こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

世界的セーラーマン「ポパイ」のアニメはマジにすごいと思う

 年末から年明けちょっとくらいにかけて、実はこっそりとポパイのアニメを見ていた。

 

 年末は特番で録画したいものも出てくるし、そうでなくても身辺整理をやらねば!と無駄に意気込む時期じゃないか。そんな都合からBDレコーダーのHDDもしっかりと整理するのだ。

 そうすると、なんといたぞポパイ。かなり奥底の方にデータが眠っていた。10年くらい前にカートゥーンネットワーク でやっていたのを録画した分が残っている。しかも数ヶ月分。

 それをなんとなく1話だけ見たら面白くて残りも全部見てしまった。これがポパイマジック。

 

 このアニメ、マジでめちゃめちゃ古いのだが「古さとは?」という足を引く概念をぶっ飛ばすくらい最新時代の今見ても面白い。毎度クソ笑える。

 

 キャラが活き活きと動いてバカやってる様を描くアニメーションがめちゃ元気だな。CGも無しのこの時代の描き込み、それとアクションシーンに見る躍動感は素晴らしい。

 

 2023年末の同時期にやっていた日本の本放送アニメと比べると、古いのにポパイがすごく輝いて見えた。半世紀以上前のアニメが今のアニメに勝っているくらい勢いがあるのはどういうことだ?

 でもコレってあるんですよね~。技術、人間、金に余裕が出来ても根っこにある作品の質と作家の熱は時を越えて戦えちゃうんだな。だから見た目が綺麗なだけで熱と質がない空っぽのクソアニメが新世紀に入っても量産されているのだ。ていうかさっきも昨日深夜の録画分を見たらそういうのが混ざっていたぞ。

 今のアニメよ、ポパイを見習え!

 

 これくらいの時期だったら数分で終わるミッキーのテレビサイズ短編や、ルーニー・テューンズとかも凄まじく出来が良い。

 この手の作品は、内容こそクソ笑えるセンスの良いおバカギャグになっているが、アニメーションとしての元気な躍動感とソウルがダンチだからな。手抜きが可能な便利な技術、環境でないゆえ一生懸命作っている感がある。そこが良い!

 

 ポパイってのはだいたい毎度バカバカしい喧嘩をして終わるアホい展開が基本だが、それでも諸々含めた「仕上がり」に私は感動した。

 素晴らしく良いじゃないか。これはダビングして下の世代に配りたい。最近は形の無いデータでのやり取りが主流になりつつあるってことから、記録メディアを用いての「ダビング」というワードもあまり言わないし聞かなくなったなぁ~。という気づきもありな今日このごろ。

 

 ポパイといえばアニメよりも先に、ファミコンのローンチタイトルのアイツや、ゲームボーイで出たソフトでコンテンツに触れていた。

 ファミコンのは思った以上に遊べる作りになっていて楽しかったが、ゲームボーイのはショボくてダルいゲームだったと記憶している。多分ゲームボーイ版はクソゲーの仲間入り決定のやつだと思う。

 

 チビの頃にはポパイがプリントされたTシャツを着てそこらを駆け回ったものだ。すぐに襟がビヨンビヨンに伸びたな~。

 それからポパイの腕に見えるマークがなんか良い感じ!と思い、私もお兄ちゃんに頼んで腕に描いてもらったものだ。黒マジックでめちゃ太く描いてもらい、そのまま学校に行ったら先生に普通に叱られた~。

 

 とまぁポパイといえば良い思い出がてんこ盛り!

