こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

終わる終わる詐欺の向こう側に見た最高の景色 「進撃の巨人」遂に最終回を迎える

 11月4日。遂にアニメ「進撃の巨人」が終わりました。NHKにて無事最終回放送が叶った。

 

 思えば長いものであしかけ10年の放送でやっとオチまで来た。

 ハンジさんの青春が燃え尽きた前回放送をやったのが今年の春くらいだったか。あそこからでも結構待ったが、トータルだと10年だからな。長いようで短いようでよく分からない感覚にもなって来る。私もそこそこに生きたってことだな。

 

 放送開始した10年前からも世の話題を持っていくコンテンツだったと思い出す。アニメも主題歌もヒットして紅白にまで来るコンテンツになったのは素晴らしい。

 

 そんな大いなる歴史にも遂にピリオドである。これは感慨深い。視聴後にはさすがに感じ入るものがあった。そんな都合抜きにしても私という人間は感じやすいお年頃、そして体質。

 

 5日の朝に起きると大量に録画していた深夜アニメ郡を先に全部片付ける。

 夜は寝ないとマジで無理な人間なのでリアタイは無理でした。そこそこ生きて来たけど徹夜をしたことがない。そのレベルで太陽が沈んだらもう眠いし昇ったらマジで起き上がりたい。体内時計が原子的なのだ。

 どんだけやってるの?バカなの?ってレベルで寝た後に放送した分が多い。マジでもっと数を絞れっての。で、微妙なクオリティーの深夜アニメ郡を全部片付けた最後に進撃の巨人最終回の録画分を見た。するとびっくりだ。先に間抜けな異世界アニメなんかを見てこっちを見ると、同じ絵が動くコンテンツでも色々違いすぎる。

 

 マジですごい力が入っている。作画がヤバい。

 もうね、ここまでの物を見せられるとシナリオの理解なんてのはとりあえず置いといて、熱の入った作画の仕上がりだけを見ても感動出来る。

 ぶっちゃけシナリオは難解。その上放送が飛び飛びなので記憶の欠けも少々あり。その都合から更に完全なる理解が難しい。しかし今回に限っては理解が追いつかんでも作品の持つ雰囲気と美麗な作画の力で何かすごいものを見せられたことはしっかり理解できる。結果満足である。

 NHK、よく頑張った。受信料の正しい使い方だよ。ていうかNHKが無くなる前に最終回まで漕ぎ着けれて良かった。

 

 思えばこっちの歴史も長いのが、銀魂以外で終わる終わる詐欺をかまして色々と信用を落としたこと。終わる終わる詐欺アゲインの件からもすっかり長い。

 ファイナルシーズンと銘打った物の放送開始が一体いつの事だったろうか。ファイナルシーズンに入ってからも早幾年だな。

 地震か何かで急に放送がストップし、焚き火映像が流れてシュール且つ間抜けな感じになったのも今となっては懐かしい。そんなこともあったなぁ~。

 まぁ原作漫画を知っている者なら1クールで終わるわけないって最初から分かっていたのだろうけど、こっちは原作手つかずだからファイナルって言われたらそれで終わると思うじゃん。かなり心を準備して臨んだら全然終わっていないから「なんじゃそりゃ!」ってなったのも今となっては笑い話になった。当時は「終わる終わる詐欺やんけ!」って怒ったものだ。銀魂以外でそれやったら怒られるって。

 

 ファイナルシーズンの1とか2とかの数字を後付てもっと細かく絞ったあれは悪手だったろうに。本当のファイナル以外は普通に数字を振ってシリーズを続けていけば良かったのに。シーズンの組み方にはやっぱりツッコミが鳴り止まない作品だったな。

 

 まぁそれもマジで終わったとなるとおつかれ。そしてありがとうと言いたい。

 

 ではでは本編の感想を書き殴り残しておきたい。

 最終回は1時間20分の枠で組まれた。これは長いぞ。集中力が続く状態を作って臨まないと。コーヒーを用意してゆっくり観賞しました。

 普段はコレ1作に全集中が勿体ないクソアニメを見ることが多いものだから、ながらでアニメを見ることもしばしばある。しかし今回は最後までながら作業無しでコレ1本に集中した。最後と思うと緊張もした。

 

 開始2分くらいのところからめっちゃバトルしているからすごい。ファイナルもファイナルだからこの放送回は最初からマジファイナルだった。何回もファイナル言いたくなる感想。

 これまで終わる終わる詐欺と言われた汚名を根こそぎ返上するかの勢いで怒涛のバトルラッシュになっていた。これは楽しい。激しすぎる。

 

 エレンの首を取るために、かつての仲間も敵も含めた総員が全部を出し切ってマジバトルしている。熱がすごい。

 主人公のエレンが喋るターンが長いことやってこず、他の人間、巨人含めた戦士達サイドで大捕物が進行する。

 

