こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

丸くて可愛いピンクのあいつは星の戦士「星のカービィ」

星のカービィ」は、2001年10月から2003年9月まで放送された全100話のアニメ。

 

 9月も折返しポイントを過ぎました。なのにまだ暑い。一体いつまで夏モードでいくねん。いい加減にしてくれ。この段階になってもこれだけ暑さと湿気が残っているとか地球大丈夫かよ?

 そんな事を思いながらどこもかしこも大丈夫な私は、今日もせっせとアニメを見てまったりとレビューがしたい。

 

 で、今回見たのが皆の人気者「星のカービィ」のアニメ。カービィはとっくにお茶の間デビューしてたんだぜ。知らなかった人も結構いそう。

 最終回を迎えてからなんと約20年が経っている。そう思えば古いと言えるが、70年代、80年代の作品も平気で楽しむ日々を送っていると、00年代なんて最近という間隔にもなってくるから不思議。

 

 そんな不思議な力を持つ伝説のヒーロー カービィーの熱き戦いとグダグダした日常コメディが見れるこのアニメが今年の夏を盛り上げる。

 

 我が家にこのアニメのビデオがいくつかあったのでちょっとだけ見たことがある。昔懐かしいVHSね。

 カービィも大変懐かしい。そういやコレビデオで見たぁ~と懐かしくなって笑みが溢れる。

 内容は全然覚えていないけど、前期OP曲とエンディングの絵描き歌はずっと覚えていた。スマブラをした時にはたまに歌っている。 

 しかしこうもジメジメとした惑星で何年と寝かしたテープだ。今ではすっかりカビが生えて見れないかもしれない。でも大丈夫。最近になって全話セットのBDが出た。コレで100話をまったり見るしかない。

 カービィのアニメはDVDでも出していたのだが、諸々の事情があってリリースが途中打ち切りになった。長らく綺麗な状態でのフル視聴が出来なかったので、今回のBDリリースはとてもナイス。

 しかし日本のBDはなぜここまで高額なのか。理由を聞いてもおそらく納得出来ないだろう。

 

 ここのところはヤフオク出品、どうせ死ぬまでには片付けられないであろう数の積みゲーをちょっとでも削る作業(要は古いゲームを遊ぶこと)、筋トレ、音楽観賞、何もせず空を見る癒やしの時間などなどのために、じっくりアニメを見る時間が取りづらかった。

 体は一つで時間は極めて有限、だったらやりたい事の内何が出来るのかってのにも制限がかかる。困るぜ。

 

 そんなこんなとにかく楽しく忙しい日々を送っていたことから、私にしてはまったりな1ヶ月も掛けての全話視聴となった。話数の長短問わず、私が1作を片付けるのにこれだけ掛かるのは稀。そんな個人情報を開示しておこう。

 でも一ヶ月で放送2年分を見たのだから十分時空のショートカットだよな。

 

 カービィといえばファミコンゲームボーイの時からもゲームソフトが出ていた任天堂の古株キャラだ。先にそちらに触れてから見るアニメともなると、思い入れたっぷりな感じになる。

 ゲームと同じキャラが出てカービィの吸い込みコピー能力は健在。デデデが敵というのも一緒。でも後の設定は結構アニオリになっている。ゲームとはまた別の間隔で楽しめるぞ。

 

 アニメポケモンはアニポケっていうから、こちらではアニカビを用いろう。ではアニカビの感想とかを書きなぐって行こう。

 

星のカービィ Vol.5 [DVD]

 

内容

 銀河規模で悪さをするナイトメアの帝国があった。ファミコンゲームでボスだったやつだな。

 ゲームでお馴染みのメタナイトをはじめとした星の戦士達は、力を合わせて軍団となり悪のナイトメアに対抗する。

 しかし向こうは無尽蔵に魔獣を放ち、数に限りがあるこちらは押し切られてしまう。星の戦士達の軍団は壊滅状態に陥る。

 

 しばらくが経ち、次代の戦士としてカービィが誕生する。どこからともなく生まれたカービィを乗せた宇宙船は、魔獣がいるであろう地 ププビレッジを目指して飛んでいく。

  

