こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

煩悩の塊「仙人部落」

「仙人部落」は、1963年9月から1964年2月にかけて放送された全23話のテレビアニメ。

 

 めっちゃ古い時代のアニメであり、原作マンガはもっと昔の話になる。日本アニメ黎明期を彩った作品群の一つに部類されるだろう。

 これにおまけしてなんと実写映画も作られている。各種メディアで売り込みをしていたんだな。これの実写がどんな作りなのかそちらもちょっと気になる。

 

 この作品だが、すごい経歴を持っている。漫画の連載期間は非常に長く、1956年から2014年まで続いた。これは日本の漫画作品において最長記録だという。すごい。継続は力でしかない。

 

 そしてアニメの方も輝かしい記録を持っている。それというのが今日でも放送している深夜アニメの第一号ということ。しかも15分枠のショートアニメに部類する。現在はショートアニメも結構増えたものだ。

 

 良作もクソも山ほど生み出した深夜アニメ枠のスタートを飾った日本最古の深夜アニメともなれば尊敬するしかない。

 現在深夜の主流となったなろう系作品郡は仙人部落に頭が上がらないだろう。山ほど尊敬してほしい。ここに深夜アニメの流儀が詰まっている。

 

 色々すごい作品なので触れた方が良かろうと思い、最新の深夜アニメと並行してこちらのDVDも視聴。

 最新の深夜アニメの後に見るとえげつない時代の遡り感で見事なるカルチャーショックの完成だわ。日本のアニメ技術も上がったものだと思える。

 

 古すぎる時代のものゆえ、残念なことに第12話、19話のフィルムは紛失した模様。DVDには2話を欠いた全21話が収録されている。こういう事があると抜け落ちた2話がとても気になる。リアタイ勢しか見れなかった幻の2本の欠損が痛い。

 

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 どこかにあるとされる仙人、または仙女が暮らす部落が物語の舞台となる。

 作風としては仙人だらけでお届けする日常系ギャグアニメ。考え方によってはきらら枠とかの先輩にもなるのかもしれない。いや、やっぱり違うか。

 

 キャラクターに特定の名前設定はなく、老師、兄弟子など階級や役職でそれぞれが呼ばれている。老師の仙人はスケベだけど可愛い。

 男キャラは間抜けでユニークな見た目のヤツが多く、女子キャラの多くは妖艶。仙人部落の女達は巨乳だらけ。作者の趣味かな。女の方がハイスペックな部落である。

 

 絵柄はマイルド。まずは愛らしいと思う。

 そして次にはエロい。そうなのだ、なんと今作は仙人なのにやっている事はスケベなことだらけなのだ。

 

 霞を食って禁欲かつ誠実に生きるのが仙人というのは地上人の思い込みであり、実際の彼らは煩悩の塊。男女共にスケベなヤツばかり。

 徳の高い仙人も所詮は煩悩の生き物。聖人君子のように崇めるのは地上人のファンタジーな思い込みなのかもしれない。とか思わす仙人に失礼な作りのこの作品は一級のファンタジー作品なわけで。というかそもそも仙人ってなんなのだろう。

 ちなみに霞は実際に食っていた。東京上空で取れたものは汚染されて質が悪いと文句を垂れていた。ガンバレ東京。

 

 エロを絡めたギャグ展開が随所に見られる。タイトル名から一見硬派な作風な感じもしたが、中を開けばかなりアホみたいで楽しいアニメだった。

 まず仙人の日常というのが目の付け所として当時は斬新だっただろう。加えて仙人のくせして煩悩すぎるという点で異色な作品だな。この作りは意外。

 

 うん、これはすごく好きな部類だ。

 

 イカすギャグの発想、それを面白く見せる手法は良い。スケベ要素が無かったら子供にも受けると思う。アニメーションとしてセンスが良い。こんな古い時代でもセンスのある発想で面白い技法や演出が出来たことに感心する。

 ファンタジーであることをフルに活かした楽しい演出が好き。一昔前のディズニーの短編アニメやルーニーテューンズ作品、ポパイなどに見られるユニークな演出が見える。かなり柔軟な想像力ありきで生まれる展開だと思う。これは子供心をくすぐるものだろう。

 

 仙人の世界だけど幽霊や雪女などファンタジーな連中もいる。毎度バラエティに富んだネタで攻めてくる。

ヴィーナスの誕生」の美女に恋した若い仙人が絵の世界に潜り込んで彼女に会いに行く物語などは特にファンタジー性があって良い。

 

 これが仙人の日常か?って思えるくらい仙人部落の連中は娯楽に積極的。

 第一話のサブタイトルが「スタミナアンプルの巻」なんていう仙人感ゼロのものだし、「チャールストンの巻」なんて物もある。

 深夜ならではのテンションだからこその「SEXの巻」という回まであった。この回では宇宙人が襲来し、仙人部落に住む者の性欲を取り除いてしまう。ぶっ飛んでアホな事やっている。

 その結果、性欲を欠いた毎日はつまらないということになり、全て元に戻してまたスケベな集落に戻るというものだった。これは生命の答えだと言えよう。

 何この話?となるものが連続して最終回まで進むからどこを見ても面白い。

 

 すごく古いアニメだけど可愛らしく面白くスケベで今見ても普通に面白い。ショート枠の一話完結式ギャグで気楽に見れるのも良い。

 これは最新技術を用い、豪華声優を起用してリメイクして欲しい。もしも今リブートしたら感激してめっちゃ笑えると思う。誰か作ってくれないかな。

 

 深夜アニメの原点に立ち返れて色々と学びになった。やはりアニメは面白い。

 

 

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