こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

目覚めろ少女達「Wake Up, Girls! 七人のアイドル」

Wake Up, Girls! 七人のアイドル」は、2014年1月10日に公開された劇場アニメ。

 本編はだいたい50分。

 

 ここより始まるWUGの伝説、その第一歩目を飾った記念すべき一作である。素晴らしい。

 

 先日ぼざろの青山吉能の芝居を見て、彼女のルーツたるコレも行っとこうと思いシリーズを振り返ることにした。

 

 これのテレビアニメは見ていたけど劇場版は見ていない。何気に9年も前の本作を見るのは初の事。

 まずこのプロジェクトだが、なんと企画は2012年の段階から動いていたとのこと。映像化に至る前の仕事も含めると10年前からあったプロジェクトだった。そんなに歴史が深まったのか。

 

 何気にたくさんアニメをやっていて、テレビシリーズが2作、劇場版が3作、ちびキャラでお届けするスピンオフアニメまであった。結構頑張ったんだな。

 

 作品舞台は仙台シティ。アニメの事には詳しいけど、おそらく地球上で地理に疎い命ランキングをすれば上位に食い込む程、私は地理のことは国内外含めてほとんど知らん。この街も行ったことがないし、どこにあるのかも謎だった。

 調べると、宮城県にある都市だとのこと。行ったことねぇ。

 

 架空世界のアニメとマジ世界のアイドルを組み合わせた極上スマイルを生む事必至のプロジェクトをぶちかます。これが第一の目論見である。

 次には舞台を仙台シティにすることで、震災のダメージからの回復がまだ間に合っていなかった当時の現地を応援して盛り上げようという素敵なプロジェクトにもなった。

 プロジェクトに賭けるこのような想いは、商業的にもセンスが良く、ダメージを負っ土地の復興支援としても清くて素晴らしいものだと思う。

 

 萌え萌えしただけのアイドルものではなく、高尚な心構えと世相を反映した内容で攻めた物になっていた。これはセンセーショナル。

 

 こういう舞台設定があった事は全く覚えておらず、とりあえず「こんばんワグぅ~!」の挨拶だけは響きが良いのでいつまでも覚えている状態だった。

 

 改めてプロジェクトの成り立ちをウィキで調べたら、何か良い事してるじゃんてなった。

 

 なので、そんな良い事をやってるし言っているアイドルアニメを今更見ていく。

 見たのなら感想と+αの無駄話も書き殴っていくのみ。

 

Wake Up, Girls! 七人のアイドル

内容

 時は2013年夏、宮城県仙台市に社を構える「グリーンリーヴス・エンタテインメント」は、所属タレント不足で会社存続の危機にあった。

 

 そこで図太い女社長は、冴えない部下の松田にアイドルグループを作るからメンバーを探して来いと命じる。

 

 松田は街でスカウトをしたり、メンバー募集の広告を打ったりと、あれこれしてなんとか6人を集める。

 社長は6人の真ん中を埋める華となるセンターが欲しいと言う(←とにかく

あれこれと偉そうでうるさい)。

 

 そんな折、松田は公園ですんごいカリスマ性を感じる美少女に会い、これをスカウトするが逃げられる。

 逃げた彼女は、トップアイドルI-1clubの元センター、現島流しになったすごい人材の島田真夢だった。

 

 松田が頑張って島田真夢を口説き、彼女の方でも自分の中にあるアイドル魂を取り戻したことで、素人6人に元スーパーアイドルを加えた新たなグループ「Wake Up, Girls!」が発足した。

 

 その年のクリスマス、7人のアイドル達は、地方のしょぼいステージに立ってグループ初パフォーマンスをぶちかます

 

 ここより新たなる伝説が開幕を迎える。

 

感想

 これは絵が特殊だった。何かよそではあまり見ないキャラデザな気がする。程よくロリで可愛いといえば可愛いが、めっちゃ萌え萌えではない。そこがラブライブアイマスとは違うのかな。

 

 アイドルキャラなら岡本未夕が良いかな。結んだ先がまだロングな状態のツインテは強い。一番背がデカいし、メイドキャラなのも良い。一番バカっぽくて(←良い意味)元気なのも良いな。

 メイド時代の長めの挨拶セリフも何か可愛い。ファンのハートをストマックホールド(?)するらしい。何かオモロイ事を言っている不思議なギャル。

 

 元スーパーアイドルがいたり、元子役がいたり、和菓子屋の娘がいたり、バイト戦士がいたりと、キャラの属性、個性はいい感じにバラけている。

 宝塚に入りたいので、まずはアイドルを踏み台にと正直に告げて入ってくる七海とかも良い根性した現代ギャルな感じがして良かった。ポニテなのも良いし。グループにポニテツインテもいるのは強い。

 

 最初は華がないアイドルものだな~と思えた。

 マジで素人の第一歩からのスタートになっている。そして事務所も死にかけている。ここからウェイクアップして上を目指すのだから、生え抜きにも程がある。意外とシビアな展開だな。

 アイドル各員を演じる女優陣も一般から選んだとのことなので、そこはアニメとリンクしているのだな。

 

 やはり皆声が若い。ここに出たアイドル役の面々もキャリア10年になるわけか。時代も深まったなぁ。

 よっぴー、みにゃみもまだまだ若手の時分の芝居が見れる。これは貴重だ。

 

 結構泥臭くピンチの中でアイドル活動を進行することになる。

 最初はやっぱりスーパーとかで存在を売り込むことになる。ロコドルから始まっている。持ち曲が無い時代にはニャル子さんの歌を歌っていた。

 

