こしのり漫遊記

どうも 漫遊の民 こしのりです。

野に咲く百合の大混乱「ストロベリー・パニック」

ストロベリー・パニック」は、2006年4月から9月まで放送された全26話のテレビアニメ。

 

 最近はこのくらいのギリでちょっと懐かしい範囲にある過去作を振り返るのが楽しい。約17年前の名作ユリアニメである。

 

 作品が描く世界観は実に清く美しい。ここには麗しき乙女しかいない。まるで男という概念が溶けて失くなり、人々の記憶からも忘れ去られたかのような素敵世界が広がるばかりのものだった。こういうの大好き。

 姉妹校関係にある3つの学園が同じ敷地に集まり、各員はユリ愛を深め、たまには対立とかもして、結果的に深まって行く。実に素晴らしい。

 右を見ればお姉様、左を見れば妹達、どこを見ても乙女乙女乙女の夢世界。男などいなくとも、乙女だけいれば全てが間に合う。

 そんなワクドキオンリーの極上ユリ学園物語が楽しめる。

 

 本作がオタク世界に与えた影響といえば、ネット世界の端っこで一時期流行ったワード「キマシタワー」の存在。本作に登場する濃厚ユリ娘が1人、涼水 玉青が発したセリフである。

 割りと認知度が高めのセリフだが、作中では一回きりしか言っていない。しかもさりげなくの一言なので、油断していたら聞き漏らす。なんでこんなにユリワードとして有名になったのか謎。

アムロいきま~す」みたいなものか。リアルではいっぱい聴くのに、実は本編だと全然言ってないじゃんというアニメフレーズも時には産まれがち。

 

 全くやったことがないのだけど、我が家の積みゲーの仲間達の一本に、本作のPS2ソフトがある。ゲームソフトジャケットもなかなかユリユリしいものとなっていた。死ぬまでにプレイしてもよかろう。

 

 可愛いなんてそんな事言っちゃダメですとか言っている「苺ましまろ」がゆるゆるに見えるくらい、こちらの「ストロベリー・パニック」、縮めてストパニはかなりユリ渋滞している。

 深みある美しきユリ世界にご招待してくれる素敵な一作だぜ。てかめっちゃ「素敵」のワードを用いて作品をプッシュしているなぁ。

 

ストロベリー・パニックDVD-BOX

 

内容

 主人公達は、少女迷路に迷い込んでは何かを掴まえたり掴まれたりして充実たっぷりなユリ学園ライフを謳歌する。

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 というのが、内容すら謎なネタバレ要素ゼロな説明。

 

 もう少し詳しく言うとこうだ。

 ↓

 主人公 蒼井 渚砂(あおい なぎさ)は、ユリ学園に編入してから早々にユリ乙女達のラブワールドにウェルカムされる。

 

 集まった3つの学校全ての生徒の代表となるトップオブユリ乙女「エトワール」の座に着く花園 静馬(はなぞの しずま)は、出会って早々、渚砂にデコチュウしてくる。

 そしてルームメイトの玉青ちゃんにも会ってすぐにガチ恋される。このようにして渚砂は、めくるめく素敵ユリ世界で学園ライフをエンジョイする。

 あれやこれやの末、渚砂はユリラブを勝ち取る。

 

 そんなベストユリラブアニメとなっている。

 

感想

 まずは思ったよりも絵柄がキュートかつエッチ。結構おっぱいとかあって、皆美しく色っぽい。この作画で魅せる色っぽいシーンには強めにドキッと来る。

 集まった3つの学校それぞれの制服も良し。

 

 当時の若手の人気声優を集めたベストな布陣で臨んでいる。声優好きには良し。

 メインのヒロインコンビを中原麻衣清水愛のよそでも多く見るコンビで演じているのも良し。清水愛の声はマジで可愛いと思う。中原麻衣も大好き。

 二人がコンビで担当したED主題歌「秘密ドールズ」は、一級品のユリ名曲なので視聴した方が良い。それもフルPVで。テレビだとカットされるフルPVのオチで、まさかまさかのユリシーンがあるのは有名な話。

 

 主人公の渚砂を演じた中原麻衣は、これと近い時期に放送した「CLANNAD」でも同じ名前のヒロインを演じていたな。あっちは砂は無しの渚だったはず。そんなことも思い出す。 

 

