こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

トマト嫌いと行く冒険ファンタジー「トマトアドベンチャー」

トマトアドベンチャー」は、2002年1月に発売されたゲームボーイアドバンスソフトである。

 数えること20年と+アルファ前の古いゲームを今更プレイする。これが結構楽しい。

 

 タイトルだけはなんとなく知っていて気にはなっていた。しかし、積みゲー天国の我が家の状況的に、どうしてもあの日の最新ゲームが古の一本になるまでプレイを待つ必要がある。今積みあげられた物達は、残念ながら残った命全部を注いでも全消し出来ないだろう。これがコレクターの悲哀だ。

 そんなわけで、綺麗な状態で20年ぶりに太陽の日差しを浴びたトマトアドベンチャーだった。長いこと寝かせてごめん。

 

 結構ふざけた世界観の変なゲームだけど、今だと箱無しの裸状態でも結構なお値段になるという。というかアドバンスソフト全体が昨今は値上がりしていると想う。ソフトが小さく、紙箱に入っていることから軽くてコレクションしやすいのが良いのかもしれない。今となっては貴重なので、22世紀の世界に伝えるためにも大事に保管しておこう。

 

 これよりももっと前に「サラダの国のトマト姫」というジャンケンが楽しくも面倒くさいゲームがあった。なんとなくそれに関係するゲームかと思ったらそんなことはなかった。

 

 アドベンチャーとはあるがゲームジャンルはRPG

 ジャケットを見ればお分かりの通り、キャラクター達はしまじろうのお友達にいても違和感のない可愛らしいデザインになっている。より子供向けに作られたものだろうが、奥深い味わいがあるのできっと大人にも刺さると想う。

 

トマトアドベンチャー

 

内容

 物語の舞台は不思議な「ケチャプー王国」。この国は子供だらけで大人がいない。

 

 そんな子供達の内で、トマトが嫌いで食べられない者はカースト的に最下位の「ドロッパーズ」に分類される。ドロッパーズは場末の土地にあるしょぼい村「コボレー村」に押し込めらて窮屈な生活を送ることになる。

 我らが主人公デミルくんも例に漏れずトマトが駄目なガキとしてドロッパーズの肩書を背負う事になる。

 

 トマトが食べられない者は村を出る事が出来ないルールがある中、デミルは門番を倒してガールフレンドのパサランちゃんと遺跡探査に出る。

 そこでパサランちゃんは謎の円盤にさらわれてしまう。パサランちゃんを捕らえたのは王様のアビーラだった。アビーラは国中全部をおもちゃに変えることが出来る謎兵器「キャラクッカー」をぶっ放すつもりでいる。それを発射するためのエネルギーがパサランちゃんの持つ「ココロエネルギー」だった。ココロエネルギーはパサランちゃんの喜怒哀楽と+アルファの5項目からなり、それらを一つずつ回収して発射準備に入る。

 

 この陰謀を止めるためには、王国の各地に潜む6人のスーパーキッズを倒し、それぞれが持つ「トイパーツ」を集めるしかない。

 デミルは世界各地を回って強者6人を倒し、アビーラに捕まったパサランちゃんを助けるための冒険に出るのだ。

 

感想

 というわけで、内容を見るだけでおかしなゲームだと分かる。

 ケチャップ由来の「ケチャプー王国」の各地名には、マヨネンランド、オイスタウンなど、聴けばそれと分かる由来のコミカルなネーミングが目立つ。子供向けなこういう可愛らしい発想で出来た世界観はとっつきやすいもので良い。

 

 ファンタジーをベースにし、随所におバカなギャグ要素も散りばめたことで緩く楽しい世界観だと言える。でもちょっと暗くトラウマな点もあり。

 敵も味方も子供オンリーの楽しいファンタジー世界の成り立ちはちょっと気になる。かつて大人と子供が戦争をして子供が勝ち、大人は全てモンスターにされたという設定がある。デミル達が各地で戦うモンスター達はかつての大人の成れの果てと思うと、ダークファンタジーな感じがしなくもない。

