こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

愛ある限り戦いましょう「美少女仮面ポワトリン」

美少女仮面ポワトリン」は、1990年1月から12月まで放送された全51話の特撮テレビドラマ。

 

 年内丸々しっかりみっちり放送し、最終回は年末も迫った30日の放送となっている。しかもリアルの都合に合わせた除夜の鐘をつく年末エピソードで締めくくっている。頭から尻まで綺麗にやりきった感が見ていて清々しい作品だった。

 

 有名な作品なので話に聞いたことはあるし、柴田理恵が婦警役で出る事も知っていた。作品の名前は知っていたけどちゃんと見るのは今回が初めてだった。

 平成が始まってちょっとくらいの古い作品になってしまったが、今見ても大変面白い。51話もあるのに面白くて一週間くらいで見てしまった。今年のGWはコイツで楽しめたな。 

 

 原作者が石ノ森章太郎の特撮ものではあるが、女子の変身ヒロインが主役、日常コメディの要素が強めという珍しさがある。仮面ライダーベースでやってきた勢からすると色々と異色な作品だと思う。

 

 男子でなく女子だってヒーローになって平和のために戦いたいと思っても不自然ではない。ポワトリンは強く清い戦士。そしてお茶の間のチビ達に受ける茶目っ気もたっぷり持っている。特撮ヒーローへの需要も様々ある中で、このような女子版変身ヒーローで攻めたのはやるななぁ。なかなかのアイデアと挑戦になったと思う。スタンダードな特撮が売りの東映にもこんな別チャンネルなセンスがあったのかと感心出来る。

 

 聞くところによるとコレに着想を得てセーラームーンが誕生したとか。だったらすごいじゃないか。セーラームーンもめっちゃ好きなので、そちらが大成するアイデアをくれた作品ならナイスアシスト過ぎる。

 確かに主役ヒーローだけどちょっと抜けたギャグ要員でもあり、独特にしてユニークな口上が毎度のお楽しみ要素な点は両作品共通要素だな。しかし改めて考えると美少女仮面も美少女戦士もすごい挑戦的なタイトルだよな。自分で自分をすごいヤツって言ってるのと同じわけだからな。

 

 考えるとここらの作品がラブパトリーナやキラメキパワーズなどの昨今の女児向け枠の先輩にあたるのか。歴史ありだな。素晴らしい。

 

 そんなすごいポワトリンを見た感想を殴り書いて行こう。

 

美少女仮面ポワトリン VOL.3 [DVD]

 

美少女仮面

 普通よりちょっと可愛い女子高生の村上ユウコは、神社の神様から「美少女仮面ポワトリン」に任命される。

 戦士ポワトリンの指名とは、まずはご町内の平和を守ること。そしてよろしければ宇宙の平和も守ること。担当範囲がすごい。 

 

 もしもポワトリンの正体が誰かにバレた時には、ペナルティとしてカエルにされる条件がつけられる。この点はずっと後に放送することになるおジャ魔女どれみと一緒なんだな。

 

 神様は静養のためにイタリアの温泉に浸かりに行くと言ってめっちゃ良い車に乗って神社を留守にしてしまう。この神様はその内帰ってくるのだけど、その時にはイタリアの愛人をお土産にしてすぐに国内の温泉旅行に旅立ってしまう。自由だなぁ。

 なかなかぶっ飛んでふざけた導入だな。コメディで来るとは聞いていたが、こんなにもシュールな感じなんだ。

 

 美少女仮面と自分で言っていると作中でもツッコミがあるが、まぁそこはいいじゃないか。

 美少女仮面の中の人のユウコは、めっちゃ美少女って感じではないが、かと言って絶対にブスではない。そんな良い具合のバランスのお姉さんのポジを占めている。これはこれで座するのがムズいポジではある。

 最初はちょっと芋っぽさもあったが、やはりJKは進化が速い。後半ではやや垢抜けて美少女度が上がったと思う。

 

 変な神様に大役を押し付けられ、バカな弟とその仲間達の面倒も見て、毎度出てくる小悪党を討伐する。忙しい立場の子だがとても付き合いが良い姉ちゃんだな。高感度の高いヒロインだった。

 

 中盤からは追加戦士としてユウコの妹モモコも神様に力をもらいポワトリンプティットに変身する。セーラームーンで言うところのちびうさ的なポジ。

 こちらは正体がバレた時にはザリガニにされてしまうと条件づけられている。カエルよりはいいんじゃないかなと思う。

 

 先にプティットの正体がバレてしまい、妹一人をザリガニにしてなるものかと思って姉も正体をバラす。最終回ではそんな美しき姉妹愛を見ることが出来た。ココ、良いよな。姉妹愛で締めたのは良し。

 

