こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

進み行く忍者 正義の味方「忍者部隊月光」

「忍者部隊月光」は、1964年1月から1966年10月まで放送された全130話の特撮テレビドラマ。それから劇場版がある。

 第118話からはタイトルが「新忍者部隊月光」になった。

 

忍者部隊月光

 

 2022年ラストデーに振り返るコンテンツがまさかコレになろうとは。

 話数的に長期戦は必至となり、11月後半から12月後半にかけて全話完走した。

 

 めっちゃ古いテレビ番組だな。バリバリ白黒時代の特撮ドラマである。

 偉いもので、こんなに古いのにちゃんと見れる状態で130話全部のデータが残っている。おまけに劇場版も残っている。

 本日からでも素晴らしき作品を全てチェックできることに感謝。データを保管していた会社はナイスだ。

 

 ジイさんの時代からやっていたような古い作品だが、これは幼い頃に見たことがある。

 まずは教養として、そして見せていればその間は黙って大人しいからということで、父親がビデオを見せてくれていたのだ。どこで調達したアイテムなのだろう?

 自分の産まれていない時代の作品を、産まれて間もない頃に見て、それを大きくなってまた見ることになった。二重で懐かしいぜ。

 

 毎度のOPで月光隊長が無言で行うハンドサインは印象的要素だ。これは覚えていた。周りの子供達は当然誰も知らないけど、私は父のビデオでOPのハンドサインを覚えてよく真似ていた。

 親が与える物品がだいたい古いから、学校の先生は「何でこいつの知識そんなに古いねん?」的なことを思っていた。親が学校の懇談会とかに出た際には、よくその手の質問をされたらしい。まぁこれも1つの英才教育だよね。

 

 そんな懐かしの忍者特撮の感想とかを無言のハンドサインを出しつつ書き殴っていこう。

 

内容

 伊賀、甲賀のノウハウを得た忍者達がいて、高い科学技術を有する「あけぼの機関」がある。

 この2つがセットになれば、科学技術を得た最強忍者部隊が完成する。そうして完成したのが「忍者部隊月光」だ。月光は部隊リーダーのコードネームである。

 

 忍法と科学を併せ持ったハイブリット軍団ということで、ほぼガッチャマンともいえよう。ちなみに月光の方が先に出た忍者軍団である。

 

 忍者部隊のミッションは、国際的悪者軍団の討伐にある。

 130話の物語の中で、主に「ブラック団」「マキューラ」「まぼろし同盟」ら3つの巨悪と対峙することになる。

 

 進み行く正義の忍者は、疾風のように現れては消え悪を蹴散らす。そんな痛快忍者アクションをお楽しみあれ。

   ↑

 という紹介がぴったりハマる素敵な作品でした。

 

感想

 忍者であると同時に、軍隊でもあるのでミリタリー色も強い。

 忍者部隊の隊員は、軍隊のヘルメットを被り、背中には日本刀を背負っている。武器は忍者の定番の手裏剣もあれば、拳銃も扱う。シンプルにノーマルな軍人と忍者の合せ技となっている。

 

 初期OP映像では、安易に銃を抜いた三日月隊員に対して月光隊長が「バカ、撃つやつがあるか。拳銃は最後の武器だ」と叱責するシーンがある。忍者戦士としての大切な心構えではあるのだろうけど、毎週バカ呼ばわりされる三日月隊員が可哀想だろうが。今だったら三日月ガチ恋勢のフェミニストが文句を投げそう。

 

 科学の武器を用いても、やはり根っこは忍者なので、音もなく悪を討って退散という形を取るのがベストなのだろう。そんな訳で、銃を抜くのに少し待ったをかける軍団なのだ。

 とは言っても、別段不殺を貫く感じもなく、相手も悪いからそんな事は言ってられない。撃つべき時には迷わずバンバンやっちゃっている。

 

 一話目から結構厳しい要素が待っていた。なんと、いきなり隊員が殉職するのだ。

 いつ死んでもおかしくないのが忍者というお仕事である。怪我で動けない、捕虜になって拷問を受けて情報を吐く、そんな事になった場合には自害というのも掟になっている。厳しい世界だ。

 序盤は忍者の世界のシリアスさを結構プッシュしていた。がしかし、見るのはチビガキ達なので、段々マイルドになってきた。

 中盤では半月というまさかの子供忍者隊員も加入した。これは見ている子供から人気が出そう。そう思って投入したテコ入れ要素だと思う。少年忍者ならフジ丸とかサスケもいたので、いきなり湧いて出てきても不思議はない。

 

 作戦に出る時は、月光をリーダーにした5、6人の小隊で挑むが、本部には何人も控えがいる結構大きめの部隊っぽい。

 作中では殉職、海外に転属、怪我の療養などでメンバーが抜け、割りと多く入れ替わりがあった。この点はメンバー固定が定番の他のヒーロー物とは結構異なる要素だな。

 時限爆弾の解除に間に合わず爆死した月影の最後は結構衝撃的だった。ブラック団討伐を賭けた最後のミッションで新月が爆死するのもそうだ。こちら側にも普通に死者が出る点には緊張感があった。

