こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

最強リーダーシップ「世紀末リーダー伝たけし!」

「世紀末リーダー伝たけし!」は、島袋光年(通称しまぶー)による傑作ギャグ漫画。

 

 連載は1997年から少年ジャンプにて開始。その後順調に5年くらい連載されたが色々あって一旦中断。2005年からスーパージャンプで連載が再開され同年内に完全完結した。

 

 これはうちのお兄ちゃんが読んでいました。ジャンプコミック版は連載中断から未完のままリリースが終わってしまった。それからしばらくして完全版ってことで最終話まで収録したワイド版が全13巻でリリースした。そっちを私の小遣いで購入したんだよな。背表紙の絵が繋がっていて、全巻並べるとドラゴンボールの漫画みたいに素敵絵巻になる。あの全部並べて一つの横長画像になる仕掛けってドラゴンボールが初なのかな。コレクション意欲が上がるよね。

 

 というわけで世紀末に誕生した漫画を新世紀入りしてそろそろ四半世紀が過ぎようかって時に読んでみた。良い具合に寝かせての乙な楽しみ方。

 しかし四半世紀とはすごいなぁ、たけしってそんなに前なのか。多分NARUTOONE PIECEとも近い時期に始まったんじゃないかな。

 

世紀末リーダー伝たけし! 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 久しぶりに読んでもやっぱり良いな。世界観が良いし、ギャグもくそしょうもないものが多いが、それがまた一周して良いセンスだな。しまぶーは良いギャグセンスを持っている。

 

 これを最初に手に取った時には驚いたものだ。なぜってジャンプヒーローにしては恐ろしくブサイクな主人公を持ってきたから。たけしの顔、マジでヤバい。

 同時期にジャンプを盛り上げていたはずのマキバオーもブサイクだらけのギャグノリだったな。あちらとはまた異なるブサイク要素がある。

 公式もたけしのブサイクさは認めているようで、本編にはブサイクしか罹らない病気を扱ったネタ回もあった。ヤバいって。笑う。私はブサイクでなくて良かった。親の遺伝子と己の努力を称えたい。

 

 たけしは生まれた段階で濃いひげが生えていて、すぐに歩き始める。車に引かれても死ななくてめちゃ丈夫で筋肉ももりもりで強い。見た目も中身もキャラが濃かった。

 先にドラゴンボール幽遊白書北斗の拳など同じくジャンプ漫画を楽しんだ後に見るとヤバい。同じジャンプ主人公でも諸々物が違う。

 たけしの見た目が絶対におっさんなのに、設定では7歳でちゃんと小学校に行っているってのもヤバい。絶対ネタじゃん。これでまだ一桁年代とか笑う。

 歯もすきっ歯で、これから生えるのでなく永久歯の状態であれらしい。おっさん極まり過ぎている。小学1年生のキャラだけど、読む時にはCV:梁田清之で想像して読んでいた。見た目にゴリっぽい感じもあるしな。

 

 たけしはテレビアニメになっていないんだよな。面白かったからそういう話が一回くらいは来なかったのかな。

 ギャグとバトルで子供受けすると思う。一応スペシャルビデオってことで1話分アニメがある。そちらではたけしの声がチョーだったのは超面白い。

 たけしが生まれた時、立ち会ったナースが、あの顔はセクハラだったと言ったとあるから、お茶の間に受けない顔と判断されたのか。やはり綺麗な主人公の方がテレビで流しやすいようだ。

 そういや私の学校の同級生に、登場キャラのたけし、ゴン蔵、それぞれに似ているヤツがいたなぁ。愛嬌はあるけど決して綺麗系ではない顔立ちのフレンズ達だった。

 

 たけしの作品ジャンルは基本的にギャグ。マジでしょうもないギャグから始まるが、時にはシリーズを組んでの硬派はバトルものもあり。また時には人情に訴えかける教養ありなハートフルドラマもある。