 1話目からユリユーザーのハートをキャッチするベストな導入が敷かれた。

 最終盤に迫るまでの多くのターンにおいて、ミステリアスで妖艶な美を放っていたエトワール様こと花園静馬は強いお姉様キャラだった。

 このお姉様に謎に気に入られ、渚砂は編入して初対面なのにデコチュウされる。ユリの覇気にやられてか、キッスを受けて渚砂は気絶するのだ。これがエトワールの実力かよ、恐ろしい。

 静馬を演じた生天目仁美は、「苺ましまろ」でもお姉様ポジで出ていたな。タイトルにいちごの要素があるだけで何も関係ない作品だけど。

 

 学園トップにいきなり目をつけられただけでもすごい。これに追加して、これまたいきなり会ったくせにグイグイ来る女がまだいた。それが玉青ちゃん。すごく可愛い。

 渚砂がいきなりモテモテ状態で、玉青ちゃんも初手から渚砂にメロメロ状態。これもユリ世界ではあるが異世界ものみたく主役がハーレムものなんだな。

 いきなりこの3人に三角関係を見た。うむ、面白そうだと思えるスタート。

 

 玉青ちゃんのラブはグイグイ行き過ぎて面白い。いきなり渚砂の身体検査してくる。キモ試しで渚砂をビビらせ、その時上げた悲鳴を録音して後でウォークマンで楽しんでいるのには、新手のユリラブフェチズムを感じた。声まで愛してくれる強めのユリラブだった。

 

 前半は視聴者も分からない学園のあれこれ、そこにいる多くの美少女を紹介する楽しい日常系アニメみたく展開する。

 先生に内緒で消灯時間後に皆で集まってお茶会をする寮生活ならではの楽しい青春なんかにはほっこりした。もちろんルール違反ではあるけど、禁を破って皆で深まる感じも青春らしくて何か好き。寮生活も厳しいけど楽しそう。

 

 中盤以降は、それまでのらりくらりとやってきた静馬というミステリアスな人物の詳細を暴いて行くことになる。

 ここで重要なのは、エトワールというポジションについて。これは学校の生徒会長よりもまだ上のガチなリーダーの枠である。彼女がこの座につくまでに色々な暗い過去を越えていたことが分かってくる。

 後半はドラマ性として結構シリアス。ユリ要素もより濃厚になっていく。これは良き。

 

 後半の見どころは、次代エトワールを決めるエトワール戦にまつわるあれこれのユリ展開にある。

 渚砂と静馬の関係が深まり、それを知って玉青がなにを思うかという点にシリアスで重厚なラブの要素がある。

 

 こっちの学校でもあれこれあるのに、まだある見どころは、お隣の姉妹校でもユリユリしていること。

 姉妹校にいるもう一人の主役とも言えるヒロインが此花 光莉(このはな ひかり)である。めっちゃ儚げなめっちゃ美少女。見るからにユリ臭い(←と思うのは差別的だろうか?)。

 光莉は、亡き名優 松来未祐が演じている。懐かしいユリ声だったぜ。こうして後の世にも演技の記録が残り、後から生まれた者も知れるようになっていることが素敵。DVD特典の舞台イベント映像でも、彼女の元気な姿が見れて良かった。

 

 ぶっちゃけ光莉サイドの物語の方が気になる。

 こちらもルームメイトとのラブがある。光莉と夜々の関係性にはドキドキするものがあった。光莉ラブな夜々も色気があり、格好良さも持っていて好きになる、。

 そしてこちらの学園にもトップを飾る極上ユリ乙女がいる。それが王子様ヒロインの天音。マジで白馬に乗っているイケメンヒロインだ。

 守ってあげたくなる可愛いヒロインも良いが、天音のようなイケメンも良い。 

 多くの人間がそうだろうけど、この私もB専にあらず普通にイケメンと美少女が好き。なので作品に出てくる可愛い、格好良いを含めたヒロインズでとても楽しめる。

 

 ルームメイトの夜々が、光莉のスンバラシイ魅力にいけない衝動を抑えられなくなって襲ってしまうシーンがやって来ることになる。この点は、上手いこと安全なユリ距離を計っていた渚砂、玉青の関係性とは違ってくる。

 

 もう最初の段階で、天音様に向く光莉の心は自分のものにはならないと悟っていながら、夜々はずっと光莉に恋している。

 友人であり、友人を越えたラブの想いを抱く相手でもある光莉が、自分が以外にゾッコン状態なのを常に傍で見ることになる。これは夜々が不憫になる。

 想いが爆発し、友情を壊すかもしれない強引な手段に出てしまった彼女の気持ちはよく分かる。分かるような描写になっていた。

 夜々の想いを描くターンが、ラブドラマとして一番ぐっと来るものだったと思う。

 

