こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

目覚めよ!若き獅子達よ「大戦隊ゴーグルファイブ」

大戦隊ゴーグルファイブ」は、1982年2月から1983年1月まで放送された全50話の特撮テレビドラマ。加えてオリジナルストーリーの劇場版も作られた。

 

 スーパー戦隊シリーズ6作目であり、今年でなんと40周年の作品となる。今見ると、40年前ならではの古臭い味わいが滲みていて良い。これだけ昔のシリーズが本日でも継続しているのだからすごい。

 現在放送中のドンブラザーズの作風を否定するつもりはまるで無いが、それでも見てみれば「諸々変だ」という感想が浮かんだのは確かなこと。こうなると逆に古典的にしてスタンダードなヤツが見たい。そこで、ゴレンジャーからサンバルカンまでの初期5作は見たことがあるけど、6作目のゴーグルファイブは見たことがないということを思い出し、クソ暑い7月に心を燃やして元気に視聴した。

 

 OP曲がとても格好良くて気に入っている。「目覚めよ若き獅子たちよ」の歌詞は胸を熱くするフレーズだ。そんな若き5人の獅子達の戦いの物語を見た感想とかを殴り書いていこう。

 

 

大戦隊ゴーグルファイブ DVD-COLLECTION VOL.2<完>

 

ざっくりな内容

 長らく歴史の裏に暗躍していた暗黒科学帝国デスダークが遂に地上侵略に出た。それを阻止すべく本郷博士は、大戦隊ゴーグルファイブを結成させる。

 デスダーク打倒に命をかけるゴーグルファイブの戦いの物語が50話に渡って展開される。そんな内容である。

 

ゴーグルファイブ

 存在は知っているけど本編は見たことがなかったゴーグルファイブだが、しっかり格好良くて楽しめた。

「大戦隊」というネーミングには、大きく出たものだと思える。しかし名に恥じぬ大いなる戦隊だった。

 

 スーツデザインの流れを見るに、デンジマンサンバルカンゴーグルファイブまではなんとなく似ている。今回のゴーグルファイブは、前ニ作の要素も踏襲しつつ、額には宝石を埋め込み、ゴーグルの周りはゴージャスにあしらう事でオリジナリティを出している。

 本郷博士の説明によると、戦闘スーツ頭部に埋め込まれた宝石は、失われし古の文明の遺産だという。古代文明がテーマに含まれる作品であることから、文明の遺産である宝石をプッシュしたデザインになっていた。これは単なるおしゃれ要素のみにあらず、今ある文明を消滅から守るために戦うのだという戒めの意味合いも含まれているとも言われていた。本郷博士の込めた強い思いとメッセージは印象的だ。良いことを言っている。

 

 前作のサンバルカンが変速フォーマットの3人体制だったのに対し、ここからは従来軌道の5人に戻った。そして新要素は、緑を廃して初めてメンバーカラーが黒の戦士を盛り込んだこと。これ以前にも黒がベースカラーの者なら「バトルフィーバーJ」のバトルケニアがいたが、あれはある意味別口であり、メンカラの概念は無しの半分番外編みたいな感じでカウントしていない。

 当時だと黒は悪者カラーとみなされ、正義側への配属はありえない考えられていた。そこへ新しい挑戦的な要素として敢えて導入されたとのこと。そういえばハカイダーマッドギャランにブラックキングと、黒はワルのカラーって感じがするな。そこら変の都合を越えて新しい事に挑戦する魂は良い。

 

 ゴーグルブラックはアクション俳優の春田純一が担当。変身前も後も演じているので彼にかかる負担は二倍。にしても春田純一は格好良い。声も良いなぁ。

 次作のダイナマンでも引き続きブラックを演じた春田純一は、戦隊ヒーローにおける黒の伝道者。自分の活躍で黒を正義側のカラーとして確立出来たことは誇りだと後年のインタビュー語ったという。このエピソードはとても好き。春田よ、ありがとう。

 こうなるとピンのヒーローで真っ黒だった仮面ライダーブラックはとんでもないイレギュラーな発明だったんだな。ゴーグルブラックの活躍が繋いだ黒いヒーローのバトンが見える点で勉強になった。

 

 それからゴーグルピンクに変身する紅一点の桃園ミキは大変キュートガールだった。元々民間人のメンバーの中で、彼女は新体操選手をしていた。こうなると実写版浅倉南ちゃんでもイケる。新体操をアクションに取り入れたヒーローだけど、彼女は変身前からも本場の人ではないか。

 桃園ミキの七変化回は美しかった。オスカルみたいな男装の騎士に変身したやつが格好良かったな。デンジマンでも紅一点は色んなコスで出てくる七変化回があったよな。そんなわけでヒロインも結構推せる。

 