 作家のしまぶーは、自身をもキャラ化させて漫画にツッコんでくる。キャラクターのゴン蔵からは、ポッと出漫画家と言われているがホントその通り。でも人間性が豊かなんだろうな。バカなノリも一級品だが、心暖まる話もなかなかクオリティが高い。

 時に作中作として、教養ある絵本の中の物語が展開するが、それがなかなか良い話で結構泣けたりもする。

 たまに開かれるヒゲリンピックなどのアホな大会系の話も印象的。色んな大会があり、それぞれに変なネタキャラが実況ゲストで来るのも定番ネタだった。

 

 今思えばこれの後に出てくる「銀魂」と同じようなノリとテンションで構成されたものだったな。おふざけ、バトル、シリアス、ハートフル、それぞれを織り交ぜての展開は両作で共通している。だから銀魂もハマって漫画を読んでいたな~。

 

 マミーファミリー編、ガッツ島編、魔界編、バーバリアン編のバトルメインのシリーズ展開も面白かった。

 マミー編を読んだ時には、ちゃんとワクワクする少年漫画なノリのバトルものが描けるんじゃないかと作品への評価が変わったなぁ。 

 

 マミーファミリーは奥まった不良抗争のような展開ですごく面白かった。ここはページをめくる手が速くなる。不良を相手にリーダー連合が血飛沫上がりまくりな大合戦を繰り広げているのだが、これに関わっている連中のほとんどが小中学生ってのが信じられん。

 まず主人公のたけしがそうだが、他のキャラも小学生には見えず、ボンチューやマミーなんか20代のお兄さんに見えるのに小学生設定だからありえん。トニーの生い立ちなんか小学生が背負うには重すぎ濃すぎる内容で現実感が飛ぶ。年齢設定がめちゃくちゃなのもまぁ良し。

 

 マミーは好きなキャラだったな。イケメンのヒールキャラだった。ボンチュー、トニーとも最初は敵対しているけど、死線をくぐり抜けていつしか仲間になっている流れが良い。敵対しても次のシリーズでは仲間ってドラゴンボールはじめ、他の少年漫画でも見られる熱い展開だよな。

 

 やはりしまぶーはブサイクを描くのに長けているため、恐ろしくブサイクだなと思えるインパクトを残すキャラが結構多い。それはたけしだけでは終わらない。

 たけし、ゴン蔵、キムモーあたりなんて可愛いもので、ネタキャラとして出てくるキャプテン・ジョリー、サンタのおっちゃん、ロッキー&ロバートなんてヤバいブサイクさだった。

 でも不快でなく好きなブサイク顔なんだよな。サンタのおっちゃんなんて妙にリアルで、そこらの河川敷にいるおっさんみたいな感じがするんだよな。

 キャプテン・ジョリーのキャラ性がしょうもなさすぎて好きだった。

 ギャグ漫画の顔としか思えないようなブサイクばかり多く出てくるのが、ボンチュー、マミー、トニーあたりのスタイルの良いイケメンも描けるんだよな。ブスキャラとイケメンキャラの差も激しい。やっぱりイケメンも何人かはいた方が良い。ボンチューはたけしの後に描いた作品の「トリコ」に似ているかも。

 

 ガッツ島、魔界の普段とは全然違う舞台に移る冒険展開も少年漫画らしいノリで良かった。魔界編で出てくる敵のオレンジは、HUNTER×HUNTERの彼に絶対似ているんだよな。すぐに気づいたし。

 魔界編では、作中屈指のお色気シーンとなったボンチューがパープルのおっぱいを揉むシーンがあった。あれはちょっと良かった。ちょっとのお色気はアレば邪魔にならない良きものだ。それも少年の人生のお供。

 

 普段のギャグのターンが嘘なくらいバトル展開では敵の凶悪さ、残虐さ、そしてグロさが見える。その辺のギャップが良い。

 結構過激な暴力シーンもあり。しまぶーがこのチャンネルでも物を描けるのは意外だった。

 グロでいうと、ガッツ島の化け物なんかがそうだ。意外とグロテスクなデザインでキャラを描いているのが印象に残る。その上で凶暴なのもいるから冒険しているスリル感があって楽しかった。