 ナイトメアは、魔獣をどこにでも送る通信販売サービスを展開する「ホーリーナイトメア社」を設立し、ププビレッジにも魔獣をたくさん送って来る。

 カービィは星の戦士の力を使って魔獣を倒し、やがてはボスのナイトメアにも迫るのである。 

 

感想

 基本設定や大筋としては結構しっかりとした作りになっている。子供心に冒険ロマンを宿す良き作りだと想う。そこら辺が分かる導入部は良い。

 

 先輩の星の戦士達が一度は敗戦し、ナイトメアが宇宙規模でかなり幅を利かせているのはシリアス。そのナイトメアが通販という現代的な商売に手を出しているのは意外かつ面白い設定だ。

 ファミコンカービィだとナイトメアは確かに強かったし、ファンキーな見た目で得たいが知れないことから何か怖かった。ヤツが十分に力を持っていることは最初から視聴者に伝えている。

 

 ププビレッジに星の戦士の新顔カービィが降臨したのは良いことだが、実は本来の予定より200年も早く目覚めたと発覚する。だからカービィは言葉もまともに喋れないし、自分のことも色々と分かっていない。

 これがちゃんと200年寝かした状態での目覚めだったらどうなっていたのだろうか。フームが最初に予想したカービィの姿はシュッとした人型だったので、放っておくと人間みたくなっていたのかな。

 目的地と期間を決めて宇宙挺を飛ばすシステムから、ドラゴンボールベジータやナッパが地球に襲来する流れを思い出した。

 

 主人公が基本的に「ぽよ」しか言わない作品も珍しい。カービィの素性、能力とかの説明はメタナイトがやってくれるし、その他にも周りには喧しいヤツが多くいるのでカービィが喋らなくても話は問題なく進行していく。

 カービィの声ってゲームでも聴いてはずだが大本眞基子だったとは気づかなかった。コレクター・ユイの声の人だな。

 

 作品の感想として1番に言えるのはカービィがとにかく可愛いこと。飛んで跳ねての丸いピンク坊やが可愛くないわけがない。OP映像の最初の所からもう可愛い。基本は丸の可愛いピンク坊やに癒やされる夏でした。

 カービィやデデデは、当時目覚ましく発達したであろうCG技術で描かれている。00年代にもなるとアニメがこんな感じで進化して行ったのかと学びになりますね。ジャパニメーションは時代毎に進化している。

 

 デデデ大王ホーリーナイトメア社から買った魔獣が毎度村に放たれ、カービィがそれを討伐する固定の流れがある。これは特撮的な面白みとして見れる。

 にしてもデデデの支払い率が悪く、ホーリーナイトメア社に笑えるくらいめちゃめちゃ借金をしている。払う気がないのがモロに見えるシーンが幾度もあるのは消費者マナーとしてよろしくない。

 放たれる魔獣にはゲームに出てくるお馴染みのキャラもいて楽しい。初期のゲームから出ていたクラッコとか懐かしかった。

 ナックルジョーは複数回登場して優遇されていた。声は高山みなみだった。

 

 毎度の騒ぎをププビレッジに持ち込むデデデのバカを見るのが真の面白みだと思う。

 このアニメの面倒のほとんどはデデデのせいで、こいつがいないと話が回らない。一番悪いのがコイツだけどいないと困るキャラでもあった。

 ある意味デデデ大王と部下のエスカルゴンのコンビも主役かも。こいつらバカ2人がいないと話が動かないし。

 

 デデデは一応ププビレッジを治める王として君臨し、村人には陛下と呼ばれている。しかしその慕う態度は上っ面のもので、皆根っこではバカな問題児くらいに思っている。村人とデデデの間に見る雑な主従関係が面白い。一番傍で使えるエスカルゴンも普通にデデデのことはバカだと思っているし。

 古くからいる地主ではないよそ者だけど、昔からいた感じで偉ぶる。そんなデデデの傲慢さはムカつかれて当然のものだが、その様が清々しいため一周して笑える。よそから勝手に入り込んで村で偉そうにしている神経の太さにウケた。

 

