こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

素晴らしき脚力「ハイスピード・ジェシー」

「ハイスピード・ジェシー」は、1989年9月5日から1990年3月5日にかけて発売された全12話のOVA

 

 平成時代一年目に販売されたもので、平成時代最初期のOVAだったことになる。これは見る価値があるぜ。かつて新時代を彩った楽しいアニメをしっかり視聴していこう。

 この作品は何かのきっかけで名前だけはちょっと前から知っていたのだが、中身を拝見するのは令和時代までお預けになった。

 

 本作は太古のラノベが原作の楽しいアニメである。ラノベって物も歴史が深い。アニメ化を迎える前の昭和からあった作品だという。リアタイで読んでいた者達は刺激的な青春を送ったのだな。

 現在放送中のラノベアニメをさっきも見てきたが、この業界もマジで玉石混淆だと分かる。今期放送のラノベアニメにも酷いのがちらほらある中、昭和に人気を博した先輩作品をチェックしていくぜ。

 

 LD時代のOVAには「YAMATO2520」「綾音ちゃんハイキック!」など、結構いい感じだったのに、バックの事情的には全然良くなかったことから打ち切りになったものもしばしば見られた。そんな中、放送1クール分と同じく30分モノを12話用意して全部発表したのは偉い。OVAで放送1クール分をリリースするのって当時だと結構見ない例で珍しかったのではないか。それだけ続きが出るくらいにウケが良かったのかな。

 

 では作品の中身について、ハイスピードで殴り書いて行こう。

 

ハイスピードジェシー

 

内容

 主人公少年ジェシー・ムーアは、とある事故で両親を失ってしまう。

 両親を死に追いやったのは、宇宙を股にかけて悪さを行うビスマーク一族だった。

 

 ジェシーは妹のティアナ、ジイさんを内蔵した生きた宇宙船(←どういう事かは見れば分かる)のパオロン、流れで一行に加わったフォーク神父らと共に、ビスマーク討伐の冒険に出るのだ。

 

感想

 ジャンルとしては、SFやスペースオペラに類するものである。

 世界観は近未来チックで、スター・ウォーズのようにタイヤは無しの浮いた状態でかっ飛ばせるバイクや車が出てくる。この古い時代に、古い人間がまだ見ぬすごい文明をネタとして扱って描いたとか、なんか余計に夢とロマンを感じる。こういった世界観は好みである。

 

 三ツ矢雄二がイケボで演じる主人公のジェシーは、親を殺されたことでどこか憂いを帯びたイケメンに描かれている。

 良いな、やっぱり主人公は格好良い方が良い。最近のラノベアニメの主人公は、性格の事は抜きにして、顔からしてモッサくてダサい。これは聞いたところによると、イケメンじゃない人が多く読む事を想定して敢えてそういう作りにしているらしい。

 

 このジェシー少年だが、このタイトルでノロマなわけがなく、とにかく元気にスピーディーに走るわ走るわで凄い。一話目から走りまくってすったもんだの末には、車にも追いつく。

 詳しい説明がないのだが、見たところによると加速装置やトランザムみたいな特殊能力ではなく、普通に足が速いだけっぽい。

 OP映像では、スターティングブロックを蹴って華麗に短距離走を走るシーンがある。こうして実地で普通に鍛えた脚力のようだ。素晴らしい。

 

 銃を撃ってもすばしっこいからジェシーには当たらない。警備システムの赤外線レーザーだってジェシーのスピードに追いつけない。システムを上回っているとかすごい。

 

 このすばしっこさでビスマーク家の悪事を挫くのだ。

 アニメでは全編通してビスマークの連中とやり合うことになっている。事件ごとに区切った数話完結式の物語が最後まで連続していく。

 ビスマークが悪さをしてジェシー達がとっちめに行くというシンプル構図で見やすい。

 

 その中で時にはジェシーを中心にラブな話も盛り込むことでドラマ性が膨らんだ。

 注目すべきはメインヒロインのティアナの存在。うむ、可愛い。

 序盤ではジェシーの妹だと紹介されるが、見ていくとそうではなく、ジェシーの相棒としてパウロンが作った人工生命体だと判明。パウロンのジイさんにそんなことまで出来たんかい。

 生殖機能がないだけで後はほぼ人間みたいなものだという。そんな感じで名義上は妹ポジのティアナがジェシーを真に愛し、切ない想いを寄せているのが良いではないか。

 

 有名な声優が多数起用されているので、初見で知ってる声だ!と気づく中、ティアナの声はお初。調べると円谷優子というアイドル歌手が演じているとのこと。

 この珍しくもチビの時からたくさん見てきた事でお馴染みでもある名字はまさかとは思ったが、そのまさかで円谷プロ関係者だった。なんとあの円谷英二の孫にあたる人物だという。すげぇ。

