こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

Lサイズの女子上等「The・かぼちゃワイン」

「The・かぼちゃワイン」は、1982年7月から1984年8月まで放送した全95話のテレビアニメ。

 

 すげぇ古い。ファミコン発売一年前のアニメである。この段階だともう売出し準備に入っていたことだろう。

 それでも先日視聴した「海のトリトン」からは丁度10年後のアニメか。時代をあちこち飛んで色んなアニメを見ているとなんだかすごく不思議な感じ。ちなみにトリトン役の塩屋翼は、10年後のこちらの作品にも出演している。すっかり声変わりしていた。

 

 オリジナルがかなり古いアニメで、私がだいぶチビの時に再放送をしていた。その再放送ですら薄っすらとしか覚えていない。

 ちょっと前にお兄ちゃんと話をした時、「デカい女が出てきてちょっとエッチな良いアニメがあったけど、あれってなんだっけ?」と尋ねられた。2人でたくさん考えるとコレだった。

 じゃあ見てみよう。そうなること必死。

 2年間に渡って放送した長いアニメだが、大体半月で全部見た。大変楽しく、連続して再生しても疲れない。疲れない世界で楽しいキャラクター達のラブコメ青春が楽しめる秀逸な一作だった。

  

 OP曲の「Lはラブリー」はノリが良く、聞けば一発でお気に入りになるものだった。それを聴きながら感想とかその他思いついた関係ない事も書きなぐって行くことにする。

 

Theかぼちゃワイン DVD-BOX デジタルリマスター版 BOX2【想い出のアニメライブラリー 第58集】

 

内容

 主人公は中学2年生だけど小学生に間違われるくらいチビな青葉 春助。幼い頃から謎に女に囲まれる境遇だったことから、女まみれの青春にうんざりしている。そんな彼の実家は女性下着店であり店舗名は「女の城」(←すごく良い名前)。 

 

 女性客もうんさか実家に来ることで益々女が嫌になった彼は、男子校のサンシャイン中学校に転校して寮暮らしを始める。

 がしかし、男子校だったのは彼の転校直前までの話であり、現在は男女共学になっていた。なので女子もしっかりいる。

 

 転校早々に出会ったチア部のエルこと朝丘 夏美は、女子にしては高身長だった。デカい彼女は、チビの春助を大変気に入り、出会って早々春助くんラブになる。

 

 寮と学校を主な舞台に、春助とエルを中心にしたドタバタラブコメが展開する。

 

感想

 作品の特徴は、チビだけど男気溢れる青葉 春助くんと、Lサイズのデカ女の朝丘 夏美(通称エル)の身長差のあるカップリング。小さい男子と大きな女子とで展開する学園 ラブコメという点が目立って記憶に残る。結構珍しい要素かもしれない。こういうのを「蚤の夫婦」というらしい。

 

 女子にモテるラブコメ主人公にしては、春助は間抜け面をしている。サイズ感と髪型からドラゴンボールのヤジロベーを思い出した。今思えば、ヤジロベーが助けてくれなかったら悟空はベジータに殺されていたよな。そんな感じでよそのアニメの思い出も蘇ってくる。

 

 男気、根性の概念を胸に宿す少年なので、性格は気持ち良く男気溢れて優しい。チビだけど喧嘩が強いのは意外な設定だった。

 基本的には良いやつだが、無駄に意地を張ったりする微妙な小物感も見える。男気を重視する少年の割に、一番男気に反するだろうと思ったのは、終盤まで実家が下着屋なのを恥ずかしがって皆に伏せていたこと。そこはみっともないというか、隠すのに必死過ぎて何か嫌だった。下着屋の息子の心はこんなものなのか。

 

 周りが女だらけの状態で大きくなって来て女嫌いになっているのは、多くの男から見れば羨ましい状態でもあるだろう。考えてみれば私の人生も似ていて、学校に行っても家の者も女が多かった。それで嫌な気になった事は全然無いけど。そんなわけでちょっとだけ春助の人生には共感出来たりもする。

 

 タイトルの「The」の要素は春助の口癖にある。何かと頭に「The」をつけて何か言いがち少年だった。ダイソーみたいなヤツだな。

 

 最近だとデカ女といえば「七つの大罪」のディアンヌなどがいるが、いつの世でもデカい女って結構良い。この時代からもそのニーズと萌えはあったんだな。

 守ってあげたくなるようなちっこくて可愛いギャルも当然良いが、デカいのだって何も悪くない。まだ中2なのにエルちゃんの体つきは逞しすぎる。

 

 エルちゃんが初手から春助ラブ過ぎる。「あはっ、春助くんだ~いすき!」をめっちゃ言うのは耳に残る。

 小さい男子を可愛いと愛でるエルを見ていると、中学生の段階で既にママ感が出ていると分かる。劇場版では、流れ上仕方ないとはいえ、春助を赤ちゃんに見立ててノリノリで赤ちゃんプレイをかましていた。出来るギャルだな。