 それからメンバーのコードネームは、「月」に関する響きの良い物で統一されている。

 

 最初から最後まで隊にいたのは月光、月輪(つきのわ)、名月だけだな。

 月光隊長は男前ではあるのだけど、顔が微妙にベビーフェイスで体型がやや丸っこいことから、何か可愛いお兄さんにも見えた。

 意外な出会いだったのが名月。結城丈二や大門豊など、他の特撮作品でも重要キャラを務めた山口暁が演じていた。こんなに昔からテレビ俳優をしていたのか。仮面ライダーV3の時よりも若い。イケメンだな。

 月輪も男前で格好良い。月光隊長や月輪は、本当に警察や軍隊にいそうな見た目だな。

 

 今思えば、これより遅れて10年後に登場するスーパー戦隊シリーズの基礎が見えた特撮とも考えられる。部隊ものでもあるし。 

 頼れるリーダーがいて、優秀なサブリーダー格もいる。若年の半月がいて、三日月、銀月、夕月ら部隊の華となる女性隊員がいる。カレーではないけどあんぱんが大好きな腹ペコ忍者の満月はコメディ要員でもあった。

 こうして見ると、後に出てくるゴレンジャーに通ずる個性的メンバーが出揃っているではないか。スーパー戦隊が好きならもっと昔のこっちを見ても勉強になるし、ちょっと違った感じを楽しめて良さそう。

 

 そういえばヒロインは皆美人だったな。三日月が急に外国に転属になった流れは強引だったけど。まぁあれは女優の都合で降板だったのかも。銀月は一旦転属になるけど、最後にはまた戻って来てくれたので助かった。

 三日月が可愛い系なら、銀月は格好良いお姉さんって感じで良かった。夕月は一番都会的ギャルの親しみがあった。それぞれ輝くヒロイン性があった。大昔からも各種属性を揃えていた日本の女子事情が分かるというもの。

 今なら戦うヒロインなんて当たり前だが、本作に登場した女忍者は、戦闘に参加する日本特撮ヒロインとして最初期の面々になるのではなかろうか。月光の女忍者は優秀だ。

 

 各話構成は名探偵コナン的方式で、大体何かの事件があれば前後編に分けて2話で1つのミッションをクリアすることになる。たまに1話で片付いたり、3話に渡ることもあった。

 次々と敵も悪さをするから130話もよく続くなぁと思ったものだ。面白かったけど、ぶっちゃけ長くて疲れるということもあった。

 

 敵も国際的ワルだからやることが多いし派手。どこかとどこかの国が戦争をするように仕向け、それによって自分達の利益を増やそうと暗躍した事もあった。めっちゃ面倒な騒ぎを呼び込んでいる。

 地味にスパイものとして見せるターンも多いが、敵側にも忍者軍団が出たり、ロボットや改造人間が出てくるという分かりやすく特撮ものっぽいエピソードもあった。見せ方のバリエーションは様々だ。

 

 マキューラ編では、敵側にもヒロインが登場する。マキューラ幹部のM三号は妖艶でキレイなお姉さんだった。ワルの幹部らしく肝っ玉お姉さんで、催眠術を扱って忍者部隊を苦しめていた。この人の存在はかなりプッシュされていたと思う。愛すべき悪の女幹部だった。日本特撮の悪の女幹部としては最古参組だろう。

 

 平たく言ってしまえば、どいつもこいつも社会に暗躍するテロ組織であるわけで、地味でも確実に恐ろしいことをやって来る。

 その点、最後に戦ったまぼろし同盟は、各員が妖術使いであり、一番オーソドックスな特撮の敵な感じがした。ヒーローものの毎度のゲスト怪人のように、各員が異なる技を使ってくる。このシリーズがノーマルな特撮好きには一番ライトに楽しめるものだと思う。

 

 OP曲が秀逸。格好良い。それを聴きながら感想を書いている。

 歌詞の「 進み行く忍者 正義の味方」の箇所を綺麗な低音で歌っているのはお耳に心地よい。このパートが好き。

 特撮音楽を多く手掛けて来て、今年亡くなった渡辺宙明が作品音楽を担当している。OPの作曲も彼だった。こんなに昔から仕事をしていたのか。稀有な音楽家だった。

 ナレーションがスーパー戦隊でもお馴染みの大平透だったのも印象的。ゴレンジャーの10年くらい前からも仕事をしていたのか。古き時代の偉大な方達に会えて嬉しい。

 


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 今年最後に見た特撮は、渋みがある良作忍者ものだった。やっぱり忍者って良いよな。

 

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