こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

夏休みは最高なのでいくら長くても良い「向日葵の教会と長い夏休み -extra vacation-」その2

 このゲームってもしかして割とマイナーな部類なのか、知っている人を見たことがない。まぁ私がやるゲームなんてだいたいクラス全員が知らないような特殊なものがほとんどなんだけどね。

 私よりだいぶ早く生まれたお兄ちゃんだって知らないって言ってた。ていうか彼はたくさん生きてきた中でギャルゲーをやったことがないという。勿体ない。

 そんで私には「なんでギャルゲーやるの?」って聞いてくる。マリオやゼルダメトロイドをやっていたら何も言わないのに、ギャルゲーだと何でやるのかを聞いてくる。そこが何でなんでしょうね。

 

 ギャルゲーをやるのはギャルが好きだから、キュンキュンがもらえる恋愛も趣味として好きだからです。まぁ好きしかない世界ですよね。じゃあやるわな。

 可愛いギャルに恋してときめく。それは人生(と多分お肌)に張りを与えるものであり、心身のアンチエイジングを叶えることでもある。おかげで私は心も体も超元気です。

 

 というわけでPSPでギャルゲして元気になれ!

 それとPSP終盤にリリースされたソフトにはギャルゲーが多いよね。聞く所によると後継機のvitaもそうだったとか。

 

 ではまだまだいるヒロインズ攻略の感想とその他別に関係ないけど思いついた事を気ままに書き殴っていこう。日々自由な思考でしっかり生きています。

 

向日葵の教会と長い夏休み -extra vacation- 初回限定版(特典なし) - PS3

 
朧白・ヒポポ・金剛石(おぼしろ ヒポポ だいや)
声:如月葵

 めっちゃ可愛い。

 攻略3人目のヒロインですね。8月半ばから始めたゲームだけどこの段階でもう9月に入ってたと思う。

 それと「半(なか)ば」と書いて「はんば」と読んじゃう国語弱者の同級生を学校で10人は見たことがある。漢字って身近なようで遠いものなんですね。このゲームに出てくるギャル達みたいだね。

 

 ダイヤとかすごい名前だ。最近のアニメだとサファイヤ、ルビーなんてまるでポケモンのタイトルみたいな名前のキャラも普通にいるのでこれも現代流。ちょっと前にやっていた「推しの子」ってアニメなら主人公の名前がアクアマリンだったし。キラキラした石と同じ名前なのでこれぞキラキラネームというのだろう。

 

 しかし凄いのは名前だけではない。金剛石は村長の孫で金持ちお嬢様。そして一番凄いのはおっぱいのデカさ。回想シーンのチビの頃からも彼女のおっぱいは既にそこそこデカい。それから8年ぶりに再会して倍増しているのだから、陽介くんもその成長ぶりにびっくりなのである。名前負けはしてない。

 同じ巨乳でもルカはミサイル、もっとデカい金剛石は爆弾みたいなおっぱいだった。ここ二人が同期で同じ教室にいたら華やかできっと人気者コンビになっていることだろう。金剛石の水着シーンも迫力が凄かった。

 

 お嬢様だけど素朴な田舎少女の生活を好む。教会では野菜畑の世話を担当し、中盤ではトマトを収穫して食っているシーンがある。土いじりをして収穫物を愛すお嬢様とかすごく良いよね。同じ設定が見られる最新アニメなら「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のミオリネがそうだったよな。

 

 意外とアクティブで秘密基地を建てる計画は彼女が発案した。でも金の鯱をカスタムしようとして基地の天井を抜いてしまうという洒落にならん騒動を起すのも彼女だった。このシーンでは、己のミスを悔やんで猛省する金剛石の姿にすごく胸が痛みました。とても慰めてやりたい。そんなことを思う私ってば心優しい真心人間。

 

 福引で当たったテレビを秘密基地に設置して以降、金剛石が電波の虫になる。屋敷では教育番組しか見せてくれないので、その他民法番組が珍しすぎてテレビの前を動かない日々が続く。