 あとは、スーパーキッズの内「デスリルビ」は見た目がグロくてキショい。

 

 主人公のお供に加わる仲間は愉快な3人。いずれも個性的で、4人の絡みはユーモラス。皆仲良しなので緩く展開する会話劇も楽しめた。

 

 当初はボスのアビーラ推しだったヒロインのアレサが最初に加わる。かなりのミーハー女子であり、憧れのアビーラに会いたいからという能天気丸出しな理由で旅のお供に加わる。しかし、最終決戦時にはアビーラの悪者ぶりを知って「ぶっ飛ばしてやる」の勢いで臨んでくれる。

 多分猫?の見た目で、かつてのしまじろうのお友達のラムリンにちょっと似ている。なんでラムリンって降板したのだろう。溌剌とした元気ギャルでミミリンよりも好きだったのに。

 麗しいヒロインの出来には遠く、性格は男勝りでかなり豪快な女に描かれている。こいつに振り回される他のパーティー達の困った青春を見ることも出来た。面白いヒロインで好きだった。

 

 次にはデブガエルの洋服デザイナーのソフビーが加わる。着ぶくれ必至のデブになれるスーツを与えてくれる。イベント進行上、どうしてもデブにならないと突破出来ない箇所があるので、こんなデブファッションデザイナーでも食っていける道がある。

 デブだからヘビのトンネルにつっかえた状態で主人公達と出会うことになる。初登場にはトンネルにはまって姿が見えないため、そこにいるけど声のみが聴こえる状態になっていた。これを救出して初めてどんなデブだかが分かる。冒険すれば痩せれるからという理由でついてくる。ちなみにオチまで進めても大して痩せない。

 デブ要素はステータスにも反映され、素早さがめっちゃ遅い。そして防御力は高い。成功率の高い全体攻撃をぶっ放せることから戦闘ではかなり使える。

 

 3人目の仲間はモグラのレレク。パーティー合流は最後だが、ごく序盤からちょこちょこ登場しては助言をくれる特殊な立ち位置にいた。実は新聞を作るのが仕事で、主人公達の冒険を見てはネタ集めをしていたという。アビーラ討伐後にアレサとソフビーが唐突にくっつくことで、自分だけ余り物になって拗ねていたのが印象的。素早さが高く、先手を取るには持って来いの人材だった。

 

 可愛いキャラクター達で賑やかな冒険になるのは良いのだが、主人公は固定で3人の内一人しか戦闘に出せない。二人しか出れず四人一度にバトルに参加できない点はちょっと残念。

 交代して3人のお供を均等に鍛えた方が良いという勧めを本編中でも聞くことが出来る。その通りで、最終ダンジョンでは必ず3人のどれかに固定となる見せ場のフロアが待っている。ちゃんと鍛えていないと最後で苦労することになる。

 

 他になかなか例を見ることが出来ない特殊な世界観が見えるが、それより更に特殊な要素は戦闘システムにある。ここが他とは明らかに違っている注目ポイント。

「ギミックバトル」という本作特有のシステムがバトル時に楽しめる。そこらのRPGのようにAボタンを押すだけのコマンドで攻撃が決まるわけではない。パーティー客員が身につける武器はギミックと呼ばれる発明めいたおもちゃであり、それらの威力をフルで発動させるにはちょっとしたミニゲームをクリアしないといけない。これが最大の面白み。

 

 単純に連打するだけのものや、記憶力テスト、タイミングよくボタンを押すもの、用意されたコマンドを素早く入力するなど、直感的に分かって数秒で終わる物が数多く登場する。被り無くこれだけの数を作ったよなと想える。「メイドインワリオ」的な簡単ゲームになっていた。中にはマジで運だけのゲームも存在するので要注意。

