「銀河漂流バイファム13」は、1998年3月から10月まで放送された全26話のテレビアニメ。
前作「銀河漂流バイファム」の放送から13年ぶりに始まった新作である。
メインの登場人物は13人の子供達ということで、重要なナンバー13を大事にしている。なのでタイトルにも13とある。
これが1クールものなら話数も全13話で決着だったはずだが、倍の枠を与えられたのでそこは13×2の26話となった。多く見れる分には良い13縛りから外れた26の数字でした。
11人ならぬ13人にいる宇宙旅物語の新作が、13年も経ってまた始まるのは考えてみればすごいことだな。
今やっているアニメなら同時期に50作以上もあるわけだが、それらが13年経ってまた思い返してもらえる物かといえば、きっと多くがそうではない物で終わることだろう。なぜかといえばクソアニメヒット率もかなり高いからだ。昨日見た某新作アニメなど、13年どころか1年と経たず人々に忘れられてしまっているのだろうなぁ~と思える駄目な出来だったし。愛ってのは宿る所がしっかり選ばれるものなんだなぁ。
13年間忘れられずに覚えてもらっていたバイファムという作品は、多くに愛された幸福な作品だと言えよう。
とは言っても時代が変わって作り手の世代も変わった上で出来た新作ともなれば、そりゃ賛否両論で評価が分かれもするものだ。こちらの新作だって当時はあれこれ言われたことだろうと思う。
今回ゆえあって新旧シリーズを連続して見た私としても、2作に見る変化ってのに気づく部分があった。まぁそれも時代の変化ってことで受け入れて楽しく見れたけどね。私は結構寛大で思考も柔軟です。
本作は旧作アニメの続きの物語ではなく、旧作アニメ23話から26話の間に起きた出来事を扱っている。
数話の隙間に26話分の物語があったというなら、えらく削りまくった流れで本編が放送されたように思えちゃうけど、そこは後付けってことで理解してツッコまずにおこう。割と濃い事件が数話の間にも起きていたと分かるものでした。
では時が流れて13年ぶりに始動した新バイファムの感想とかを書いて行こう。
内容
子供達はジェイナス号に乗って親達がいる場所を目指して旅している。
旅の途中、一行はステーション探索中に双子の赤ちゃんを救助する。救助しなければそのまま死んでしまうことから、ジェイナス号に乗せて子供がもっと子供の育児をするサブクエストがスタートする。
ジェイナス号は、民間難民保護組織ラピスとコンタクトする。そこのお姉さんメンバーのホルトさんは、危険な状態の子供達を保護したくて仕方ない様子。だが保護されて施設送りになれば親達に会える手立てがなくなることから、子供達は保護されることを拒否する。
ホルトさんは同僚のルービンさんと共に、とりあえずジェイナスに乗り込んでしばらくの間はお世話をしてくれるのだ。
保護の話が流れてラピスの皆さんとお別れした後、ジェイナスの一行が出会ったのは、ポールじいさん、ディグレーばあさんの夫婦だった。二人は息子に会うため、とある惑星に降り立つ事を目的としている。子供達は夫婦に騙される形で惑星に降り立つ。
降り立ったは良いが、今度は脱出の方法が無くなり、一行は宇宙にいるジェイナスに戻るため奮闘するのである。
今回も事態はてんやわんやであるが、愛と勇気と友情とロボを味方に、13人はこの広大な宇宙冒険を乗り越えるのだった。スコットくんはストレスでハゲないように頑張れ!
感想
ただ自分の親に会いたい。その想いを遂げるためには、複数のサブクエストをこなさないといけないわけだ。パパとママへと続く道がいかに長いかが分かる新作でした。ゆえに、当たり前の事として日々両親におはようとお休みが言える普通の暮らしを愛せ。
今回はロディの声優が変更となり、保志総一朗が新しくロディを演じている。まず思うことが、彼の声が若い若い。それからこんなに昔から業界にいたんだと意外に思った。まだ新人のバッジが外れる前くらいの経歴が浅い時分の芝居だろう。なんかレアいと思って彼の演技を見ていました。
保志総一朗はモビルスーツに乗るよりずっと前からもラウンドバーニアンに乗る役でサンライズロボものに出ていたのか。それも今回の大きな気づき。
実は13人以外にもいた追加メンバーが今回の新要素。一時的なメンバーとなり、最終回にはまた13人に戻って旧作の流れに戻って行くことにある。限定的だが追加メンバーがいたことで、しばしの間だけ賑やかになって良かった。
まずはロディとバースがステーション探索のミッション中に双子の赤ちゃんを拾ってくる。拾わないと飢え死にを待つだけなので、そこは拾ってやることにした。まぁ分かるけど、拾ったからには厄介だぞこりゃ。
ここで問題なのが、赤ちゃんの食事となるミルクがないこと。そこでバースくんが山羊の乳で育ったという己の成長の記憶を辿り、マジもんのヤギをとっ捕まえて来た。割と大胆な行動力。
ダブル赤ちゃんに次いで今回はヤギもジェイナスメンバーとして合流する。ヤギのメリーはジミーくんと気が合い、今作ではジミーとメリーがコンビで出てくることが多い。このコンビの画が新作の中では結構印象的なものとなった。