 6人でなんとかCD発売に持っていくが、発売直前で社長が金を掴んでトンズラをこくという酷い展開になる。こんな闇も待っていたんだ。

 諸々の支払いが残ったままなので、松田が借金地獄に落ちることになる。ここら辺の流れは絶望なんだけど。キラキラするだけじゃないアイドルアニメだったな。

 

 7人目の島田真夢を仲間に迎えるまでの物語に一番スポットが当てられていた。

 彼女が古巣のアイワンを抜けるまでの間に黒い物語が潜んでいることがなんとなく見える。でもここではまだ分からない。

 すっかり陰が差すようになったかつてのキラキラセンターが、奇跡の復活を迎えるまでの人間ドラマも見どころ。

 

 トラブルの末、まゆしぃに馬乗りになられた状態で「アイドルやらない?」とスカウトする松田のラッキースケベシーンもちょっと良かったな。あの状態でそんなこと言う?とツッコミたくはなるけど、本作の象徴的な運命のシーンだった。

 

 島田真夢の事をまゆしぃと呼んで慕っているガチ恋オタクを下野紘が演じている。こいつが色々とオモロい。

 

 せっかく結成したが社長が逃げた。そのために今日の存続も危ない中、彼女達は最初で最後のつもりで決死のステージ立ち、最初の楽曲「タチアガレ!」を披露する。ここがラストシーンでハイライト。

 

 とにかく金がないからまずは衣装の用意が無理。そして見せパンすら用意できないまま彼女達はそれぞれが所属する学校制服で一曲披露する。メンバーの内二人は同じ学校で後はバラバラ。なので6種類の学生制服が楽しめて良し。

 記念すべきデビューステージは、仙台の学生メタルバンドが結集するしょぼいイベントだった。アイドルと関係なさすぎてちょっと笑う。しかもラストにちょっと時間をもらってのことだった。

 トップアイドルのアイワンと比べると痛いくらいに見えてしまうこの差よ。これにはさすがに切なくなる。ゆえにWUGを応援したい。

 

 最後のつもりで行うギャル達は潔い。制服スカートでパフォーマンスすればパンチラは必至だが、「見られて減るものではない」という確かにそうだ!としか言えない清き精神を抱き、彼女達は魂のパフォーマンスをぶちかますのだ。これがとても良い。

 ちゃんとこの曲は良い。そして同じく良いのが華麗なるパンチラ。しっかり描いている。これは諸々復興が叶うってもの

 

 これを受け、下野紘声のオタクは持ち曲が一曲しかないアイドル達に向けてアンコールを送るのだ。

 1人のオタクの魂に火をつけたこの小さな成功をもってして、エピソード0となる本作は終了する。

 

 うむ、良かった。

 部活動の中でアイドルを行うラブライブとは違い、弱小ながらもプロとしてやるこちらはシリアスでスリルがある。アイマス765プロが激しくまともに見えるくらい地盤がフニャフニャの中で行うシリアスなアイドル活動にも地味ながら面白みとリアルさがあった。

 当時だと、結構新しい方向性で攻めたアイドル作品だったのではなかろうか。

 普通に面白かった。

 

 他の作品に見る後で取ってつけたようにやるエピソード0ではなく、これが最初の一歩の作品であり、続くテレビアニメ版は完全にコレの続きとなる。本当に結成までの話なので、これを見ていないとアニメ版をフルで楽しめない仕様になっていた。こういう事をやってくるのも結構珍しい。

 

 それからメインのアイドル達の周囲のキャラも良い味を出している。脇キャラを演じる役者も豪華だった。

 

 松田のリアルに冴えない会社員感には親近感が湧く。浅沼晋太郎の冴えない青年声がとてもマッチしていた(←声優の悪口でなくしっかり褒めています)。

 

 金を持ち逃げするし、禁煙場所で平気で煙をプカプカするふざけた女社長もかなり面白い。このおばさんはパワフル過ぎて笑える。

 WUGのオーディションの最後に、社長が全員に向かって「処女よね?」と尋ねたのは印象的。それ、聞くのかよ~。

 やはりフレッシュさが求められる新人アイドルなら、見えないそこについてもフレッシュさを求めるのが業界のホントのところなのかもしれない。

 

 ダーリンがピンチだからみたいな置き手紙を残してこいつが飛んだことで、グループがピンチになった。酷いな。ダーリンとか、急に心の中のラムちゃんが出てきたのかな。

 

 WUGの名付け親は社長で、実在する二人組の歌手Wham!的な響きにしたらしい。彼らの出した「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ 」という曲が好きで、一時は狂ったみたいに歌っていた。その当時には「うるさい」と家族からクレームがあったな。

 それから「Wake Up, Girls!」という名前をもらったすぐ後にアイドル達が偶然みつけたラブホが同じ名前だったというシーンがある。全くの偶然での一致か、それとも社長はこのホテルから名前をもらったのかな。

 

 社長を演じたのは、アイドル経験がある声優の日髙のり子だった。WUGメンバーから見れば大先輩だな。そんな彼女だから、アイドル論を語る社長の芝居には説得性が持てた。

 

 WUGのデビュー楽曲を提供してくれたTwinkleの二人は、花澤香菜戸松遥の当時の段階でもやり手な二人が担当していた。実績ある歌う声優二人が演じる役がWUGを見守る立場にあるのは何かエモい。

 WUGに提供された楽曲「タチアガレ!」は、ズブの素人がやってもそれなりに見えるヤツという、WUGの状況的に都合が良すぎる内容で社長が発注をかけたものだった。これには言うよね~としか思えない。

 

 侍も良いけどアイドルもねってことで、こんな7人のアイドルも良いものだ。

 次はテレビシリーズも見ていこう。

 

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