 エトワール戦に臨む光莉のドレス姿を見て、天使のように綺麗とうっとりして送り出す夜々。あそこのシーンは何か震えた。すごい想いを込めてセリフを喋っていると思う。演じた桑谷夏子のイケボも良かったぞ。メモオフ5でも男前なヒロインを演じていたが、あの感じが出ていて良かった。

 

 それから光莉、夜々の後輩の蕾ちゃんは、作中で珍しいツンデレキャラで良かった。ピンク髪ヒロインだった彼女も良し。野川さくらのチビロリの芝居も良かった。

 

 あっちもこっちも主人公は、上にも下にも同級生にも持てる。そしてどちらでも三角関係が見えて楽しい。

 

 天音と光莉の間に芽生えるラブな関係を察知したことで邪魔に入ってくるワルの二人組も良い仕事をしていた。女子が女子を色仕掛けで落とすという男だったら殺られてしまうような作戦で来るこの二人は作中ではレアな悪者ポジだった。

 でも後半では、片方のワルの剣城 要が熱血スポーツ女子になって株を上げることになる。こいつ、結構熱い良いヤツだったのな。

 後半の名一番となったのが、天音と要のテニス大合戦。これはテニスの王女様になっていた。

 試合の中で、要の持つ天音への敵意と憧れが吐露される。そんな魂のラリーが、ボールのラリーと並行で展開するのだ。女子にも色々ある。

 要も青春していて良いな。勝ち負けはともかく、完璧超人の天音と本気で戦ったという結果が欲しいという点に固執しているんだな。これは熱血であり、ある種ラブだな。そんな乙女のラブスマッシュも楽しめる。

 天音さんは馬術に加えてテニスも強いのか。すげぇ。

 テニスも出来る天音様をイケボで演じたのは甲斐田裕子で、テニプリには同姓の甲斐田ゆきが出ていたなと思い出した。関係ないけどね。

 

 後半では馬から落ちたショックで天音様が記憶喪失なるというラブの障害も発生した。とことん主人公属性キャラなんだな。ラブして馬に乗ってテニスやって記憶喪失とか、モテ主人公の人生みたい。

 これも光莉のラブのパワーでさっくり問題解消してしまう。天音様の記憶喪失ターンは短かった。割りと取ってつけたような愛を深めるターンだった見えなくもない。

 

 そして迎えたファイナルがエトワール戦の決着となる。

 誰がその座を勝ち取るのか。先が読めない波乱な戦いの最後はロマンスがたっぷりだった。

 一度はエトワール戦に打ち込むことで自分の事は忘れなと振ったように見えた静馬が、エトワール戦の途中で心を決めて渚砂をさらいに来る。まるで花嫁泥棒、映画の「卒業」みたい。

 お前を愛しているから一緒に来いの流れで渚砂をさらってしまう。残る玉青ちゃんはどんな思いやねん。可哀想に思って見ていたら、玉青ちゃんがめっちゃ優しい。自分より静馬を選ぶとしても渚砂の想いを尊重し、ラブを応援してくれる。

 玉青ちゃんは全く闇落ちしない友情と愛に生きたベストなユリ乙女だった。クセは強めだが、めっちゃ良い子で好き。

 

 静馬、渚砂がラブの逃避行をかまして平和に終わる。それぞれ不戦敗、不戦勝の戦績となり、結果的に天音と光莉がエトワールを取る。まさかの形を取ってそれぞれの青春の戦いが終わる。

 

 この脱走ラブはなんだ?と思う者もいたことだろう。だがコレで良い。ラブにこれが定形なんてのはなく、その時の想いが爆発してイレギュラーな事になるのもまたラブの真実。

 ラストで見せた静馬と渚砂のキスシーンは超絶美しかった。これで正解な終わりだったな。

 

 可愛いし綺麗で楽しいアニメだった。

 聴くところによると、当時は一部のオタクから「マリみてがあるからこんなのいらん」とか言われ、酷い事にマリみての劣化版扱いをされることもあったとか。確かにマリみてはすごい。がしかし、こちらも良いのだ。悪く言ってはいけない

 

 この作品もユリラブと娯楽性をたっぷり併せ持つハイブリットな快作だと言えよう。

 というわけで、時には苺摘みをしながら白昼から秘密の少女迷路に迷い込もう(←謎文言)。

 

 

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