 美少女の鉄則なのか、変身後の口調はめっちゃ淑女。「ごきげんよう」などをはじめ、そこらの女子が常用しないことばかり口にしている。

「愛ある限り戦いましょう。命燃え尽きるまで」の決めセリフには女の覚悟が見えて素直に良い。その次の「例え〇〇が許しても、このポワトリンが許しません」の〇〇に入る部分を毎度変えてくるのが面白い。許容範囲が割りと狭めの厳しいヒーローっぽい。

 やっぱりこの手の決めセリフって毎回聞いて楽しく安心するものがあって良いよな。

 

 悪党との戦いも見所だが、同業者としてライバル関係にある本田警部との揉め事も良き見所だった。柴田理恵が婦人警官役として良い味を出している。

 

小悪党共

 毎度ご町内で小悪党が起こすバカっぽい事件があり、ポワトリンが出動して討伐する。肝心なヒーロー仕事だが、シリアス感はなく、あくまでユニークに見せるものばかり。毎度のこの展開も面白い。

 

 規模の狭い犯罪だったり、個人の奇行が取り上げられるだけのものもある。時にはよくもこんなバカを思いつくなってものもあって笑える。終始笑える特撮ドラマだったな。

 

 第一話ではファミコンで遊んでいるお友達を襲撃するゲーム小僧という小悪党が登場する。やってることがケチな小悪党だったな。

 レトロゲーム好き的な注目点は、この時代だからこそのファミコンが現役ハードとして登場すること。スーファミはこれよりちょっと後だったのか。

 主人公宅の村上家にもファミコンがあり、ツインファミコンまで出てくる。タクトがドラゴンボールのゲームをしているし、後半回ではオバQのワンワンパニックまで遊んでいる。良い時代だったな。

 

 ツインファミコンがあるってことは良い家の坊っちゃんて事。ウチのお兄ちゃんがそう言ってた。

 私もディスクシステム本体のデカいのをいちいちセットするのは面倒だと思っていたので、セットになったこちらが欲しかった。だがさすがにゲットならずだった。今だとプレミア化した珍しいお宝になっちまっているとか。ディスクもカセットも、もう遊ぶことはないだろうけど、ディスプレイ用としてツインファミコンは欲しいなぁ。ジャンクでも良いからどこかで抑えたいぜ。そんな思いも馳せながら楽しめたポワトリンだった。

 

 ちゃらちゃらした長髪を見ると刈りたくなるバリカン婆々とかアホすぎて吹いたし。それに男だしで面白かった。しかも電動でなく手で行く省エネバリカンの方だし。

 

 敵には改造人間とかの危険性はなく、メスの入り無き天然の怪人、奇人、変人がわんさか出てくる。良くもこんなバカみたいな事考えるなって思える。

 

 面白かったのは、悪い代議士が出てくる話。日本のおもちゃは質が良いらしいということで、海外密輸して儲けようとする。外国への持ち出しの小細工として揚げ物にして運ぶ案が通る。バカすぎる。ヤワな素材なら高温の油で溶けちゃうだろうが。自分でやれば良いのにわざわざトンカツ屋の主人を誘拐して仕事をさせるのも面白い。職人のおびき出し方が、下っ端に質の低い女装をさせてハニートラップにかけるというものだったのもすごい。これに引っかかるのもアホ過ぎる。

 貴重品をフライにして持ち出すとは、鍛えられた悪党なら本当にやりそうだな。実例はないのかな。とにかくこのエピソードは面白かった。あとトンカツが食いたくなる。

 

 お彼岸ライダーの回も笑った。お彼岸に来ない信仰心無き連中を叩きのめす怪人なのだが、限りなくスカイライダーぽいコスプレをしてチャリンコで登場する。これは原作に石ノ森章太郎とあるからセーフな奴だな。さすがに笑った。

 スカイライダーといえば、スカイライダー本編でも偽物が登場した。その偽物は、ガキの口に無理やりアイスを突っ込んで食わせるという荒い悪さをしていた。悪名高い偽物例の多い仮面ライダーになったなぁ。

 

 序盤はバカみたいな小悪党が次々と出てきて、ポワトリンがそれらを淡々と処理していく。中盤からは新展開として、最終回までの通しのボス「ディアブル」が登場する。コイツが作中では一番名のある敵になる。

 暗黒の帝王とかいうファンタジーの怪物感があるが、ディアブルの幼少期のエピソードを見れば日本人なのかなとも思える。子供の頃から大人になってもずっと仮面をつけているのは何?って感じ。子供の頃まで仮面なのは笑える。

 元々はお坊さん志望だったのに、脱線してこんな事になる。最終回でポワトリンに諭されてからは、仏の道に戻り除夜の鐘をつくようになる。悪の親玉だけど殺さず改心させたのは作品の良きテーマ性。お坊さんになってもやっぱり仮面をつけたままのディアブルが面白い。最終回ラストシーンを彩るのがディアブルの打つ除夜の鐘の音だったというオチは素晴らしい。なんかめっちゃ清い。そして笑える。

