするので、半分同棲みたいな感じにも見える。これはワクドキで楽しい。
ガサツな姉様に見えて、自炊が一通り出来るのは良い。
秋の海で二人して着衣のまま水かけっこをするデートシーンは楽しかった。
セクシーなお姉さまなだけに、時にこちらを翻弄する一面も見せる。これも悪くない。
話が進むと、実は彼女が稲穂信の姉の稲穂鈴だったと分かる。マジか、鈴は良いけど、こことくっついたとしたら、あの信くんと親戚になるのか。それはちょっと嫌っぽい。思えば初代の段階でも、信には姉がいるという情報が確か出ていたはず。6まで待ってやっと登場したのか。ちょっと強めなボディコミュニケーションに出るくらいに姉弟仲は愉快なものらしい。
鈴が好きだからごめんと智紗を振ることになる難関ステージが待っている。
この時、意外にも智紗からきつい言葉をもらうことになる。年上のお姉さまという未知なる出会いを前にした一過性の恋の炎に過ぎないから止めときな的な事を言われる。智紗って言う時には結構突っ込んだ事を言ってくるんだな。心にややずしりと来る一言だった。
冒険心から年上に心惹かれることも確かにあるが、好きに理屈はないので、年上でも好きになったならそれが真実なのだ。鈴ルートではそういう気付きがあったぜ。
こちらが大人になるのをゆっくり待ってくれる良きお姉さまヒロインだった。
春日 結乃(かすが ゆうの) 声 : 宮崎羽衣
名前の読みはユノでなくて、この世の果てで恋を唄っているあの人と同じ発音なんだな。
志雄のひとつ下の高一ヒロイン。しっかり者で文化祭実行委員会をしている。めっちゃ可愛いなぁ。
しっかり者に見えるけど実は方向音痴。学校で迷子になってあたふたしているのが可愛い。
最年少ヒロインだが、年上相手でもはきはき喋って物怖じしない感じは接しやすくて良いな。モテそう。
智紗との関係が終わった後に実行委員の活動を通して仲良くなっていく。智紗に悪い気もするが、仕方ないよなぁ。
ラジオを巡って二人の恋が動く結乃ルートのシナリオはラジオっ子の私的にはかなり刺さる楽しいものだった。
二人とも実はKANATAのラジオリスナー。リスナー投稿メッセージでやり取りをしているのがなんとも恥ずかしく、そして微笑ましくてキュンと来る。電波を通しての交流とか素敵やん。
キャラ同士が同じラジオに投稿していてなんやかんやなる話ってクロマティ高校のはちみつライダーとアジシオ太郎以来だな。
志雄と結乃だと周りには恋人より兄妹に見えるのではないか、という流れにから、おふざけから結乃が妹のふりをして甘えてくるイベントがある。これが萌えだった。
文化祭では皆がいる前で結乃に公開告白することになる。過去作だと蛍や雅の時もこんな感じの恥ずかしい伝説の告白が見られるが、こういう恥ずかしいことをするのが嫌いではなく、むしろ好きだった。
ラジオを通じて、かつて喧嘩別れした友人との仲を修復するという結乃の物語は清いもので良かった。その友人の神奈ちゃんというのが登場して、なんかこれから三角関係が出来そうという愉快なエンドも存在する。神奈は意外とバイタリティのある曲者ヒロインだった。
嘉神川 クロエ(かがみがわ くろえ) 声 : 後藤邑子
超絶美少女な生徒会長。志雄よりも一つ年上のヒロイン。
食品会社の社長令嬢。フランス人の母の血が日本人離れした美しきルックスを産む強いアシストになっている。
長髪をリボンで2つくくりにしているので、シルエットで見ると2で登場した蛍っぽい。よく見ると、服装に合わせてリボンの色も変わっている。おしゃれさんだな。
主人公の事を塚本と呼び捨てにする。この感じは何かいいな。美しくて言動からは格好良さも感じて好きなヒロインだった。めっちゃ可愛いやん。
馬に乗るし弓道もするし、2つを合わせた流鏑馬もするしで、上流階級のお嬢様らしい高等な趣味を嗜んでいる。文化祭で流鏑馬を披露したクロエ先輩は、格好良くて美しかった。