 教育番組ってのはNHKのことだろう。ウチのお兄ちゃんの同級生の中には、小僧の尻とちんちん、げんこつ、オカマ、という余計といえば余計な刺激を得ることが良くないとして「クレヨンしんちゃん」の視聴を禁じていた家庭があった。そいつはお兄ちゃんと遊んだ時には我が家で喜んでしんちゃんを見ていたという。意外と金剛石の家みたくチャンネル合わせに厳しい家庭は存在するようだ。チャンネル合わせが自由な家庭で育った我が人生の幸福を喜ぼう。

 

 金剛石がCMや通販番組までめちゃ楽しんで見ているのは微笑ましい。しまいにはもっと見たいからということで、10年前の段階で売り場から消えていたであろうビデオデッキとテープも買って色んなものを見るようになる。

 それまで抑圧の中にあった者が解放の先で知る快楽はマジで蜜の味。こうなってしまうと欲望という名のトレインは際限なく行く所まで行ってしまうのだ。

 テレビやビデオという娯楽を知って沼る金剛石を見ると、まるであの頃の私のようだと激しく共感してしまう。私もそれを知ってからはめちゃめちゃたくさん見たからな。

 そんなわけで陽介はテレビの前から彼女を引っ張り剥がすために奔走するのである。友達が急にそんな廃人めいた感じになると普通に心配だものな。

 

 金剛石が見ているビデオの中に、まるでホイチョイ作品のようなラブドラマがあった。これもまた厳しい家庭の都合だが、彼女は恋を知らない。なのでそのドラマを見ても男と女が関わってなぜあんな事になる?とずっと謎になるのである。

 多感な時期における異性との触れ合いにあまりにも抑制をかけると、このように当たり前の男女心理が分からなくなる。これもひとつの学びだ。

 

  こうなると乙女は恋を知りたくて仕方ない。で、男子の陽介からその想いを学びたいとなり、二人してラブを巡る秘密ツアーが始まるのだ。妙な事になったが、これは個別ルートにおけるジェット噴射イベント。

 敗北を知りたいの精神で動く「バキ」の戦士達もそうだったが、時に人ってのは知りたい事があればおかしい程まっすぐ且つポジティブに動くものだ。ならば金剛石の言動にもいくらか納得が行く。

 

 ここでドキドキ男女イベント発生。

 舞台は田舎、夏、そして森の中、ならば蚊がたくさんいる。蚊に喰われて陽介の手が腫れると、腫れを抑えるまじないとして金剛石が患部にキッスをくれる。

 美少女からこれを受けてドキドキしないはずがない。陽介の心は揺れます。

 次に金剛石も蚊的に絶対に美味いであろう腿を噛まれてしまい、白い足の一部を張らせてしまう。ここからの彼女のぶっこみにびっくりする。

 自分もまじないにあやかりたいということで、陽介からのキスが欲しいと言う。陽介としては屈んで女子の腿に口づけなわけだから、どうにもこうにも変態臭い。「アマガミ」のワンシーンでもこんなのあったよな。

 これは合意であっても他人から見れば男が女を襲っているようにしか見えない。で、そんなドキドキシーンを怖いメイドの二階堂さんに目撃されてしまう。

 大切なお嬢様の腿が男に犯されようとしている。そうなるとぶっ飛ばすしかない。弁明の余地なく陽介は戦うメイドの二階堂さんにぶっ飛ばされます。

 この事件以降、陽介から引き離すため金剛石は屋敷に監禁されてしまう。まぁ分からんでもないがやりすぎな缶詰状態かも。これを奪取するため、男陽介の奮闘記が始まるのだ。

 しかし二階堂さんに現場を目撃された時の気不味さと来たら、陽介の身になって想像すると胃が痛む。金剛石が教会に来れなくなった原因を基地の仲間たちに話す陽介の都合も胸が痛む。男女関係はやはり適した距離感で行うのが良い。

 

 金剛石の屋敷の執事になる試験を受けたり、覆面の怪盗になって金剛石をさらいに行くなど、すったもんだの末にハッピーエンドなりました。

 