 すごすぎる。次々と量産される白い巨人郡にこっちは限られた戦力で挑む。逃げ回るオカピの巨獣を討つところはモンハン気分だった。ここでオカピっていきなりワイルド。

 相変わらず巨人のデザインがキモグロい。久しぶりに見てもショッキングな見てくれをしている。今更だけど作風、絵面含めてこんなものを教育テレビで流しているのがなんかすごい。でも今回は人類の起こす争いの源とその根絶に触れているのでしっかり教養があります。

 

 各員に見どころがあったな。 

 色々と揉めたジャンとライナが互いの命を助け合いソウルで語り合っているのはなんか良い感じ。これも戦場の愛。

 リヴァイもすっかりと悲しみを背負う戦士で顔がめちゃ疲れている。アルミンに未来を託したことで、かつての仲間のエルヴィンの死を受け入れた過去について後悔はないと言及していたところは良かった。すごく覚悟を決めている出来る男だ。

 ミカサやアルミンは激情を迸らせて全力で人生していた。エレンを愛した幼馴染の2人の想いがよく見える。見えるだけにすごくキツイ。

 それと私はピークさんが好き。作中では一位くらいに女を感じるキャラな気がする。

 

 登場キャラも思っていたし言ってることだけど、これを見ると改めて「なんでこんなことになったの?」思ってしまう。本当に悲しい。

 エレンも他の戦士達にもとにかく悲哀が見える。各員が持つ悲哀が折り重なっての闇のミルフィーユ現象が見えた。可哀想そうになる。 

 かつての仲間達が涙ながらに殺すしかないと受け入れるところなんて悲しすぎる。

 

 こうして長期に渡って葛藤、屈託の中にあればストレス疲れで心身ともに老けもするわな。幼少期のエレン達が映るシーンもあったが、若い時と比べると今がすごい老けて見える。当初童顔だったアルミンすらおっさんになったなと思える。ミカサも昔はもっとスッキリした美少女だったのに、今では影差す疲れた女になっちまってとたくさん悲しくなる。

 

 エレンプロデュースの地ならしも酷くて大地の端に追いやられた人類は海にドボンで死す。あのシーンはエグい。人類の8割を消す計算で作業を進めている。ヤバいなぁ。

 

 最後はアルミンとミカサの幼馴染が大仕事を持って行く。巨人化したアルミンとエレンが殴るわ殴るわの大殴り合いを展開させた。愛した友の拳程食らって痛いものはない。私も見ていて打撃を食らったかのように胸が痛かったぜ。

 

 ミカサもしっかり主役だから騒動のオチを持っていった。ミカサの涙を見たくない。でも泣く未来しか来なかったから水分尽きるまで泣いてもらうしかない。

 巨人の口に潜り込むという危ないことをしてエレンに最も近づき、そして首ちょんぱを決める。兄弟のように育って来た幼馴染で愛した男でもあるエレンの首を落とすなんて形容し難いすごい想いがあったのだと思う。

 

 エレンの首を抱いて佇むミカサ。悲哀マックスのシーンだな。シーズン2で「マフラーを巻いてくれてありがとう」と告白したミカサの幸せそうな顔がなんでこうなるかな。愛した男の首を抱いてのオチなんてまるでスクールデイズみたい。なんでこうなった。

 

 ファイナルに入ってからガンダムみたく精神世界でキャラ同士が対話することが多くなった。これも巨人の意志がそうさせる。

 その中でエレンとアルミンが語る内容に友人ならではの気安さを見た。同時にその関係性だからの悲しみもしっかりあった。

 ミカサの切ないまでに一途な恋心の行方はどうしてくれる?のアルミンの問いはきっとエレンのハートにズドンと重く刺さったはず。

 もうここまで来るとエレンは何も隠すことなく全部話す。自分と歩む未来は断たれたけど、その後ミカサが他の男とくっつくのは辛い。10年くらいは自分を想って過去を引き摺って欲しい。そんな正直な男心を語っていた。これを格好悪いとだけ捉えるのも酷いような。実際のところ、女を残してこの世を去る男の最後の想いはこんなものなのかもしれない。

 エレンとアルミンの絡みも尊いよな。絶望と悲しみばかりの最終章の中では比較的和むシーンだった。

 それと男女関係の話題といえば、ヒストリアから来た手紙の香りや綺麗な字を見て静かなる興奮を湧き上がらせているライナが面白かった。スマートに男前の芝居を多くやってきた細谷佳正の持つありったけのキモさが詰まった演技がここにある。終盤にライナが見せたなんとか許せる範囲の変態感が笑い要素になって助かった。

 

