こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

変身ではなく献身せよ「ダイヤモンド・アイ」

「ダイヤモンド・アイ」は、1973年10月から1974年3月まで放送された全26話の特撮ドラマ。

 

 本作の原作者はレインボーマンでお馴染みの川内康範である。「愛の戦士レインボーマン」の後番組として放送されたのが「ダイヤモンド・アイ」だ。

 

 その昔、レインボーマン、ダイヤモンド・アイ、コンドールマンがセットになった図鑑を買って読んだことがある。新品で2000円近くする結構お高いものだった。

 私はレインボーマンだけは見た事があって大好き。とっても知りたくて図鑑を買った。で、一緒に収録された情報にあったダイヤモンド・アイをそこで知ることになる。

 レインボーマンは格好良く、モードチェンジで7タイプに変身出来るすごいヒーローだった。比べてダイヤモンド・アイはというと、ちょっとアレだな。ちょいダサな感じ。

 

 青いタイツで全身を固めてヘルメットをかぶっている。チープな見た目といえばそんな感じ。両目にはダイヤモンドが埋め込まれている。彼自身がお宝なので泥棒の標的にされそう。

 アイは紳士だから持っている武器はステッキ。これで悪者をしばくのだ。

 他のヒーローで慣れていると、最初は諸々に違和感があるかもしれない。だが、今では愛着が持てるぜ。今度部屋にフィギュアとかを飾りたい。

 

 他にも格好良い特撮ヒーローがたくさんいる中でこのデザインで勝負するとは、結構な挑戦。ある意味攻めている。現代ならこのデザインでの勝負な無いだろうな。当時の子供達の反応はいかがなものだったのだろうか。

 

 で、そんな思い出の「ダイヤモンド・アイ」をやっと視聴する事が出来た。やっぱり昭和特撮は良い。

 

ダイヤモンド・アイVOL.1 [DVD]

 

 正義のルポライター雷甲太郎、通称ライコウと、ダイヤモンドに宿るすごい精霊のダイヤモンド・アイがタッグを組んで悪の軍団を倒す物語が描かれる。

 悪質なメディア人のことをマスゴミと揶揄するようになって久しい現代においてまだ業界に残っている者達は是非ライコウを見習って欲しい。

 第1話冒頭で母親にケツをシバかれるライコウの姿は微笑ましい。ライコウママが元気過ぎる。

 

 ライコウが変身するのではなく、ライコウがアイを呼び出してタッグで応戦するものとなっている。

 変身ヒーローというワードが流行り、その作風がブームになった時代に変身しないヒーローを描くのは珍しい。

 アイが良く口にするのが正義のために献身せよということ。今作は変身ではなく、正義のため献身する者の勇姿を描いているのだ。硬派で上質な特撮である。

 

 アイにもらった指輪を光にかざしてライコウが「アイよ~!」と叫べばアイがやって来る。呼び出し型ヒーローも悪くない。

 ライコウも人間の中なら強い方だし何よりも丈夫。でも敵は人間より余裕で強い化け物なので、どうしてもライコウはピンチに追い込まれる。そこで「アイよ~!」を言うのが定番。

 光がない暗い所ではアイを呼び出せない。敵がそんなピンチな状況にライコウを追い込んだりもする。ピンチに迫られ、それを脱して逆転する楽しみもある。

 

 出て来たアイは敵に向かって「外道照身霊破光線」を放ち、人間に化けた敵の化け物の正体を暴く。暴いた時には「汝の正体みたり! 前世魔人〇〇!」と言う。バレたからには敵は「バレたか~!」を言う。これもまた毎度ワンパッケージでのお約束。

 水戸黄門的な定番演出が面白い。

 

 毎度新顔怪人なわけでもなく、連続で同じ前世魔神が出ることもある。ヒメコブラやキングコブラなんかは前に正体をバラして分かっているのに、外道照身霊破光線を食らう度律儀に「バレたか~」を言ってくれる。そこにもなんか笑える。いや、もう皆知ってるだろとツッコミたくもなる。

 

