こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

いのりにいきなり振られて始まる「メモリーズオフ 〜それから〜」

メモリーズオフ 〜それから〜」は、2004年に発売されたPS2ソフト。

 3まではドリキャスでも出していたけど、今回はそうではない。つまり、このくらいからドリキャスは終わったってことか。儚いぜ。

 

 2008年にはPSP版が発売。今回はこちらでプレイ。限定版の箱がかなりデカイ。

 

 1、2とヒットを飛ばし、賛否両論あった3(もちろん私は好きだったけど)を越えて迎えたシリーズ4作目である。

 3でやや評判が落ちたらしいので、そこを抜けてまだ新作をやる以上、ここでヒットを飛ばせなかったらシリーズの未来が危なかった(のかもしれない)。シリーズ展開を盤石にした復活の一作となった。

 

 あくまでネットにいる数多のオタク達の意見をざっくり見るに、本作の評判はかなり良いようだ。とは言っても、そんなものはやんわりとした指標に過ぎないので、自分で遊んでみないと分からない。で、このクソ暑い7月の半分と8月の頭までの期間でプレイしたところ、かなり良かった。

 

 それにしても暑くて外にいけないこと、五輪で色んなテレビ番組がお休みになって暇になったこと、これら二つの要素が手伝ってギャルゲーが進む進む。ていうか五輪って中止にせずにやってたんだ。

 

メモリーズオフ ~それから~(限定版) - PSP

 

 

 前作主人公は大学生だったが、今回から主人公はまた高校生に戻った。

 主人公はじめ学生キャラは、メモオフ2のイナケンやほたる達と同じ浜崎学園の生徒という点が懐かして良い。ほたるはゲストキャラとして再登場する。ほたるからケンちゃんへ宛てた大地に描いたラブレター事件はもはや伝説となっていて、後輩達もしっかり記憶するところとなっている。恥ずかしっ。

 

 前作製作時から既に今作の構想もあったらしく、世界観にかなり繋がりがある。そういえば、前作にも今作の登場人物、一蹴やりかりんの名前が出ていた。

 

 主人公の高3男子 鷺沢一蹴は、卒業後の進路を第一志望でフリーターに決めている。今ではうんさかわんさかコレで行く人間もいるのだろう。もうひとつ新たな道として、ニートになる者も今では全然珍しくない。ある時期までなら、高校を出たら大学か正社員としての就職、おおまかに分けてこの二つが一般的だったはず。そのどちらも取らない一蹴は、当時あたりから徐々に増えてきたニュージャンルの進路を踏んだ人物だと思う。この進路で行く主人公も珍しい。

 時間をかけて前向きに自分の道を探しているとも取れるが、一方ではいわゆるモラトリアムというはまると抜けるのが大変な見えないデンジャラスゾーンにいるのかもしれない。

 各ルートのクリア後でも、卒業後の一蹴の進路はちゃんと第一志望のフリーターを歩むことになっている。

 一蹴の進路にやや社会性を見ることが出来たり出来なかったりした。

 

 親元を離れてひとり暮らしをする養子という一蹴の設定も印象的。養子だから、育ててくれた両親にやや引け目を感じて親子関係を深めて行けない複雑な心理も見える。自分を家庭内での不純物と考える一蹴の卑屈さは気分が良いものではないが、全く理解が出来ない考えでもないので、プレイしていて複雑な想いになった。養子も大変だ。

 

 前作主人公の正午は、ブルジョワ臭きつめの良いマンションに暮らしていたが、一蹴はうんとグレードダウンして稲穂信と同じボロいアパート暮らしになっている。そういえばどのヒロインルートを進めても、このボロい部屋に連れ込む展開になる。

 

メインシナリオ

 そんな本作のシナリオは、だいぶエッジの効いたものになっている。

 卒業を控えた高3のバレンタインデー。鷺沢一蹴は、一年生の時から付き合っていた恋人の陵いのりに「最初から好きじゃなかった」と言って振られてしまう。

 