 金剛石とその世話係の二階堂さんとのコンビ感にはまったりするものがあって良い。鬼階堂の通り名も持つ怖いメイドさんで、門限を破った場合はお嬢様であろうが拉致して連れ帰る。とても厳しいけど美しいメイドさん。ここも攻略したくなる。

 攻略したくなるといえば金剛石のママンもそうだ。DNA伝達がしっかり出来ていると分かる巨乳のママンだった。これなら娘のサイズにも納得。

 このルートのラスボスがママンである。過保護なのと厳しいお嬢様教育のため金剛石を教会出禁にしてしまうこのママンを打倒するのが陽介のミッションとなる。

 ママンも最終的には陽介にデレる。そこは萌えました。

 教会の看板娘のヒナを見ても怖い二階堂さんと金剛石のママンがデレる。そこにも萌えました。

 

夏咲 詠(なつさき よみ)
声:夏野こおり

 メインディッシュだな。超可愛い。

 そもそもこのゲームを買おうと思ったきっかけは、ジャケットに写るこの詠ちゃんの可愛さにグッと惹かれたから。

 見てすぐに思ったが「生徒会の一存」の桜野くりむちゃんみたいや!

 それもそのはず。この作品はヒロイン毎にキャラデザやシナリオ担当が異なるのだが、詠のキャラデザは「生徒会の一存」と同じ人だった。だから似ていて不思議はない。昔の女に似ていたのでGO!してしまいました。良き夏。

 

 陽介よりも2つ年下でヒロインズの中では最年長。でも一番幼児体型で身長は150センチに届かない。

 そんなちんちくりんな詠だが、しっかりと落ち着いた姉貴の風格があって年下の皆から慕われている。見た目はチビだけど優しくて落ち着いていてお姉さん適性が高い。

 その要素を引き立てる夏野こおりの綺麗な声も超良い。そして結構エロい声でもある。

 

 陽介の事は皆の前では陽介くん、2人きりの時はよーくん、状況に応じてツーパターンの呼び方をしてくる。たまに来るよーくんのターンにかなりキュンと来る。

 

 このゲームだと他のヒロインもそうだけど私服が華やかでまぁまぁエロい。詠の服もどこに売ってるの?てくらい田舎にしては華やかなものだった。可愛いっす。

 

 金剛石が秘密基地の屋根を抜いてしまった修理用の木材を探す時、陽介が指先を負傷してしまう。その時には詠が血を吸い出してくれる。これって少女漫画とかでよく見る。この時わずかに聴こえるチュパ音にドキドキします。

 

 詠のシナリオに入ると嬉しいメイド服観賞イベントがある。目の保養です。

 月子ちゃんが今年の海の家はメイド衣装で攻める「メイド海の家」で行こう!と正解の提案をして来る。メイド服は自分で縫って月子が着るはずだったけど、作って以降数年置いていた事で月子が成長してちょっとサイズが合わない。おまけに綻びも出て来た。

 そこを詠がなんとか修繕し、一番小柄な自分しか着れないってことで役割をチェンジすることになる。詠のアシストが光るのと年月に応じて月子ちゃんがすくすくと成長している事が確認出来良かった。

 詠のメイド服はナイスだったが、こうなると本来その担当だった月子ちゃんのメイド姿も見たかった。

 この田舎の高校の女子制服もメイド服っぽいのに、そこへ来て詠が本物も着るからナイスだった。

 

 詠ルートだと夜の高校に忍び込むミッションが発動する。そのノリで在校生でない詠と月子も制服を着てくる。在校生のルカ、金剛石も加えて制服ヒロイン集結となりとても楽しかった。

 

 このルートではルカのルートよりもさらに強まった怪奇性、オカルト性、それと電波感が味わえる。

 夏が急に冬になる、さっきまで着ていた服が急に消失して水着姿になるなどの怪奇現象にも襲われる。分かりやすく不思議な内容だった。

 

 やっぱり猫がいっぱいの田舎ってことで猫の大群が出るし、その中には猫の神様みたいなのもいて、猫にまつわる怪奇かつ楽しい夏物語が展開する。

 