 同級生同士のラブではあるが、力関係や2人のサイズ感からおねショタものにも見えてくる。

 

 春助の発言力が弱いわけでがなく、エルに対してズバズバ物を言うが、最後の部分でエルに頭が上がらない。エルは基本的にはふんわり系なおとなしめの女子でいるが、ラブの駆け引きにおいては、なんだかんだで押し切るパワー系ギャルでもある。あんな感じに見えて意外だが、完全に男を尻に敷くタイプだと思う。その点も良い。

 春助がツンデレで、エルは何でも受け入れつつも、最後は自分のペースに持っていくという力関係になっている。この関係性も可愛くて和む。二人が出す空気感は愛しい。

 

 可愛いエルちゃんに迫られると、あれこれ言っても最後には春助の男の部分が抵抗を止めてしまう。まぁ分かる。そうでなくとも大柄ギャルだから物理的にも抵抗がきついはず。

 エルはとても魅力的で可愛良い女子だけど、こういうのが敵に回すとマジで怖いタイプになるはず。慎重に付き合った方が良いだろう。

 

 エルは中学生なのに大人びている。そのせいでヌード写真のモデルを頼まれたり、あとは普通に大人に襲われるという被害にも合う。身長に合わせておっぱいもしっかりデカいから、気の毒だが性的被害が集中することになるんだな。大人っぽい見た目ならガキでもおっさんの標的にされるから、そこは考えものだな~とか想いながらも楽しく見た。

 

 終始こいつらのラブラブを見るだけといえばそうだけど、ずっと見ていて安心出来る良さがある。

 担任のテッキン先生は、学生の男女仲としては近すぎるからと邪魔してくるが、寮のメンバーはSLコンビのラブラブも学園の名物くらいに優しく見守っている。この寮のメンバーに見るファミリー感も良い。

 

 寮のアニメもあまりたくさんはないからその点ても楽しめる。寮のある学校に行ったことがないから、こういう揉め事も楽しい事も様々な共同生活っていうのも良いものだと思って見てしまう。まぁ実際にやるとなると、一人の時間が大事なアニメオタクには向かないのだろうけども。

 

 これも名物キャラと言えるのが、男子寮の寮長の赤井 モン太。こいつも楽しくて面白い。応援団の団長もしている悪ガキ。

 中学生なのに2年も留年して5年間寮に暮らしている。最終回ではまだ夏だったけど、学園にいても邪魔なことから放校のような形で卒業証書が渡された。変わった人生を送っていて笑える。

 テッキン先生に強めにマークされているのは、春助とエルとこの団長くらいのものだ。

 赤井団長が教師にマークされる一番の原因は、中学生のくせにタバコを吹かしているから。初登場時から終盤まで吸っていた。

 喫煙について、春助には体に悪いから止めろと言われ、先生からは校則と法に則って止めろと言われている。でも隠れてはコソコソ吸っていた。喫煙シーンは結構多い。

 テッキン先生にバレて厳重注意を受けているし、タバコの火で寮の畳を焦がしてしまったのを隠し通そうと画策する回もあった。こんな事をして退学、退寮にならないのも不思議。寮で火事を出したのは激しくアウトだろうに。

 最終回では卒業に合わせてタバコからも卒業宣言をしていた。でも果たしていつまで持つのだろうか。あんな感じで実家のばあちゃん想いの優しい孫という点は好感が持てた。

 

 春助、エルのカップルがメインだが、団長と女子寮のマコさんのカップルの行方にも気になるものがあった。主人公カップル以外でキャラクターのカップリングはレアだった。

 女子寮組では、寮長の神埼さんも美形キャラだった。恋愛ルートが発生するなら彼女のも見たいところだった。

 

 タバコの扱いに関しては、昔も今も決して大らかではないのが我が国の在り方だ。今なら当時よりもっと厳しくなっているはず。このシーンは、今リメイクするなら映せないだろう。中学に2年ダブっても17歳くらいのはずだから、どちらにせよ未成年でアウトだ。ていうかそもそも中学でダブることってあるのかな。しかも2年も。

 

 生徒達同士で仲良くやっている作品の中で、皆にとってのお邪魔虫な敵キャラがテッキンこと金小路 鉄男だった。この先生も基本はムカつくけど、全話通して見ると憎めない良いキャラをしていた。

 テッキンが春助とエルの恋仲を邪魔したり、意図せず2人の青春を面白くしたりと、結構重要なポジにもいた。話を面白くするアシスト役として十分な仕事をしている。

 春助の事を目の敵にしているけど、なんだかんだで生徒と親しんでいる感じもする。こういう先生がいれば、有名教師として結果的に人気者になりそう。こういうタイプのガミガミ親父なら割りと好き。

 

