こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

楽しい青春は何度だってアンコールしたい「Memories Off #5 encore」

Memories Off #5 encore」は、2007年に発売されたPS2ソフト。2009年にはPSPに移植された。

 

メモリーズオフ#5 アンコール(通常版)

 

 メモオフ5の後日談にあたる内容で、ストーリーは麻尋エンドから約半年くらい経過したところからスタートする。各ヒロインごとのエンド以降を新規に描いた「それからagin」とは異なり、ここから真にエンドルート開拓となる。

 春人と麻尋の関係が、恋人のそれとして固定するかしないかの微妙なラインからのスタートとなる。別ヒロインへのルートに切り替えるならココが最終ラインという一番良い感じの時期をスタート地点に置いている。そこが良いポイント。

 もちろんそのまま麻尋との仲を盤石なものへと仕上げるルートを取る事も可能だが、それ意外にはあすかルート、ここへ来て新たなるヒロインとして参戦した一条秋名ルートも楽しめる。

 前作ツインヒロインと新ヒロイン、いずれにせよ美少女と仲良くなれる3つのストーリーが楽しめる。

 

 前作ヒロインの内、香月はサブヒロインになっていて、瑞穂、美海は登場すらしない。消えてしまった二人のヒロインもちょっとで良いから出てきて欲しかったな。

 香月はかなり好きなヒロインだったので、欲を言えば香月ルートも新たに楽しみたかった。今回の香月は衣装がチェンジしていて前作よりも女子っぽいおしゃれな格好になっている。そして前作では極わずかしか見せなかったメガネスタイルが、今回では常となっている。メガネ香月もおしゃれ可愛くて良かった。

 あとは木瀬歩も登場しない。楽しい映画撮影シーンには盛り上げ役の彼女にいて欲しかった。まだチビの弟の世話があるので、しばらくはサークル活動はお休みということになっている。高校時代にはなんだかんだと荒れた時期もあったが、結局は心優しき良い子ちゃんなんだよな。

 

 全体の感想を言うと、これぞしっかりと青春をしているって感じが前作よりも強く見えて楽しい。

 麻尋とCUM研メンバーとの確執が解消された後の事で、麻尋とあすかも和解している。人間関係の問題がクリアされた上で、麻尋が正式にCUM研メンバーとなって映画撮影活動に参加している。このサークルメンバーで仲良くわいわいしている感じが良かった。

 前作ではとにかくサークル内でギスギスした関係が見え、それで胃が痛くもなった。あすかの暴走も見られず、修司と春人も揉めずに仲間として接しているのに安心出来る。

 

 今作の特殊な仕掛けは、春人以外の各キャラ視点で物語が追えるようになるザッピングシステムが搭載されたこと。カチンコが鳴った演出後にキャラ視点が入れ替わる見せ方もおしゃれで良かった。前作では「リバースカット」として麻尋のみ視点切り替えキャラの対象になっていたが、こちらでは色んなキャラ視点になる。より群像劇テイストが濃く見える仕掛けで良いではないか。

 

 

各ヒロインルート

 肝心な各ヒロインルートもワクワクとキュンキュンがあって楽しめた。

 まずは麻尋ルートから攻める。

 

 麻尋っておっぱいデカいよな。抜群のスタイルで格好良い。 

 そんな麻尋だが、恋の方は奥手で、信には「中学生か!」と突っ込まれていた。まさにそんな感じで恋に関しては歩みが拙い。春人との関係を本格的に進めるのに不安でビビっているのがよく分かる。

 春人の方も夢に真っ直ぐな爽やかな人間性は良いのだが、朴念仁のトーヘンボクといった感じで、この手の問題に気が利かない。つまりは鈍い。だから麻尋に対してベストなリードが出来ていない。この点にややイラつきもする。お前、もっとしっかりリードしろやとツッコんでしまう。

 

「5」本編の方では、雄介の脚本で映画を作ること、その事でサークルメンバーと揉めたりとで忙しかったため、せっかくの可愛い麻尋の萌えのターンも少なめだった。そこは欲求不満だったのである。こちらではデレる麻尋が良く見える。それだけでも満足な一品となった。

 あすかの勧めでブリブリした感じで甘えた態度を麻尋が描かれる。あそこは不覚にも可愛くて萌えてしまった。

 

 5のアフターストーリーでも印象深く描かれていたのが、麻尋のちょっと行き過ぎな物忘れ癖について。こちらでも忘れん棒な点が良く描かれている。このレベルだとちょっと心配なんだけど。

 

 麻尋ルートでは、春人が映画撮影中のアクシデントで足を骨折して入院してしまう。この痛いエピソードにちょっとビビってしまった。マジで痛そう。

 その後、お見舞いに来る麻尋とイチャつくシーンに萌える。

 

 映画が完成した後には、かつて「人殺し!」と罵られたあすかの母との和解も完了する。これを受けて思わず泣いてしまう麻尋の素直でピュアな所がまた良い。この感じで意外に泣き虫な点も良いヒロイン性として光っていた。

 