 ルートに入って割りと序盤で猫の神のネコマ様の言い伝え、マガイなどの謎ワードが出てくる。そこにイザナミイザナギの天岩戸神話の話も出てきたりで一気に謎な感じになる。

 ぶっちゃけここら辺の要素はなんだそれ?ってなってちょっと眠い。

 

 でもそんな猫伝説の中で、実は詠は黒猫の願いが叶って変身した猫娘だったと分かってくる。まぁこれは月子ルートを見た時からそうだろうと予想がついていたけど。

 知らなかった都合は詠が2人いたということ。猫が変身した詠と既に亡くなったオリジナルのちゃんとした人間の詠がいたのだ。切ない。

 

 大好きなよーくんの傍にいて彼を元気づけてあげたい、支えてあげたいと願う黒猫の真っ直ぐな清き愛が叶えた奇跡の物語がそこにあった。ちょっと泣けます。

 

 このルートのラストでは、遂に教会が封鎖されるところが描かれる。決別の時を迎える元聖歌隊メンバー、神父、そしてヒナちゃん。各員が教会で過ごす最後の夏の終わりにほろりとしてしまうピュアな私。

 この夏が終わることで変わっていくもの、変わらないもの、それぞれが確かにあると心で感じて陽介は大人になっていきます。キュンとしました。

 

 ここまで遊んで思うけど、陽介が自分を選ばなかったルートでのルカの譲って応援する態度に好感が持てる。

 他のヒロインにはルートを進めることでちょっとずつこっちを好きになるパターンも見られるが、ルカは共通ルート段階で一番ラブメーターが貯まっている。どのルートでもルカはこっちの事が大好きなのだが、他のヒロインとくっついた場合には友情を重んじて大人しく引き下がり2人を応援してくれる。育ちが良くて心が清い子で良し。

 詠と仲良くなってもルカがそれをかなり気にしている様子が描写されていた。

 

野々原 雛桜(ののはら ひなざくら)
声:雪都さお梨

 序盤に武闘派神父様が教会に連れてくるロリな孤児。

「ムンムン」言って教会の仲間達の後について周るこの子が超可愛い。皆の妹分ポジである。幼馴染軍団の中に見るロリと妹の要素が美味しい。

 

 これは前情報無しで遊んだらここまでのちびっ子が未来で正妻になるとは思わないだろう。でもOP映像やロード時に表示される画像に大きくなったヒナちゃんが映っているので、勘の良い私になら早期段階から見えた未来。

 ロード時の待機画面でヒロイン5人が横並びに写ったショットは素晴らしい。見つめている内に待機時間があっという間に過ぎる。

 

 このルートでは「CLANNAD」の評価にも用いるまさに陽介の「人生」が描かれている。描かれる作中時間が最も長く、多分テキストとしても一番多いルートになっている。まさかヒナがメインヒロインに化けるとはな。

 はっきり言って最高のルートでした。一番好きなヒロインはルカだけど、シナリオの満足度はヒナルートでした。

 

 ヒナの幼少期の物語、そこから10年後の物語の二部構成になっている。他のヒロインルートでは一夏のラブがメインシナリオとして描かれるが、ヒナちゃんルートだと陽介という男の10年の人生が描かれるので一番没入感があった。

 

 ちびっ子の頃のヒナは元気な激カワ小動物感があってマジで癒やされる。陽介がプレゼントした可愛いきぐるみパジャマを着て怪獣ヒナゴンになる所は可愛すぎて笑みが溢れた。反射率の高いPSPの画面に写る私の笑顔がよく見えました(←ややキモ感想)。

 

 陽介とはメシ、お風呂、寝る、とにかく何でも時間を共にしたくなる脅威の甘えん坊を発動させるヒナちゃんの萌えの破壊力はヤバい。ガキなんて嫌い!って言ってるヤツも意見を変えてしまうレベルで可愛い。

 

 しかし可愛いだけでは終わらない夏がある。ヒナの境遇は辛いもので、要は親に捨てられて今があるということになる。

 これのキツイのが、実は陽介の養母の子がヒナだったと分かってくる点。自分を育ててくれた義理の親が、実の子は捨てた。この事実にまずはショックを受ける。次になぜ優しかった養母がそんな酷いことをしたのかという謎がこみ上げる。

