こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

一体何年ぶりか分からないくらい久しぶりに鰻を食ったら超美味くてひっくり返った

 お盆休みを利用してちょっとしたお金儲けっす。というわけで、親戚に呼ばれてちょいときつめの肉体労働を手伝ってきた。

 

 こんな暑い中での労働ともなればも当然良い汗、流れるよね~。良い汗を流した後に食う飯は、のんべんだらりと消化を待った後に食う飯と比べて8倍美味いのだ。まるで不良学生が真面目に部活を始めてから食う弁当の味のような感想が思い浮かぶ。それから私は優等生しかしたことが無いので不良未経験っす。スクールウォーズとかでそんな感じの不良あるあるを言っていたような気がします。

 

 で、労働後に何を食わせてもらったかというとゴツめの鰻だった。ホカホカの米の上にプリプリしたデカい鰻が乗っている。食うのもそうだが、この状態になった料理として見るのも久しぶり。

 一体何年ぶりに食うのか覚えていない。今だったら鰻と穴子を並べて見ても、食っても、どっちがどっちだか分からないだろう。穴子だってそのくらい食っていない。

 

 ありがいだけの極上料理なので味わって食おう。そう思って一口行くと美味すぎる!早く次なる美味さの快感を脳にガツンと喰らいたい。それだけに早食いになってしまう。これはヤバイ。結局早食いですぐ終わる楽しい時間。

 美味いものだとは記憶していたが、ここまで空きっ腹に染み渡り、五臓六腑を駆け巡るものだとは予想外だ。マジで美味い。

 

 こういうのってだいたいそうだが、上が迫力満点でも下の米が浅い。このデカい鰻に対してたったこれだけの米で挑むだなんてなんだか損でまあまあ失礼じゃないか。つまりはもっと米と具とのハーモニーを長く味わいたい。

 さすがに鰻のおかわりは用意出来ないが、米なら台所の炊飯器の中にある。それを追加して長くうな丼を味わえと親戚が勧めてくれた。ありがてぇ。

 

 米追加で惜しみなく鰻を味わった。あの濃い目の甘ダレを被った米だけを食っても美味いんだよなコレが。このクソ暑いのに負けるものかと体が唸りを上げて食物を欲している。たくさん食って夏バテを越えて行けってことだな。なのでたくさん食った。

 

 丼ものに後で米だけを追加するこういうケチな食い方なら、その昔には貧乏学生の多くがやっていたとか。親戚がそう言っていました。

 金の有無はよそに、食の快楽が少しでも長く続くならそういった食い方を選ぶのも悪くない。

 

 マジで最高だったなぁ。鰻ヤバイなぁ。こんなに優秀な食材だとは知らなかった。

 

 鰻といえば昨今は値上がりが酷いと聞く。親戚が用意してくれたものだが、その値段を聞くと引くほど高いんだなこれが。頑張れば一週間食えるだろうってくらいの金額だった。これは自分の金で食おうとは思わない。

 

 鰻っていつからこんなに食えない高級食材になったんだ?

 昔は田舎の川で泳いでるのがいたりしたのに。それも今では全然見なくなった。とはいっても私が野生の鰻を見たのだって2、3回くらいだけどね。

 鰻と思ったら蛇だったこともあったし。都会の人には知らない人も多いみたいだけど、実は蛇って川に飛び込んで泳ぐんだよな。あれはキモいし怖い。陸で会っても嫌なのを川でもこんにちわした日には叫んじゃうぜ。

 

 それから昔田舎の夏祭りに行ったら、ビニールプールの中に鰻がめっちゃ泳いでいて、子供なら無料で出来る鰻掴みなんてのがあった。

 ヌルヌル軍団が大暴れだから、人によっては平静を保てない珍事だったかもしれない。でも私は魚とかその他水の中にいる連中が平気だったのでゲラゲラ笑いながらダイブして掴んでいた。それがめっちゃガキの時のこと。

 

 今だったらあんなの考えられない。あの量の鰻達を一体どこから呼んで来たんだ?

 さすがに現在ではそこでヌルヌル軍団掴みはやっていないと言う。あれは楽しかったなぁ。鰻が何匹も一緒にプールにぶちこまれているっていう画だけでも面白かったし。

 掴んだのを途中で離した子供がいて、その逃げた鰻はウネウネ陸を泳いで用水路にダイブしていたし。あの元気に暴れる鰻の姿も良い画で最高に笑えた。鰻を見て泣いているちびっ子も結構いたっけ。

 

 謎に大判振る舞いの鰻軍団の内、掴んだ一匹だけはちゃんと持ち帰れる。タダでくれるんだからすごい事だ。

 ウチのばあさんが深海魚でもない限り大体の魚が捌けるよう訓練を受けた猛者だったので、鰻も美味しく捌いて焼いて食わせてくれた。

 まだ小さい私が、初めてそのままの魚を開いて調理する様を見たのはその鰻でのことだった。

 

 ばあさんの迷い無きダイナミックな鰻のやっつけ方が忘れられない。

 まずは暴れまくるのを鎮めるため、包丁の側面で殴って気絶させる。次にはゴツい板に鰻を寝かせ、頭にこれまたゴツい釘をぶっ刺す。これで死んだろ。そこからゆっくりと捌くのだ。このエグい作業がマジで一瞬で終わるのだ。

 ばあさんの子供がウチの母なわけだが、その時まで実母が鰻を捌けることを知らなかったという。ばあさんだって何年ぶりか分からない調理だったというが、刃物の扱い含めた食材のやっつけ方は脳で記憶しているんだろうな。まるで毎日やっているかような綺麗な動作でスムーズに開いていた。包丁の切れ味が良くて、作業中どこかに引っかかることなくスゥーと綺麗に鰻を割いていたのが実に印象的だった。

 

 鰻は黒いタレを塗っているだけで、開いたのは随分白かったと記憶している。それを焼いてタレをつけていつもの黒いアレになる。それを食ったらちゃんと美味かった。

 

 鰻といえば一生美味い。それから祖母のダイナミックな調理スキルもヤバイ。これらがセットで思い出される。

 

 私はイカなら捌いたことがあるけど、バラしていくと「こうなってるのかぁ~おもしれぇ~」と素直に思った事を覚えている。他の生物は多分だめだけど、魚系のやつなら分解していくのを見ても平気っす。てか結構好きだった。

 

 というわけで鰻は素晴らしい。今後はもっと安く食えると良いのに。

 労働対価として腹ペコ状態で食ったのは更に美味かった。良い仕事をすればいつもの飯もちょっと良い飯になる。これが食が生む美味しさの方程式っすね。

 

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