あのゴットゥーザ様のクールな喋りの芝居も良し。
生徒会長だから文化祭実行委員でも皆をまとめるブレイン役を見事こなす。
後夜祭をやるのに金が足りないというまさかの面倒が起きる。そこでスポンサーを見つけようと志雄と二人で行動する。その結果、父親の会社にとってはライバルとなる会社にスポンサー交渉に行くことになる。これってすごいな、文化祭の準備ってこんなことまでするの?とビックリだった。
以前遊んだ「さかあがりハリケーン」というゲームでも、文化祭の準備シーンを細かく見せていたが、こちらでも新しい発見になった。なにせこの私は、文化祭なら参加がギリギリで、参画にはまるで関わったことがないからな。
文化祭での職務を全うする事で深まる二人の仲を見るのも良いルートだが、一番キュンキュン来るのは、クロエ先輩とのプチ同棲が始まる事。ひとり暮らしのマンション管理人の志雄だからこそスムーズに出来たドキドキ同棲だったな。
完璧超人に見えてしっかりと努力な人であるクロエ先輩の実直なキャラ性には好感が持てる。あの感じでピーマン、ブロッコリー、人参あたりの食い物が苦手な点も何か可愛い。
元々は好きな食材だったが、いなくなった母親がよく食わせてくれていたから思い出すのがつらくて避けるようになったという重い設定も持っている。
優雅なお嬢様に見えて、実はかなり込み入った家庭事情を持つという影のあるキャラ性も時には良しだった。
裁縫が得意で志雄の服のボタンを繕ってくれるなどのまめな点も萌えだった。
箱崎 智紗(はこさき ちさ) 声 : 平野綾
真打ちのツインヒロインの片割れである。
りりすは黒ソックス、そして智紗は白ソックスというわけで、白と黒、または表裏一体の看板ヒロインとなっている。と勝手に思っている。
志雄にいきなり告白して来る物語の仕掛け人の彼女を振ることなくエンドまで持っていった時にはすごくすっきりした。
りりすには文化祭後に付き合うことになる未来の彼女、通称「ミラカノ」認定を受けた特殊枠ヒロインだった。ミラカノってここ以外でも使われることのある常用ワードなのかな。なんだか響きが面白い。
登場時には既に大きくイメチェンした後の姿となっているが、志雄に告白する前だとメガネのもうちょっと地味目な出で立ちだった。しかし、そちらはそちらで良い。メガネ着脱で二面性ある魅力を見せてくれた。
コンタクトと眼鏡のどっち派と智紗から問われるシーンがあるが、私はどちらでも行ける。
最初の内だと、どう見ても恋に奥手な大人しそうな子に見えるが、後には意外と図太いところもあったり、言いたいことは言い、やりたいことはやる強さと頑固さを見せたりもした。結局乙女は強くなきゃ恋に打ち勝てない。そんなことが分かる。
とにかくいい子だしめっちゃ可愛い。
諸々を都合良くいじれる二次元ヒロインなのだから当然といえばそうだが、それでも智紗の持つ清潔感はすんごいものだった。汚れゼロな感じが良い。
平野綾がこのテイストのヒロインを演じたのは意外。
やはり彼女といえば、涼宮ハルヒという、図太くて扱いの面倒な曲者ヒロインを演じた事で有名なので、むしろみくるちゃん寄りタイプの智紗を演じたのには意外性があった。どちらかと言うと、りりすの方がハルヒっぽいイメージだし、みくるちゃんの中の人は今回だとクロエ先輩を演じているし。そんなわけで、声優の事情を見てもこの作品は楽しい。
だが智紗の演技はとても良かった。平野綾史上一番可愛い芝居だった。普段の喋りより高い声が良かったぜ。
肝心な個別ルートは、メインヒロインだけあって長い。絶対に楽しかったけど、思った以上に長くて疲れたというのもまた嘘のない感想である。
実は志雄の母が死んだ事件に関係していた因縁のヒロインだと後に分かる。志雄の母が命を賭して助けたあの日の子供の正体が智紗だったのだ。それが分かったら志雄を好きと行って近づくのはおこがましく、恐ろしい。
