10年くらいに前に「ラノベ四天王」という不毛にして面白い括りがあった。あれはきっちり全部が愛すべきクソアニメでした。思えば私のクソアニメハントの趣味を兼ねた使命もこいつらと出会ったくらいから始まっていたのかもしれない。日本クソアニメの歴史もすっかり長いものとなりました。
そしてこの夏、まるであれの再来かのような新プロジェクトがドカンと爆誕した。おめでとうございます。
それが「週刊ラノベアニメ」という番組。番組内では4作のラノベアニメそれぞれが毎週1話ずつ公開される。放送30分枠の中で4作のラノベアニメを見せるという斬新なスタイルに注目。
1作につきだいたい4、5分くらいで30分を回す形となっている。これがスタイルとしては結構見やすくて良い。4作もあるのになんか全部が一瞬で終わった感じ。ストレスなくサクサク行ける。もう同期の低クオリティ異世界アニメとかも全部この感じで良かったかも。それかそもそも映像化自体を見送るべきなのも少々。
内容的にはそれぞれ小粒も小粒なもので、字に書いたまんま小さな粒のごときちょっとのお楽しみ要素しかない。こういうのも悪くはないかと思います。例えるなら主菜もデザートもまだのお通しの段階だけで終わる感じ×4だから腹二分目くらいで胃もたれがない。腹のまだ足りない部分を補いたいならYouTubeで古いアニメの配信でも見れば八分目まで持っていけます。とまぁなんだかんだ楽しく12週分見れた。私もゴミから神作まで含めたアニメ視聴者としてかなり鍛えられたものだ。
アニメーションに関しては、予算少なめのカクカクしたCGでお届けするというコスパの良い方針を取っていた。と言っても安いだけでそれに見合った価値があったかどうかは個人の感想による。
こんなのも時代的にアリにしていくしかないのかな。改めてよくこんな代物を放送できたものだと思える視覚的クオリティ。
声優に関してだけは、与えられた仕事をしっかりこなせる良い人材で固めていた。絵でダメなら音でなんとかするっきゃない。
ED映像で4作の主人公が集結するのを見れば、狭い世界でもあっても英傑集結感が出ていてちょっといい感じ。
とまぁ区間の短いリレーを全て凡人かそれ以下のタイムでやっていくものだったが、そこそこ楽しめたので良しかな。暇潰しに丁度良いクオリティだと言えるため、そもそも暇していない私には不要なものではある。だが不要なものを敢えて摂取する無駄が出来るのも心身の余裕があってこそ叶うある意味では贅沢なこと。であればそれも悪くない。節約も良いけどたまには贅沢しましょう。
ちなみに全作尻切れトンボ状態で終わっていて「続きはWEBでよろしく!」の絵に描いたぶん投げエンドだった。なので四捨五入するとクソ企画でしたね。でも同級生がクソとかゴミみたいな発表をしているのを眺めるのが別に嫌いじゃない人なので、こいつらとも普通に付き合えました。私も辛抱強いし付き合いが良い。そこは親にも褒められます。
というわけでなんだかんだ楽しんだ「劣化版ラノベ四天王」を振り返って行こう。
Jack the Reaper
今期多めだったタイムリープものの一つ。とにかく「あの頃に戻りたい!」を願うのが現代日本における国民性。今と未来にも生きてみろっての。
今期だと当たり前の時間を当たり前に生きた人間の話の方がレアなくらいだったかも。まぁそのくらいおかしい話も多いのが今のアニメシーンなのよ。そこんところをJack the Reaperしても良いのかもしれない。
記憶喪失な上に殺人者の疑いをかけられてピンチな刑事男が、己の記憶と事件の真相解明のために立ち上がる内容。舞台は終始警察署にセットされている。
これが思った以上に死にゲーで、たった数分しかない放送時間の中でも数回死んでは再スタートしている。死にすぎの命が軽すぎなのはラノベならいつものこと。
もしかして業界最速&最多の死に戻り男の話なのか。かなりのムズゲーに設定されており、随分意地悪思考で作られている。
私なら心が挫けそうだが、それはそれで以降燃えてくるかもしれない。というわけで私と相性が良い設定と世界観だったのかも。