「え、なにそれ?」「ビックリだぜ!」「何もこんな日に言わなくても良くない?」っていう始まりになっている。

 1では恋人が死んだ状態から始まり、2では最初から恋人がいて、徐々にお別れするパターンとなる。3では一度別れた恋人との偶然の再会から物語が動き出す。そして今回はいきなりの別れ。しかも一方的で取り付く島もない。

 不穏で謎なスタートとなり、やはりこのシリーズは変わったことを仕掛けてくる。だからこそ続きが気になる。

 

 メモオフシリーズなりその他ギャルゲーでも、メインヒロインはイコールして作品のボスキャラになる。今作のボスは、このいきなり振る女いのりである。

 もちろんいのりが急な別れ話を持ってきたことには複雑な事情がある。話を進める内に、いのりの言動はフェイクであり、自分の心に嘘をついていることが、割と序盤で分かる。でもどういう経緯で別れ話を切り出したかという大いなる謎はオチまで分からない。いのりが持つ優しき罪と嘘を徐々に解明していくややミステリがかった展開に注目出来るものがある。

 

ヒロイン

 デカデカとジャケットに写っているメインヒロインのいのりの他、4人のヒロインが攻略対象となる。前作では7人もいたのに、今回は数をぎゅっと絞っている。その分個々のエピソードに厚みを出し、キャラの掘り下げにも力を入れている。

 

 プレーンなメインヒロイン性、やや電波入りのメガネ、義妹、モデルのお嬢様、ツンデレ大和撫子と、非常にありがたい属性を各ヒロインにばらつかせている。5人それぞれに美味しさがあり、少ない数ながらもかなり強い布陣となっている。

 各シナリオも楽しく、その中で各員の萌えがしっかり出ているのがまた良い。ヒロインズとシナリオの完成度には大きな文句はない。

 

 シナリオが大きく学園編、カフェ編に分かれる点も印象的。

 

 浜崎学園の生徒のヒロインとの物語は学園編で、年上ヒロインとの物語はカフェ編で展開する。なんだか二つの美味しさがある感じがしてお得感がある。

 

 学園編ヒロインの雅、縁のルートに入ると、途中でいのりが一蹴の元に帰ってきて三角関係になり、かなり楽しいことになる。この時ばかりは、可愛いいのりの再登場が悪魔降臨のように思えた。これはゲームだから良いけど、当事者だったら胃が痛くなる大事件だと思う。

 

 カフェ編では、一蹴よりも年上のりかりん、のんちゃんが攻略対象になる。りかりんかのんちゃんかのやや三角関係に入っていく。

 こちらのルートに入ると、りかりん、のんちゃんとは高校で同級生だった前作ボスの黒須カナタの出番もかなり増える。一蹴を良い方向に導く姉御肌も見せるカナタの貫禄が前作よりも増している。カナタがりかりん、のんちゃん、ほたるまで襲うユリ萌え展開を見せてくれるのは、今までになかった新しい萌え要素だったかもしれない。とにかくカナタも良い仕事をしてくれる。でも声優がバトンタッチして声が変わっている。

 

 前作でもかなり長い時間カフェでのエピソードが展開した。あのダラダラとカフェで皆と話す感じが好きだった。そんなわけで、こちらでもカフェでの時間を大事に扱っている模様。

 前作では名物テンチョーが切り盛りしていた「キュービックカフェ」が主な舞台となっていたが、あちらはテンチョーに不幸があったため閉店。今作では、前作でも名前が出ていた「ならずや」がカフェ編の舞台になる。

 

 静流さんが今作でも続投となる点も嬉しい。ならずやの店長代理として一蹴を導いていくれる良いお姉さんとして立ち回る静流さんのことも好きになる。

 

 

 では、肝心な攻略ヒロインズの感想を攻略順に書いていこう。

 

 

鷺沢 縁(さぎさわ ゆかり)
声:石原絵理子

 メモオフでまさかこいつが来るとは……。なんと妹ヒロインである。

 