 これを解決して良ければヒナを親元に返したい。そう願って陽介は奔走します。ここの陽介の言動には兄であり父でもある心理を見てキュンとしました。

 

 事が複雑でとにかく簡単には行かない。都会に親を探しに行った陽介の帰還を待つヒナのかいがいしい態度にもキュンと来る。いつ帰ってくるか分からない陽介を一番手前で迎えられるよう、毎朝バス停で待っているヒナちゃんにマジでキュンキュン来る。陽介兄ちゃんが大好きなんだなぁ。萌える。

 

 チビはだいたい高いところが好き。私もそうでした。

 ヒナも教会の鐘付き堂の上に登って大人をマジでビビらせます。ここはマジで止めてくれって思った。陽介の決死の救助でなんとか助かって良かった。

 それまでヒナに対しては可愛い可愛いで接して来た陽介くんも、ここまでの危ない事件を起こしたチビの事はマジで叱ります。初めて叱られたことで陽介から距離を取るヒナ。ガキらしく拗ねてしまっている。

 叱るのは愛ある教育者の言動として間違ってはいない。でも叱った後に懐いていたヒナが自分から離れていくのを感じると、陽介はめちゃ落ち込むのだ。陽介が兄貴や親のちょっと辛くて損な立場に立っている点に好感が持てる。子供に嫌われることに傷ついて落ち込んじゃう陽介のリアクションはちょっと可愛い。

 この事件きっかけで二人の関係性が以前よりも深まるのが良かった。

 

 ヒナのママも美人で萌えた。でもいつも憂いを帯びた御婦人でもあった。笑えない運命を歩む途中にあるので仕方ない。

 

 ヒナの幼少期ルートのエンドはまさかの方向性を取り、陽介が養父になってヒナを育てると決心する所まで描かれる。まだ大学生の彼が人生の半分以上をヒナに費やすと一大決心するのである。大事だぞこりゃ。同級生がこんなことを言い出したらさすがに怯むと思う。

 周囲の応援も受けて二人は親子になっていきます。ルカや金剛石のルートを遊んでいる時だとこんな方向転換をしていくことになるなんて予想も出来なかった。

 

 ここから2部に入り、舞台は10年後に移る。陽介は地元の組合員になって働き、ヒナは高校生になっている。幼女ターンもかなり長かったヒナちゃんがJKになっているのを見ると感動しちゃいます。可愛い。素晴らしき進化がここに見られます。

 

 陽介とヒナは親子として10年を歩んでいました。すごいことだ。

 洗濯物の仕分けをするとヒナのブラジャーが出てくる。遂にコレを装着するようになったのかぁ~と陽介もパパの憂鬱と喜びを味わっていた。これって結構リアルな親父の心理かも。嬉しいようで寂しいようでがミックスされた複雑な大人の気持ちがある。

 

 10年後の世界では陽介が正式に養子縁組の届け出をしてヒナと親子になろうと挑戦している。でもヒナはずっと断ります。 

 その理由には乙女の事情しか入っていない。陽介の事が好きだから娘になったら恋する女子としての青春が全て終わる。もう納得しかない理由で娘になるのを嫌がっていた。これは導入から面白いことになりそうだ。

 

 グランドエンドとなるこのルートでやることは、それまで娘として育てて来た子をお嫁さんにしてしまうこと。

 聞けばすごい内容だけど、親子愛が対等な男女愛へと変わっていく様をゆっくり描いていて、荒唐無稽感のない美しい内容になっていた。

 そのゴールにたどり着くまでに陽介がしっかり青春している、そして人生しているって分かる所が良い。娘を愛し、仕事を頑張る。ヒナと実母の和解に奔走し、10年前にはノックアウトされた黒井さんを今度は倒すなど、とにかく頑張ってサクセスライフしていた。応援したくなる男子でした。

 

 うちのお兄ちゃんが「コレどういうゲームなの?」と聞いてくるので、上記の内容を話すと「なんちゅうもんやってんだ?そんなゲームがあんのか!」と驚いていた。まぁなかなか例を見ない男女の物語ではあると思うけど。