 ゴーグルファイブのアクションシーンにおいて特筆できる点は、新体操の要素を盛り込んだユニーク性があること。

 新体操と言えば南ちゃんだし、どうしても女子のスポーツのイメージがある。というわけで、当初はこの案に否定的なスタッフもいたという。そんな連中にも新体操チームの本場の演技を見せることで、女々しいものではなく、男女共に熱くなれる良いものだと理解を得ることに成功した。そうしてこの案にGOが出たという。作り手も色々考えるし、情熱を燃やしていることが分かる。

 

 メンバーの武器には、フラフープ、リボン、棍棒、ボールなどがあり、優雅に各アイテムを扱って敵を翻弄した。そんな中、イエローの「イエローオパールメガトンボール」は普通に凶器だった。1番喰らいたくない痛そうな武器だった。

 

 必殺のゴーグルビクトリーフラッシュを放つ時には、組体制でやる5人やぐらを組む。これは危ないなぁ。

 後半からの新しい合体技にゴーグルゴールデンスピアが追加される。この時にはスピアを軸に5人が鉄棒の大車輪技をやってのける。Xライダーみたいに鉄棒アクションも加えて来た。それにしてもくるくる回って強い武器が出来るからくりがよく分からない。

 

 アクションシーンはかなり良く動く。春田純一はそのままの姿でもアクロバットがすごい。前転でもバク転でもくるくると空中でよく回る。子供の時には何も気にしないけど、改めて見るとアクション俳優の仕事ってマジで危ない。ふっ飛ばされる方は石の上でも倒れ込むのだから骨を折ってもおかしくない。

 で、この時代だと普通なのかもだけど、現代で見ると珍しいのが火薬の量の多さ。次のダイナマンとかでもそうだったが、バカみたいに火や煙を焚いている。コレは危ない。役者も怖いだろうな。最近だとパソコンで出す炎が主流だから、マジの火をテレビで見るのも少なくなった。

 メンカラに合わせた5色のカラフルな爆煙が上がるシーンが綺麗に見える。あれって何がどうなって煙に色がつくのだろう。謎だ。

 

 大戦隊だけに基地が大仕掛けなのも印象的。今は無き後楽園球場の下に、戦闘母艦のゴーグルシーザーが格納されている。日中のゲーム中であっても、球場の上部分が持ち上がり、その間から発進となる。すげぇな、これは夢がある。

 大昔の事だから行ったこともないけど、40年前にはあった大衆スポットだったという。調べると平成になる前には閉場となったとか。これはこれで映像で見る歴史の資料集だな。この夏にゴーグルファイブ聖地巡りをしようにも、もう無い場所なのか。これは寂しい。

 

 戦隊メンバーは5人に増えたが、ロボの仕様は前作サンバルカンの3人乗りのままで5人仕様にシフトしてない。この点はどうしたのだろうと気になる。スムーズに体制を変えたり、あとはメカを増やす都合が大変とかいう都合があったのかな。

 5人いるけどブラック、ピンクはゴーグルシーザーに居残り。あとの三人は3台のメカに乗り込み、それらが合体してゴーグルロボになる。二人の仕事は?となる。

 ゴーグルシーザーにもミサイルなどの兵器が搭載されているので、たまに援護射撃とかはしたけど、巨大ロボ戦になるとどうしても二人の仕事が少ないのが寂しかった。ブラックとピンクを担当した役者は何を思ったのだろう。「自分達仕事ないのかよ」とか思ったのかもしれない。ここら辺の都合は気になったな。

 

 ゴーグルファイブは、軍人やその他特殊機関で訓練を受けた猛者ではなく、普通に暮らしている一般人から選抜された。

 本郷博士はゴーグルファイブよりも先に、コンピューターの扱いに長ける少年少女5人チーム「コンピューターボーイズ&ガールズ」を結成させている。通称コンボイと呼ばれるこのちびっこ達の方が大戦隊よりも先に結成されているのが意外な要素。ゴーグルファイブのアシスタントを行う子供達の方が先輩なのか。これは珍しい設定。

 コンボイ達がコンピューターから割り出したベストな候補者5人を招集したのがゴーグルファイブとなる。この子供達を先に集めた意味はしっかりあった。5人の子供達がいないとゴーグルファイブ結成にはならなかったわけだから、ちびっこといえど侮れない歴史の立役者だったな。コンボイメンバーには寺田心みたいなヤツもいた。

 

 コンピューターに詳しい者なら大人にだって大勢いる中、なぜ本郷博士は子供を選んだのか、それにはちゃんと理由があった。曇りなき子供の視線で正義や平和について考えることで、文明破壊の未来を阻止して欲しい的な願いが込められていた。本郷博士の思想もクリアなもので、初登場からすぐにどこかに行ってしまう割には心に素敵なメッセージを刻むターンが多い。

 本郷博士は最初とラストで合わせて4、5話くらいしか出ていないのに存在感があった。

 

デスダーク

 デスダークは暗黒科学を駆使して侵略作戦を展開させる。こんな悪い軍団が実は5000年前からも活動していて、歴史の裏で文明破壊を行っていたというのだ。オカルティックにして怖い。

 ED曲の歌詞では、デスダークについて「やつらは氷だ砂漠の砂だ」と歌っている。迷惑で危ないヤツらという事

 