 意識せずこのヒロインのルートに最初に入った私は、どうやらかなり突っ込んだ妹好きのようだ。そうなのだ、私は妹ヒロインに萌える妹属性好きなのだ。

 

 一蹴を施設出身の養子にした設定がココに活きている。血の繋がりはないからセーフな義妹とのラブが展開する。これは萌える。

 

  初見では絶対緑だと思ったけど、よく見ると縁だった。漢字には似たのがいくつかあるので、しっかり見極めてから発音しよう。でないと赤っ恥を食らうことになるぜ。

 

 メモオフ2の巴を全体的にチビにして白髪にした感じの見た目。可愛い。

 コッテコテのお兄ちゃんラブっこ娘で、序盤からめっちゃ懐いてくる。この小動物的な可愛さが良い。

 

 一生懸命お兄ちゃんを支えようとお料理とかを頑張るけどスペックはポンコツ。だがそこが良い。

 ポンコツぶりをあまり指摘しすぎると、特殊能力でイジケモードに入る。このモードになると、多彩なワードセンスで自分のダメさを自分でこき下ろして愉快に落ち込んで行く縁が見られる。なんか面白い。

 

 可愛い妹の萌え萌えするだけの簡単お手軽ルートでもなく、後半は意外にもショッキングなことになる。

 こんな未来は見たくなかったが、縁が心を病んで心療内科の世話になる展開が待っている。

 お兄ちゃんにかまってほしいという想いが膨らみ過ぎた結果、自傷行為に似た現象で、無意識に他者を傷つける行為に出てしまう。その矛先は愛猫のメリッサに向く。大切に飼っていた猫を傷つけ、病院に行く口実をつくれば、お兄ちゃんが付き添いで来てくれる。お兄ちゃんに会えるなら何でもする心理になっているのだ。あの可愛い縁がこんなことを思うようになるなんて……怖い。

 

 猫を病院送りにするような者もまた心の病院送りになるという悲惨な展開が見える。これはショック。あんなに天真爛漫で愛らしい妹なのに、強い恋心からこんなことになるんだと冷や汗をかいた。

 

 お兄ちゃんが本当のお兄ちゃんでなかったことを知ると、マジに心を決めて早々に呼び方を一蹴さんに変える。そのくらいの段階でいのりが返って来てヤバいことになるから楽しい。

 いのりから引き継いだ一蹴の部屋の合鍵を、縁が再びいのりの手に返すシーンは修羅場だった。いのりの返って来るタイミングが良すぎる、いや、悪いのか。

 

 ただ好きな人に女の子として見て欲しい、妹を卒業したいという切なくいじらしい願いを叶えるため、星恋の丘で星が流れるのを一人待つ縁を見ると胸が締め付けられるような想いになる。可哀想、でも萌える。

 

 一蹴がいのりを選んだことにショックを受け、一蹴の高校の卒業式日に校舎から飛び降り自殺をしようとする展開まである。これはギリ未遂で終わるが、そこまでいくとキツイ。平和なエンドもあるが、縁にヤンデレ属性が芽生え始めもするので、スリルあるルートでもあった。

 

  甘く、そして重くもあるこのルートが一番好きだったかもしれない。

 

 藤原 雅(ふじわら みやび)
声:かかずゆみ

 赤髪のポニテ、そしてツンデレ。禁じ手ヒロインだぁと思って楽しくプレイ。ビジュアル的には一番華があり、悪いけどいのりよりも目を引く美しさがあると思う。めっちゃ可愛い。

 

 りかりんが洋風なら、こちらは和風なお嬢様キャラ。厳しい家で厳しくしつけられた才女であり、男共でも圧倒する気迫と武力を盛っている。薙刀の名手でめっちゃ強い。  気質的にはメモオフ2の鷹乃っぽい。

 

 かかずゆみの凛々しくて強い女の芝居が良い。そういえばこの人、シスプリでも薙刀とかの武道を極めるヒロイン役で出ていたな。

 

