「スーパーロボット レッドバロン」とは1973年~1974年にかけて放送した全39話の特撮番組である。
シンプルな赤きボディはナイスデザイン。カッコいいぜ!
赤いロボといえば何もシャアだけのモノでは無い。日本の赤いロボはここにもいると若い世代に声を大にして言いたい。やはり赤色っていいな。
内容 ~平和を愛する心には鉄面党が許せない~
世界征服を企む悪の組織「鉄面党」は万国ロボット博覧会に展示された優秀なロボット達を根こそぎ盗み、それらを悪用して侵略行為に及んだ。
人の作品を盗んで悪用するとはふてぇ奴らだぜ。
レッドバロンの産みの親である紅健一郎博士は鉄面党に誘拐され、体に爆弾を埋め込まれた奴隷人間に改造されてしまう。
鉄面党の奴らは血も涙も無いので「ザンボット3」みたいなえぐい作戦も平気でやってのけるのだ。
紅博士は弟の紅健にレッドバロンを託して爆死してしまう。兄の紅博士は男前で弟の健はなんだか安心する味のある顔をしている。そして髭が濃い。
紅健は両親を殺され、次いで兄をも殺された怒りを胸にレッドバロンに乗り込み、自らが所属する科学秘密特捜隊(通称SSI)の面々と共に打倒鉄面党の激しい戦いに挑むのだ。
というお話です。
感想
まず、巨大ロボ同士のバトルは燃える。こちらのレッドバロンがそうなら向こうも屈強なロボを放つわけである。で、この敵側のロボもなかなかデザインが良い。
マジンガーZを髣髴させるところがいくつかある。レッドバロン発進シーンはまさにそうである。プールの底が開いてロボが出てくるというのは同じ。レッドバロンの発進時はプールの水ごとしまわれて下に水が落ちていないように見える。
使用時には奇抜なカットインが入るレッドバロンお得意の技バロンパンチは腕がぶっ飛ぶロケットパンチであるし、後半での宇宙飛行用ユニット スペースウィングスを装着するのはマジンガーZのジェットスクランダーを思い出させる。
ロボットでの戦闘がメインではあるが、腕利きのメンバーで構成されるSSIの面々と鉄面党戦闘員の戦闘パートも中々見所である。アクロバットを用いたバトルも熱い。
ここで一番注目なのはSSI隊員の紅一点である真理隊員のアクションである。ミニスカートで戦場に赴く彼女はどうしてもパンチラしてしまうことがあるんだよね。レッドバロンの見所の一つが真理隊員のパンチラである。今のテレビではパンチラを流すのは難しいのでこの時代ならではの目の保養となる要素が楽しめるのだ。
真理隊員は美人である。ヒーローやメカがカッコイイというのは特撮番組では最も重要なことではあるが、荒んだ戦場に華を添える役目を担う素敵なヒロインが登場しなければ100点の番組とは言えない。レッドバロンはそこら辺を分かっている番組である。
SSIのメンバーは鉄面党と闘う以外のオフの時にはだいたいが自動車関係の仕事についている。今も昔も日本を支える重要な産業の一つだ。
レッドバロンのストーリーは二部構成になっている。一部はデビラー博士率いる鉄面党の討伐、二部では鉄面党は宇宙にも基地を持っていることが確認され、宇宙鉄面党としてパワーアップしたのと戦うことになる。
相手もさすがに強敵なので激闘の末、5人のSSIメンバーの内2人が倒されてしまう。
コミカルな役柄を勤めた大作と、冷静沈着な大郷ボスが第一部のラストで戦死してしまうのは悲しかった。このあたりからストーリーの重い回も出て来た。
大作も敵の手によって体に爆弾を埋め込まれた奴隷人間にされてしまう。そんな中でも最後までいつもの飄々とした感じでSSIの皆に別れを告げて爆死するシーンはジーンと来た。
ボスのデビラーを追い詰めて鉄面党が宇宙にも勢力を広めていることを突き止めた大郷ボスの死ぬところは作中で一番緊張感が走った。健が大郷ボスと自動車修理の仕事をしているシーンが懐かしく思い返された。
第二部では残ったSSIメンバー3人に三神博士が加わっての戦いとなった。メンバーそれぞれが良いキャラをしていたので5人揃って完走して欲しかった。
三神博士の顔をどこかで絶対に見た顔だと思ったら「快傑ライオン丸」の主人公 獅子丸の人だった。
SSIと連携して事件解決にあたるもう一人のヒーロー熊野警部が一番好きな人物であった。自動車免許をもっていないのか、いつも自転車で巡回している。皆には自転車警部と呼ばれて親しまれていた名物キャラであった。コミカルな一面を見せて番組を楽しませてくれたが、実力はピカイチでしっかりお強い。SSIよりも年長者だけあってここぞでいいことを言う。味のあるキャラであった。仕込み杖や傘型の銃などスパイアクションのような武器をも扱う闘うカッコイイお巡りさんで警察のイメージアップにもなったキャラである。彼のように足を使って捜査をすること、現代の警察も彼を見習おう。
前期後期共にカッコイイOPではクレジットのラストが監督や局の名前でなく熊野警部の配役で締まるというのが良い。特に前期OPでSSIの皆に混じってすぅ~と登場するのが良い。屋内バトルなのにちゃんと自転車も持ち込んでいるのがナイス。
鉄面党のやり口が汚く、子供のロボを送り込んで健や熊野警部の優しい心を利用した作戦をとったこともあった。汚いが結構賢い作戦を練ってくる。
第二部のラストではレッドバロンで火星の鉄面党基地に乗り込む。闘いの規模が一気に広がった。殺された健の父がロボット手術を受けて火星基地の支配者になっていたというショッキングな展開であった。
ボスのギラスQまでもが機械のシステムであって不気味な存在であった。
鉄面党が何から何まで機械の力で支配しようとしたことに対し、健は人間はロボットになれてもロボットは人間にはなれない、機械を使っても支配されてはいけないといったような深い考察を行って最終回は幕を閉じた。
そして機械の体になった父健一郎博士が機械の力で生かされたくはないと願って弱った機械の心臓を交換することなく死を選んだことに対して、熊野警部が放った「機械仕掛けの明日」と言うセリフが心に刺さった。
現代の問題になりつつある機械が浸透しすぎた人間の日常生活にかなり早い段階で警鐘を鳴らしていた作品であった。終盤でのテーマがなんだかすごく深かった。
便利は便利だが、生活に機械を導入しすぎるために人間の人間たる性質が損なわれるのではないかといったことを考えてしまった。
健が言った通り、人間は機械に支配されてはいけないのだ。
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