 

POPEYE: 1960S ANIMATED CLASSICS COLLECTION

 

 ポパイ本編の内容は実に簡単だ。どこのバカでも分かるスマートでストレートな楽しさがある。

 

 まず水夫の青年ポパイがいる。その同僚の巨漢 ブルートがいる。二人はいつも一緒にいるから本当の所では腐れ縁の仲良しのはず。しかし腐れ縁を真に腐らせる洒落にならない案件ってのがある。それは女絡みのやつ。

 やけに細長いノッポなヒロイン オリーブオイルに二人揃ってお熱を上げ、ガチで取り合いを始めるのだ。愛が絡んだ欲望の前では、男の友情なんて脆いものだ。

 

 このオリーブ争奪戦が凄まじくアホくてマジで笑える。

 どの回でも社会常識と物理法則をオール無視して、「女が欲しい」というたった一つの願いのもとで男たちがガチでやりあう。

 マジでバカかこいつら!って大人になる程ツッコミが強くなる内容だな。

 

 すごいな。第3者目線から見ればおっさん二人がおばさん一人をガチで取りあう内容だから、リアルでやっていたらクソ醜い見世物になるんだけど、これがアニメだとめちゃくちゃ面白い。てかこいつら何歳よ?あまりに若手には見えない。

 

 とにかく殴る蹴るの応酬でポパイ、ブルート共に毎週死んでいてもおかしくないレベルですごいのを食らっている。ヤベェだろコレ。

 腕力ならどちらも超人レベルだが、いつも途中まではブルートが優勢で話が進む。そこでポパイがピンチ時のお助けアイテム ほうれん草を食ってパワーアップしてやり返す。これが定番。

 

 きのこを食ったらデカくなり、花を取れば火を出せて、星を取れば無敵になれる。その特徴を持つおっさんといえばマリオだが、先に世に出たポパイも同じように不思議なレベルアップをするんだな。

 

 しかしパワーアップアイテムをほうれん草に設定したのは意外。ちょっと地味。でも私はほうれん草が好きです。とても美味しい!

 ポパだけが特殊体質ってわけでもなく、ほうれん草を食えばオリーブや赤ちゃんのスウィーティー、その他動物なんかでもめちゃくちゃ強くなる。

 

 男二人のバトルの描き方にものすごくセンスがあって、バトルの中でユニークかつおしゃれなギャグ描写が入る。これを考えるセンスが本当にすごいと思う。

 これがアニメでファンタジーだということを完全に逆手に取ったマジでなんでもアリの自由な発想でユニーク描写をするからすごい。清々しくリアルを無視しているアニメオブアニメだな。

 これは間違いなく面白い人間が作った内容だといえる。つまらない人間ならこういう発想は出来ないよな。とにかく見れば分かる演出のユニークさに毎度笑える&感心する。

 

 印象的な回といえば、ポパイのほうれん草パワーアップを封じるために、ブルートが街中に農薬を撒いてほうれん草を絶滅させてしまう回。酷いことを考えるな。

 ポパイは代わりにキャベツやセロリを用意するが、ほうれん草でないとパワーアップは無理。ちなみにポパイの先祖はにんにくの香りでも強くなっていた。私はにんにくも好きだ。

 ほうれん草が無いというピンチ到来。これでは絶対にポパイが負けるというところで画面が引きになり、も~と引きまくって実写シーンに切り替わる。そこから実写の子供が映画館でポパイを見ているシーンになる。

 ここで子供が画面のポパイに向かってほうれん草缶を投げてやるのだ。投げた缶はアニメの中に入って行き、ポパイはそれを受け取ってパワーアップしてブルートを撃退する。

 私はこの演出と展開に感動した。あの当時にこのようにしてあっちとこっちの壁をぶち破って繋げる演出を思いついたこと。それがすごい。すごく柔軟に突飛な面白さを追求してその演出を叶えている。これはすごい。

 

 地味に一番笑った間抜けなギャグ展開は、シンデレラをテーマにしたファンタジーなポパイ回。ヒロインのオリーブでなく、おっさんのポパイの方が魔法の力をもらってお城に出かける展開になる。

 お城の中でオリーブがブルートに追いかけられ、逃げるオリーブはエレベーターを呼んで待つ。捕まえる前に「チン」と音が鳴ってエレベーターが来るのだが、扉が空いそのすぐ向こうに階段が見えていて、オリーブはそれを駆け上がっていく。コレにマジで笑った。