 基本的に真面目で凛々しいが、意外にも勝手でわがままとも取れる高圧的な態度を見せこちらを翻弄してくる。

 政略結婚でお見合いに出されるのを嫌がり、一蹴を勝手に恋人に設定し、その後は流れで許可なく薙刀演技のパートナーにもされる。雅にも迫った事情があるのは分かるが、それににしても強引に何でもかんでもに巻き込みすぎ。だがこの感じが、なかなかどうして悪くない文句を垂れながらもしっかり付き合ってやる一蹴の人の良さもよく分かる。このルートでは、雅に尽くすことで青春を楽しむことが出来る。

 

「愚か者」と言って扇子で攻撃してくる豪気なお嬢様特有のコミュニケーションは、最初こそムカツクけど、数を重ねていく内に萌える楽しい時間へと変わる。

 雅がおでこにチュウしてくれるご褒美イベントには萌えた。

 

 ラブコメとかでよくあるフェイクの恋人関係が、いつしか本物のラブに変わってく行くという展開で雅ルートは進んで行く。恋心などまやかし程度に思っていた雅が、徐々に心を開いてくれる感じにほっこりするものがある。

 

 怖い祖母からパワハラまがいの厳しき躾を受け、一族繁栄のための手札として切られ、どこぞのおっさんの嫁にされる(予定)。そんな運命から逃れられない不自由の中、己の感情を押し殺して操り人形の道を行くか、脱出を計るかで心揺らす雅の青春にはかなりのストレスが溜まるだろう。結構シリアスなシナリオだった。

 

 こちらでも途中でいのりが帰ってきて揉める。

 いのりを選ぶことで、自分の人生に希望はなく、恋心などやはり偽りの心だと受け入れて心を閉ざす雅ルートバッドエンドの締め方はエグい。

 

 グッドエンドだと薙刀部の皆と共闘して卒業式をジャックし、雅との駆け落ちじみたエンドに持っていける。卒業生代表挨拶で舞台に上がった雅に公開告白してさらう。この大胆な作戦がとにかく恥ずかしい。だが、この類の恥ずかしいまでの青春の熱が起こす言動は好き。

 ほたるとケンちゃんが衆人環視の中、校庭で伝説的愛の契を結んだアレのことを恥ずかしい伝説だと言っていた一蹴と雅が、それに並ぶか越すくらい恥ずかしいことをして結ばれるエンドに思わず微笑んでしまった。良き。

 

 雅とのハッピーエンドを見るルートに入れば、それまで雅と敵対していた木瀬 歩が最後で仲間になる。さよりんも攻略出来るなら彼女も攻略したかった。白石涼子のチャキチャキの関西弁が映えるヒロインで良かった。

 

 他の4人のヒロインは、度合いの強弱はあれど、とりあえず一蹴がまだ幼かった過去からも関係なり因縁を持つ人物だった。だが雅だけは高校で出会う一蹴の人生のニューヒロインだった。そういった意味合いからは、伏線無き純正ヒロインとも言える特別感のあるヒロインが雅だった。めっちゃ可愛かった。

 

野乃原 葉夜(ののはら はや)
声:こやまきみこ

 通称のんちゃん。一人称までのん。りかりんの家のジイヤだけは一生のんちゃん呼びしてくれないけど、あとはだいたいの人がのんちゃん呼びなので、プレイしているとたまに本名を忘れてしまう。

 

 一番ファンタスティックなヒロインだった。

 ツインテメガネで結構な電波お姉さん。

 出会った時の挨拶として「ピース!」を言いながら手もピースにして突き出してくる。このテンションアゲなギャルのノリは好き。

 

 会話の噛合が悪く、意志疎通にコツがいる。基本的に何を言ってんだか謎。でも楽しくて良いやつであることは良く分かる。めっちゃ可愛い。

 ルートクリア後には、本編では何を言ってんだか分からなかったのんちゃんの発言を、彼女の説明書役のりかりんがなるたけ分かりやすく言い換えて教えてくれるという謎の機能が解放される。好きだけど、諸々厄介なヒロインだったぜ。

 