 

 物語中盤でポワトリンが手にするピンク色のバエるオルゴールの力で悪者を改心させる展開が印象的。あのオルゴールのデザインは可愛い。

 暴力で叩きのめすに終わらず、心も救ってあげるポワトリンの清きやり口は教育的によろしい。悪人も悪に落ちきらない段階であれば熱いハートから出た言葉で引き戻しが可能なのだ。そんな希望も見える敵とのやり取りも良い作品だった。

 

チビ達の日常

 日常ドラマに強く焦点を当てたのが作品の良さだった。主役のユウコだって女子高生でまだまだ子供。作品の中心にはユニークな子供達の姿がある。

 

 ポワトリンの戦いと同じくらいメインに描かれるのがユウコの弟タクトとその愉快な仲間達の日常。同級生のシンスケ、カズヤ、ケンジを含めたチビ4人で集まって楽しくおバカに青春を過ごす感じがなんとも微笑ましい。ここはどこのおっさんも通ってきた道だよな。ある程度はおふざけをして大人になっていくはず。タクト達の日々に懐かしさを見る。

 すごく悪ガキでもないが、4人揃ってとても利発そうには見えないこの感じに親近感も湧くというもの。自分達でも成績は良くないバカの部類だと自覚した発言もしている。

 

 作品の主な舞台となる村上家には敵味方含めて多くの人間が出入りすることになる。タクトの友達は勝手口から普通に入ってくるし、家で飯も食っている。村上家の両親の面倒見も良い。ここのお母さんはバブル時代の良い女って感じでモテそう。

 ツインファミコンが買えるだけあって村上家は良い家なんだよな。普通に描かれているけど、これは良い暮らしをしている。村上家に見るアットホームな感じが好きだった。

 

 シンスケの家は薬局、カズヤの家は両親揃って警察官、ケンジはトンカツ屋の息子である。タクトの仲間達客員の家庭についても結構掘って描く展開も良かった。

 

 個性的な男子4人のチームは好きだったな。UFOを呼ぼうと手を繋いで4人でクルクル回る儀式をしたりとか暇でバカすぎて愛着が湧く。

 

 カズヤがあの感じでバク転が出来る、ケンジは人相書きが上手い、シンスケは科学に強い発明家、それぞれが意外な属性持ちなのも良い。シンスケは肥満児として描かれるが、痩せると結構イケメンかもしれない。

 シンスケがポワトリンと待ち合わせして会いに行く時に、手ぶらではなんだからということで粉石鹸を手土産に持っていくのが面白かった。業務用なのかってくらいにデカい箱に入っているのも笑えた。

 

新井礼子

 子供達の活躍を見る上でどうしても印象に残って忘れられない曲者キャラが新井礼子だった。この小娘がクセがありすぎて良いキャラをしていた。名物キャラだわ。

 男子4人を面倒に巻き込むトラブルメイカーとして作品を盛り上げてくれた。良いところのお嬢様ではあるので、基本の言動はとても穏やか。でも内側には多分サイコパスな何かを飼っていて怖い。

 

 たまにタクト達の前に現れてはいつも謎のアイテムの回収を依頼してくる。新井家は戦争のどさくさに紛れて色々やっていた旧家らしく、古い曰く付きのバカみたいなアイテムがいつも話題に上がる。

 物言いだけは丁寧だけど内容はブラック仕事で困る。本当のところはわがままですごい図太い人間性がある。

 どうせ話を聴けば酷い目に合うとは分かっていても、なんだかんだあってコイツに付き合わされてしまう男子達の悲運の物語が描かれるのがいつしか定番パターンになる。

 

 特にシンスケはチームでだけでなく、ピンの仕事で他より余計に酷い目に合っている。ある回では、見つけたお宝を山分けと約束したのにも関わらず新井が全部かっさらおうとするし、敵の化け物にシンスケを売って自分は逃げおおせようとするなど特に酷いヤツの言動が見えた。

 他の男子達にも言えるけど,特にシンスケにはマジで殴られても文句言えないと思う。それくらい新井の荒れた言動が印象に残る。新井は普通にムカつくヤツだけど、キャラ性として面白い。 

 

 新井礼子周りのエピソードは毎回バカっぽくて笑えて面白かった。

 

美少女仮面ポワトリン VOL.1 [DVD]

 

 悪党相手でも愛をもって制裁を加える。そんなポワトリンはフェアでピュアな戦士だった。そのスピリットは子供達にとって良き教えとなるだろう。

 愛のヒロインポワトリンは、平成を彩ったおすすめヒロインの一人である。こいつは令和のチビっ子にもお勧め出来る良きものだな。

 

 あとOP曲の「17の頃」は、清潔感あるめっちゃ良い曲だったな。

 

 

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