 エレベーターで階段を運んでくるとか、そんな作りはリアルだと無いだろ。結局階段を駆け上がるからエレベータ本来の意味ないじゃんか。

 

 こういう地味に見えて究極にバカさを追求したギャグがすごく良い。ネタを考える人の頭の中の構造がどうなっているのだろうか。めちゃ頭良いよな。こんなのよく考えつくよな~という物が連続するので本当にすごいし、マジで面白い。

 

 ポパイのパパが家出したのを連れ戻す回も超好き。

 ポパイとパパの顔が一緒。たまにポパイの先祖が出てくる話もあるが、女でも皆ポパイの顔をしている。笑う。

 ポパイのパパが謎の島に家出し、そこで謎の民族の王様になっているのを息子が連れ戻す内容になっている。

 パパが赤ちゃんの頃のポパイを思い出すシーンがある。赤ちゃんのポパイが可愛い。

 ポパイが女装してパパを誘惑して連れ戻そうとするのが印象的。この時パパが「人を騙すのはママと一緒」と息子を見て言うのはどういうこと?嫁にも騙しを食らうパパなのか。

 そういえばポパイだけでなくブルートも女装が得意らしく、互いに誘惑してだまくらかし合戦をしていた。イケてる水夫は女装もお手の物。

 この回ではパパもほうれん草を食って強くなっていた。ほうれん草は勇気のしるし。

 

 面白いといえばポパイとブルートだけでなく、お姫様ポジのオリーブも大きく笑いを取る要員なのが印象的。

 基本設定からすれば、男二人の争いに挟まれるモテモテのお姫様ポジのはずが、オリーブは全然守られていないキャラとして描かれている。どういうことかというと、男たちの争いの中でめちゃくちゃ酷い目に合っている。ここまで酷い目に合うマドンナポジの女キャラもいないだろ。

 二人の決闘の景品にされる中で、火の中、水の中と危険の中にぶち込まれ、死んでもおかしくないダメージを追っている。オリーブの痛めつけられ加減にも笑う。

 

 オリーブ目線から真面目に物を言えば、二人の水夫どちらもろくなもんじゃねぇからどちらを選ぶのもやめた方が良い。

 真面目に考えたら己の欲望のために女子をめちゃ酷い目に合わせているから水夫二人はマジ最低だぞ。

 

 オリーブが二人に言い寄られる割には微妙に可愛くなく美人にも思えない。この世界ではスタイルの良い美人設定なのかな。男よりも背が高い長身だから目立つのは分かるけど。

 なんとなくウチのばあちゃんに似ているんだよな。ウチのばあちゃんも男よりデカイギャルをやっていたので、オリーブの目線の景色がちょっとは分かるようだ。

 

 オリーブといえば当たり前のように手足を伸ばすシーンがある。これも笑う。たまにでなく定番の異能力。コレ、家の親戚の子に見せたら怖かったのか、泣いてた。

 思うのだが、オリーブの手足が伸びるのってワンピースのルフィっぽいし、ポパイの腕の上部分が細くて途中からブワッと太くなっている構造はカティ・フラムの腕のようだ。

 ワンピの尾田先生ってもしかしてポパイを見ていたのかな。バイキングビッケは見ていたと聞くが、ポパイも一応海の男のスーパーバトルの話だから、ルーツを見ようと思えば出来ないことはない。

 

 そして水夫っていう設定も基本にあるだけで、ポパイもブルートもだいたい丘にいるし、回が変わるごとに違う仕事についている。消防隊、タクシー運転手、レストラン経営などなど、丘で副業しすぎだろ。そういやミッキーも同じ感じで毎週違う仕事していたな。 

 こんな具合に設定の固め方をゆるゆるにした柔軟思考で挑む毎度のユニーク展開も良い。基本設定なんてとりあえずの物で、あとは毎度むちゃくちゃやっているアニメだったな。

 

 そんなポパイを令和に見てめちゃ楽しかったという感想でした。

 これはマジでおすすめです。

 

スポンサードリンク