 抜群の体幹から得たバランス感覚があるらしく、間抜けなようでいて、カフェバイトではお盆に乗せたものを絶対に落とさない。

 

 何かと秘密の話をしたがり仕入れたがる。そのくせ結構すぐ言う。まぁ女子は得てして秘密のお話が好きとはいうが、こいつの秘密好きはちょっとレベルが違う。

 言動として次手に何を打ってくるのか読めないスリルがあるため、彼女との関わりは面白い。

 

 困った時に「のん、のんは……」と言う。あの言い方が可愛い。

 ロリ萌え声に定評があるこやまきみこの声も良い。

 

 のん、りかりん、カナタの仲良し三人組に一蹴も混ざることで楽しい物語と揉め事が起きる。信がそれとなく言った男女間での友情は、下心が発生するためありえないという要素がここに見られる。自分が仲良しグループに入ったことで、結果として皆の仲を引っ掻き回すことになったのではと一蹴が自問自答する点には考えさせられるものがある。これって難しい問題だよね。

 

 雅が感情に蓋をしたのなら、のんちゃんは悲しい記憶に蓋をして今を歩むかなり重い設定を持っていた。のんちゃんが仕事終わりにいつも何をしていたのか、秘密基地にあるアイテムは何かの謎が分かった時には強めの衝撃を受けた。こんなに明るいお姉さんなのに、シナリオの後半は重かった。

 

 金が無いので、欲しかったホーローのフライパンが買えない一蹴に、のんちゃんがホーローのフライパンを届けてくれるグッドエンドは良かった。自炊をしていると共感出来る。アレは確かに欲しいアイテムだ。

 

 謎のアイテムだか生物だか、そこもまた謎の「なまちゅー」というのがのんちゃんとの会話にちょくちょく登場する。あれは妄想ではなく、実在する何かだということがオチで分かる。しかし分かるのはそこまでで、実体は結局なんだか本編では分からない。

 

 花祭 果凛(はなまつり かりん)
声:榎本温子

 通称「りかりん」。

 高級車の送迎で「ならずや」に来るお得意様のお嬢様。

 タレント性としては毛色が異なるが、カナタと同じ事務所のモデル。

 チャイナテイストなゴージャスな出で立ちが美しい。

 見た目は可愛いギャルだが、仕事に対してストイックに向き合うガッツを持った強い女であることが分かる。一本太い芯の通った女性像が見える点が良い。

 

 序盤はお嬢様言葉でぶりっこをかましていたが、そんなものはポーズに過ぎず、仲良くなる内に砕けた普通のギャルの感じで接してくれる。こういうギャップも良し。

 

 めっちゃ可愛い上に有名人だから、りかりんがストーカーにあうエピソードがある。いつの世も有名人はコレに頭を悩ませることになるんだな。ストーカーでマジで最低。ストーカー事件をきっかけにりかりんとの仲が深まる展開は楽しい。

 

 前作のカナタの時も思ったけど、タレント女子とのお付き合いは夢がモリモリな分ハードル高いって。

 仕事熱心なりかりんにとって、恋愛はキャリアを積む邪魔になる。という訳で別れろってことをジイヤに言われるキツイ展開が待っている。

 スーパーモデルを相手に自分はただの学生、その内にはフリーター。愛を前にすれば特に職業はじめ諸々の立場に貴賎無しが唱えられるわけだが、それでも普通の考えだと、そこに引け目を感じることだろう。一蹴も自分では釣り合わないだろう、そして仕事の邪魔にもなるだろうと考えるようになるのだ。これはまぁ仕方ない心理だと思える。

 

 一蹴のアパートでりかりんからキスを仕掛けるシーンは良かった。キスシーンが美しい。

 

 関係ないけど、演じた榎本温子の歌う名曲「Be My Angel」は未だに聴いている。

 

 

陵 いのり(みささぎ いのり)
声:小林沙苗

 最初に思ったのが、見たことない名字ってこと。最初は読めなかった。

 