主人公は刑事なのに犯人扱いされて取り調べ室にぶちこまれている。そして記憶がないのでどうしたものか。そこからスタートして事件をなんとかする。スタート地点から高難易度設定だな。
ワンプレイには制限時間があり、一定時間経過するとコナンの犯人みたいな真っ黒人間がやって来てナイフで刺し殺される。これには抗えない強制力があり、絶対に殺される。で、また1からやり直し。
死んで戻ってマジでちょっとずつルート解放していく歯がゆさがなんかおもろい。そこには前情報がなかったら皆揃って即死の昔のムズゲーのような懐かしさがある。スーファミの「アウターワールド」とかがそんな感じだったかも。
登場人物は最初に出会う婦警さん、廊下に出れば難敵のタックル男がいて、こちらに好戦的なライバル刑事もいる。こいつらも基本は敵だからなんとかかわしていくしかない。孤独な謎解き旅です。
最初の婦警さんはちょっと可愛いし、タックル男はネタ要員だろ。タックル男にウケました。謎の黒尽くめナイフ男もヤバいが、タックル男の破壊力も要注意。マリオワールドのブルを思い出すタックルの破壊力。
資料室に行ったら資料が散らかっていて全然整理が出来ていない。これには警察仕事の雑なところが出ていてちょっと笑った。元々時間がない中での情報集めとなるのに、資料整理が出来ていないことで主人公くんがさらにイソイソと忙しくなるのが不憫でした。
そして迎えた最終話なのだが、まだ何もクリア出来ていない。これの落ちはなんなのか。あの黒い殺し屋もなんだったのか。全ては謎の中です。
ばら撒かれた謎にちょっとずつ迫るミステリーをコミカル要素も混ぜつつ見せる物語運び自体は結構好きだったな。落ちは不明なのは気持ちが悪い話だが、そこまでは結構楽しく見れました。
傷心タイムリープ
世間は狭いし、ラノベ界ならもっと狭い。つうわけで4作中2つ目のタイムリープものです。こちらでは女子高生がタイムリープします。
たった4つの中でも要素被りか~。さすが小粒ラノベだ。粒同士の距離感も近いってわけね。
まずはヒロインちゃんがクリスマスに好きな男子に振られます。そして心は傷ついてしまう。そこで振られる前の世界へ向けて謎の時間巻き戻りが始まる。以降は恋愛的戦略を考えて振られないように挑戦していく。
何回も振られて何回も傷心状態になるが、恋する乙女のハートはダイヤモンドのごとく丈夫だから簡単には砕けない。つうわけで頑張れヒロインちゃん!
ヒロインちゃんは悪い子じゃないし普通に可愛い。高柳知葉がこの感じの学生を演じるのは良いな。萌えでした。
恋の相手の和瀬くんなのだが、なんというか人間の感じが弱い。動きの固いCGキャラで見せるこの枠全部の中で見ても特に機械に貼っ付けた顔の感じが強い。イケメン枠なんだけどなんか動きが怖かった。
他の作品が最終回を迎える前からも「あっ、これ絶対放送期間で終わらんやつだろ」という尻切れトンボ感を強く予想させる中(事実それぞれがその通りの最後でした)、こちらではちゃんと振られ回避を達成して好きな人とくっつく完結の兆しが見えていた。
振られない世界線が発見され、これにて傷心によるタイムリープにグッバイで綺麗に締められたものを、最終回のマジでラストに主人公がトラックに轢かれるイベを持ってきて台無しにしやがった。可哀想だろ。もっとも不穏な形を取ってまだ続きがあるみたいな感じになっていた。
話が一段落着いたところでトラックに轢かれてバイバイとか「ミンキーモモ」かよ。令和のミンキーモモ的展開がココに見えました。ミンキーモモは文句なしに名作です。可愛いです。
ファムファタル育成計画
ぽっちゃりおデブくんが主役。
従姉妹の可愛い子ちゃんがクソ男にたぶらかされて傷心状態である。それを許せないおデブくんは復讐を考える。その内容がぶっ飛んでいて笑う。
まず自分が痩せて綺麗になる。そこから女装してクソ男を惚れさせたら手酷く振る。これにて復讐完了。
という途方もなく気の長い変化球復讐劇となる。シンプルにクロスチョップやドロップキックを食らわす脳筋思考の物理攻撃に頼ることなく、随分とテクニカルにしてコミカルなタイパの悪い復讐で行くのだな。