 クソ野郎も貫くとそれはそれで一級ユーモア。どうしようもないダメ人間だけど、突き抜けたダメさは逆に愛せる。そんなことを思って親しめる同級生がいました。同じようにデデデやエスカルゴンの小悪党感も愛せます。

 デデデを役の緒方賢一、それと仲良く掛け合うエスカルゴン役の龍田直樹の芝居がとにかくナイス。間抜けな小悪党の芝居が達者な2人でした。どっちの声もくせになる。バカな悪者キャラだけどどっちもすげぇ好きだった。

 

 村に魔獣は呼ぶし、自然破壊してゴルフ場を建てる迷惑行為もするし、その他思いつきで考えたアホみたいな政策を行ってトラブルを呼ぶしで、デデデは清々しい程村にとっての害悪だな。ここまで来ると笑える。

 

 いい加減コイツを追い出せと住民達に向けて思うこともあるのだが、ここの住民達も態度がテキトー。住民も悪いぞこりゃ。

 ププビレッジの住民達は全部埴輪みたいな見た目の間抜けな生物。カービィも謎だけどコイツらもどういう生き物なんだ。

 埴輪で中が空洞だから入れたことがすぐに抜ける。だから学習能力が無いってことなのか、毎度毎度住民達もデデデに上手いこと踊らされすぎ。デデデレベルでも征服できちゃう理由も分かってくる。良い人達だけど自主性のないおバカだろう。

 

 村のどの大人よりも博識で常識的判断が出来るフームが住民の良心だな。ピノキオに対するジミニー・クリケットのポジだ。

 フームがいないと大人達もダメダメだな。何か騒ぎが起きた時には、フーム、メタナイト預言者カブーくらいしかまともな判断が出来ない村だ。人間社会だったら自然淘汰されて地図から消えていたことだろう。

 フームやブンは他の埴輪達とはちょっと違う人間味のあるキャラデザでシンプソンズを思い出す。

 

 ちょっと抜けた村人達も結構良いキャラをしていた。ゲームだとありがたい存在のコックカワサキが村に定食屋を開いている。カワサキ可愛いよな。

 意外にもカワサキって料理が下手だったんだ。アニメでは終始不味い料理を出すキャラとして文句を言われている。

 カワサキの他にはコックナゴヤ、コックオオサカと地名を冠した料理人が出てくる。カワサキって地名から取ったのか。

 カワサキを演じるのは飛田展男。彼の功績が大きいアニメでもあった。村人やゲストキャラ含め飛田展男1人で色んな役を兼任していた。今は亡き水谷優子もいくつかのキャラを兼任していたのでセットで拍手を贈りたい。

 

 カービィのサポートキャラのリック、カイン、クゥもちょっと出てくる。可愛い3匹の仲間達だった。

 

 カービィと仲良しの鳥のトッコリというキャラも印象に残る。コイツすごい口が悪くてウザいんだよな。口の荒らし具合がムカつくキャラで、こういうのクラスに1人くらいいそうって思えた。

 

 村に警察署があるが、そこの牢屋に最初からずっと捕まっているヒゲの囚人が可愛い。数回脱獄しているけどいつの間にかまた戻って来ている。完全なおまけキャラだったけどあのヒゲ囚人が好きだった。彼が主役のエピソードが欲しかった。

 

 カービィデラックスで存在感を出したダイナブレイド、ヘビーロブスター、戦艦ハルバードがアニメにも出るのは結構感動。ダイナブレイドが飛ぶのをCGで描くのは迫力があって良かった。

 それとダイナブレイドの雛がすごい可愛かった。最初はカービィが卵ごと茹でて食おうとしていて、その途中で孵化した。もうちょっとでカービィが食っちゃっていたのはちょっとカオス。

 

 大筋はカービィの魔獣討伐、その向こうに控えるナイトメアの打倒となる。そういうしっかりした設定はあれど、進行は随分とゆっくり。

 最終戦は戦艦で宇宙にまで出る激戦のターンとなるが、その他はほぼププビレッジに舞台が固定され、そこでは本筋と関係ない話も多く展開する。そこが面白い。

 