 敵勢力の前世魔人の一味は、揃って人間に化け、人間社会で悪さをする。

 この手の悪の軍団には、よその時空や宇宙から持ち込んだ超兵器を使って分かりやすく武力でさっくり侵略に出るヤツと、表立って動かず社会に暗躍して徐々に経済面から世界をまるっと奪うヤツとでタイプが別れる。今回の悪者には後者のやり口が強く見られる。

 レインボーマンの「死ね死ね団」がそうだったように、今回作でも悪者共達が行う悪さは微妙に現実味を帯びた経済的な侵略に出るもの。地味だが、ありえそうという面で怖い。

 

 ボスの化け物のキングコブラは、普段は源海龍という人間の姿で貿易会社を運営している。ちなみにキングコブラはボスの割には微妙にダサい。こいつが頭が良いし、とても悪い。とりあえずの目的をアジアの支配に設定している。

 あれこれの悪いことをして軍資金を集めている。硬派な特撮な本作の硬派な要素がこういうところに出ているな。経済や政治を見て動くこの手がワルが一番厄介だ。

 子どもに優しくと表面だけよく見せた慈善事業を立ち上げるが、これが架空団体で中身は悪さするだけの集団だったりと、やる事の小悪党ぶりがすごい。

 同じくワルの金をもだまし取った時には、悪さをして得た金を盗まれても被害届は出せないだろうとニヤついているところなんてワルワルすぎて子供向けじゃないだろう。

 

 序盤だと前世魔人が凄腕のヒットマンの姿で出てきてライコウを狙う。人間に化けた状態でも暗殺術の達人で変身したらもっと強いのでこれはずるい。殺しの達人達が順番に出てくるこの感じには「快傑ズバット」の要素を見た。この感じは好き。

 

 中盤でキングコブラを瀕死まで追い詰めるが逃げられてしまう。キングコブラは回復するために少しお休みで、その間は娘のヒメコブラを日本に寄越す。後半クールからはヒメコブラがボスであり、人間態の蘭花が美しきダークヒロインになる。

 敵の親玉の娘であっても蘭花は卑怯なやり口や子供を痛めつける事を嫌がる。やり口が汚いと怒る蘭花に、部下のオニカブトンが「悪に綺麗も汚いもない」と告げたところは何だか印象的。なるほど、美醜を求めないのが真の悪の脳か。

 ライコウとの出会いは敵同士ではなく、一緒に飯を食う仲から始めていたので、一度は心を通わせている。そんな関係の二人が敵対する中でほんのりラブな展開もあったりするのが後半の見所。

 蘭花は美人で良かった。 

 

 ライコウの頼もしい仲間は会社の同僚のカボ子と五郎。二人も作品を盛り上げる結構好きなキャラだった。

 カボ子といえば原作者が同じ「月光仮面」にも同じ名前のヒロインが登場する。アイを見てすぐにカボ子って前にもいたなと思い出した。それくらい印象的な名前。

 

 新聞記者をしているライコウ、カボ子、五郎で喫茶店を作り、そこを基地として扱っている。副業禁止とかないのかな。

 卵のメニューを扱うらしく、とある回では五郎が「卵が30円から35円に値上がった」と物価高騰の文句を言っていた。オイルショックとかの関係性から放送時期の日本の景気は良好ではなかったらしい。五郎の卵のシーンには、そんな感じの世相の反映も見える。やや社会派な作品。

 いずれにせよ卵が一個30円台は高くないか?私が買うのは10個で100~200円の範囲だがな。

 

 死闘の末キングコブラを倒し、ヒメコブラ蘭花はアイの力でちゃんと人間になって無事終わる。これからはライコウ蘭花とでラブストーリーが続くのかもしれない。そんな希望を見る最後だった。

 そういえばカボ子のお当番回では、カボ子とライコウがくっつきそうな感じも見えた。その前には敵の幹部だった大沢山の娘ともちょっといい感じになりかけもした。ライコウも出会いが多い。ヒロインの存在に事欠かないのも本作の良さだったな。

 

 日本の悪者は蹴散らしたが、まだよそに色々いるからということでアイはまた別の戦いに出て物語は終わる。

 ステッキを持って戦う紳士的ヒーローダイヤモンド・アイの活躍に酔いしれたぜ。

 

 正義に献身する未来を目指してロイヤル・パンチ!

 

 

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