 

 ヒナが幼少期からずっと育てて来た陽介への好きの想いがあり、陽介もいつまでも娘はチビでなく心身共にしっかり女だと認識するようになる。ここに対等な男女のラブが生まれるのである。これは時間を待つことで自然とそうなるっちゃなること。

 ヒナが布料の少ない水着を一日中着て家で過ごすシナリオが目の保養になった。水着でぷよぷよ的ゲームを始めるから、揺れる胸に目が行って陽介は集中できずに負けてしまうのだ。分かる。楽しそう。

 

 親子として夏祭りに参加した流れで二人がマウストゥマウスでキッスをしてしまう。ここから本格的に運命の輪が速度を上げて回り出したぞ。ワクワクする。

 娘にキッスしてしまった事をヤバいと思って10年後のルカちゃんに相談したらぶん投げられるところは面白い。でもこれはすごいやりきれない心理での相談になるからすごいシーンでもあるなぁ。確かに友人からこの相談をされたら逃げたくなる。ルカも個人で解決に持って行くにはキャパオーバーなすごい案件だからってことで一旦は逃げます。

 10年後のルカはショートカットになってイメージが変わっている。おっぱいは相変わらず元気。

 

 陽介とヒナが複雑なことになっている中で次の厄介が「陽介と月子ちゃんのお見合い事件」。これはビックリっす。

 陽介としては不意打ちのビックリ、ヒナちゃんとしては愛しの陽介くんが持っていかれることから気が気でない。こいつは面白いことになったじゃねぇか。意外な展開です。

 

 お見合いのやるやらないってのも案外会社付き合いが関わってくることだからな。働き口の人間や神父との付き合いのから、断れない提案として陽介くんはそれまで考えもしなかった婚活モードに強制移行することになります。

 ここで映画「ゴッドファーザー」で学んだ「大人はここ一番で断れない提案をもって来がち」の心得を思い出した。私もNOと言えない世界を作る特訓を受けてきたので、ああいうのが結構得意です。

 

 割りとターンを溜めて10年後の月子ちゃんが遂に登場。えぇ女になってるやんけ。これはヒナちゃんに悪すぎるけど、ワンチャン結婚ルートもありかなって思った。

 月子ちゃんと結婚すればヒナは二人の娘になる。この事をリアルに考える陽介とヒナちゃん、双方結構複雑っす。

 陽介は図らずも比較的若手時代から月子ちゃんの好感度を取っている。月子ちゃんも冗談テンションは2割に足らないくらいで、残りの心ではお見合いやデートに対して積極的態度に出ている。コレはドキるぞぉ~。

 

 月子ちゃんといえばいつも「てぇへんだ!てぇへんだ!」のテンションで元気に結構うるさい。そんなお子様時代を送っていた。でも10年経って素敵なレディになれば喋りのボリュームもトーンも下がっている。これが大人になるに向けて望ましい変化。私は今でも結構うるさいって言われることがあったりなかったりでムラがあるかも。

 そんな時間経過のことも反映して、月子ちゃんの芝居をちょっと変えて来ている。役者の味が出ています。

 

 月子ちゃんも本来は惜しい所まで行っていたヒロインだったのか。まぁこれは彼女自身も言っちゃってるけど、今回の場合はヒナと陽介の心をしっかり接近させるための噛ませ犬ポジになってしまっている。

 オリジナル版を遊んだ月子ファンはこのポジに憤慨し、手が届くと思ったらそうではないお預けを食らって精神的ダメージを食らったのかもしれない。その救済としてPSP版では攻略ルートが開かれてよかったね。月子ちゃんも周囲をよく見てベストな立ち回りを選べるええ娘じゃないか。

 

 ヒナの学校の同級生にちーこちゃんこと市子ちゃんという可愛いけど結構変わった子がいる。ちーこちゃんにはエア彼氏がいて、そいつとは恋人の行為はだいたい済ませているらしい。ヤベェ、面白いヤツいた。

 陽介の見合話を受けてヒナとちーこちゃんが面白い事を喋っている。陽介は自分の養育のために人より自由時間が少なく、そのため恋愛経験がない。つまり童貞ではないのか。女子高生2人でそんな事を話していました。

