こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

恋と戦争と色々な要素が詰まった大作「超時空要塞マクロス」

超時空要塞マクロス」は1982年10月~1983年6月まで放送された全36話のテレビアニメ。

 

 マクロスと言えば、セガサターンで出たシューティングゲームが面白かった。

 

 先月のゴールデンウィークNHKで放送されたマクロス特番を見て、シリーズを振り返りたくなった。今年はマクロスの歴史を追っていこうと想う。 

 という訳で、たくさんあるマクロスシリーズの記念すべき第一作を見ることにした。

 

 作中では2009年から2012年までの世界を描いている。

 宇宙から地球に落ちてきた謎の戦艦を改修しマクロスと名付け、地球人達はマクロスに乗って異星人のゼントラーディ軍と戦う。マクロスは異星人間の戦争を扱うだけに留まるアニメではなく、主人公達の間で展開するラブコメと三角関係ラブ、アイドルもの、ロボ好きが唸る三段階変形メカが登場するなど、様々な需要にお答え出来る異色のバラエティ作品になっている。完全に面白い作品だった。

 

 むしろ戦争がおまけ要素(は言い過ぎかもだけど)なくらいで、その裏で展開する様々な人間模様が面白い。

超時空要塞マクロス Blu-ray Box

 

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歌姫と三角関係

 ただの民間人のミンメイが、アイドルオーディションに合格してどんどんブレイクしていくシンデレラストーリーが序盤から描かれる。ミンメイは現在流行りのバーチャルアイドルの走りとされ、歴史的重要なポジションを築いたキャラ。アイドルだからやっぱり可愛い。というかマクロスのキャラ絵が好き。

 音楽も重要な要素とした作品だけに、ミンメイの歌う劇中歌はもちろん良い。加えて次回予告の時のBGMも良いし、次回予告でサブタイトルを読む小原乃梨子の声にエコーがかるのも何か面白い。

 

 全長1キロ以上もあるマクロスの中で輝とミンメイが遭難する回が序盤にある。あそこがラブコメしていて一番好きなシーンだったかもしれない。遭難中に輝が宇宙マグロ漁に出たのが印象的だった。そういえば去年の末に宇宙で漁を行う女子のアニメがあったな。

 か弱く見えてミンメイがなかなか強かな女で、輝の心を振り回すこともある。ちょっと良く分からないところもある捕らえどころのないヒロインだった。

 マクロスの騒ぎの時には親戚の中華屋で生活していて、実家は横浜中華街でレストランをしているという。結果中華娘である。

 

 マクロスを初めて見た時にはミンメイちゃんが可愛いと想っていたが、少し大きくなってからは未沙の方が良いと思うようになった。

 早瀬未沙は、輝に最初「おばさん」扱いされる年上ヒロインだけどやっぱり落ち着いたお姉さん感が良い。隙がないと想いきや、意外にも輝とミンメイとの仲にヤキモチをやいたり、輝との仲が上手くいかない時にはバーで酒を飲んで気を紛らせるといった恋に悩む女子然とした言動を行う。このちょっと弱いところを見せるのに萌え。土井美加のお姉さん声がすごく良い。

 落ち込む未沙を慰める良き友のクローディアも良い女だった。それからクローディアの得意料理のパインサラダってどこの国の食い物なのだろう。

 

 マクロスは放送中に人気が出て最初の予定から1クール追加して放送したと言う。2クール目までは異星人間の戦争をメインに描き、一応戦争が一段落した3クール目からが輝、ミンメイ、未沙の楽しい三角関係の本番となる。たまにカイフン兄さんも邪魔しに入ってくる。

 

 スーパーアイドルだったミンメイも業績不振に陥り、弱ったところで輝を訪ねる。一度は輝に告白されて答えなかったのに、輝と未沙が上手く行きかけたところに割り込んでくるからなかなか楽しいことになってくる。未沙もヤキモキするし、輝がどっち付かずだからイライラもするけど、そっちの方が三角関係が引っ張られて楽しくもある。とりあえず私は三角関係ラブが好き。

 

 結果として、ラストで輝は未沙を取ったことになるのだと思う。

 遠くのアイドルよりも、近くにいて喧嘩できる仲の女の方が良いのかなという現実的な恋の解釈をして、最終回限定でミンメイちゃんが歌うED曲を聞いていた。

 

文化を知った者達

 敵軍の設定が変わっていて面白かった。

 敵の異星人は巨人で戦闘機並にデカい。生身でも当然強いし、宇宙でも短い間なら活動できる。

 敵の異星人は戦争をするばかりで文化に乏しい。男と女が一つ所で共生することは彼らとしてはありえないことで、男女含め民間人が約6万人もいるマクロス艦内での生活にカルチャーショックを受ける。作中アイドルのリン・ミンメイの「歌」もまた初めてのことで、それにも衝撃を受ける。ゼントラーディ軍の面々は男女で子供を作る方法はおろか、キスの文化すらも知らない。戦争が生きる意義と唱える男の兵隊しかいない集団とか、マジで耐えらんないと思った。

 ゼントラーディの捕虜になった一条輝と早瀬未沙はキスを見せろと強要される。それを見た敵軍連中の反応はというと、衝撃的な何かを見たという驚きのもので、揃って童貞の反応を見せるのが面白かった。