 色んな感性を持っている良い作家ですね。あとガッツ島編の裏ボス的存在の栗本さんというおっさんが面白かった。

 

 ギャグ展開として面白くて腹がよじれる程笑ったのは、ゲーセンで久々のモゲラを倒す所。モグラ叩きマシンからあんな化け物が出てくるとは思わないからマジで笑った。

  キムモーが段ボールで捨て猫でも世話しているのかと思ったら捨てレスラーだったのもクソ笑った。文章で言っても意味が分からないと思うけど、読めば分かる。

 絶対にワンピの影響だろうと思えるキャプテン・ジョリーと海の冒険に出るシリーズも好きだった。このジョリーがクソ面白い。ジョリーのおじいちゃんが死ぬ間際に残した最後の言葉が「おおおお、おっぱい」だったネタにクソ笑った。こんなの当時も今日もしょうもないおっぱいネタだと思うけど、なんで笑えるんだろう?

 ジョリーの名台詞「ぬもんちゅが~」がやけに脳内に残る。響きは良いワードだ。

 ここらあたりが個人的に屈指の笑い所かな。

 

 それと短い登場ですぐに終わる三日月ジュニアのネタも好き。たけしがリーだら病になった時に、病気について図で解説してくれた謎の宇宙人の先生キャラだった。さっき思いついてテキトーに描いたような隙の多いキャラデザが逆に良かった。

 

 一貫して見せる作品テーマが「リーダー」という点に注目したい。リーダー的に大事なことを多く言っている教養のコンテンツである。おバカで下品なネタも多く出てくるのが、根っこにある一番大事に伝えたい要素はコレだ。

 

 たけしは自分がリーダー的存在だと言っている。ついでにゴン蔵はボス的存在とか言って小物感あるキャラ性を貫いてる。ゴンゾウが学校をサボってチャリで世界一周に出て全然周れずに帰って来るバカな設定もツボった。 

  たけしがリーダーらしく振る舞ってリーダーの矜持を見せてくれるところが良い。当初クラスの中でスタンドプレイが目立った天堂くんが、クラスのできないヤツに合わせるのは自分の学びが捗らないので嫌と言えば、たけしは天堂が100歩進むよりクラス全員が一歩前進する方が大事だと説いて集団のリーダーたる威厳を見せた。

 たけし、ふざけた顔して良いこと言ってる。良いことだと思うのだけど、私は他の事などお構いなしに一人で100歩先行するタイプの人間でした。

 

 後半のバーバリアン編の途中で連載が中断となったから、後でこうして全部リリースされて良かった。そのワイド版の方も発刊日を見れば2004、2005年にかけてのリリースになっているから20年も前か。新装版ですら大昔の本だな。

 バーバリアン編もしっかり面白かったぞ。

 

 最近は増えすぎた漫画を売って処分しようと思っているところだ。すぐに店に持ち込めば良いのだろうけど、せっかく買ったものだし、手放す前にもう一度読んでおこうってなるんだよな。手放す最後までケチのマインドが働いている。

 その過程でたけしも久しぶりに読んだわけだ。これがとても面白かった。大変娯楽に富んだ良いものだな。

 

 そういや作中でも新世紀に入ったのにこのタイトルで続けるのか?とネタになっていた。2000年問題がモンスター化して襲ってくるのと戦うなんてネタもあったし。

 そんな新世紀に入ってもこの漫画は良いものだとおすすめしまっす!しまぶーは良くぞこんなに楽しい漫画を21世紀に残した。ギャグネタのノリが好きだったぞ。 

 

 というわけでいつの世も時代はリーダーを必要としている。今の日本にリーダーと呼べる人はいますか?私は知りません。まぁこれからリーダーになろうってやつは教本として手に取るのもありだろう。いや教本はやっぱ無しか。

 

 

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