こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

世紀末にぶっ込まれたカオス「へっぽこ実験アニメーション エクセル♥サーガ」

「へっぽこ実験アニメーション エクセル♥サーガ」は、1999年10月から2000年3月まで放送された全25話のテレビアニメ。これに加え、パッケージ化されたものには未放送回1話分が収録されている。

 

 う~む、まさか令和時代に世紀末のとんでもない曲者アニメを楽しむことになろうとはな。これには感慨深いものがないこともないじゃあないか。

 このアニメだが、実は名前だけは前から知っていた。語り継がれるだけに話題性のあるものだったとはなんとなく聴いて知っていたが、視聴するのがこんなに遅れてのことになるとはな。だが見れてよかったぜ。出会わなければ良かったなんて寂しい意見が出るようなものではなく、内容は色々とアレだったけど、愛される要素もたくさんある作品だったと思う。

 

 内容なんだけど、マジですごい。いや、すごいことはないのだが、すごい事が何にもないという逆のすごさみたいなものがあったりなかったりした。そんなこんなで常に曖昧な良く分からない感想が出てくる。それくらいにイミフ(意味不明)なアニメってこと。

 

 すげぇな、ずっとアホみたいなアニメだった。よくこんなものを2クールも放送出来たな。

 この感覚は、これの20年後くらいに放送したあの「ポプテピピック」と似ている。世紀末にもあったポプテ的カオスアニメ、それがエクセル・サーガだった。

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 どんなものだろうと想って見始めた第1話。主人公のエクセルちゃんは可愛いギャル。学校のシーンからトラックに轢かれて死ぬという転生ものの導入みたいなネタからこの作品も始まるのだった。初っ端にトラックで逝くっていう導入ってどこから始まったのだろうか。世紀末からこの流れがあったんだ。

 で、何事もなかったのようにエクセルは復活して自分のお仕事に入る。やべぇな、最初から色々おかしい。

 

 このアニメにある一応のブレブレ設定というのが、アクロスという多分悪の組織が地上征服を行うというもの。そしてエクセルはそこで働くエージェントなワケであるが、使い物にならないポンコツメンバー。

 まずは近場からということで、市街征服を始めるわけだが、そこらの設定がすぐにどうでも良くなるくらい毎話のストーリーは前後一貫性の無いめちゃくちゃなものだった。

 物事を考える時には常に筋道の通った理論を用いらないと駄目、という神経質な人には一生楽しめない破茶滅茶さがある。そこが作品の売りといえばそう。

 

 本当にずっとふざけているギャグアニメだったな。

 過剰なまでのパロネタのオンパレをテンション高くお届けするものであり、元ネタを知るオタクにはきっと刺さるものがあると思う。だからポプテみたいなもんってこと。こんなアニメだが、ぶっちゃけ玄人オタク向けではあると思う。

 

 こんな思いつきで毎回戦っているように見える作品だが、ちゃんと原作マンガがあるというのが意外。原作もこんななのかな。原作は読んだ事がないので、いつか読んでみるのも良いだろう。

 毎話冒頭では、原作者自らが低俗なバカアニメとして何でもやっていいよと許可を出すところから始まる。それを受けたナベシンらがずっとふざけたギャグアニメを作ってお届けするのだ。

 ある意味ナベシンが主役だったと振り返るのも間違いではないのかもしれない。原作者とナベシンという本来なら裏方のおっさんたちが作品に出てきて、進行上いてもいなくても良い役回りでふざけているのも作品の特徴。

 とりあえず原作者と制作側とで連携し、もろもろ合意を取った上で作っている点は良い。昨今ではコレを怠って原作潰しにかかるアニメ屋もいると聞く。どこの業界でもホウレンソウは大事。ポパイを思い出せ。

 

 エクセルは可愛いけど、とにかくうるさいというのが強く記憶に残る。セリフの量がすごいな。

 こんなアホみたいな仕事をしたことを三石琴乃は覚えているのだろうが。彼女のキャリア上で最もアホな女を演じたのがここなのだと思う。

 

 ちょっと声優を知っていればピンと来るだろうが、こんな内容なのに出ているキャラを演じる声優は有名人ばかり。声優はかなり豪華だ。

 アクロスサイド、これが本当に公務かっていう内容をこなす公務員サイド、単体で動くナベシンやペドロ、そして犬のメンチ、エピソードによって複数勢力に焦点を切り替えてユニークに物語は進む。でも別にどのキャラもいてもいなくても良いんだよな。

 

 キャラが元気に楽しくギャグアニメしているのが良かった。少なくとも爽快感があるという点では良いアニメだった。ポニテ巨乳のクールビューティー松屋美咲は目の保養になる好きなキャラだった。

 

 あとはOP、EDのそれぞれの歌もフザケていたな。

 OP曲は小林由美子高橋美佳子の今ではしっかり売れた当時の新人コンビ。変なアニメのお歌のお姉さんをしていたんだな。二人共90年代から活躍していたんだ。結構キャリアがあるんだな。

 EDまでネタ要素を盛り込んできて、まさかの犬が歌う一曲になっている。アホな飼い主エクセルのもとで哀愁漂う人生を歩む犬のメンチの想いが籠もった一曲。

 

 このアニメだが、特に何が起きるわけでもなく、ぶっちゃけどこから見ても一緒って言うか、なんなら見なくても大丈夫という謎のアドバイスも出てくるのがマジに謎なアニメでだった。

 物事の真髄を見て言葉を発するのなら、主人公含めどのキャラもいてもいなくても良いし、どのエピソードも別になくてもなんともならないし、なんなら放送自体あってもなくても世界には何の関係もない。そう言えるくらいに内容はあってない。

 しかし、アニメの作り手がこの作品丸々をアニメ的実験場にしているという点には、腐ってもクリエイティブ魂を持つ者の存在感を強く感じる。そして緩っとしたユニークさが見える。これらの点で意欲的といえばそうだった。

 見る価値は無いのかもしれないが、こういう実験をやった事にはきっと意味がある。そんな希望に満ちた作品でもあるのだ。

 

 視聴者なんか放ったらかしで作り手もキャラも暴走している作品だったが、本来創作物なんてのは、読み手のことなんて二の次で自分がやりたいことを必死にするのが始まりであり、それが核にもある。その点の尊さ、大切さを感じ取れたことで、この作品との出会いが有意義なものになった。

 

 なんかめっちゃ悪口ぽく聞こえることを言ったかもしれないが、私は本作を大変気に入っているし、エクセルやハイアットのことも可愛いくて好きだ。

 

 そんなわけで、人生は常に実験の場である。たくさん失敗して、いつか来る成功を気持ちよく迎えよう!

 

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