 テッキン先生の言動で印象的だったのは、学校のテストの返し方。成績上位者にはテストを手渡しして称賛の言葉を送る。その他の出来の悪い連中のテストは教室にばらまき、自分で拾いに来いと言って生徒に拾わせる。コレ、笑った。

 私などはメガネの早川くん寄りの好成績保持者だったのでばらまき対象にはならないが、これは見る分にはちょっと酷くて結構面白い。

 リアルな現場で教師がこのばらまきをやったら、親とか校長に文句を言われそうだけど、ちゃんとテスト勉強をして来ない方も悪いよな。

 

 カンニング対策のため、テストの追試をプールや風呂でやらせたのはやりすぎだと思う。でも、そこまでやるテッキンの執念はすごい。

 生徒に酷い目に合わされることもあるが、簡単にはやられてくれない屈強な精神を持つキャラでもあった。こいつもかなり面白くて好きなキャラだった。

 

 アニメ化に際してオリジナルキャラを呼んでくるのは良くあること。本作でもオリキャラの転校生 光小路 納言というヒロインが登場する。このキャラもクセが強いお惚けキャラで好きだった。

 金持ちのお嬢様だから、春助達庶民とは価値観から会話までもが噛み合わない。そこに面白さがあるキャラだった。

 納言も春助を気に入ることで、やんわり三角関係が出来る。これによってそれまでのラブコメ展開に1つ新しい要素が加わった。テコ入れキャラでもあったようだ。

 この子も根っこはエルと同じで、ほんわかしているように見えて揺るぎないマイペースの持ち主である。だから決して他人に主導権を持って行かせない。春助も訳の分からない内に納言お嬢様のペースに巻きこまれて面倒くさい展開に入っていく。

 品のある女子ではあるが、こいつも根っこは問題児で笑える。

 

 オリキャラということなので、原作に気を遣うことなく登場、退場のタイミングをいじれる。そんなわけで退場用のエピソードもなく、気づけばいつしか出てこなくなり、自然消滅キャラになった。結構好きだったのにこのフェードアウトの仕方は残念。

 

 他に印象的だったこの時代ならではのネタが「ラブ・カセット」、縮めてラブカセを扱った回。カセットテープにラブの想いを吹き込んで気になる相手に送るというものであり、ラブレターの声つきバージョンみたいなもの。

 これは確かに学生内で流行りそう。当時の子供が扱える文明の中で最大限にエモいのがコレだったようだ。こういう小癪にもエモいガキの発想ってなんか良い。ワクワクとドキドキがある。結構おしゃれなことを考えるものだな。

 ラブカセを作るテープレコーダーやマイクを見ても「古っ!」て思えるし、出てくるテレビなどのアイテムもやっぱり古い。レトロなアニメを見るとなんともノスタルジックな気分に浸れて良い。

 

 最終回では、それまでキャラも視聴者までもが親しんだ学生寮がぶっ壊される。春助は反対運動を起こすが、最後にはぶっ壊してリニューアルすることになる。結構急な展開。

 もっと急なのは、ハワイに姉妹校があり、エルと春助はセットでそこに交換留学生として送られるこよ。おまけに団長も卒業させられる。で、終わり。

 結構ありえないオチだった。これもこの作品ならではのノリで嫌いではない。

 

 終始ラブラブしている主役二人の青春に癒やされて良かった。

 エルちゃんの持つ諸々のデカさ、包容力、母性を受けて、当時の男子リスナーはそれまで知らなかった性の扉を開くこととなっただろう。

 私の学生時代だと、周囲には小柄の女子ばかりだった。なのでエルちゃんみたいなのはいなかった。結構なレアなデカい美少女も良いと思える良きアニメだった。

 

 それから最終回まで見ても、タイトル「かぼちゃワイン」の意味は何だったのか謎だった。かぼちゃもワインも関係なくね?となったのでネットで調べてみた。するとやっぱりマジで関係なかった。

 とある日、作者がテレビを見ていると、かぼちゃは体に良いと紹介していたとか。そのフレーズがやけに頭に残ったらしい。「かぼちゃはいい」を呪文のように繰り返すと「かぼちゃワイン」が完成するではないか。で、このタイトルらしい。ここまで作品内容と関係ないタイトルで来るのも意外。

 聞けばなんてことのないタイトル由来エピソードも何か好きになる。

 

 最近は大昔のラブコメうる星やつら」のリメイク版の放送がスタートした。どちらも古川登志夫が主役を演じている繋がりがあることだし、かぼちゃワインもリメイクすれば良いのにと思う。現代の方が身長差ラブでウケを取れると思うのだが。昔は珍しかったけど、今ならこのくらいデカい女子も結構いるんじゃないかな。

 

 というわけでLはラブのL。OP曲がめっちゃ好き。かぼちゃワインは最高。

 ワインは全く飲まないけど、かぼちゃはすごい好きなので、買ってきて天ぷらにしようと思う。

 

 

 

 

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