「装甲騎兵ボトムズ 幻影篇」は、2010年に発売された全6話のOVA。
1983年に放送したテレビシリーズを皮切りに、色々な作品を産み、遂にその歴史は10年代に入っても続くことになる。ボトムズはすごいなぁ。
キリコが現代に復活した「赫奕たる異端」よりも後の世界が描かれている。
テレビシリーズに登場した色んな奴らが総出演のお祭り企画OVAだったな。テレビシリーズを知っていれば、ハートにグッと来るものがある楽しい作品だった。
今回もバトルシーンはCG描写になっている。
CGのバトルにも手慣れたのか、前作「ペールゼン・ファイルズ」の時より迫力が増した作りになっていた。
まずはバニラ、ココナ夫妻の揉め事から描かれる。こいつら、ちゃんと結婚して家庭を持っていたんだな。
テレビシリーズの頃から変わらず続く二人の小競り合いと共に、なんだかんだで幸せな結婚生活が映す点にとりあえず安心出来る。結婚25年目の熟年夫婦になっていた。
びっくりなのが、めっちゃ子供を産んでいること。バニラを初めて見た時には、イデオンのコスモっぽい頭だと思ったものだが、二人の子供の中にはもっとコスモっぽい頭の男子がいた。
30年後だとゴウトはもしやお亡くなりになっているのではとか予想していたが、どっこい生きていた。バニラとココナが揉めるのを仲裁するといういつものポジション。相変わらずこの3人は仲良しで騒がしい。
最初2話はキリコが登場しない。焦らすなぁ~。
前半では、結婚25年目のバニラとココナが、テレビシリーズの舞台となった各地を巡る思い出ツアーが描かれる。これは懐かしい。
懐かしのウド、クメン、サンサ、クエントを巡り、キャラクター達もシリーズの歴史を振り返っている。
ここから新規で入ってくるファンよりも、旧作からの継続ファンの方が多いはず。新規ファンにはネタ元が謎だろうが、旧作からお付き合いのあるボトムズヘビーユーザーならかなり嬉しい要素が見られる。
ウドのバトリングに出る前のシャッコが、新顔なのに生意気だと古参のAT乗りに責められても無視を決め込むシーンは、キリコもウドで体験したものだった。BD-BOXでつい最近見て知ったシーンだけど、それでもこのやり取りは既に懐かしい。
連続でシリーズを見て、またこういうネタが見れたらファンは絶対嬉しいはず。テレビシリーズを一話からリアタイで見ていて、2010年にこうも懐かしいものを見せられた古参ファンはかなりグッとくるだろうなと思える。
クメンを訪れた時には、焼かれて久しいバニラのかつての城「ファンタムクラブ」が復活オープンする。なんかこの感じは良いよな。結局騒ぎが起きてまた焼かれるんだけど。
そういえばテレビシリーズでは、焼かれた店を消化する中で、バニラとココナの真の愛が芽生えたんだよな。のろけ夫婦になったものだ。
シャッコに続き、クメンではポル・ポタリアとも再会。傭兵だった30年前から出世して閣下にまで上り詰めている。速水奨の声が良すぎる。
しかし再会できたポタはここでお亡くなりになってしまう。悲しい。
他の政治家と意見が合わずに難儀するポタが描かれていたが、これは友人だった前閣下とも共通する悩みだった。前閣下と同じ道を辿って死に行き着くというドラマ性が見えた。重い内容だし悲しかったが、ここでポタが死んだのは全く無意味なシナリオでもなかったと思う。苦悩する国のトップの事情が見えた。
どこに行ったか謎のキリコの行方がやっと知れるのがサンサ編。
サンサでは懐かしの女戦士ゾフィーの年老いた姿が見られる。ゾフィーの視力が低下している設定を活かした物語運びが見られる。
ここでは、キリコがゾフィーに許されるまでの過程が描かれているのが良かった。こういう形でゾフィーとキリコの因縁に決着を着ける後日談が用意されるとは意外だった。
負けん気の強い女戦士だったゾフィーも年齢を重ねてかなり丸くなっている。キリコ の事を息子みたく気遣っているの点にはほっこりする。
かつてフィアナを背負ってそうしたように、今度はゾフィーを背負ってキリコが砂漠を渡る。この懐かしい画にもグッとくるなぁ。
あの時のサンサは空気が死んでいて、マスクと酸素ボンベ無しに砂漠超えは出来なかった。しかし約30年の内に環境が改善され、マスクなしでも外を歩けるようになっていた。この点は良き変化だった。
最終回では、旅先で出会った少女のジュノを連れてゾフィーがサンサに帰ってくる。復讐心を越えて幸せになって行くゾフィーの物語は秀逸だった。
後半ではマーティアルの事情も描かれ、神の子うんぬんの宗教とファンタジーの厄介事が展開する。このあたりの事はやんわり謎だったが、キリコが神秘なる赤ちゃんを連れて次の旅に出てエンドとなった。
ロッチナ、ワイズマン、ペールゼンらもちょっとずつ登場し、懐かしのキャラだらけの同窓会気分になった。楽しいOVAだったぜ。
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