そんなわけで、志雄が告白を受けたら受けたで、やっぱり付き合えないと言って智紗から距離を置かれることになる。
母親の事は不幸な事件だったが、それと恋とは別物だからさっさと一緒になれと思って志雄も動くのだが、こいつのフットワークが重いなぁ。
智紗が志雄とは付き合えないと言って逃げてから約一ヶ月くらい揉めて、事は文化祭もとっくに終わった12月にまで持ち越しとなる。
これは智紗の過去のトラウマや拭えぬ罪の意識など、かなり複雑な都合が絡んだ厄介な問題だから揉めるのは分かる。確かに分かるが、それでも揉めるのが長いわ!と突っ込んでしまう。志雄の方ももっとグイグイ強引に行けやと思えてならない。
そんなわけで、ちょこっとストレスもありつつ、楽しめたルートだった。
このルートの落ちだと、りりすと亨も多分いい感じの仲になれるはずという希望も見えてよかった。
亨も絶対にいいヤツだし、りりすに相手にされないターンを見ると不憫だ。りりすとくっついて亨も幸せになれば良いと思ってしまう。
遠峯 りりす(とおみね りりす) 声 : 新名彩乃
めっちゃ可愛いな。顔は一番好みだな。
チビだけど可愛いしイケメンなんだよな。りりすが最推しで決定だな。ここはラストヒロインとして攻めようと思い、オチまで先送りにした。
初代メモオフの唯笑、彩花も幼馴染ヒロインだったので、ここも原点回帰で最強幼馴染ヒロインを持ち上げてきた。
りりすの属性はザ・ツンデレだったな。めっちゃツンツンしているんだよな。元気で図太く逞しいのも良い。
何かと志雄を蹴ってくる暴力性も、このルックスならありだな。意外にもこういう暴れたヒロイン性は、これまでのシリーズにはなかった要素だと思う。
祖母が大衆食堂を営んでいて、そこのお手伝いさんをしている。だから料理も一通り出来る。活発で女子力もあって良いではないか。おばあちゃん子だからなんだかんだで優しいのだ。そこにも萌え。
幼馴染女子なら朝に起こしに来てくれるというが理想だし、この手の世界ならありがち。しかしりりすは朝に弱く、そして志雄は世話好きということで、まさかの逆に朝に起こしに行ってあげる関係性。それはそれで良し。
りりすは智紗と志雄をくっつけたがるが、そこには本心を誤魔化しての複雑な乙女心が見える。その点はトライアングルルートでよく見えてくる。
なんだかんだを乗り越えてやっぱり自分にはりりすが必要と思った志雄は、文化祭で告って後夜祭でダンスを踊るが、その後にまた揉めて振られる。りりすの時同様、文化祭で穏やかに収まることなく面倒事に突っ込んでいくんだよな。
事情は分かるけども、りりす、智紗共に、揉める恋の内容を見るととにかく七面倒臭い。もっとスマートに出来ないのかと突っ込んでしまうが、それもまた物語を追う上での楽しみ。
志雄の父はよそに女を作って家を出ている。そしてりりすは親元を離れて祖母の元にいる。二人の親についてしっかり分かっていなかったが、りりすルート後半では、志雄の父親とりりすの母が出来ていて結婚するというまさかの流れになる。これは子供達からすると複雑。そうなれば、ご近所さんの関係から義兄弟になってしまう。
主人公とヒロインの親同士がくっついて複雑なことになる前例なら「この青空に約束を」がそうだったが、これはこれで燃えるのではないか。
なんだかんだくっつき難い事情はあっても、愛は嘘をつくことが出来ない。そんな厄介ななんだかんだを越えて、最後にはなんちゃってフライング結婚式を開く志雄とりりすの幸せなエンドが見れて良かった。りりすのウエディングドレス姿は美しかった。
というわけで、5人のヒロインズとの楽しい青春をしゃぶり尽くして大変満足。
この流れで続く「メモリーズオフ6 Next Relation」もプレイしよう。純粋にこのヒロイン達との物語をもっと見たい。
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