 これは当時だとかなり画期的で異色な要素だったと思う。最近だと噂に聞くがやったことのない「UNDERTALE」というゲームでも、こんな感じでRPGだけど攻撃時にはミニゲームをクリアしないといけない仕組みになっているという。

 

 装備したギミックごとにミニゲームの内容も異なるので、色んなギミックを集める楽しさがある。

 デミルのギミックの犬がK-1を行うケー・ワンワンとかには笑えた。ユニーク発想で生まれた各種ギミックも魅力的。中には間抜けで笑えるアイデアも光る。

 

 ギミックバトルでミニゲームに失敗しても、威力は半減でとりあえずダメージは入る。これを失敗なく連続で成功させるとエネルギーゲージが溜まり「すごいの」と命名されたその通り凄い必殺技を放つことが出来る。ネーミングが正直かつ安直すぎて笑える。

 メンバーごとに「すごいの」の内容も変わってくるのでそこにも注目だ。一回でも攻撃に失敗したら「すごいの」発動用エネルギーがゼロになるのは残念だしムカつくけど、それゆえ戦闘シーンには独特の緊張感が持てる。

 

 進める中でレースのミニゲームや、空中ボードに乗ってアイテムを集めるミニゲームがある。これらのおまけのお楽しみ要素も良かった。

 

 戦闘はシンボルカウントになっている。大昔のゲームのようなバグったランダムエンカウント率にイラつくことが無いのが良い点。

 敵モンスターにもユニークさが見える。1番笑ったのは、海のステージにいる「ラブノオトシゴ」というモンスター。タツノオトシゴ二匹の尻尾を括ってハートの形に見えるようにしたものである。この発想がバカで可愛い。これはアイデアものだった。

 

 だいたい14時間くらいでクリア出来た。子供向けなのだろうが、難易度は低すぎなこともなく、要所要所でキツイところもあったかもしれない。

 スーパーキッズ達ボスキャラには攻撃出来る箇所が複数あり、望ましい順番で攻撃を当てていかないと攻略が難しい。ちょっと頭を使うことになる。

 地味に難しかったのは、序盤箇所にあった暗号を答えてゲートを抜けるところ。この暗号解読はビデオを見ることで分かる。ゲーム機本体のボタン、十字キーと同じ形で配置されたキャラが動くことで入力キーを覚えるものだが、これが結構覚えられなかった。

 ちょいちょいゼルダのような謎解き要素もありで、ちょっとばかり頭の体操にもなった。

 

 レム睡眠、ノンレム睡眠を切り替えて表裏一体になっているダンジョンをクリアする箇所では、「MOTHER2 」のフォーサイド、ムーンサイドを思い出した。

 

 アビーラに臨むラストダンジョンは特に道のりが長く、回復アイテムが削られてきつかった。そしてラスボスのアビーラも他のスーパーキッズよりも凶暴で攻略が難しかった。こんなに強いとは思わなかった。難しい寄りの難易度普通ゲームだった。

 

 アビーラを倒した直後には、ピーマンの国に辿り着き、今度はアレサがさらわれる。トマトが駄目なキッズが、次にはピーマン攻略に臨むというまさかの展開を敷くことで次章への導入が完成した。そこで本編が終わってしまう。

 続編への布石はきっちり打ったので、次はピーマンアドベンチャーが来るのかと思いきや、それから20年経っても発売はない。プロジェクトを断念したのか、そもそもこれは単純にそういうネタというだけでその後を作る気もなかったのか、今となっては分からない。

 

 日本の時間で言うと今年で二十歳になった主人公達の活躍をまた見たいと言えばそれが本音である。昨今は色んなレトロゲームがリブートしているので、これもワンチャン何かあってもおかしくはない。

 ちなみに私はトマトでもピーマンでもガキの頃から問題なく食べれたし、普通に好き。なんで嫌うことがあるのだろうと思ってしまう。

 

 ピーマンでも楽しくアドベンチャーしている主人公達を夢想しながら楽しいゲームの思い出語りを終えよう。

 

 

 スポンサードリンク