こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

俺が正義だ!「巨獣特捜ジャスピオン」

「巨獣特捜ジャスピオン」は、1985年3月から1986年3月まで放送された全46話の特撮テレビドラマ。

 

 先日、先にスピルバンを見終えてしまった。こうなれば一つ前に放送していたジャスピオンも振り返らねばと思って視聴した。こちらもしっかり格好良いぜ。

 

 宇宙刑事シリーズ3部作終了後に放送されたメタルヒーローシリーズとしては4作目の作品。

 ここからはシリーズ新機軸となる挑戦の企画をぶつけなければならない。こいつはただの新番組で終わる話ではない。シリーズの今後を担う運命も背負った作品がジャスピオンだった。

 

 そんな訳で今作は色々と新しい。宇宙規模の壮大な世界観はそのままだが、今回はそんな広い宇宙にたくさんいる巨獣を相手にしたバトル展開が見られる。特別なボスキャラではなく、毎度のゲストの敵キャラがでかい怪獣だという点が強い特徴になっている。

 これまで通り主役はコンバットスーツのカッチョいいヒーローだが敵は特大。このスケールの差には興奮する。

 ジャスピオンは等身大でもデカい敵に挑むし、対抗するのに限界とあらば巨大ロボのダイレオンを呼んで応戦する。

 要素としてウルトラマンや戦隊モノの感じも見えるお得なシリーズだったといえよう。

 

 主役ヒーローのジャスピオンがとにかく格好良い。基本カラーは白、縁取りは赤で決めた清潔感とクールさが売りのデザインは良し。

 

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 物語はジャスピオンとその育ての親エジンが暮らす星からスタートする。

 エジンは予言の書「古代銀河バイブル」を発見して読み上げるのだ。予言書によると、巨大なる悪のサタンゴースが宇宙を荒らし回るとのこと。エジンの毛量は凄い。

 サタンゴースは冒頭すぐにもジャスピオンの目の前に現れる。信じれないくらいにデカい。そしてダース・ベイダーぽいデザイン。話が始まってすぐに巨大で凶悪なボスの姿を披露というのもインパクトがあった。

 サタンゴース討伐のため、ジャスピオンは相棒の女性アンドロイドのアンリをお供に宇宙へと旅立つのだ。

 

 前半3話は宇宙にあるどこぞの惑星を旅して回る展開になっていた。

 合成によりこの世のどこにもないSFチックな架空世界を演出していたのが印象的。当時だとこれは進んだ技術で金と時間がかかったという。第1話では豪勢に巨獣を二体も出したので初回サービスが良かった。

 

 訪れた星の街並みや住んでいるファンタジーな連中を見ると、強めにスターウォーズを思い出してしまう。街の悪者にジャバ・ザ・ハット、またはボス・ナスっぽいヤツがいたせいでもある。

 そんなファンタジーな連中の中から心優しき珍獣のミーアを仲間にしてジャスピオン達は第4話でやっと地球に辿り着く。

 

 前半3話と残りとでは毛色の違う世界観が展開していた。聞くところによると、全編通して宇宙を股にかけたスペースオペラでやって行こうとなったらしいが、そうなると作るのが大変すぎる。それに現代の地球を舞台にした方が見ている側の理解も楽で感情移入しやすいとかでこうなったらしい。

 

 そんな都合から物語のメインの舞台に決定した太陽系第3惑星は巨獣の眠る星だとされていた。そうだったのか地球。

 それを知ったサタンゴース一派はジャスピオンよりも先行して地球に降りて征服活動を始めていた。奴らが地球でやることは、星をジャングル状態にすること、そして眠っているのを全部起こして巨獣の惑星にするということだった。

 昭和時代も深まった時期に、まるで恐竜時代をカムバックさせるような事をやろうと言うのだ。ろくでもない事やりやがるな。これは止めるしかない。

 