 麻尋ルートだと、信が麻尋に多くアシストをしてくれる。主人公の春人ではなく、どちらかといばヒロインの方を補佐している「5」ならではの信の立ち回りにも注目出来る。信と麻尋が仲が良いし、相性も良いので、こちらがカップルでもしっくり来るとは思う。

 

 

 お次は日名 あすか。

 相変わらず初っ端からぶりぶりしてハル先輩ラブ全開で来る。

 前作に引き続き、家出して春人のアパートに突撃して来る。おしかけヒロインなんだよな。

 今回はもう一歩踏み込んだディープな家出となり、アパート契約して春人の部屋の上の階に住み着く。結構ガッツがある家出少女だった。

 

 あすかルートでは、前作から問題となった女優として致命的なカメラ恐怖症の完全克服、そして母親との確執の解消が主として描かれる。前作で完結を見なかった問題を掘り下げたことでスッキリ出来て良かった。

 あすかと母親との間に出来た浅くはない溝を埋めるまでの展開はややシリアス。

 家庭問題をしっかりとケア出来なかった父親の後悔、亡き雄介が生前に残したビデオメッセージで家庭問題心配している事が分かる点も印象的。

 家庭崩壊という社会問題もテーマに盛り込んでの奥深いストーリーになっていた。

 あすかと母親が和解出来たオチには感動した。

 普段は明るくてあんなにブリブリした人間にも、人生の苦悩や悲哀があるのだと分かった。

 

 あすかは今回もセクシー要員で、お風呂シーンもあり、セクシーサンタコスもありで目の保養を叶えてくれた。

 冬用の私服はなんだかゴージャス。でもまだ露出度が高くて寒そう。とにかく絶対に見えないくせしてミニスカで来るあすかも良い根性をしている。

 ぶりっ子過ぎるとは思う反面、やっぱりめっちゃ可愛いんだよな~。野川さくらのぶりっ子ボイスもすごく可愛い。

 

 

 プレイスタートにあたって一番気になったのは秋名の存在。商品を手に取ったファン皆が「誰よコイツ!」と想ったことだろう。

 どこか遠い国の民族衣装のようなイカしたファッションセンスをしている。この尖っているのか、逆にマイルドなのか判然としないニューセンスファッションで攻めてくるタイプのヒロインはお初。

 

 本編でも今作でも名前だけは上がれどずっと謎の存在が、CUM研の幽霊部長。幽霊部長の謎が解けぬままに前作が終わったので、新キャラの秋名が実は部長の正体なのか?とか思ってプレイしたが、全然違った。遂に最後まで部長は誰なのか謎。女であることのみは分かっているが、後の事は分からない。これはメモオフシリーズ永遠の謎なのか。

 

 そんな秋名は、かつての麻尋と同じ高校に通う高校2年生で、なんと「5」においてはあすか、美海よりも一つ年下の最年少ヒロインになっている。新キャラで一番末っ子という新属性を見せるとはやるな。春人はあすかよりも大人っぽいと評しているが、その通りだな。秋名は結構好きでツボなヒロインだった。

 攻略ヒロイン中、最年少の彼女だが、なんだかクール、そして達観した発言が目立つ。夢を追うなんてのは、現実を直視出来ない者達の逃げ、的な厳しい事を言ってくる。普段はおとなしく落ち着いた女子だが、若くして冷めた感じの毒舌キャラの一面も見せてくる。

 

 このヒロインの事だけは新顔なだけに、バックにどういった設定を背負っているのか序盤では見えてこない。麻尋の時と同じように、こいつの過去には何があったのか気になると想わせる事で、我々ユーザーの興味を引っ張るのが秋名ならではの味だった。

 

 写真好きなカメラ女子の秋名は、実は学生ながらも写真家としてプロデビューした才女だと分かる。あすかと同じく芸能分野で既に名を上げたすごいヤツだった。ここでも芸能特有の闇が見える。

 要は悪い大人に才能を悪いように使われてしまったことで、秋名は夢を追う事に挫折してしまっている。こういう経験があるからこそ、夢について春人と語るときにはかなり厳しい意見を飛ばすのに納得出来る。この点では早熟なんだな~。

 そこをひたむきな夢追い人の春人がガッツで救うという希望ある展開が見えるルートだった。

 

 こういう影のあるヒロインを演じるにはうってつけの茅原実里が秋名を演じていた。なかなかマッチした良いお声。この時分には「涼宮ハルヒの憂鬱」のヒットを受けてどんどん頭角を現した売出し時期だったはず。そう思うとすっかり懐かしい時代の作品だな。

 

 秋名とはガッツリ恋愛ルートには入って行かないけど、秋名の方ではほんのりと春人への恋心が実った段階で終わっている。実は電車の中で居眠りしている春人にキスをしていたという、秋名とプレイヤーのみが知る幼い恋の記憶にキュンと来るラストが良かった。

 

 楽しい3つのシナリオをクリアすると、今回もグランドフィナーレには彩音の名曲「ロマンシングストーリー」が流れる。

 本編とアンコールを合わせたたくさんのCGが見れるED動画も良かったな。とにかく爽やかなラストで良い。メモオフ5は歌も良かったな。

 

 そんなわけで、青春はその気になれば何度もアンコール可能な栄光の時だと分かったぜ。総じて良いゲームだった。

 

 

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