私はヤギミルク育ちではないし飲んだ記憶もないので、いつかゆっくりと味わってみたいものだ。
基本的に空気を読まないフリーダムなスタイルで生きることから、集団ではノイズになりやすいシャロンが、今回は良いお姉ちゃんな部分を多く見せていて良かった。なんだかんだこういう自由な感じで元気な子は見ていて気持ち良いし好きです。
当初は勝手な奴なのかと思ったが、意外と下の子の面倒見が良く、今回追加された赤ちゃんの世話もよくやっていた。まさかシャロンにママみを覚えるとはな。
中盤で赤ちゃんを親元に返した後には、空になったベビーカーを寂しそうに眺めるシャロンの姿が確認出来た。ああいう所は良いと思います。愛がある良い子だった。
これもギャップ萌えというのだろう。外面が良くても家の中では全然育児のことをしない毒ママもいたりするのだから、育児スキルってのは人目にはすぐに分からないものだ。シャロンは意外と家庭向きで良し。まぁでも面倒がってパンツの履き替えや洗う頻度が人より少ないという点では、シャロンはちょっと不潔だと思うけど。
新作を見てシャロンのことがより好きになりました。ケンツとの喧しいコンビ感も見ていて楽しかった。
赤ちゃんの食い物もそうだし、艦内の温度調整が出来なくてやけに寒いなど、やはりジェイナス内部の生活問題も長旅の中で顕著になって来た。これらの問題がクリア出来ない中での旅となれば最悪死んでしまう。深く考えてみるとかなり怖い問題だった。
赤ちゃんのミルク問題の時に、メンバーの中で一番巨乳のクレアの胸に注目が集まることがあった。旧作では全然そんな感じが見えなかったが、こちらではクレアが巨乳のお姉さんポジになっている。あとはボーイッシュな感じのマキも実はしっかり膨らんでいると分かるシーンがある。
他にはホルテさんがはだけるシーンもありで、今回はお色気要素も前作よりちょっとばかし強まっている。まぁちょっとくらいならそれもアリです。
善意を持って子供達に救いの手を差し伸べるラピスの皆さんも印象的。
ここのエースのホルテさんはキレイなお姉さんでややお色気担当でもあったような。そこと同僚のルービンさんは、宝塚系なイケメンのお姉さんだった。ケンツがルービンさんに懐いているのがなんだか可愛い。
ルービンさんを演じたのが川上とも子だったのも印象的。もっと元気でキャピキャピしたギャルをやるイメージがあるが、こちらではクールで落ち着いたお姉さんの役だった。彼女がこういう女性の役をするのは珍しいかも。お亡くなりになってもう聞けない声だから懐かしく思え、嬉しくもなった。好きな声優でした。
ホルテさんは美人でしっかり者の良いお姉さんではあるのだが、子供達に対する庇護欲がちょっとばかし人並みを越えて強い。時に妄信的に庇護欲を出すこともあったように思える。良い人ではあるのだろうけど、なんか宗教的に難民保護に目覚めてめっちゃグイグイくるのがたまに怖い。
ケイトさんが退場して大人のお姉さんがジェイナスから消えた後に、ラピスから来た二人が一時的にジェイナスの華となって良かった。ガキばかりの世界も楽しいけど、たまには大人のお姉さんがいたって悪くないだろう。
後半はポールのじいさんに騙される形で惑星に降りることになる。まさか旧作数話分のあの期間でよその星に降りていたとは、なんて忙しいやつら。
このじいさんも暴れん坊で困った。ケンツが大きくなったらこんな感じかも。そのケンツとじいさんは気の合う二人だった。
少年のケンツとポールじいさんの嫁のディグレーばあさんを兼役で野沢雅子が演じているのも注目。ガキとばあさんの年齢差が激しい役を一度に演じられるテクはさすがです。今期でもドラゴンボールの新作に悟空役で出ているから、彼女も喉が元気だな。
このエピソードでは、一旦降りたは良いが、今度は宇宙に帰れなくなって困ってしまう事が印象的だった。
作戦を打って敵から宇宙船を奪うのだが、ケンツがバカをやってその宇宙船を壊してしまう。これにシャロンがクソ怒っているのも印象的。まぁ当然の反応だと思う。さすがにいつもうるさいケンツもへこんじまっているから可哀想だけどちょっと面白い。ケンツはやっぱり元気なトラブルメイカーだった。
たまの箸休め回では、ジェイナス内部でお化け騒ぎがあったとか、男女が別れて喧嘩騒ぎになったりと、子供社会ならではの他愛もないイベントが発生していた。こういう方向性の賑やかでお気楽な展開は旧作には無かったかも。結構娯楽性を出して来た新作だったような。
最終回は最終回らしい盛り上がりもなくでフェートアウトだった。これは旧作中盤の流れにここから合流することになることから、特別盛り上がる必要がないことなのでまぁ納得。
新要素が足されてちょっとばかしの作風変更もあったかもしれないが、私としては結構楽しく見れるものだった。13人の子供達のキャラ性も楽しいもので親しみが湧きました。なんにせよ新作でまた彼らに会えて良かった。今となっては青春を共に戦ってきた仲間くらいに思えるぜ。
バイファム、とても楽しい作品でした。見れて良かった。
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