 何でこうなった?についての考察をエレンがアルミンに語るシーンがある。

 渦中の人物であるエレンが行き着いた答えが「バカだったから」というシンプルなものだったのは印象に残る。

 たくさん考察した着陸点にしては随分手前な思考な気もするが、それだけ人ってのは暴走しがちな生き物であり、すぐ目の前にある重要な事を見落としがちってことなのかもしれない。

 全て争いの要因は「バカだったから」に帰結する。バカみたいなアンサーだが、そんなバカバカしい答えこそ世の真実なのかもしれない。簡単なようで深いエレンの考察だった。

 しかしなんだかんだ当初の目的であり彼の決めセリフでもあった巨人を「駆逐してやる!」は完遂されたのだ。自分も含めて全消しが叶った。なんて皮肉で悲しいオチだろうか。

 

 全てが終わった時の一行の反応が悲しかったり喜ばしかったりで複雑だなぁ。

 ガビとファルコが抱き合うところはなんか良かった。ファイナルに入ってからのガビの暴走はかなり濃く記憶に残る。中身があやねるだからまぁいいかだけど普通に嫌いって言うリスナーもいそう。

 同期が全滅して1人残ったリヴァイの目には散っていった仲間が見えていた。悲しみがいっぱいの過去を見てのことだろうから胸が傷んだ。仲間に向けての心臓を捧げるポーズを久しぶりに見て震えたぜ。

 ジャンとコニーには笑顔のサシャが見えていたのも泣ける。サシャは良いやつだったなぁ。ここにいて欲しかった。演じた小林ゆうにもありがとうを言いたい。

 最終戦にアニが駆けつけたのも良かった。クール美女で結構好きだったんだよな。

 

 戦闘が終わった後のミカサとエレンだけの時間が切ない。綺麗な丘にエレンを埋葬した後のミカサの未亡人感が悲しい。

 色々あったけど最後に残ったミカサの想いが再び「マフラーを巻いてくれてありがとう」だったところが一番泣けたわ。この2人には幸せになって欲しかったのになぁ。それでも「ありがとう」で締めれた関係なら、せめて地獄で仏に出会えて良かったと思える。

 鳥がミカサのマフラを掴んで巻いてあげているみたいなところにハッとするものがあった。あのシーンが綺麗で感動。鳥がめちゃ良い仕事をする。

 この冬はマフラー女を見る度にミカサを思い出して泣いしちゃうかも。だって水分が多いお年頃なんですもの。

 

 巨人などいなくても宿命として人類は人類同士で争うし、それは今後も続く。そんなキツイリアルも突きつける最後までハードな内容だったな。

 昨今の山も谷もないずっと平原の中身スッカスカアニメで慣れたところにコレを持ってこられたら心にズドンと食らっちまう。

 

 しかしこのオチ、とにかく心落ち着かず、すごく心揺さぶられるものがあった。決してハッピーエンドではない。救いが少ないが、希望がゼロでもない。なんとも言えない想いで見送るしかない近年稀に見る心に「刻む」ものがあるエンドだった。色んなことを感じてしまう。

 

 いや~すごかった。あっぱれ拍手タイムだわ。梶くんを胴上げしたい。役者 梶裕貴としてはここがベストワークスじゃないかな。最初から出ていたなら石川由依とかもそうだけど、10年かけて終わった仕事について皆さん何を思うのだろうか。これの放送を見て美味い酒でも鮭でも味わってくれていると良い。

 

 とにかく見事に落としたからもう詐欺行為なんてどこにもない。終わる終わる詐欺も越えて、進撃の巨人はお釣りも出るくらいの大いなる遺産を我々の心に残してくれた。私は感動した。むしろちょっとのことで詐欺詐欺言わず大人しく待って見てろよと昔の自分に言ってやりたい。数年前は詐欺詐欺と騒いでごめん。そしてたくさんありがとう。

 10年間おつかれっした。出て来た声優の方々も好きな人ばかりでお耳が心地よかったです。スタッフの皆さんもおつかれ。最高の映像を届けてくれてありがとう。ジャパニメーションを背負うのはお前達だ。

 これの前に見た録画分が例のポーションのアニメだったので、落差がすごすぎて同じ日本作品かよって笑えて来た。まぁどっちも好きっちゃ好きなんだけどね。

 

 私も日々邁進していこう。その調子で未来に向かって進撃だ。22世紀まで残そう、我々が愛した巨人アニメを。ジャパニメーション先導者の私は「進撃の巨人」を誇りに思って推し上げます。捧げた心臓は輝いています。心からありがとう。

 ミカサが好きです。女子よ、大志を抱いたなら好きな男にマフラーを巻いてもらえ。

 

 ではおやすみ。にしてもこのテンションで感想を書くと血圧が上がるわ。

 

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