 ピラミッド風の空飛ぶ基地デストピアの存在が印象的。まずは外国の海の底から浮上し、そこからは目的地を日本に絞って移動してくる。旋風を巻き起こして進行するため、通った後は街がめちゃくちゃになってしまう。迷惑極まりない移動要塞だった。

 

 

 敵はビジュアル的に魅力に欠けるかな。格好良くはない。

 ボスの総統タブーは、最終回で見せた最終形態こそ威厳と恐怖感があってなんとか見れたけど、普通の時だとデカい目玉に手が生えたキモくて間抜けな感じがする。こちらからは触れることが出来ない謎の膜の中にいるし。

 

 デスギラーも将軍の割には下っ端兵士感のある装備。ヘルメットに亀裂が入りすぎて今にもパッカーンしそうなデザインはちょっと面白い。

 終盤では死にかけたデスギラーをゴーグルファイブが介抱してやる意外な展開が見えた。放っておけば死んでしまう状態だったけど、ゴーグルレッドは、数え切れない命を奪って来た男だからこそ、命の尊さを教えてやりたいと言って敵を助ける。戦闘をする上では甘い考えだが、一方で命を重んじた深い考えから出てくる言葉だとも言える。これは印象に残るシーンだった。

 

 前線に立って結構良い仕事をしていた女スパイのマズルカは、頭部を見るとちょっとだけキャットレディーを思い出すデザインをしていた。

 最後は爆弾を埋め込まれて自爆させられる可哀想な人生の幕引きだった。

 

 巨大ロボを作る科学陣としてイガアナ博士、ザゾリヤ博士が登場する。

 序盤はそれぞれの博士が一体ずつ作り、戦わせて強かった方を現場に送り込むというコンペ式で仕事が進んでいた。その後は協力して良いの作る方針になった。

 巨大ロボ コングの企画考案者達で、組織にとって大きな利益となる技術を提供をしている。それなのに、失敗が続くからということで、2クール目スタート早々派手な散り方の用意もなく消されてしまう。厳しい組織だな。

 開発者達を消した後にもコングの技術は持ち越しで流用されている。都合良く技術を頂いたら当人達は処分のスタイルは酷い。

 ザゾリヤ博士の方は劇場版でお当番エピソードが回ってくるのでまだ救いがあったな。負傷して人間に手当を受けた時には、ザゾリヤ博士が衣装を脱いで普通に人間の格好になっていた。あれって皮膚にくっついた生物的な物でなく、作中でも普通にスーツの設定だったんだな。

 

 2クール目からはデスマルク大元帥が追加で登場。地獄大使を思い出すデカデカとしたマスクをかぶっていて、指がすごく長い。

 デスマルクが連れて来た使用人のベラ&ベスには、何も喋らずひっそりと控える不気味さがあった。全身タイツで顔も覆面で見えないが、体形を見るにお姉さんなのは確かなこと。そんなわけで、これはこれで異質ながらも色っぽい感じがしなくもなかった。どっちがベラでベスなのかはよく分からない。

 最終回はスーツも覆面も取って女戦士として登場した。二人の謎が最後にわかって良かった。

 

 毎度派遣される暗黒科学が生みし怪人をモズーという。なにかしらの生物の遺伝子に、タンパク質や金属を合成させることで誕生するという。誕生過程がちょっと小難しいが、とにかくスゴイ技術から成る化け物だということを大平透がナレーションしてくれている。

 

 たくさんいるザコ兵のスーツデザインを見ると、レインボーマンダッシュ6ぽいと思ってしまった。ダッシュ6、好きだったな~。

 

 敵の作戦で1番記憶に残っているのは、食べ物を砂に変えることで人間を飢えさせる作戦だった。怖いのもあるけど、シンプルに1番嫌。飯が食えなくて参ってしまったゴーグルイエローは、飯が欲しかったらこちら側につけと敵側の勧誘を受ける。正義のヒーローでも飢えに勝つのは苦しいという事情が見えた。

 

 後半はデスダーク陣営もかなりこちらに攻め込んできて、ゴーグルファイブの基地が爆破され、メンバーが路頭に迷うターンも用意された。ゴーグルファイブが結構なピンチに追い込まれるスリルあるドラマ展開もありで楽しめた。

 

【メーカー特典あり】大戦隊ゴーグルファイブ DVD-COLLECTION Vol.1-Vol.2セット商品(Amazon.co.jp特典:DVDスリーブケース)

 

 ゴーグルファイブには未来科学研究所という基地があり、敵側は文明を壊す暗黒科学を用いた。あちこちに科学のテーマ性も見えた作品だった。そんな科学の要素は次回にも持ち越しで、次作は「科学戦隊ダイナマン」というモロに科学をプッシュした作品になっている。

 

 改めてスーパー戦隊シリーズは毎度新しいアイデアを盛り込んでいてすごい。よく考えるなと感心する。時間があれば順番にシリーズ全部を見たい。

 

 

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