こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

究極ラブコメ「スクールランブル」

スクールランブル」は、2002年から2008年にかけて週刊少年マガジンで連載されたラブコメ漫画。

 

 単行本は全22巻が発売され、その後に番外編のスクールランブルZ全1巻も発売された。

 

School Rumble(1) (週刊少年マガジンコミックス)

 

 7月に入った。マジで暑い。

 ちょっと前には乾燥が酷いなぁとなっていた私の部屋も今ではすっかり湿っぽくなっている。日本の夏はどうしてもこうも湿気が多いのか。

 暑いだけで疲れの素になるのに、湿気も加わると体だけでなく精神的にもずしりと重いものを感じてダレる。

 

 そんな中でも、たくさんある我が家の漫画を読み倒して行く企画にストップがかけられない。そういや湿気は本の大敵だな。

 

 春くらいから、この本達をもう一回読んで売ってしまおうという忙しい事をやっている。

 本を置いておけないくらい部屋が狭く感じて来たので早くスペースを空けたい。でも、ほとんどを一回切りしか読んでいないので、このまま売ったら何か損な感じがする。だからもう一度読んでメモリーに刻んでからさよならしたい。そんな風に最後まで愛着とケチの心が出るから、手放すとは決めてもそのタイミングが遅くなる。まぁ撤去する期限があるとかでも無いし。自分の部屋なのでそこは自由にやろう。

 

 漫画は楽しいが読んでみると目が疲れるのもホントのところ。最近よく漫画を読むが、今あるこの量をもう一回読むとなると根気もかなりいるなぁ。

 全部読み切るまでどんだけ時間かかるんだと思うと、それだけ楽しみと苦労が多い未来が待っていると分かって何か変な感じ。

 

 そして今度手に取ったのは、15年くらい前の少年マガジンでエース枠だったラブコメ作品の「スクールランブル」。

 私のようにとにかく色々知りたくて何にでも手を出すヤツは、やることの多さから一つの作品にかける時間が短くなりがち。つまり広く浅く攻めるオタクタイプになって行くわけだ。

 だがこの作品にはかなり深めに沼り、かなりの時間をかけて楽しんだ。2度のテレビアニメ化にOVA、ゲーム作品まで、かなり金と時間を費やした。アニメは面白かったのでそれぞれ2周したし。

 漫画を読むのは久しぶりだがコレは大好きだったので内容もかなり覚えていた。

 

 そして改めて面白い。

 良きコンテンツだったから、アニメ化、ゲーム化、CDも出して、声優の舞台イベントも盛り上がった。時代の波としては「十分にキテいる」作品だった。これでヒットしていないなんて言えるわけがない。

 でもね、もっともっと欲張りにキテいても良い作品だと思う。時代的にもっと強くキテも良かった。

 今一度この素晴らしい作品を盛り上げたい。このくらいの時代のマガジン漫画ならコレとクロマティ高校のファンは今でも多数がしぶとく生き残っていると思う。

 

 私に限らず日本人が、いや広く人間が、もっともっと言えばほとんどの命が日頃それを好んで求めている。何って?そりゃ「ラブ」ですとも。

 そんなラブをよりポップかつファニーに見せるために加えることが出来るベストなエフェクトが「コメディ」である。

 人はこの組み合わせが大好物なのだ。だからこの7月からだって新たにラブコメアニメが複数放送しているじゃないか。

 良いものは良い。だからそれは時代の中で流転する。

 

 私は人が人を思う尊い気持ち(横に=を置いて「ラブ」)、くすりと笑える青春のワンアクセント(人はそれを「コメディ」と呼ぶ)、それぞれの要素が大好き。だからラブコメと付けばだいたい何でも見る。

 

 これまでたくさんのラブコメ作品を楽しんできた。その中でもスクールランブルは、私の求める究極系を叶えた一級ラブコメだと評価している。もしかすると歴代最強なのかもしれない。

 

