こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

詐欺師たちの宴「スティング 」

「スティング 」は、1973年に公開されたアメリカ映画。

 

 詐欺師達の物語というわけで、犯罪と人間ドラマをテーマにしたものである。

 

 長らくインテリ寄りのオタクをやっているマナー良き私とは接点無き詐欺師達の物語に、どういうわけか心惹かれるものがある。その証拠にこの映画を見るのは今回で三回目。なぜか定期的に見たくなり、先日BSでやっていたのをまたまた視聴。

 

スティング (字幕版)

 

 詐欺師達にも手を出すならここからここまでという線引があり、その線の外にはマフィアというヤバい奴らがいる。奴らに手を出さないのは、暗黙でなく公式のルールなのだ。しかし、それと知らずマフィアの金に手を出したことで、主人公フッカーとその師兼相棒のルーサーは身を危険に晒すことになる。ただでさえ怖いマフィアだが、金が絡んむともっと怖いのだ。

 

 本筋と関係のない一つの見所がフッカーのフットワークの軽さ。本編では飛んで跳ねてマフィアの猛追をかわすかわす。爽快な逃げっぷりが気持ち良い。3、4回死んでてもおかしくない場面があったと想う。

 だが詐欺師引退を考えていた老齢のルーサーはそうは行かない。追手のマフィアに殺られてしまうのだ。詐欺師だが、ルーサーは後輩想いの良いおっさんだった。

 相棒を殺られたことに怒ったフッカーは、あくまでも詐欺師なりのやり方でマフィアに復讐を誓うのである。だろうな、普通に殴り込んだら秒で返り討ちだし。

 

 こうして始まる詐欺師の復讐劇を、危険度をなるたけ抑えた緩いコメディ調に描く傑作が本作「スティング」なのである。これは面白い!

 去年放送した詐欺師アニメの「GREAT PRETENDER」を視聴した際には「あっ、スティングぽい」と思ってしまったものだ。そちらのアニメも合わせてお勧め出来る。

 

 たかが犯罪と侮るなかれ。詐欺にも四十八手、実に色々なやり口があるのだ。この業界も奥は深く、常人には底が見えない。今作ではその中でも信用詐欺というものを扱っていいる。多分、詐欺の中でも高等テクニックが必要なものなのだと想う。詐欺テクの他、真に迫った演技力も必須な簡単に真似の出来ない芸当である。

 

 フッカーは、亡きルーサーに紹介された伝説の詐欺師ゴンダロフを訪ねる。そこから二人は共闘してマフィアのボス ロネガン、ついでに悪いおまわりさんのスナイダーもやっつけるのだ。

 

 詐欺師的復讐劇のシナリオは実に凝ったもので、とにかく騙しまくって誰が敵か味方かも混乱する騙しまくりの展開になる。二転三転ある物語が面白い。

 殺し屋と思ったヤツが仲間だったり、フッカーと懇意にしていた良い女が敵の殺し屋だったり、FBIのはずが実は詐欺師だったりと、意外な形で視聴者をも騙す仕掛けがあちこちで見られる。一生懸命見ていると人間不信になるかも。

 

 ゴンダロフと手を組んだフッカーは、ゴンダロフを裏切ってマフィアに取り入った振りをしてロネガンの懐にも潜り込む。二重スパイみたいな感じでワクドキが強い。

 

 初登場時には飲んだくれて服を着たままシャワーを浴びる間抜けなおっさんとして描かれるゴンダロフも、ルーサーの無念とフッカーの情熱を想うと本気モードになる。本気になったゴンダロフはマジに頭が切れて凄い。

 マフィアのボス相手にポーカーでイカサマぼったくりをするテクと神経の図太さが凄い。ポーカーのルールなどまるで知らない私だが、このシーンには緊張した。これと並んで緊張するトランプ勝負シーンといえば、映画クレヨンしんちゃんのヘンダーランドで、オカマ魔女と野原家が地球の未来をかけてババ抜きををするアレくらいしか思いつかない。

 

 マフィアと詐欺師軍団、時には警察にも関係し、フッカーがフットワーク軽くあちこち働きに出ている。そこらのリーマンの会社周りよりもあちこち働きに出ているな。

 

「電信」という技術を用いて、マフィアを競馬の詐欺にかける作戦が展開する。これがかなり凄い。頭の良いヤツが行う悪い事ってやっぱり凄い。

 賭博場作りからお客の配置まで全部フェイクなので手が混んでいる。

 

 まず競馬結果を電報局が握り、その後各賭博場に連絡が行くことになっている。先にレース結果を握った上で、電報局から賭博場に連絡が行く少し前に一位の馬に賭けるという完全にズルな作戦が登場する。この話に上手いことロネガンを乗せ、その上で騙して大負けさせるのだ。

 今の情報社会ならこんな手口が使える余地があるのかどうか不明だが、詐欺にしてもすごい事を考えるな。

 

 最後はフッカーがゴンダロフの情報を警官に売ったことで、ゴンダロフから報復を受けて殺されたのかと思われるシーンになる。初見ではこのシーンハラハラしたものだ。

 でも実は全部フェイクで皆仲良くお仲間であり、ロネガンと悪い警官のスナイダーだけが蚊帳の外ということで平和に終わる。スナイダーも態度の悪い警官でムカついたな。この時代のこの国の警官ってこんなに簡単に民に手を挙げるのかって思ってしまう。

 

 各章ごとにサブタイトルが表記され、その際には例の有名テーマ曲と紙芝居が見れる。見やすく分割ポイントが設定され、これが視聴中断、または再開ポイントにもなるのが良い。 

 

 この映画視聴前よりもずっと早いタイミングに、何かのテレビで聞いたことがあるってくらい耳馴染みのあるテーマ曲だ。テーマ曲も世界的にヒットした有名曲なのでこの曲も好きになる。

 

 

 詐欺もマフィアとの揉め事も程々にね。

 

 

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