 サタンゴースには巨獣を目覚めさせ凶暴化させる力がある。大人しく眠らせておけば良いものを、サタンゴースは毎度巨獣を見つけて起こしては面倒を呼ぶ。これを倒すジャスピオンの地球での戦いの物語が楽しめる。

 毎度のゲスト敵キャラを等身大ではない巨大なものにしたのは楽しい変更点だったと思う。ダイレオンの活躍も頼もしい。

 

 ロボットでとどめを刺すことになるので、前シリーズでは毎回の定番となったレーザーブレードでの必殺技を放つ要素が薄れてしまった。それは寂しい。

 ジャスピオンは初期装備でブレードを持っている。それが光って必殺斬りを放つ「コズミックハーレー」のお披露目は2クール目に入ってからだった。

 

ギャバンスピルバンのように地球で活動する際の名義は特に用意せず、ずっとジャスピオンで通している。どこの国の人だか分からないネーミングだよな。このジャスピオンとは、正義を意味するジャスティスと覇者を意味するチャンピオンをかけ合わせたワードだという。

 OP曲で「俺が正義だ」とめっちゃ言っているだけに、ジャスピオンはガチに正義の人である。そんな格好良いOP曲を最近はヘビロテで聴いている。

 

 初登場時のジャスピオンはナレーションで「野生児」と紹介されるくらい野性味を帯びたワイルド男子だった。まさかのボンバーヘッドだったのは意外。

 地球に降りてからは、玄人でないと着こなせないようなジャンル不明の攻めたファッションを決めていた。

 初期のジャスピオンは野生児らしく自由奔放でやんちゃって感じだったが、段々と地球人としてのマナーや常識を身につけた弁えたお兄さんになって行く。後半では髪型もさっぱりしたものになり、見た目の印象も変わっていった。どちらのジャスピオンも好ましい。

 車の事は詳しくないが、ジャスピオンが地球で乗り回している車は結構格好良い。

 

 そういえばこれといった固定の変身バンクがなかった。毎度なんとなくポーズを取っていつの間にか変身となっていた。一応はっきりと変身ポーズを取ってのシーンもあるが、強めに印象に残る程くり返し使われる感じでも無かったな。変身の振り付けは腕を曲げた状態でコンパクトに行うもので印象的だったけど。

 

マッドギャラン

 戦いの物語に華を添えてくれた愛すべき悪役がマッドギャランだった。

 地球に到着したジャスピオンを出迎えてくれる強敵がヤツだった。割りと序盤から登場し、終盤まで戦うライバルとなる。

 

 こいつ、めっちゃ格好良い。好きすぎるんだけど。

 ハカイダートップガンダーなどと同じく漆黒のボディのライバルキャラだった。このカラーリングのこのポジはオタクに受けが良い。

 ジャスピオンも当然格好良いが、この作品を見たい強い目的としてマッドギャランの存在が挙げられるのもまた事実である。

 

 ボスのサタンゴースの息子ということで敵組織の王子にあたる。普通に悪くてムカつくこともするけど、父と共に目指す理想に忠実で正直。そこには武人としての好感が持てる。

 悪者だけどジャスピオンとの一騎打ちを仲間に邪魔された時には手出しをするなと言った事もあった。戦士として一端の流儀を持っていた。

 

 中盤と終盤でジャスピオンとの熱い一騎打ちがあった。どちらも名場面だ。

 中盤でのジャスピオンとの一騎打ちは演出が格好良すぎた。ジャスピオンにブレードを持った方の腕をふっ飛ばされ、コズミックハーレーを決められた時に腕が降って来てブレードが地面に刺さる。それから爆発の流れは神がかって格好良い。

 ギルザの首をふっ飛ばしたこともあったくらいなので、ジャスピオンのブレードは切れ味抜群。

  