 かつて楽しんだ「とらドラ!」という作品のキャッチコピーは「超弩級ブコメ」だった。あれはあれで間違いない。りゅうじくん、たいがちゃんのラブな青春を見れば、人は超や弩級をつけて評価するだろう。スクールランブルは、ある意味それ以上かもしれない。まぁテイストが全然違うからこの2作は同じ秤に乗っけるべきじゃないと思うけど。

 

 とにかく我が究極ラインを見事突破した本作を超称えたい。

 

 じゃあ久しぶりに読んでときめいて笑ったあれこれを書いて行こう。

 

School Rumble(22) (週刊少年マガジンコミックス)

 

 可愛くて良い子だけどそこはかとなくアホな娘の塚本天満、喧嘩の強さとバカさレベルがマックスの播磨拳児

 序盤はこの2人をツイン主人公として、それぞれのサイドで物語が展開する。

 

 天満ちゃんは謎だらけの同級生の烏丸くんが好き、播磨くんは天満ちゃんが好き。でも各員の想いはぐるぐると回り回って超絶遠回り状態を極める。

 なかなか決着を見ない恋模様の中にくすりと笑える要素がふんだんに盛り込まれているのが良い。

 それから播磨くんが烏丸(からすま)くんのことをずっと鳥丸(とりまる)かと思っていのは普通にバカでウケる。

 

 序盤は男女主人公のアクションに焦点が絞られるが、早々に学校の他の生徒の想いもそこに割り込んで来て、自体は大混雑の青春群像劇へと広がっていく。

 アニメ制作時には「ぐるぐる回るラブコメディ」なんてキャッチコピーを打っていたが、あれがまさにソレ!であり、本当に青春ラブが大混雑の状態になっている。

 各員が関わり合うことでトキメキと笑いが増す面白い群像劇が出来上がってるのが良い。

 

 なかなかおバカに各員の想いが交錯してあっちもこっちも上手く行っていない。長らく続くその状況が面白かった。

 ラブコメは主要キャラがさっさと両思いになったらダメ。ダメでなくとも早期段階にそれを持ってくればその後の引っ張り方が難しくなる。そんな感じの作り手の都合を聞いたことがある。

 特に播磨くんのターンがそうだが、どんどんヤバイ方向に事が泥沼っていくのは素直に笑える。そこから「どうなんの?」と興味が膨らむのも良し。

 

 まずこの作品はなんといっても播磨くんが肝。彼がコメディ部分も熱いラブ部分も牽引している。

 当初はツイン主人公体制だったけど、作者のラブが播磨くんに偏ってないか?ってくらいに段々と播磨くんターンが増えていく。

 アニメでもだんだん天満はどこいった?みたいにテロップでイジっていたような記憶がある。

 とはいっても天満ちゃんはやはりメインヒロインだし、言動がいちいち面白い播磨くんがどう動くかのトリガーとなるキーキャラであるのは間違いない。

 この2人の主人公のキャラ性は秀逸。動かし方も良かった。序盤の天満ちゃんのバスの上から流鏑馬のネタ展開はアホだったので笑った。

 

 播磨くんの青春がとにかく激動過ぎて笑える。このキャラが大好き。

 読んだ人間は絶対彼の事を一番濃く記憶するだろう。強烈におもしろお兄さんだった。

 グラサンに諸葛孔明風のヒゲで学校に来る(しかもゴツいバイクで)。見てくれからインパクトがある。

 スタート時の彼はド不良で「喧嘩以外することないんか?」ってなくらい荒れた道を生きていた。そこで出会った天満ちゃんにド級フォーリンラブして人生が変わる。ラブは進路変更のトリガーだものな。分かる。

 その後、なんかわからん内に振られて家出して動物を従えたリアル動物占い師になったり、漫画連載を持ったり、恐ろしいマグロ漁船の船員になったり、エアコン修理屋になったり、沢近のニセお見合い相手になったりで、マジで波乱のサクセスライフを送っている。最終話付近ではしばらく海外に姿を消して強めの風来坊になっているし。

 22巻に渡って描いた主な物語はたった1年のことだが、1年で人が経験するには無理だろうってくらい色んなイベントを越えている。不良なんかやっているよりよっぽど充実した人生に変わったな。作者もマジで無茶苦茶考えるな。播磨くんに試練を与えすぎ。