 

 人間サイズになりマクロスに民間人として潜り込む兵隊が送られる。そいつらはミンメイちゃんのファンになるし、街で女子と遊んだりもして文化に感化される。歌を聴いたりキスを見ると、何だか胸が高揚する的なことを言ってるのが不思議だった。

 

 マクロスでゲットしたミンメイグッズをゼントラーディへ持ち帰った異星人3人が他の兵隊にもミンメイの良さを布教し、最終的には皆ミンメイのファンになってマクロスに行きたいと想うようになる。兵隊なのに投降してマクロスに乗る作戦も決行されかなり意外な展開になる。

 

 マクロスに潜伏した女兵士のミリアは、凄腕パイロットのマックスと結婚し子供を儲ける。異星間結婚と出産もまたゼントラーディには衝撃的なものとなる。 

 ミンメイ、未沙のツインヒロインも良いが、このミリアもなかなか印象深いヒロインだった。

 マクロスではプロゲーマーとして生計を立てているがマックスに敗れる。メカ戦、ゲーム戦、剣での一騎打ちと3度の戦いでマックスに敗れて体を委ねることにする。命がけのやり取りで芽生えたラブに萌える。

 未沙がミリアの子供を抱っこさせてと頼むと、これは自分のだから欲しかったら自分で産めばいいとミリアが返したのが、いかにも文化に触れて間もないぶっきらぼうな受け答えだと思った。 

 

 とにかく「文化」と聞いては怯む連中なので、マクロス勢は敵にミンメイの歌を聴かす、男女のキスを見せる、とどめはミリアの生んだ子供を見せるといった作戦を仕掛ける。生きるか死ぬのかの戦いで、これらの策が勝利に繋がる鍵となる設定が信じられない。だからこそ意外な面白さがある。

 

 戦争以外の人間文化に触れて異星人の心が変化する様を描いた点は実に興味深いものだった。

 

マクロスのメカ

  マクロスはストーリーがまず良いが、それを彩るのは迫力のメカ達。

 

 まずはタイトルにもある主役メカのマクロス。全長が1キロ以上あって、艦内の生活スペースには地球にあった街をそのまんま詰めている。5万人以上が暮らしているというのだからとんでもない設定だ。「無限のリヴァイアス」なんかでも巨大戦艦で大人数が生活する設定が見られるが、マクロスの規模はもっとすごい。

 

 そもそもマクロスは異星人側のもので、地球に落とされたブービートラップでもある。システムが勝手に起動して戦争介入することになり、ワープして月まで行ったは良いけどそのシステムは消滅して帰りは通常運行になるなど、出航から不安だらけの船だった。

 

 マクロスデッキは女性スタッフが多くかなり華やか。デッキ内は禁煙区画になっていて、グローバル艦長が吸おうとして女性陣に注意を受けるシーンが印象的。

 

 マクロスにはなかなかおもしろい機能が搭載されている。

 戦闘時にはピンポイントバリアという規模の極小さいバリアを張り、それはデッキの女性陣がコロコロ手で回す特殊なコンローラーで操作する。操作が難しそうだった。対して安心の全方位バリアもあるが、これのシステムが暴走してマクロスの周りのものを全部ふっ飛ばしたことがあった。その際に若きパイロットの柿崎も命を落とす。輝が柿崎の死亡通知書作成を行うシーンは悲しかった。「ガンダムSEED」でアスランがニコルのロッカーの遺品整理をするあのシーン並に悲しかった。

 

 あれだけデカいマクロスが船から人型モードに変形するのがすごい。変形すると当然あちこちを動かすことになるから、そのせいで艦内の街がひっくり返ったり壊れたりする。この設定も拘っていて良かった。

 

 マクロスの片腕を敵艦に突っ込み、その後内部にミサイルを打ち込むダイダロスアタックはすごかった。

 

 輝やロイが乗る可変型戦闘機のバルキリーは作品の看板メカ。飛行機と人型に変形するメカなら「Zガンダム」でたくさん見られるが、バルキリーにはその中間の飛行機から手が生えているガウォークという変形モードがある。これが最初は衝撃的なデザインだった。よく考えたなと思う。

 

 ロイが乗る一度も撃墜されたことのないドクロマークのついたバルキリーが一番格好良かった。

 

 飛行シーンで一番良く覚えいてるのは、第二話で落下するミンメイを輝機が空中でキャッチするシーン。あそこはよく描かれていた。空中でミンメイのスカートがヒラヒラするのに、パンツが見えそうで見えないというシーンだった。死にかけたミンメイが髪型が乱れたと戯けるシーンも良かった。

 

まとめ

 マクロスが言いたいことは、得体の知れない者同士でも文化や愛を通して分かり会うることが出来ること。その一方で、地球の民となった異星人達がまた戦争がしたくなった心理を描いたように、人とは本能で争いを求めることもあるものだとも言っている。私はそんな感じのことを想った。そしてパインサラダが食いたい。

 

超時空要塞マクロス Blu-ray Box

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 TV版で見応え十分なのにマクロスは劇場版でまた化けるからすごい。劇場版もその内見よう。

 

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