 彼女はOP、ED主題歌も担当している。これはどちらもいい感じの歌で良かった。気に入ったので音源をあさってフルを聞こうと思う。ED曲の「心から君だけを愛していたよ」は、しっとりじっくり聴ける心地よきバラードになっていて好き。

 アイドルに歌もヒロイン役もやってもらおうというマクロスやメガゾーンみたいな手法で売る作品だった。

 

 ティアナの他には、軍人のラティーナ、敵のボスの娘のテレーヌともちょっと良さげな雰囲気になる。ジェシーはモテ男だな。というわけで女子を落とすのもハイスピードだった。 

 

 ジェシーとティアナの関係を見て、そこに愛を感じたラティーナが「妹ではなかったのね」と答え合わせを待たずして答えにたどり着いてしまうシーンは切ない。ラティーナの失恋が見えるここが結構好きだった。

 

 テレーヌもエロく、憂いを帯びたヒロインで良かった。悪者の親父の元で働くのに罪悪感もありつつ、父からすれば邪魔者のジェシーに惹かれるという苦悩と葛藤と美味しさがあるポジションを占めていた。敵国のお姫様と惹かれ合うみたいな設定に燃えて萌える人間の私にはテレーヌが光って見えた。

 

 全体としてキャラが良く、フォーク神父が一番好きだったかもしれない。ジェシーとは全く別物の属性持ちのイケメンだった。神父と名乗ってはいるが、全然そんな風には見えない。キャプテンハーロックみたいな服装だな。かなりキザ男で目立っていた。女子人気が高そう。

 酒や女を嗜む不良神父みたいな感じも強く印象に残る。ポセイドン・アドベンチャーの神父をちょっと思い出す。

 敵の幹部のジェラがフォークの事をえらく気に入っていることから、この二人の男女の間にも愛の物語が見えた。

 二人の関係性が深くて大人なラブなんだよな。フォークとジェラの危険にロマンチックな関係性が好きだった。

 

 ジェラのエロさと高級な犬みたいな毛並みと毛量も良かった。

 フォーク神父を痺れ状態にして、女のジェラから強気に襲う展開も見られた。可愛い、綺麗なだけの女もそりゃ悪くないが、そこらの女に見ない剛気さというのも悪くない。ジェラには剛気であるという良さがあった。後半では両者合意の元でばっちり体を重ねるアダルティックなセクシーサービスカットもあった。エクスタシーもハイスピードだぜ。

 ジェラを演じた戸田恵子のエロい美声もとても良かった。アンパンマンで有名な役者だが、過去にはセクシーで強い良い女も多数演じていることから、この手の芝居に定評があるのも確かな話。

 

 テレーナ、ジェラのビスマーク家の娘達が美しく、安定してエロいので目の保養になった。ここには男兄弟のクロスもいるが、こいつがストリートファイターのガイルとジョジョポルナレフを合体したような見た目で、中身はとにかく悪くしたブスになっている。近未来のチンピラである。一応兄弟らしいのだが、美女が二人いて男はなんでこんなに美がないのだ。

 テレーナが一族への義理立てか、それともジェシーへの愛かで葛藤する中で、ジェシーを狙うクロスをデカい銃で殺ってしまう決意のシーンは印象的だった。ジェシーへの愛から、同族に向けて銃爪を引くというタブー行為に走ったテレーナは、なんだかんだの末に愛に生きた切ない女に描かれていた。ここも良き。

 

 宇宙船でドンパチやるアクションも楽しめたし、最後はロボと一体化したボスのルー・ビスマークとの一戦も楽しめた。アクションシーンも楽しかった。

 ルーの声が今は亡き永井一郎だったのも印象的。懐かしい声だった。

 

 

 見てみると普通に楽しかった。これは今のオタクにも受けると思う。

 キャラは美男美女ばかり。キャラ性や各員の絡みも悪くない。

 美樹本晴彦がキャラデザ担当なのでキャラクターは美しく色気がある。古い人間が描いた絵ではあるのだが、その絵には歳を取らない色気と美があって今日見ても普通にイケる。ヒロインのティアナはとても可愛かった。

 声優陣もなかなかの顔ぶれで良かった。

 大昔の物だが、それなりに時間をかけてリリースしているだけあって作画も良い。

 

 調べてみると、どうやらVHS、LDのみでしか出ておらず、未だに国内ではDVD、BD化されていない。現在だと視聴困難だな。

 絶対良かったのになんでDVDが出ないのだろう。役者が本業ではないアイドルがヒロイン役で参戦している事とかが関係しているのかな。

 雰囲気的に近い感じのする「クラッシャージョウ」はBDが出たのにな。こちらも綺麗にしてまた出せば良いのに。

 

 あと、もしも実写化するのなら主役はSixTONESジェシーでやって欲しい。実現すれば話題を呼ぶマッチングではないかと想える。

 

 

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