 1年の間に彼の風貌も随分と変化して行き、めっちゃヒゲを伸ばしたと思ったら沢近に切られ、その後は頭も剃られてハゲになる(2回も)。沢近お嬢様が何気に酷い。ヒゲでありハゲでもある状態もあった。

 

 この手の作品の男主人公といえばやっぱりモテる。

 播磨くんの本命はあくまでも天満ちゃんだが、何れもラブの勘違いが入り口となって天満ちゃんの妹の八雲ちゃん、超絶お嬢様の沢近愛理が播磨くんとも深く関係するようになって行く。

 天満ちゃんはよそに、播磨、八雲、沢近で三角形が出来る流れになって行く。ココ、面白い。

 いずれも出来の良いヒロイン2人に囲まれる中、更にやんわりとミコちゃんや保険の先生のたえちゃん、そして従姉妹の絃子(いとこ)とも近い関係になっていくからこいつの人生はエンジョイキャッホーだな。

 人に従姉妹を紹介する時には「あれは俺の絃子(従姉妹のつもり)だから」と言って俺の女を紹介しました的勘違いをされるコントな組み合わせにはウケた。

 

 それだけ可愛い子ちゃんに囲まれても、播磨くんが真にラブやスケベ心を向けるのは天満ちゃんのみ。ブレない心で青春街道を突っ切る彼の姿は、バカだけど清くて格好良い。

 天満ちゃんは出てくる女子の中でも一位くらいにアホで(ララも同列かも)ちんりくちん。周囲の他のキャラの方が見た目の美少女度で明らかに勝っている。それでも播磨くんは天満ちゃん一筋で他には目もくれない。その想いを貫徹している。

 この点は男らしい。それに後日グラサンの下の素顔が解放されるが、その顔もとてもイケメンなのだ。

 

 播磨くんが失恋して漫画を精神の逃げ場にした流れについては、描けるのがすごいと思ったのと同時にめっちゃアホだと思った。そんな彼だが、ラブに賭ける生き様は格好良いのだ。

 

 最近のハーレムものだと主人公よりも、そんな男を好きになる女子がおかしいという感想に落ち着くモテ男物語が結構見られる。この播磨くんは芯がしっかりしている良い男だ。不良なのに、いざって時には優しい。嫌っている沢近にでも、相手が困っているなら助けに出る態度は一貫している。そこは良い。善良なる不良だった。モテるのも分かる。

  ハーレムものは女子が可愛いのが一番だが、これも大事なのが主人公男子が格好良いかということ。モブみたいな見た目で中身がキモい男子主人公も結構いるので、その点の不快感がない作品としてスクランは評価出来る。

 でも播磨くんが「エビはほぼ虫だから」みたな事を言って嫌っているのは理解できん。私はあの見た目も味も大好きだぞ。

 

 他の男連中だと花井、今鳥、東郷あたりも皆バカだけど楽しいやつで愛せた。

 男キャラなら東郷も面白すぎたな。渡米経験が無いのに、謎にアメリカかぶれでウケる。

 東郷率いるD組がクラス写真集を作る際に、紙は古いからとか言ってDVDを作り出したのも吹いた。

 東郷はおかしいけど妹はまともだった。

 

 要人だとされる東郷のパパが帰国するおまけ話があるのだが、あの回はマジ笑った。正体がバレたらいけない要人のパパが、雑な影武者をたくさん率いて帰宅するのはバカ過ぎた。

 

 今鳥とイチさんの関係性も良いし、今鳥とララがいつも喧嘩する流れも最高に良かった。

 花井くんは文武両道の真面目な学級委員キャラだったのがどんどんおまけ要素になってきて、最終的にはおバカキャラに落ち着いて良かった。

 

 ヒロインも秀逸で、ミコちゃんや沢近は見てくれやステータスが常人の上を行くファンタジー感もあるヒロインに見えるが、その中身は割と等身大に描いている点がグッドだった。

 ミコちゃんと沢近の喧嘩、天満と沢近の仲違いのシーンは結構リアルに描かれていて、読んでいると緊張感が伝わった。沢近は情熱的な女で良かったなぁ~。

 