 父が童貞のままなのは自分のために時間を使ったから。そう思うとさすがに少しはシュンとするヒナちゃんなのであった。コレ、自分のいないところでされたら男子としては何か漠然と嫌な話題になるんじゃないかな。

 後に実際に陽介くんにホントのところを聞きに行くターンもあり。学生時代は真面目に学問に打ち込み、以後は仕事と家庭作りに従事した10年後の陽介くんはちゃんと童貞でした。拍手です。他のルートを取れば物語スタートから1ヶ月以内に良い想いが出来るのに。

 

 中盤くらいで出て来た童貞問題のやり取りが落ちで良いスパイスになってくる。

 陽介の恋愛的自由を解放したい想いやその他にも色々あってヒナは陽介を父と認めて一旦は「お父さん」呼びになります。ここはやっと娘に認められた陽介くんの気持ちを考えて感動する要素もあった。でもその後には親子になったことが厄介のトリガーにもなるのだけど。

 一度は提出した養子縁組の届けを最後には撤回することになる。撤回の時間を待つために届けを役所に提出していなかった神父の采配がナイス。すぐに提出していたらクソ面倒なことになったはず。

 最終的には養子縁組届けをポイして結婚契約の出番がやって来ます。

 夫婦になったらもういつまでも童貞のままではいられない。陽介くんは大事な童貞を捧げる誓いも行います。ちょっと笑えるけど彼の人生を思えばそれが言えるようになったことに感動もする。

 ここでのヒナちゃんの発言が面白い。陽介は童貞を捧げる相手を自分で育てたことにもなる的な事を思いついて口にしたのだ。その過程には真実の愛が伴っていたとヒナは自覚しているけど、そこの事情だけ口にすると客観的にヤベェ。陽介もヒナも揃って気づいて何か面白い空気になっていた。考えてみればすごいことだ。

 結果だけ聞けば「痴人の愛」の当初の目的みたいなものが見えてくる。娘から嫁に転身したヒロインもそうそういるものじゃないな。

 

 陽介がプロポーズを決めるところでは、10年ぶりにヒナがまた教会のてっぺんから落ちる。登った事情は分かったけどまた何やってんねん。死んでも不思議無い事件2発目である。

 しかし死にかけた状態から帰還して決めたここのプロポーズシーンは良かった。受け取ったヒナの反応に純とした。萌えたわ。

 

 最後は10年眠っていた教会が再就職して本来の仕事の結婚式場として可動します。ヤツの復活にも感動。金剛石が友情と金を手配してなんとかしてくれました。ちーこちゃんが金剛石と会った時に「おっぱいがすごい」と指摘したのはとても素直で良かったです。

 

 ヒナの幼少期ルート終わりには、詠が本来の姿であるネコに戻ってしまう。世界は自動的に帳尻合わせを行い詠はいたようで、一方ではしっかりいなかった世界線に変わっていく。

 黒猫のヨミとなった状態で、彼女はずっとヒナと陽介の傍にいてくれます。10年後ルートでは終始ネコとして物語に参加するヨミの存在も忘れられない。

 人として一緒に歩めなくても愛した友のことはしっかり見守りたい。そんなヨミの愛にも感動します。人間の詠として陽介とお別れするひまわり畑でのシーンは忘れられない。あそこのイラストは美しかった。

 

 ヨミが道案内してヒナの結婚式に母親を連れてきてくれるのは良きアシストでした。ネコの愛に感動した。

 それと詠ルートで詠が着た海の家のメイド服を、ヒナルートだとヒナもちゃんと着てくれるのも嬉しかった。めちゃ可愛いっす。

 

 親子の時間を経て恋人になる変化球なルートを辿ったヒナと陽介だが、その愛はよその家庭にあるものと変わらない。生まれて育って形を成す愛の過程には自然性と説得性があった。

 娘をお嫁さんにしちゃったと人伝に聞けば、ロリコン変態紳士の鑑なのかと不名誉な評価と称号をもらいそうなものだが、そういう下卑たものではない。二人の愛が育つ過程はじっくりしっかり描かれている。その末に迎えた結婚式には感動しちゃう。