私の人生スタイルではなにをどうやっても思いつくはずがないこの導入には感心した。素直に面白いと思います。まぁネタってはいるけど。
このとんでも展開については、作中の人物もダイエットや女装は一長一短でなんとかなるものでなく時間がかかるものである、すぐになんとかなるとか思うな、舐めんじゃねぇ、と言及している。
だから1クールでなんとかならんだろと思った通り全然話が進んでいない。詳しく言えば進んでいないこともないのだが、明確にゴールが遠いと最初から分かっている中で考えればとにかくゴールまでの道がまだまだ残りすぎているというのは確かな話。
身長170センチで体重95キロある男子高校生とは太っちょだろ。そこから痩せて女装はキツい。
そもそもの設定はコミカルだが、協力してくれる仲間を得てチームとしてダイエット女装計画を進めていく展開にはちょっと真面目な部分もあって結構面白い。
ただ食う量を減らすだけの話でなく、こういうメニューを食ってこういう運動をしてというお利口な理屈もちょこちょこ挟んで復讐計画が進行していく。
痩せるためにランニングをしすぎたらそれはそれで下半身に負担となってかえって良くないというコツも学べた。疲労でひざにダメージが来ることもあるのでやりすぎ注意。こういうのも言われてみれば素人が陥りやすそうなやつだな。常に摂生している私はダイエットを一生行うことがないだろうから関係ない話。
主人公くんがおデブでも明るく元気で可愛いヤツなのは良い。陰気なデブは始末におえないこともないが、まぁ陽気のデブよりはそれが大変にはなってくる。どうせデブなら明るく元気に行こう。
後半では正体が男だけど売れっ子の女子Vチューバーに弟子入して女性らしい発声や仕草を学ぶ。なんかすごいことになっている。これみたいにホロライブとかを見て女子になりきるコツを学んでいるおっさんとかもいるのかな。ホロライブは全部めちゃカワ(めちゃ可愛い)だからな。今日も見よう。
最終回まで見ても結局女装はしなかったな。一応こんな感じになるというイメージはバラしているが、まだまだ遠い。ていうか女装後のCGキャラを用意していなかったのかも。
そもそも太んなってことっすね。最終的な学びがコレ。
マリー・アントワネットに転生したので全力でギロチンを回避します
おい、タイトルぅ!
4つの中で圧倒的に負けタイトルで草。
乙女ゲー的世界に入っていくいつものヤツですね。これが4作の中でテーマ性としては一番凡庸というか、似たやつを見すぎたことでとにかく新鮮さに欠ける。マリー・アントワネットも存命中には未来の世界で自分がこのようなネタにされるとは思いもしなかっただろう。
ていうか前にもギロチンを回避する系のお嬢様のアニメをやってただろ。すみぺ主演のやつ。今調べたら「ティアムーン帝国物語」だった。「すみぺ ギロチン アニメ」で検索したら一発で出てきます。この3ワードでど真ん中ヒットなのには笑う。検索エンジンとギロチンが優秀。
昨今では微妙なアニメで異世界女をやるイメージが強くなってきたファイルーズあいが主役女を演じる。しばしの休業から復帰してもまだ異世界女をやるのね。がんばれファイちゃん!
基本は王子様と仲良くするくらいしかやることがないのだけど、途中から男子アイドルものみたいに歌って踊ってのアイドルをやらせる方針となっていく。
自分がモテる乙女ゲー世界に入っただけでも厚かましいのに、その上アイドル趣味を反映させた出し物を王子様連中にやらせるとは、待ったなしにオタク女の趣味が出ているな。これに関してはやりたいことをやりまくるという清々しさが見えてちょっと面白い。良い根性してますわ。
このベル薔薇みたいな世界観でアイドルをやっているのがちょっとレアは風景でおもろい。
これだけ好き放題オタク趣味を楽しんだのだからギロチンで始末される時には未練もうんと減ったことでしょう。青春の終わりはギロチンと共に。つうわけで今後もギロチンと戦って下さい。
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