 このカービィには結構カオスなエピソードが多かった。大人向けなブラックジョークも含む回もあった。このくらいの時期だったらキョロちゃんマイメロのアニメでもカオス感が見えたな。

 可愛いカービィのまったりな日常には似つかわしくない世相を反映した重めの要素もあり。自然破壊、不法投棄、荒れた観光客のクソマナー、ペットを捨てることで起きる環境問題、大量リストラ、ブラック企業などなど、大人が見たらビクリと反応してしまう世のトレンドが含まれたエピソードも多数用意されていた。当時は諸々緩かったのだろうが、今だったら軽く文句を言われそうな内容もあったかも。

 

 絶対にチャップリン映画の「モダン・タイムス」をパロった労働問題をテーマにした回が印象的。労働者が歯車に飲み込まれる例のシーンもあった。

 モダン・タイムスの怖いところって何を作っているのかよく分からないところらしい。視聴者目線でそうだし、もしかすると作中の労働者もそこのところはよく聞かされていないのかもしれない。

 自分達が何をやっているかよりも、やったことで金がもらえること。そっちを重視するばかりに後のことは何でもよくなってくる。ブラック労働の真の恐怖は、そこのところのあたり前の意識、理解を壊すところにあるんだな。あの映画を見るとそんな事が学べた。あと私はホワイトしか当たったことがないので、幸せな人生で良かったと安心しちゃう。

 

 飯が無くてデデデが飢えてしまう回では、飢えないことを誓う「風と共に去りぬ」の有名なシーンをパロっていた。

 あの映画は長すぎて眠くなるターンも確かにあるが、全体を評価すると人間ドラマと女のガッツが見える好きな作品でした。でも妹の男に手を出すのは良くない。

 

 デデデがスカーフィをペットにするけど餌代に困って自然に放つ回がある。ここではペットの野生化によって自然のバランスがおかしくなる問題を伝えていた。それと飼い主はちゃんと責任を持てとも言っている。

 この問題の怖さを伝えるのにスカーフィはもってこいの役で、大変怖いキャラに描かれていた。見た目は大変可愛らしいのに何でも食う大食いキャラなので、自然に放つと大変なことになる。村の羊を食って骨にしちゃうのは結構怖い。

 ゲームでもトラウマな要素だったスカーフィの変身がCGでリアルに描かれるのは良かった。当時見た小さいお友達は泣いてたんじゃないか。1つ目の化物に変身したスカーフィの大群はかなり怖かった。

 ていうか本当にデデデはロクなことしないな。

 

 当時よく出来たなってのが、アニメの中でアニメ作りについてディスってイジる回。

 またまたデデデが思いつきでアニメを作り、しかもテレビ放送しようとする。村人全員をブラック労働させて作っている。昨今でこそアニメ業界はめちゃキツイというのがもう世間にバレまくっているけど、当時だとこんな形で暴露して良いのかってレベルで現場の過酷さを描写していた。夢あるアニメ業界の楽しいところだけでなくしっかり闇の部分も伝えている。

 仕事が間に合わないからと横着な作画を上げて作画崩壊が起きる。そのせいで口パクもない。そんな情けないデデデアニメが仕上がった。下手くそなアニメの出来に笑った。

 口パク無しの絵でも声優は死んでも声を合わせるという役者熱も伝えていた。村の皆でアフレコするシーンもあってアニメの勉強になった。

 放送に穴を開けたら違約金が発生するなどの子供に教えなくても良い情報もこの回で言っていた。

 

 好評だったのか、カオスなアニメ制作回は2回もあった。2回目は萌えを追求するコテコテのオタク達がフームを萌えヒロイン化したアニメを作るというものだった。

 このくらいの時期から大きなお兄さんズが恥ずかしげもなく「萌え」への愛を叫ぶような時代になったのか。私も萌えは好きです。

 

 爽快なCGアクションも楽しめればギャグネタやブラックユーモアも見えるカオス性も光る。そんな良いアニメでした。切りよくタップリ100話分を楽しんだ。

 

 アニメは終わったけど、今後もゲームの世界で頼んだよカービィ

 

 

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