 我らが主人公を物語開始早々に振って傷心状態に落とした張本人にしてボス。

 物語を進める中で、いのりと付き合っていた時のかけがえのない思い出の回想が入る。傷心状態だからこそ、一蹴の中で濃く蘇る愛しき思い出のシーンを見るのはつらい。でも可愛らしい思い出ばかりで萌える。 

 

 妹の縁が飯を作りに来た時にはポンコツな出来栄えだが、いのりは料理スキルも完璧でスペックが高い。やっぱり手料理がイケるのは、女子の魅力として強い。

 

 教室で昼寝している一蹴を起こしてまで「いのりちゃんのなぞなぞタ~イ」を仕掛けてくるなぞなぞ大好き女。自分で言っといて恥ずかしくなって「タイム」まで言い切ることがないのが可愛い。このなぞなぞが結構出来が良く、初見ではだいたいわからない。でも面白い。

 

 エヴァに乗る子供達が頭につけているのと同じような髪飾り?を頭の左右に一つずつつけている。あのアクセについては何なのか一生謎。

 どしたの?ってくらい髪が長い。切った方が良いと思う。

 

 ほたると同じくピアノ弾きの才女。メモオフヒロインってスペックが高い。

 ほたるにしつこく言われ、いのりがピアノを辞めるのをまた辞めさせるというミッションが開始する。この時のほたるの絡みがなんだか可愛い。いのり攻略にかかればほたるの登場も増えて良い。奈々様が萌え萌えボイスでややアホの子のほたるを演じるのも可愛い。

 

 繊細なタッチで鍵盤を弾くピアニストをやっているのに、そことはギャップがあるいのりの一面が、トンカチを持って教会の修繕を行うシーンに見られる。OP映像でもトンカチを持ったガテン系女子な一面が見えるカットがある。この感じなのにトンカチを持って仕事をするんだっていうギャップに萌えた。

 

 途中までは、もしかしてあのトビーとデキているのでは?と思わせる流れになっている。トビーが再登場するのも意外。トビーはめっちゃ暑苦しい服を着ている。

 

 小林沙苗がこんなに大人しくて繊細な乙女を演じるが意外。男子や荒い女を演じるイメージが強かったので、この芝居は珍しいと思えた。声がとても綺麗で良い。

 

 全ての罪と嘘を告白したいのりを一蹴が受け入れ、二人がキスするラストシーンは本当に美しく感動できるものだった。

 

 

さよりん
声:小林由美子

 妹の縁の同級生というわけで後輩ヒロインである。賑やかしのちょい出しヒロインかと思いきや、なんと攻略対象でもあった。

 あくまでおまけ程度の短さではあるが、さよりんルートも攻略出来る。表向きには5人のヒロインで売り出しているが、実質攻略ヒロインは5人とプラスαだと言えよう。

 

 一生名字を言わないのでフルネームがはっきりと表記されない。だが私が推理するところによると、彼女は前作登場キャラ マグローの妹であり、よってマグローの本名である「力丸」が名字なのだと思う。これで当たりだと思う。

 

 雅を理想の女性像を持つ師匠と仰ぎ、よりにもよって最初はこちらではなく信に恋している。マジか。この感じで信にターンが回ってくるとは意外。

 信の過去を知っていればある程度は納得できるが、それでもさよりんの愛をかなり強く突っぱねる振り方をするので、さよりんが可哀想。

 

 傷心状態のさよりんを心配し、全ヒロインがならずやに集結する展開がこのルートの特別感ある見所。そういえば全員集結はここだけだったかもしれない。

 

 ラストで見えるちょっと大人になったさよりんのCGは大変可愛らしい。

 

 

 

 そんなこんなで、ヒロインの数が少なくなってもボリュームはたっぷりでとても楽しかった。

 ヒロインは各種萌え属性が際立っていて大変満足な出来だった。

 

 前作から続投でOP曲を担当した水樹奈々の歌う「それでも君を想い出すから」も大変格好良い名曲だった。最近めっちゃ聴いている。

 

 本作のファンディスクとなる続編も発売しているので、次はそっちを遊ぼうと思う。

 

 

 スポンサードリンク