 あのチビスケだったヒナが純白のドレスをまとって教会にいる。そのことに感動する。

 かつてのチビスケが今日にはとんでもなく美しい。多くいる哺乳類の中でも人間のメス程変化を見ていて楽しいものはない。そのくらい劇的に良くなってきます。

 

 ヒナが陽介にフォーリンラブしたきっかけは、幼少期に教会の鐘つき堂から落っこちた時に助けてくれた勇姿を見てのこと。10年後でも同じ事件が起きて助けられ、その時には嫁になっても良いとプロポーズに答えます。

 連続して危険の後に大事な心を決めている。これを見たルカが、それって吊り橋効果の勢いじゃない?その勢いで結婚でいいの?と愛の真意について最終確認をしてくる。この会話にルカのインテリジェンスの高さと結構なユニーク性を感じた。好きなやり取りでした。

 

 当初大学生だった陽介の10年後となればだいたい30前後の年齢になっているはず。ヒナは高校生で結婚可能な年齢になってすぐのはず。だいたい15歳くらいの年齢差がある。

 片方がまだ学生だから年齢差が目立ってくるが、大人の結婚なら15くらいの差なんてまぁ普通で行ける。ぜんぜんアリな年の差婚だと想います。

 そういえば、まだ共通ルート内の序盤展開で「陽介はロリコンなのでは?」と神父&ヒロインズに問い詰められるシーンがあった。あれもある種伏線だったのか、ゴールとしてはロリに行ったよな。結婚後、鉄人神父にやっぱり「陽介はロリコン」という自分の見解は間違っていなかったとかわかわれていた。面白い神父様。

 

 結婚式後に金剛石がイギリスに出発し、皆がそれを見送る。あそこも心温まる良きシーンだった。

 変わっていくものと変わらないものがあるのを描くのも作品テーマ。ネコのヨミも含めた聖歌隊元メンバーが集まって別れの時を惜しむ様に胸がキュンとなった。

 金剛石がまた「希望」と書かれたバス停を引っ張り出すガッツを見せたのにほっこりする。行動力のあるお嬢様だな。

 希望の地に全員が再集結してまた散っていく。離れ離れでも友情はフォーエバーだと言ったここもヒナルートの良さでした。

 

 エンディングでは結婚後の二人のラブラブなシーンも描かれる。これは見ていてニヤけるイチャつきよう。

 最後には娘と息子を得て4人家族になって幸せそうでした。落ちがハッピー過ぎてキュンキュンした。恋人のラブを描くのはコンテンツとして当然だが、こちらのルートでは家族愛も濃く見えてお得。なによりも感動出来た。ヒナちゃんマジ可愛い。

 

まとめ

 すごく良かった。人間、風景、描くテーマ含めなんて綺麗な作品なんだ。私は綺麗なものが大好きです。

 

 ブスが消滅した田舎暮らしを堪能出来た良き夏となりました。良いゲームに出会えたぜ。攻略対象の5人のギャル達が可愛すぎた。

 仲間も良いし、ギャルも良い、そして家族も最高だ。心温まる要素がたっぷりな良作でした。

 ヒロインや神父の良さにばかり目が行きがちだが、主人公の陽介も実直で愛嬌のある好青年で良い。特にヒナルートを遊べばしっかり良い男だと分かって愛せて来る。主人公の事も好きなれる作品でした。

 

 かなり長いから疲れることもあったが、長いだけにドラマ性としても充実していた。

 夏にやり込む一本としてはとても推せる。

 

 しかしだいたい2ヶ月もかけてやったのがよくなかったかも。ギャルゲーに限らず、テキストで読み進める作品は一気に行ってしまった方が良い。その方が作品世界を理解し没頭出来てより楽しめる。まぁ夏も色々忙しかったからな。この作品は略して「ひまなつ」と呼ばれているが、私の夏に暇はなかった。今だと暇ってどういう感覚なんだろう?って思うくらい日々充実しています。

 

 というわけで夏はギャルと戯れるのがグッドだぜ!

 

 

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