 そして最初は影が薄かった妹ヒロインの八雲が、まさかこんなに騒ぎの中心に入ってくる人材になろうとは思わなかった。

 中心が天満、播磨で騒いでいるところに、話が進む度テンポよく外側の人間が入って来てぐるぐるすることになる。ここに見られるキャラの動かし方が良かった。

 

 登場人物が実に多いが、それが無駄や邪魔になっていない。

 他作品を見れば、たくさん出して華やかにしてみたは良いが、各員をどう動かぜば良いかのところを上手く捌ききれず、結果出した意味のないキャラがいるということもある。

 スクランでは作者がそれぞれのキャラを愛していて、存在を忘れていない。そこが偉い。各員を主役に描くターンがあるからそれぞれ愛着が持てる。

 中盤から後半にかけては、話数ごとに色んなキャラの視点から物語が見える面白い青春群像劇になって行く。

 あえてモブのテンプレ感をキャラ性に盛り込んだ奈良くんを除外すれば、出てくるキャラクターそれぞれが実に個性的で面白い。吉田山、仏の西本あたりの男子のバカさが濃く見えるキャラはホント愛せる。水着相撲部はバカ過ぎる。

 

 キャラの作り、おバカなギャグ展開の作りもセンスが良い。この作家はお笑いを分かっている。かなり笑える。

 序盤のクラス発表掲示板でのミスリードネタとなった「播磨拳児」と「ハリー・マッケンジー」の似た名前が並ぶやつには笑った。あれはよく考えついたな。

 ただのネタと思っていら、後に本当にハリー・マッケンジーというキャラが出てきて目立って来るのはすごい流れだと思った。ここはセンスが良い。

 

 そして各員のラブがややこしく交錯して生まれる勘違いの物語の作りも良い。勘違いに入ってく行く筋道の作りも秀逸だな。当初だと播磨くんが沢近や八雲と深く関係するような流れに入っていくとは予想出来なかった。

 

 週刊誌版と別で月刊誌で展開する回もあり、そちらでは本編の裏サイドストーリーや、伏線回収を行うこともある。統一された世界観でなら、角度を変えて見ても面白い。

 

 学校では文化祭、体育祭、修学旅行の当たり前のイベントをはじめ、他には夜中に校舎でサバゲをやったり、急にバスケ部編が始まったりと、とにかく退屈なくいろいろな事が起きて楽しい。

 22巻分を中だるみなく完走出来た。ホント楽しい。播磨くんが大好きになる。

 

 スクランZの最後の回では皆の卒業式が描かれる。あれ、泣いちった。

 自分の惚れた女の晴れ舞台を見守る播磨くんの清々しい顔。それが見れるとても良きエンドだった。

 

 物語の外側から本編を盛り上げる応援射撃を行っていた作者コメントも読んで面白いものだった。各ページのコマの外に作者の一言メッセージがあり、それも面白い。解説やキャラへのツッコミを担う気の利いたシステムだった。

 この外枠からのコメント飛ばしはクロマティ高校でも見られたヤツだな。作者の作品愛を感じるものだった。外から中に向けてのアクションということでボンバーマンのみそボンを思い出す。

 

School Rumble(6) (週刊少年マガジンコミックス)

 

 これは十分に評価されているとは思うけど、それがもっとキテも良いと思う。最近なら「五等分の花嫁」とかも楽しいラブコメとして名を馳せたけど、ちょっと古いこちらも良いぞと多くの人間にお勧めしたい。男女共にいろんなヤツが出てくるので、見る者にとってハマるタイプのキャラがきっと出てくると思う。播磨くんと東郷がおすすめ。

 

 こんな学校生活ならきっと面白いし、同時に面倒くさそう。心底そう思える楽しいと作品でした。大好きです。

 

 アニメもまた見ようかな。声優がすごいハマっていたんだよね。何気に歌も良かったし。ゆうこりんの歌もまた聞くか。

 

 そんなわけで青春は直通よりもぐるぐる遠回りする方がきっと楽しい。

 

 

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