こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

地球も家庭も守らねば「地球防衛家族」

「地球防衛家族」は、2001年1月から3月まで放送された全13話のテレビアニメ。加えてOVAが1話ある。

 

 懐かしのWOWOWアニメでもある。WOWOWアニメは大体安心して見れるというのが経験から言える私の考え。

 

 新世紀に入って間もなく放送された作品であり、今となってはすっかり古いアニメだが、普通に面白かった。今期放送中のクソアニメよりも全然良い。

 タイトルが気になると思って調べたところ、原作に河森正治とあるのを見て「あっ、マクロスの人だ!」と更に気になってしまった。全然知らないアニメだったけど結構好きになれた。これは良き出会い。

 

地球防衛家族 オールレンジ BOX [DVD]

 

 内容はファミリーコメディと変身ヒーローの合わせもの。

 父、母、お姉ちゃん、弟の4人家族が揃ってヒーローに変身し、地球侵略に来る化け物を退治するお話。なかなかユニークな設定と要素が見られる。

 

 ファミリーアニメなのに、ファミリーの終わりを告げる儀式の「離婚」について両親が話し合いをする朝のシーンから物語は始まる。一話目冒頭から子供達はどっちの親に着いていくのかという判断を迫られたりしている。楽しいアニメの一話目にしてはなかなかシビアな導入。でもそんなに暗いものでもなく、お気楽に見れちゃうのがこの作品の良きテンション。

 母が父に離婚届を叩きつけるシーンがある。離婚届って初めて見た。こんなのなんだ。

 

 離婚を題材に家族会議をしているところに、「地球を守れ」というFAXが届き、家族4人は地球防衛家族としてヒーローに変身して地球を守るミッションを受けることになる。これがスムーズに流れのままにそうなって行く。ほとんど強制的みたいなもの。

 どこの誰だかも詳しく分からない天の使者によって急に戦士に選ばれ、深く考える間もなくミッションを追うことになる。何がどうなってそうなったという詳しい過程なんかどうでも良いくらい、とにかくスムーズにヒーロー家族が結成する。設定なんてどうも良くなる第1話導入のテンポ感は心地良い。

 こんなワケのわからないノリで行くけどついて来い!ということを早くも視聴者に理解させるようなスピード展開が結構愛しい。

 

 変身カードを電化製品に挿入することでヒーローに変身することが出来る。テレビ、電話、カーステレオとか電気のものなら何でも良いらしい。

 変身シーンは結構良い感じに描き込んでいる。デブのお父さんが変身時に一旦裸になる際には大事な部分にモザイクが入るのでそこはありがたい。小物や各員の技も結構凝っている作りで良いアイデア性が見られる。

 

 変身して敵とやりあうアクションシーンは結構良く動いて楽しい。こんな感じの緩い作風だが作画は結構張り切っている。キャラデザも微妙に懐かしみのある可愛さがあって良い。姉の望、母の聖子、大の学校の先生、そして謎のヒロイン白鳥エレンら女子キャラは可愛らしい。

 

 家族4人のキャラ性にもそれぞれ際立つ個性があって好きだった。

 息子の大はとにかく元気な品のない小汚いガキ、お姉ちゃんは愛に冷めて疲れた苦労人、父はデブで根暗なオタク、そして聖子お母さんは格好良いOL。

 お母さんは性格的にまあまあ問題があるが、このパワフルさは良い。

 望ちゃんがなんだかんだで家族を繋ぐ中間管理職だったっぽい。学生なのに気苦労が多く、ちょっと可哀想にもなる。がしかし、この薄幸な感じがそれはそれで萌える。

 

 家族それぞれは、人間的には決して相性が悪くはないのだと思う。だが家族としてはまとまりがなく、終わりかけの感じが強めに見られる。離婚するのかしないのかの問題が根っこにあるままに、家族で行うヒーロ活動の契約に従い、とりあえずの家族をやって行くことになる。

 正体をバラす、途中で任務を降りるなどをすればペナルティ対象になる設定も追加される。なのでダラダラとヒーローをやるしかないのだ。

 この不安定な感じはいかがなものよ、と想いながらも大地家の活躍を見守るのが楽しみなのだ。

 

 離婚寸前の家族ではあるけど、明るい人間性が前面にあるだけに、暗いアニメにはなっていない。

 しかし、聖子お母さんは仕事先の若手カメラマンとデキているっぽいし、デブのお父さんの方は息子の担任の可愛い先生に一目惚れしている。両親のそれぞれの気持ちが家族から逸れて異性に走るという危なっかしい展開までコミカルに描いている。

 お母さんはラブホまで行っているし、お父さんの方だとチャット仲間が実は先生だった事が分かり、意図しないところで関係性を深めていたという面白さが見える。多分この家族、もう駄目なんじゃないかな~て思える事も多々ある。

 仲が良いと言えば良いのだが、だからといって家族をやるのにそれがそのまま有効とは限らないのだ。そんな都合も見えてくる。

 

 ヒーローのミッションをクリアするごとに報酬として980万円のボーナスが出るという甘い文句があるが、実際は簡単ではなく、結果的に家族はヒーロー活動で借金を出している。

 色んなアイテムや技を使うのに金が発生するので、980万を得てもそっちで出るマイナスが多くなるのだ。酷い仕掛けだな。

 だったら武器も技も無しの素手オンリーの節約合戦で行こうとなり、家族4人で公園で特訓する流れもあった。ヒーローが金を気にして出し惜しみをしながら戦いを切り抜けるという、他所では見ない変わった都合が見える面白さがある。

 

 家族として揉めたり結ばったりを繰り返してなんとか地球のピンチを乗り切る。コミカルにその過程を見せる点が楽しかった。

 離婚話が進んだ状態の家族の話だし、最後まではっきりと離婚撤回までにはならないものなので、しっかりとハートフルファミリー劇とは言えないかもしれない。しかし要所要所で家族の良さや温かみも感じることが出来る。そんなちょっと変わり種なアニメだった。

 

 しっかりとオチがないままに終わっているのは残念。それの補完としてこれの2も製作が進み、アフレコもしていたのだという。しかし、残念なことに話は流れて放送されず、パッケージ化もされていない。もっと見たかったのに残念だ。

 最初から登場している謎多きヒロインの白鳥エレンの掘り下げがもっと出来ていれば良かったな。可愛いミステリアスヒロインだった。2の方で彼女の出番がもっとあったはずなのだが、それも無くなったので残念。

 

 声優も有名所が集まっていて良かった。小山茉美の凄みも効かせるちょっと怖いママの芝居は良かったし、すごい若手の時の清水香里が姉の望を演じる際に放つ清涼感も良かった。くまいもとこは大のようなうるさくて元気なガキの芝居がぴったりはまる。デブでグズで気弱なお父さんを神谷明が演じるのはなんだか珍しかった。新人の頃のたかはし智秋水橋かおりが毎話モブ役で参戦しているのにも注目。

 

 そんなわけで全然知らなかったマイナーアニメを今更見たら結構好きになった。古いアニメもたまには良いではないか。

 

 

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