 最後の一騎打ちはコズミックハーレーを食らってもまだ倒れず、追い込まれてから覚醒を迎え、息子のこちらもサタンゴースになる。これはびっくりだった。そういうプロセスだったのか。マッドギャラン→サタンゴース→大サタンゴースの順で進化らしい。親父のサタンゴースも昔はマッドギャランと同じ姿だったのかもしれない。

 サタンゴースに進化したところで致死量のダメージが破裂して死んでしまう。死んでしまう最後の最後で覚醒して巨大化したマッドギャランの最後は、敵だったけどあっぱれなものだった。良い散り方だった。

 

 この後に地球ジャングル化を進めたサタンゴースが「息子にもこの景色を見せたかった」と呟いている所にはちょっとウルリと来る。

 

 ジャスピオンと言えば愛すべきライバルキャラのマッドギャランがいたことを忘れてはいけない。

 

他の敵キャラ

 ボスはサタンゴース、次手で指揮権が強いのは王子のマッドギャランとなる。この二人のインパクトが強くて忘れがちだが、他にも等身大の幹部キャラが登場した。

 

 2クール目を迎えた頃からテコ入れとしてマッドギャラン四天王が追加される。イッキ、ザンパ、ブリマ、ギョールの男女二人ずつの4人衆。男のイッキ、ザンバは早々に始末され、女性二人は後半までずっと出てくる。

 そこに我らが高畑淳子演じる銀河女王ギルザが追加され、ジャスピオンに倒されてからはその姉のギルマーザが登場する。ギルマーザは謎の宇宙忍者5人衆を引き連れて来る。5人でジャスピオンに取り憑いて空中に浮かぶ暑苦しい光景が記憶に残る。ていうか高畑淳子ってこんなに昔から特撮女優をやっていたのか。

 

 こんな感じで、気づくとマッドギャランの下につくチームには女性が多い。女性優遇な組織だったんだな。

 

大サタンゴース討伐

 最初のダース・ベイダーぽかったサタンゴースで十分強そうだったのに、そこから更に脱皮することでもっと強い大サタンゴースになる。脱皮のシステムなんだ。この脱皮は当人にとって心身共に負荷がかかるものであり、神経質になったりとかして大変らしい。脱皮後には見るからに凶悪な化け物になっている。

 

 これに対抗するには、聖なる光に射抜かれた子供達を集めなければならない。中盤からの見所は、通常の戦闘と並行して選ばれし子供達を探すことにある。

 黄金の鳥の存在を明かしてからはオチまでその要素の全貌が分からない作りになっていた。焦らすなぁ。

 黄金の鳥に関する情報をくれる博士の役が歌手の佐々木功だったのも印象的。その博士の子供達を助けてくれるおじさんが悪者声優の飯塚昭三だったのもまた印象的。飯塚昭三が良い人の役で顔出し出演しているのだけど、声を聞いたらすぐに「悪者」のワードが過ってしまう。サタンゴースの声もこの人。

 

 子供達が聖なる光を集めることで現れる黄金の巨剣をダイレオンが握った時には興奮した。それまでは殴って蹴っての打撃技が主流だったダイレオンが剣を手にするのは格好良い。この時を待っていた。

 

 最後に仲間にした子供はまさかの赤ちゃん。しかも宇宙人の赤ちゃんで地下に眠っていた。通りで最終回終盤まで発見できないはずだ。赤ちゃんの力も得たところでダイレオンがコズミックハーレーを使用する。ココは最後の見せ所。よりインパクトと破壊力を増したラストのコズミックハーレーは格好良い。

 

 最終回に出て来た赤ちゃんはすんごい丸顔でとても可愛かった。あの赤ちゃんも今ではおっさんかぁ~。そう思えば改めて古い作品だな。

 

巨獣特捜ジャスピオン VOL.4<完> [DVD]

 

 正義の銀河狼ジャスピオンの活躍をこの目に焼き付けたぜ。これは絶対に格好良い。今やっている戦隊モノより絶対に格好良い。良い時代だったんだな~と思いながら古い特撮を楽しんだ。

 

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